東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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背中に輝くBARCELONA

地球戦隊ファイブマン』感想・第35-36話

◆第35話「学の秘密!!」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:藤井邦夫)
 星川母、子供に、夫婦の馴れ初めを聞かせてくるタイプの親だった。
 ……ま、まあ、遠い異星の地で子供に地球の写真を見せていたら流れでそうなったのかもですが、学にとってそれは貴重な両親との思い出になっており、写真で見たものとよく似た高原を、度々訪れているのであった。
 (ここに来ると、父さんや母さんに会えるような気がするんだ)
 学は、地元の牧場の娘・百合子と親しくなっており、『超新星フラッシュマン』でサラ/イエローフラッシュを演じた中村容子さんがゲスト出演。
 「学さーん!」
 「やあ」
 「来ていたんですか」
 「……うん。ちょっと、疲れたもんでね」
 ぐさっっっ。
 かれこれ第17話以来となった藤井先生、「ミドリ……母さんと同じ名前」に続き、スタート直後から豪速球を心臓付近に投げつけてきます。
 この当時の完璧超人系ヒーローとしては割と大胆な弱音でもあったかと思うのですが、学が心身の疲弊を高原の風で癒やしていた頃、合身銀河闘士の反応に出撃した弟妹4人を待ち構えていたのは、シュバリェの生み出したヒョウコブラルギン!
 凶悪な風貌に加えて動きにも一切の笑いがなく、珍しく普通に強そうな銀河闘士にレッドを欠くファイブマンは苦戦し、辛くも撤退。バイクで急いだ赤は結局戦闘に間に合わなかった事から、兄妹4人から厳しい視線を向けられる事に。
 「……すまなかった」
 「変だぜ兄貴。ときどき誰にも内緒で行方不明になるなんて、いったいどこに行ってたんだよ?!(デートか?! デートなのかよ?!)
 「…………それは」
 「秘密だから言えないってのか(やっぱりデートなのかよ?!)
 「……すまん」
 まるで何か後ろめたい事でもあるかのように、頑なに口を閉ざす学に弟妹たちは反発。
 「剣……数美、レミ、文矢……すまん!」
 これまでの描写を考えると下4人の不信感爆発はだいぶ強引ですが……兄貴は兄貴で、大皿の唐揚げにいきなりレモンをかけたり、弟たちのプロティンを勝手に飲んだり、妹たち宛てのラブレターを開封して断りの返事を書いたり、日頃から知らず知らずの内に家庭内で不興を買っていたのかもしれません。
 バルガイヤーでは元艦長が掃除係から銀帝酒場のボーイに出世しており、青ら4人を見逃した事で陛下からお叱りを受けたシュバリェは、再出撃。
 「……せいぜい油断して、墓穴を掘るがいい」
 元艦長が憎々しげに呟いてゾーン内部の空気にアクセントを付ける一方、マグマベースでは星川兄妹の絆に大きな亀裂が入り、シュバリェからの挑戦に、学はやむなく単身で出撃。
 飛び蹴りを解禁したシュバリェは赤と剣を打ち合わせるとヒョウコブラとの連携で着実に赤を追い詰めていき、「長兄・学への信頼感が揺らぐ」波乱は面白い一方、星川兄妹の行動原理として、〔兄妹の不和 > 地球の平和〕はあまりにも飛躍が大きく、パーソナルな要素がチームヒーローのバランスを崩す展開としては、強引になってしまったのは残念。
 「どうしたレッド? 兄妹が応援に現れないな!」
 もはや学を見捨てる勢いの4人だが、シュバレーザーを受けて赤が吹き飛ぶとさすがに基地を飛び出していく一方、辛くも逃走した学は高原に辿り着いていた。
 「父さん、母さん…………僕はどうしたらいいんです?! 僕は、長男として、父さんや母さんと一番多く暮らした。だから! 思い出も健たちよりずっと多い! でも! でも、それを出来るだけ言わないようにしてきた! 健や、数美……そして、赤ん坊でなんの思い出もない、文矢とレミが可哀想だったからです! それは……間違いだったんですか?!」
 弟妹との亀裂に苦しむ学は心情を激白し、4人に弱いところを見せられない、といった責任感の話かと思ったら、それだけでなく学の立場ゆえの気遣いが直接は伝えにくいものになっていたのは、年齢差から上手く膨らませて納得。
 崖の上で叫ぶ学の姿を、離れた位置から背中で見せたのも良く、流れの強引さは気になったものの、長兄・学の掘り下げとして、良い場面でした。
 ところで以前から気になってはいたのですが……学兄貴の背中が強調されると、どうしても「BARCELONA」に目が行ってしまい、どうして学兄貴は、放映当時2年後に開催を控えていたバルセロナオリンピックに向けて、こんなにも気合が入っていたのでしょうか。
 学の苦悩を知った百合子は弟妹たちと接触すると、両親との思い出を口にする事をタブーにするあまり、いつしかそれを大きく抱え込んでしまっていた学の心情を4人に伝える。
 「いくら自分が説明してやっても、それは、説明でしかなくて、文矢たちの思い出にはならない」
 兄貴、真面目すぎるぜ兄貴……!
 「だから自分も、お父さんと母さんの思い出を、出来るだけ口にしないでおこう。学さんそう考えたそうなの」
 弟妹たちに寂しい思いをさせないようにとしてきた学は、高原を訪れる内に自らの寂しさを埋める幻の父母の姿をそこに見出すと、折に触れては悩みを相談する(という形で前に進む)ようになっており……過去ヒーローゲストという事もあってか、たっぷりとした語りが用意されているのですが、ゲストキャラとして百合子個人にスポットが当たるわけでもないのに加え、4人との接触もかなり無理が出て、目の付け所は面白かっただけに、ちょくちょく、展開に強引な箇所があるのは惜しまれます。
 高原に現れたシュバリェは剣・銃に続く鞭モードで学を追い詰めるが、トドメの寸前、弟妹が集結。
 「兄妹5人、一つに団結すれば、貴様なんか目じゃないぜ!」
 復活したファイブマンは、個人武器を手に兄貴との思い出アタックを次々とヒョウコブラルギンに叩き込み、団結の力で撃破。巨大ヒョウコブラは、決め台詞さえ無しに超次元ソードで瞬殺するのであった。
 「それから、父さんと母さんは――」
 「もういいのよ、兄さん」
 色々とバレた兄貴は高原について4人に説明し、それ以上は延々と話が無くなりそうだからそのぐらいでいい、と数美が止めました(笑)
 「……数美」
 「兄さんの思い出は、兄さんのものだけでいいじゃない。」
 「そう、長男だって、一人で甘えられる思い出が必要だぜ」
 「みんな……」
 「それから、兄貴……俺たちもう、とっくに大人だぜ。これからは、なんでも相談してくれよな」
 「わかったよ、みんな」
 兄妹は笑顔を取り戻し、気を利かせた4人はその場を離れ、かつて、父と母が出会ったかもしれない場所で、百合子に母の面影を見る学兄貴に、ロマンスの香り……?
 ナレーション「学は、大声で叫びたかった。父と、母の、名を。いつの日か、きっと、会えることを願って」
 ラストのやり取りは爽やかで良かったですし、星川兄妹の「ヒーロー性」そのものに崩しを入れつつ、一蓮托生度の高かった星川兄妹の抱える、根本的かつ潜在的な“ズレ”に焦点を当てたのは面白かったのですが、そこに至るルート整備が強引になってしまったのが、重ね重ね残念。ただ、確実に80年代から90年代へ向けた変質を感じさせる一本でした。
 次回――双子入れ替わり。そして予告が文矢に(5くんお役御免?)。

◆第36話「双子大作戦」◆ (監督:東條昭平 脚本:渡辺麻実)
 コンビ殺法の特訓中だった文矢とレミは、サソリナマズギン(関西弁)の攻撃を受け、肉体と精神が入れ替わってしまう!(文矢がレミの口調と声で喋り、レミが文矢の口調と声で喋る事で表現)
 芝居の面白さを出すのと入れ替わりをわかりやすくする為にか、レミはお気に入りのぬいぐるみを抱えてみたり普段より幾分可愛げをアピールし……まあ考えてみると体は文矢なので、後で念入りにファブリーズですね!(酷い)
 「今は3人だけの、スリーマーーン、かな?」
 入れ替わりの副産物として文矢とレミが変身不能になり、赤青桃の3人だけで立ち向かうが、今回もシュバリェ強し。初登場から10話近く経ちながら、未だ直接戦闘では無敗を誇り、圧倒的な強者ぶり。
 アーサーに出撃を止められる文矢とレミだが、「二人で一人」の言葉に閃くと、お互いの動きに合わせてその場で声をアテレコする事により、入れ替わりが解除された、とゾーンを騙し、再び攻撃を受ける事で元に戻ってファイブマン
 巨大サソリナマズの電気鞭攻撃にスターファイブが苦しむも、黒が単独で乗り込んだファイブロボがソードで鞭を叩っ切ると、「双子の底力、見せてやる!」から兄弟ロボのダブル攻撃で勝利を収め、街には平穏が戻って、ほのぼのエンド。
 入れ替わりネタ定番の、もう一度敵の攻撃を受ける、に双子要素を組み込んだのが今作ならではとなった一方で、距離感の近すぎる兄妹だと入れ替わりが個人の芝居レベル以上には面白くなりにくい限界が見えて、単発のアイデアエピソードとしては、及第点まで、といった内容。外部の他者と接触すればまた面白さが違ってきますが、そこまでの尺もなく。
 次回――え、えええ……(予告音声は健となり、スポットの当たるキャラの持ち回りになりそう)。