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「新人類は許せない」

 『アギト』配信、今週てっきり、劇場版+スペシャル+第43話&第44話だと思っていたら、劇場版+スペシャル&第43話で、もっと早く気付けば良かった……!

仮面ライダーアギト』感想・第43話

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第43話「君の名」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
 捨て身でアギトを援護したG3-Xの沈黙に、怒りのバーニングコロナパンチが水のエルに突き刺さると、ギルスは再び自らを強化して踵落としを叩き込み、更に木野アギトの紋章キックが叩き込まれる奇跡の連携から、アギトが太陽光発電で超力招来!
 『プロジェクトG4』での描写を見て、「バーニング=シャイニングの卵?」と今頃になって思い当たってみると、つまりバーニング=サナギマンで、シャイニング=イナズマンだったの?! というか、ミュータント(超能力者)繋がり?! と気付いてみるわけですが、『イナズマン』は第1話しか見ていないので非常に曖昧です。
 銀色アギトは劇場版で女王蟻を倒した横っ飛びの紋章キックを放ち、水のエルを撃破。
 オーライ、オーライ、と水のエルのコアを待ち構えていた謎の青年だが、破裂したコアにより至近距離からバケツで水をぶちまけられたような事態に陥ると、自主退院して沢木邸へ。
 「もうすぐ……この世のアギトは、消え失せます」
 …………大変、怒っていた。
 「人はけして、人を救う事は出来ません。一つの悲劇が終わっても、この世に別の悲劇がまた生じる。……人がアンノウンと呼ぶ、私の使者が滅んだとしても。この世が平和になる事はないのです。わかりますか? ――アギトの存在は、無意味なのです」
 前回、一連の戦いの背後に光と闇の壮大なサーガが存在する事が明らかになったのを受けて、謎の青年(黒)は、人に対する愛が重めの“可能性を否定するもの”“永遠の停滞という名の安寧をもたらすもの”の性質を明確にし、今作における“悪”(とは少々ニュアンスが違いますが)の位置づけが明瞭に。
 ダメージの大きかった氷川は病院に運び込まれ、今度こそ全ての記憶を取り戻した翔一は、木野にあかつき号の出来事を確認。
 「おまえは俺が過去に生きていると言ったが、その通りだ。だからこそ俺は、生きていられる。俺だけじゃない。あの一件以来、あかつき号のメンバーはみんな、以前の自分ではいられなくなった。みんなあの事件を忘れようとして……人生を変えた」
 “変身”がネガティブな形で持ち込まれ、偶然にも過去を失ったからこそ翔一は正気で居られ、アギトである事を受け入れて生きてこられたのではないか? と“死と再生”による“新生”をどう受け止めるべきなのか? の問題が浮上。
 それに直面し、振り回されている涼は再び陰に入って“社会”と距離を取っていく一方、あっけらかんと現状を肯定的に認めて美杉家へ帰還した翔一は、記憶を取り戻した事を報告。
 「俺の名前は沢木哲也」
 と沢木が名乗っていた偽名が翔一くんの本名だと判明し、沢木が実は「津上翔一」である事が明らかになるも美杉家の面々は「記憶を取り戻しても、翔一くんは翔一くんだ」と翔一くんもとい哲也を受け入れ、面倒くさいのでもう、翔一くんは翔一くんで。
 当の本人も、一家からの「翔一くん」攻勢に訂正が面倒くさくなったのか「まあどうでもいいけどさ、名前なんて」と言い出し、記憶喪失により新たに形成されたアイデンティティが別の名前と紐付けされてしまっているわけですが、主人公が「本当の名前を取り戻す」物語に全然ならないところが、作品として徹底しています(笑)
 一方で、それだと「津上翔一」に上書きされて真・沢木哲也が死んでしまうわけですが、恐らくは真・津上翔一が「沢木哲也」を名乗る事で“名前の交換”が成立しているのかな、と。
 その頃、フクロウアンノウンと戦う木野アギトの前に、謎の青年が出現。
 「怖がる事はありません。あなたの中の――アギトの力を貰うだけです」
 紋章の力を逆流され、炎にまかれた木野アギトは、謎の青年にアギトの力を奪われて倒れ、そこに駆け付けた涼は、謎の青年との再会を果たす。かつては、望まぬアギトの力に苦しんでいた涼を救った、と序盤の行動に辻褄を合わせた謎の青年の前で、涼はギルスへと変身。
 一方、真魚はリーディングの真実を確認する為に父親の写真を翔一に見せていたが、警察ではあかつき号事件と一連のアンノウン事件を関連付ける北條が、恐るべき結論に達していた。
 「風谷伸幸事件の犯人は……アギトですよ」
 「なんだって?!」
 果たして、翔一は真魚父殺害に関わっているのか?! アギトの力は、人間に本当に必要なのか?! 物語のコア部分の全貌が明らかになった後、それが序盤から示されていた劇中の事件と結びつく事で、登場人物たちの“身近に迫る”構成が極めて鮮やかで、つづく。