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人はなぜ禁忌の力に手を触れるのか

仮面ライダードライブ』感想・第33話

◆第33話「だれが泊進ノ介の命を奪ったのか」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸
 見所は、まさかの、死体ベルト。
 ここまでの今作において圧倒的に、新しいものを世に送り出そうとする気概を見ました!
 「俺も進兄さんとおんなじ、特異体質ってやつみたいだぜ」
 ロイミュードの根城では、ブレンのタブレットを奪った剛が、実は今まで1ミリも洗脳されていませんでした! と明かし、チェイスが手にした消臭スプレーで治ってもなんだかなーでしたが、特異体質でしたーもなんだかなーで、どう転んでもなんだかなぁ。
 まあこの使い方だと、「特異体質」そのものに、何かの理由が付けられそうな気配もありますが(そして、裏切り?の意図に説明はされたものの、ここまでの展開が面白くなかった事に変わりはなく)。
 ブレンのタブレットの中には剛の求めるロイミュード殲滅に繋がる情報がある筈だったが、その為に進ノ介を助けられなかった事を悔やむ剛はタブレットを川に投げ捨てようとするも、チェイスに止められ、霧子の笑顔を取り戻すべく、タブレットへとアクセス。
 「何か私に尋ねごとかな?」
 「…………聞きたい事があるんだ。……蛮野博士」
 画面にはミスターボイスのようなCGが浮かび上がり、これまで名前だけが出ていた蛮野天十郎博士の模造人格めいたものかと思われますが、ここに来て、追田刑事がロイミュードと言えない理由、ブレンのタブレットは超重要アイテムだった……といった辺りを巧く処理してきたのに、どうして、進ノ介父は超唐突になってしまったのか……。
 ベルトさんが進ノ介の細胞の劣化を止めて仮死状態を維持している事がわかり、剛が手に入れた情報と合わせ(なお、ミスターXは剛と判明)、ベルトさんと直結状態にある進ノ介に時速200キロで走るトライドロンを通して全シフトカーのエネルギーを注ぎ込む事による進ノ介蘇生計画が発動。
 「行きます、泊さん。最後まで、フルスロットルで!」
 バディとして霧子の運転するトライドロンは、金色狐仮面の妨害を受けながらも時速200キロでイグニッションし、奇跡の復活を遂げる進ノ介……そこは、前後の脈絡はともかく、霧子さんをお姫様抱っこで出てくるところでは!?
 君にはがっかりだよ!!
 「いい笑顔だ。……帰ってきた甲斐があったよ」
 「(puopuo! bu-bu-bu-!)後は任せたまえ、霧子」
 瞳が赤く輝いた進ノ介はベルトさんの声で喋り……なんだか取り返しの付かない事になりました……いやまあ、既に取り返しが付かなかったのを取り返したところではあるのですが。
 「なんだ……何故生き返った? 今何が起こった?」
 視聴者の疑問を代弁する金色狐仮面の前で、光と化したトライドロンが全身を覆うアーマーとして再構成され、全てのシフトカーのエネルギーと融合した、まさしく車のライダー、タイプ:トライドロンが誕生。
 行き着くところまで行った感のある新フォーム、恒例の全部乗せでありますが、“全部”をデザイン上はトライドロンに象徴させる事でゴテゴテ感を減らし、今までが今までだった事もあって、割合、格好良く見えます。
 また、『ドライブ』全体の志向する“チームの力”を結集しての誕生は作品のテーゼを上手く反映し、そこにシフトカーも加える事で、“チーム”と“全部乗せ”をスムーズに重ねたのは秀逸。今作の強化展開はこれまで不満が多かったですが、タイプ:トライドロンに関しては、割と好み。
 「私は進ノ介を死なせない為に、自分のデータを彼の心に融合させた。その状態で甦った事が、この計算外の奇跡のドライブを生んだのだ!」
 ……まあ、ベルトさんのデータが進ノ介の心(とは)に融合すると肉体の仮死状態を維持できる理屈はさっぱりですが(笑)
 「馬鹿な……信じられん」
 「私もだ」
 「今の俺はベルトさんと心が一つ! 体はトライドロンそのものだ。シフトカーみんなの力、まとめて喰らえ」


 「人間の茂はちょっと車にぶつかっただけで死んでしまったが、マシンのおまえは簡単には死なない。やりようによっては、人間の何百倍のパワーも持てるし、武器だって内蔵する事ができるんだ」
(ジニアス黒田/『超力戦隊オーレンジャー』第18話「父の異常な愛情」)

 みたいな事を言い出したドライブは、三つのタイヤを同時に装着するタイヤカキマゼールで左肩のタイヤに3種を融合させると、高速移動による残像とともに同時攻撃を放ち、更に全エネルギーをフォーミュラ砲から発射(と同時にドライブはノーマルモードに)。
 直撃を受けた黄金フリーズが敢えなく吹き飛ぶと、発射されたトライドロンエネルギーは車の姿で復帰し……つまり、東映ヒーローにおける伝統的なイニシエーションであるところの、轢殺。
 「ナイスドライブ! 進ノ介」
 進ノ介の蘇生、そして001への完全勝利を喜ぶ進ノ介と仲間達だったが……
 「ふふふ……ははははははははは! 父の仇を討てたと信じて喜ぶおまえは、実に滑稽だ。精々これから知る真実の闇に、藻掻き苦しめ」
 ナンバー001は捨て台詞を残して消滅し、謎を残したまま、つづく。
 なお変身解除と共にベルトさんはベルトに戻ってしまい……がっかりですよ!!
 ここで進ノ介が遂に改造人間に、はさすがにならなかったものの、タイプ:トライドロンは割と好みの形の新フォームとなりましたが、一方で、あっさりやられてしまった001はあまりにも拍子抜けで、超進化体になってからやった事が、チェイスを殴る・マッハに裏切られる・特状課に付きまとって返り討ちに遭う、だけでなんの悪事を行う暇もなく、“政治に食い込んでいる黒幕系大物”を、見事に持て余した感のある残念な最期となりました。