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「俺たちの夏休みは今日だけだ!」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第24話

◆第24カイ!「侵略完了! できるか奪回?!」◆ (監督:山口恭平 脚本:香村純子)
 留守番 > トジテンド
 ……は、個人的にはちょっとアウト気味の表現なのですが、ゼンカイジャーらしくはらしく、ヤツデが町内会・夏の温泉ツアーに出発した矢先に出現した、トロピカルな雰囲気のバカンスワルドと戦うゼンカイジャー。
 よほほいと共にバカンスワルドを一方的に攻め立てるゼンカイジャーだが、電撃戦隊チェンジマンの力で雑に使ったグリフォンマグマギャラクシーがかえって敵にチャンスを与えてしまい(さすがに今回の使い方は雑にすぎると思うわけですが、せめてドラゴンボールなら納得できたものの……名前が引っかかったのでしょうか)、解放されたバカンスパワーを浴びた人々が、全員、ハイテンションで夏休みに突入してしまう。
 「侵略が完了したであります!」
 またも広域洗脳、はどうにもワンパターンで苦しくなってきておりますが、これまでになく人々の願望に寄り添ったバカンスパワーはかつてない戦果を上げ、一切の抵抗を放棄するアース-45。
 ところが、占領地であるアース-45の視察に向かったクダイター(第1話の怪人ポジション。クダック小隊長的扱い)率いる先遣部隊、そして当のバカンスワルドまでもがバカンスパワーの影響を受け、アース-45をリゾート地にすると、住人と一緒に夏休みを満喫し始めてしまう。
 バカンスワルドとクダックたちは、浜辺でゼンカイジャーやツーカイ一座とビーチバレーや浮き輪投げ競走に興じ、過剰気味のハイテンションは、凄く、山口監督です。
 そして、前作の戦隊ギア、まさかのくす玉代わりに使われる。
 醜く互いの足を引っ張り合う戦極イカ割りが始まると、戦隊名物のアレ(パス合戦)を経由して、三つ巴のスイカ割りをバトルシーンに割り当てる、のは面白いアイデア。スイカが、棒が、戦士たちが宙を舞い、桃が腹に抱えているスイカを割ろうとする金。
 だが、あわやゴア映像で決着寸前、響き渡る怒声が全員の動きを止める。
 「バカンスワルドぉぉ! 貴様ぁ……!」
 「バラシタラ様ぁ……!」
 「下っ端のくせに、我々より先にバカンスを満喫するなど! 言語道断! 粛正である!」
 「「「「「……バカンスワルドーーーーー!!」」」」」
 バラシタラミサイルの直撃により巻き起こった大爆発に向けて皆が絶叫し……スイカだけが転がってくるところは、笑いました。
 「いつの間にか、仲良くバカンスしてたみたいだな……」
 ギアが砕けて全員が正気に戻ると巨大戦となり、ゼンカイ桃青、ツーカイ侍、からゼンカイジュウオーで大全壊……金が離脱しても、ツーカイオーは独自に動ける事が、さらっと判明。
 「でも……トジテンドの人達と遊べたの、楽しかったなぁ……みんなああやって仲良くできたらいいのに」
 一夏のバカンスは終了し、介人はバカンスワルド印のスイカを抱えて呟き……前回、サトシとの辛い戦いを経たからこその慨嘆(素直な気持ち)とも取れますが、前回の今回で和気藹々のホビー対決が描かれるのは、個人的には素直に楽しみにくいエピソードでした。
 バカンスの能力下だったからに過ぎない、とジュランがツッコんで介人も認めるのですが、基本的に、奴らはトジテンドの腐った犬だ! と問答無用で撃ち殺してきたわけで、バカンスの能力下だから戦闘に発展しなかったのは、トジテンド側ばかりでなく介人たちも同様なのにそこには触れず、介人に台詞でだけ理想の友好姿勢をアピールさせるのは、ちょっとズルいな、と。
 ……まあそれも含めて、現実には難しいからこそ一夏の幻想にふさわしい、とシビアな意図を含んでいたのかもですが……見方にはよっては、敵の首級――スイカが見立て――を抱えながら、「お互い、戦の無い世に生まれたかったものよ……」と言っていると思えなくはないですし。
 でまあ、別に、毎度ワルド怪人に和平交渉してほしいわけではないですし、介人にとっても、あくまで理想と現実、それはそれこれはこれ、だとは思うのですが、どうも今作が、スーパー戦隊》における「殺意と握手の共存」の外縁をフラフラしているのは気になるところで、言い訳を交えながら中途半端に触れる事で、かえって不誠実な作劇になっている印象。
 そこが鉱脈か地雷原かといえば、個人的には地雷原だと思うのですが、今作がそれを《スーパー戦隊》に活力を与える為の切り口の一つとして捉えているのならば、上手く歯車が噛み合ってくれるのを期待したいものの、第7話以降、この点に関しては不信感が先行しています(100%印象論ですが、香村さんの方が諸々を寓意として割り切っていそうで、微妙に白倉Pの意識とズレが出ているのではないか、というのは不安点)。

 以下、長い余談。
 今回の日記タイトルは『高速戦隊ターボレンジャー』第24話「怖い! 夏の海」(監督:新井清 脚本:曽田博久)から採ったのですが(本当に劇中にこういう台詞がありまして……)、戦隊×夏のバカンス、は今ひとつ印象的なエピソード(&台詞)が思い浮かばず、危うく、海繋がりで「青春は短いものなんだ」(『マスクマン』)になる寸前でした。
 バカンスで他に思い浮かんだのが、やたらハッカ油をアピールする『ゴセイジャー』epic23「燃えろ! ゴセイジャー」(監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久)(※簡易感想なので台詞を特に書き起こしていなかった)、やたらトマトをアピールする『ギンガマン』第二十一章「トマトの試練」(監督:辻野正人 脚本:荒川稔久)(※『ゴーカイジャー』感想の時に使った)だったのですが、いざ『ターボ』のエピソードを思い出してみると、「お~~っと、やってきました、行川アイランド!」にもちょっと誘惑されてみたり。
 戦隊×海、まで範囲を広げると、近年見たというのもありますが、『ライブマン』第18話「罠!丈の愛した頭脳獣」(監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)第37話「16歳ケンプ恐獣変身!」(監督:長石多可男 脚本:曽田博久)『ターボレンジャー』第36話「運命の想い出…」(監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)、といったあたりが印象深い名作回。
 撮影のしやすさなど制作上の都合はあったのかと思われますが、長石多可男監督には海の(好きな)イメージは強く、そういえば『仮面ライダーファイズ』最終盤のあそこも、海だったな……などと思ってみたり。
 夏場の観光タイアップ回という切り口だと、未だに阿蘇大爆発作戦、どごーーーん!」(『ダイナマン』)が忘れられません(笑)
 戦隊シリーズでも、トップクラスに衝撃的な次回予告でありました。
 エピソード的には『ライブマン』の会津若松編とか、『オーレンジャー』のりんどう湖ファミリー牧場で阿鼻叫喚とか、その翌年『カーレンジャー』の「ZZゼリの、怒りのジャケット作戦も、惜しくもしっぱーい。甚だ遺憾でしたので、今週は逆に、服を脱がせる作戦を、ぶちかましたいと思います」とか、斜め上に派手な爆発をする事があるので、たまにタイアップ回を見ると健康に良いといわれているとか。
 なお個人的に、夏のバカンス(観光タイアップ)回で最大のインパクトというと「地上征服の為、人魚の不思議な力、是非手に入れねば」でお馴染み、『ビーファイターカブト』第19話「夏の彼女は人魚姫?!」(監督:石田秀範 脚本:浅香晶)。
 そもそも、戦隊×夏のバカンス回がぱっと思い浮かばなかったのは、こちらに印象を塗り潰されているのが原因だと思います。
 「どうだ、パイナプラーは見つけた人魚を缶詰にして、持ち帰る為に生まれた怪人なのだ」
 「へへひゃははははは、賞味期限が切れるまで、海の底で眠ってろ!」
 この回は何が凄いって、これだけだったら単発のとんちき回なのですが、同じく観光タイアップの第20話「河童訪ねて三千里!!」(監督:石田秀範 脚本:扇澤延男)が「河童は光線なんか吐かない!」で、どこにも逃げ場が無いところ。
 1話置いて、第22話「轟く三味線炎の女将」(監督:東條昭平 脚本:宮下隼一)では、
 「探せ! 三味線狩りだ!」
 「メルザードが日本各地で、三味線を壊しまくってる!」
 「何考えてるんだあいつら!」
 が炸裂し、この時期の『BFカブト』は、良くも悪くも超新星の輝きを放っています。
 次回――総集編風味?