東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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踊る大脳捜査線

仮面ライダードライブ』感想・第35-36話

◆第35話「ろう城事件はなぜ起きたのか」◆ (監督:山口恭平 脚本:長谷川圭一
 特状課で発生する立てこもり事件、その犯人は……進ノ介に拳銃を向ける仁良光秀。
 「俺は捕まらねぇよ。絶対にな。ひはははははは」
 事の発端は20時間前に遡り――今回-次回と、仁良を面白く見られないと、かなり辛い約45分。
 ……辛い。
 逃亡した仁良を探す進ノ介は、銀行事件の生き残り・唐沢ゆかりの周辺を警戒し、推測通りに姿を見せるシーフミュード(どうでもいい話なのですが、前回から度々「シーフード」と書きそうになり……そういえば、タコっぽい?)。だがそれは、ブレンと融合して毒属性その他を身につけたシーブレンであり、つまり、ヒョウモンダコなのか。
 ゆかりの危機を救ったマッハが、久方ぶりにヒーローとして格好いいところを見せ、シーフードは退散。剛はチェイスに蛮野について口止めし、対人距離感が崩壊しているチェイスが、あまりにもいつも通りに接してくるので、ぐはっ、24時間以内に姉ちゃんと同じ空間にあった微粒子が……! はまあさておき、剛がペースを狂わされるのは、関係性の変化として巧い形に。
 なお進兄さんは、ゆかりを心配してとはいえ、剛には一切話しかけず(笑)
 …………ま、まあ、「信頼している」という事なのだと思いたいのですが、今、進ノ介が剛に話しかけると、姉ちゃんと24時間以内に同じ空間にあった細胞の接近で脳に深刻なダメージを受けるので、多分これでいいのです。
 断姉の影響が深刻になりつつある剛が去っていくと進ノ介はゆかりをチェイスに預けて仁良とブレンの追跡を再開。一方、ブレンはメディックにゼンカイブレンの姿を見せつけると念動力でこれまでの意趣返しを行い……とても感じが悪いです(笑)
 「遂におまえも、超進化したのか。友として、嬉しいよ」
 「全てはハート。あなたの理想を実現する為です」
 満面の笑みを浮かべたブレンは、砂浜に倒れたメディックを嘲笑い…………うーん……ここに限らず、というより、この後更に酷くなっていくのですが、顔芸路線の連発にともない、カットを割ったり段階ズームなどで画面を忙しなくカシャカシャ切り替えながら、表情で芝居をさせるというよりも表情を押しつけてくる演出が凄く苦手で、辛い。
 仁良は堂々と警視庁で記者会見をすると、ドライブ及び特状課は機械生命体と繋がっていると発表し、チェイスの事を持ち出されると、ぐうの音も出ない!
 逃亡者となった進ノ介は、わざわざ目の前に現れたシーフードによって特状課に誘い込まれ、立てこもり事件の犯人は泊進ノ介、と構図が逆転したところで、つづく。

◆第36話「銃弾はどこに正義を導くのか」◆ (監督:山口恭平 脚本:長谷川圭一
 「泊進ノ介、おまえは罠にはまったんだよ」
 「今から57分30秒後、君は射殺される事になる」
 ブレン毒を打ち込まれていたゆかりを人質にされた進ノ介は絶体絶命の窮地に陥り、剛はタブレットを取り戻そうとするハートの強襲を受け、地面を走る攻撃エフェクトは格好いいのですが、今更マッハに浮気しようとしてみたり、ハート様の腰がどうにも据わりません。
 登場当初は最新型だった筈が、気がつけば型落ち品扱いのマッハを殴り飛ばしたハートはタブレットを回収しようとするが、内部のミスター・バンノから謎の攻撃を受け、気絶。……「ばんの」って、何故「蛮野」なる天才科学者らしからぬ苗字なのかと思っていたのですが、「ばんのう(万能)」とかかっているのでしょうかもしかして。
 「これが、蛮野天十郎の力か」
 ハートはメディックに起こされ、タブレットを手に剛は辛くも逃走。ゼンカイブレンに敗れて気絶していたチェイスはシフトカーに叩き起こされると倒れたゆかりを背にバイクで走り出し、救急シフトカーで直せなかったゆかりの治療の為、剛に協力を求める。
 一方、仁良はひたすら進ノ介を煽り、ひたすら面倒くさかった。
 「おまえも父親と同じように、俺に敗北するのさ。へへへっ……なあ、なぜ今回俺が、唐沢ゆかりを選んだかわかるか? 彼女が死ねば、おまえの父親の死が、無駄になるからだよ。つ・ま・り、犬死にだ」
 なにも過剰に道化じみた顔芸や言葉遣いや仕草、更にそれらを強調するカメラワークを用いずとも、この場面の言い回しと抑えた芝居が最も悪意を感じられ……まあだからこそ逆に、敢えて過度に戯画的な表現を用いる事で表現上のクッションにする狙いであったのかもですが、結果として仁良がマンガの記号的表現みたいになってしまい、その仁良が憎悪を向けていた泊英介を、巧く物語の中に落とし込めなくなってしまった感。
 そして、教習所に二発の銃声が響き渡り――
 けたけた笑いながら踊る仁良は正当防衛による犯人射殺の経緯を記者会見で語るが、霧子に続いて会見場に現れたのは、ブレン毒で死亡した筈のゆかり。
 「馬鹿な! おまえはわ私の毒で死んだ筈! ……は?!」
 「遂に自白したな――能見。いいやブレン!」
 そして、射殺された筈の泊進ノ介。
 「わざわざ俺の親父を撃った証拠品の拳銃を使ったのが、仇になったな! 仁良光秀、12年前の泊英介警部補殺害の真犯人として、おまえを逮捕する!!」
 仁良の放った銃弾をディメンション回避して確保した進ノ介は、その銃弾を鑑定。線条痕が12年前の事件のものと一致した事で仁良を公的に追い詰める証拠品となり、ややこしい状況設定をぐるっとまとめて仁良を法で裁けるところに着地させてみせたのは長谷川さんの腕ではありますが、逆に、ここまで仁良との決着に時間を使う必要はあったのだろうか、とは思ってしまう部分。
 仁良に時間を使う事によって劇中における泊英介の存在感を大きくしようとする意図はわかるのですが、前半2クール匂いさえなかった進ノ介父の存在感を上乗せする為に、構成がいびつになっている印象あり。また上述したように、仁良を戯画的に描けば描くほど、仁良を通して間接的に語られる泊英介も戯画的世界の人物と化してしまい、むしろ進ノ介との距離が離れる事になってしまいました。
 ……まあ、劇中で誰かのフィルターを通してしか語られない故人である泊英介は、もはや戯画の中の英雄でしかない、という捉え方も出来なくはないですが。
 また、「仲間の力」を強調した割には特状課のメンバーはずっと牢屋の中、剛とチェイスは進ノ介の為に動いたものの、最終的な解決手段となったのはミスター・バンノの謎の能力であり、“何が仁良&ブレンの悪意を乗り越えるのか?”の部分についての、美しさは今ひとつ。
 ここでミスター・バンノをフォーカスしたのは今後への布石&剛の失点回復の為なのでしょうが、実質的な“奇跡”になってしまったのは、残念です。……そして、何やらデータをスキャン・再構成、みたいな形でタブレットの中に吸い込まれた後に再び出てくる事で解毒されたゆかりは、本当に前と同じゆかりなのでしょーか(笑)
 追い詰められた仁良と能見はシーブレンとなり、シー+雑魚ミュード6体vs3ライダー、による今作史上最大規模のバトルが展開し、挿入歌の音量レベルが、妙に小さい(笑)
 マッハとチェイスが雑魚ミュード3体をそれぞれ倒している間にドライブTRはシーフードと戦い、この期に及んでふざけた言行を繰り返す仁良ミュードの描写には、真影編から続いてきた、12年前の事件にいよいよ決着を付けるクライマックスバトルだというのに視線が冷めていくばかり。
 ゼンカイブレンは仁良に見切りをつけるが、3ライダーの連続必殺キックを受けて大爆発し、なんとかナンバーの姿で逃走。……まあ、超進化体、基本的にドライブTRより格下なので……戦力ヒエラルキーでいうと、
 〔ドライブTR>>>>>超進化ブレン・フリーズ>>>>>>>ハート>>>>>>>チェイサー>>マッハ〕
 ぐらいの偏った状況になっており、ドライブTRが全力でハート様を殴ると「あびばぁ?!」とか頭が吹き飛びそうで心配ですが、ハート様は2クール目早々ぐらいに失った覇権を取り戻す事ができるのか。
 仁良には遂に手錠がかけられ、ナンバーに戻ったブレンにはメディックの魔の手が迫り……次回――シリーズ最終章、開幕!
 果たしてラスボスは、ベルトさんなのか!(本命) バンノなのか!(対抗) 或いはハーレー博士なのか?!(大穴)