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『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第23話

◆第23カイ!「三大合体 地球最大の戦い!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:香村純子)
 ゼンカイジュウオーとバトルシーザー2世の激しい戦いは夜が更けても続き……
 「ステイシー、タイム! 休憩!」
 一方的に分離したぞ(笑)
 介人は翌日に一対一の決闘を申し入れ、それを受け入れたステイシーが帰還した事で、一同はひとまずガオーンの治療に病院へ。
 「なんで仕切り直した……?」
 「……ちょっとさ。ちょっとずつ色々迷っちゃって……」
 ヤツデに対するステイシーの態度を見て、仲良くなれるのでは? と考えた事を明かした介人に、「ヤツデさんは素敵な人」とすぱっと言えるブルーンが、今作らしい距離感で、格好いいところ。
 サトシはヤツデに母親を重ねているのではないか、と思い至る介人だが、それを飲み込んだ上で決着を望むステイシーの覚悟を受け止める事を決め……


 「わかった、おまえと戦うよ。――俺、何がなんでもやられるわけにはいかないから! トジテンド倒して世界守ったり! 父ちゃん母ちゃん取り戻したり! 世界初ゲットしたり! やりたい事たくさんあるから!!」

 介人の葛藤は、基本的に第7話のモチーフの繰り返しなのですが、第7話では「ステイシーの見た目が人間だから」戦いを躊躇する要素が幾つかの問題を発生させていた為か、改めて、仲良くなれると思ったのはステイシーの“見た目”ではなく“人間性”を見てなんだ、とスライドして上書き(とはいえどうしても第7話の残像はちらつきますが)。
 作劇としては、ステイシー(バトルシーザーロボ2世)に街を直接攻撃させるなどして、「これでも僕と戦わないのか!」とでもした上で介人に肚をくくらせる方が自然に受け止めやすかったかなとは思いますが、ヤツデをがっつり巻き込んでいる事もあり、破壊行為を避ける事でステイシーに軟着陸の余地を残した感はあります。
 また、今作全体の方向性からすると、「(ヤツデの為にも)ステイシーと仲良くなる」事よりも「ステイシーの覚悟を受け止める」事を選んだ介人は、「大事なことを全部この手で握る」ヒーローになれていないのではないかとの疑念は浮かび(勿論、何が大事なのか、の選択はあってしかるべきとした上で)、今回のラストは、ステイシーばかりでなく、介人にも次のチャンスが与えられた、という事であるかもしれません。
 気遣うジュランに決意を語った介人は、翌日、約束の場所でステイシーと対峙(今回も応援団付き)。
 「ヤっちゃんと話す時間くれて、ありがとな。……俺も覚悟決めたから。ステイシーの覚悟、全力全開で、ちゃんと受け止めるって!」
 「そういうところが嫌いなんだ!」
 「俺も、負けるつもりはない! ――チェンジ全開!
 「暗黒チェンジ!」
 渡辺監督による、ここで私が呼ばれたという事は、これをやれって事ですよね感のある演出から両者の決闘が始まり、互角の攻防が続くと、シーザーは暗黒オーレンジャーを召喚し、ワイプに出てきたセッちゃんが、即座に「偽物!」を強調するのは、暗黒戦隊の雑な使い方に関して、思うところがあったりしたのでしょうか。
 「ダーク戦隊ギアは僕の武器だ! 全部利用する!」
 ブーイングに対し、戦隊ギアはおやつにはいる、と主張するシーザーだが、6体1の光景に黙っていられない応援団が参戦。
 「なに?!」
 「仲間ってのは最大の武器だからな!」
 「僕らは介人の武器ってことで!」
 「介人、安心するっス! 偽物は自分達が!」
 「ステイシーザーには、手を出しませんので!」
 屁理屈には屁理屈で返されて赤黄桃青が暗黒オーレンジャーを相手取り、アクションを交えつつ、しっかり各人に台詞を割り振り。
 続けて暗黒シンケンジャーを召喚するシーザーだが、案の定、空から拡声器でよほほいほーい!
 「介人の覚悟が決まったみたいだからな。遊びに来たぜ」
 満面の笑みでのダンシング変身がこれ以上なくはまり、海賊のパワー・ツーカイザー!
 最近すっかりサトシだったステイシーの、勝てば良かろうなのだぁ! な悪の精神性が改めて描写されると共に(まあステイシーの場合、本気でこれは個人スキルだから! と思っていそうな気配もあるのが不憫ですが……)、それが外野に付け入る理由を与え戦況をかえって不利に導く流れの中で、次々と助けを得る介人に対し、空っぽの人形しか持っていないステイシーの孤独さが示されるのが、シンプルにエグい。
 BSロボ2世の攻撃を受けた白はスーパー化から巨大化し、とうとうそのまま敵ロボと戦うとんでもない事になっていますが、変形合体システムを見るに、巨大化時点でスーパー戦隊謎のパワーにより“そういうもの”に変換されているといったところでしょうか。
 暗黒剣・唐竹割りがスーパー白を直撃し、ゼンカイオーで助太刀に入ろうとする黄を一度は止める赤だが、ダメージが残る黄が巨大化に失敗すると、スーパー白との合体をひらめキーング。
 武器です、体の半分は武器です、という事で巨大化したジュランが左半身となり……アース-45を侵略者の手から守る為に今、息子さんが、半分に折り畳まれる。
 かくして、ヒトと恐竜とキカイの力、スーパーゼンカイオージュランが誕生すると、地上の4人は19バーンの力で偽オーレンを撃破し、ほあちゃぁ!
 戦隊ギアの力=五色田解釈説を採ると、オーレンジャー(きもちピラミッド)は深く頷けるというか、バラノイア百人組み手が全てを象徴しても、さもありなん。
 続けて33バーンの力で暗黒シンケンジャーも撃破するが、イジルデがクダイテストを送り込んで介入してくると、これを理由にスーパー金を核にワニ宇宙船と合体したスーパーツーカイオーが参戦し、クダイテストをあっさり瞬殺。
 その間にSZジュランはBS2世に撃墜されてしまうが、合体強制解除された赤の代わりに金が手を貸して再びゼンカイジュウオーとなると、必殺技の打ち合いの果てにBSロボ2世は綺麗に消し飛び…………あ、あれ?
 …………いや私てっきり、
 大合体1:スーパーゼンカイオージュラン
 大合体2:スーパーツーカイオー
 大合体3:???
 で、トドメの隠し球があるとばかり思い込んでいたもので、完っ全に盛り上がりのタイミングに乗り遅れてしまいました(笑)
 サブタイトルを誤読したのはさておいても、スーパーゼンカイオーは、しかるべき流れではあるも苦肉の策といった感じがありますし(個別のキャラ回で初お披露目の方が盛り上がる合体というか)、見た目のハッタリはスーパーツーカイオーが一番ですし、そこから、ゼンカイジュウオーに戻っての決着というのは、純粋にジャンプ力が足りなかった印象はあり。
 「俺を使え!」という形で、あくまでも武器として手助けの形は貫いているものの、介人vsステイシーの決着にゾックスが加わるのもピースの嵌まり方として美しくはないですし……玩具展開との噛み合わせも含めて、「介人vsステイシー」と「介人&ゾックス」を両取りしようとしたものの、助走不足でどちらも飛距離が出なかった感。
 「あいつの力など、こんなものか」
 イジルデは杖を放り捨ててステイシーに見切りを付けるが、川岸に転がっていたステイシーは、なんとゲゲに回収されると、イジルデの元へと運ばれる。
 「なに? 吾輩にこいつを助けろと? しかしステイシーはもう用済み……どうしてわざわざ……ぬ?! ボッコワウス様の命令か?」
 不自然に喋らないゲゲ(声優さんの活動休止がこの辺りだったのでしょうか……)は嗤いながら飛び去っていき、仕方なくステイシー(赤い血を流しているのを強調)を修理する事にしたイジルデは、どういうわけか五色田夫妻の顔が浮かんだパネルを呼び出し……
 「どーちーらーにしーよーうか……な、っと!」
 ボタンを押すと、床下のカプセルに収納されていた介人母が姿を現す、大変不穏な映像で、次回――バカンス。
 ゲゲの謎の行動、イジルデの軽妙ゆえに邪悪な描写、と倒れてもなお怒濤の伏線の引き金となるサトシ! 凄いよサトシ! ラボに保管されている五色田夫妻は、生体パーツのストック? など、どす黒い想像が嫌でも思い浮かびますが……それはそれとして個人的には、闇の使者・ステイナイト! 待ってます!(全然隠れていないが勿論、「僕はステイシーではない」)と主張する