『仮面ライダードライブ』感想・第23-24話
◆第23話「悪戯な笑みを止めるのはだれか」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:香村純子)
見所は、マッハ・ダイレクト爆発のち観覧車から落下。
そして、剛のスマホの進ノ介の登録名は、「進兄さん」。
剛、重度のシスコンの一方で、進ノ介も大好きなのは、面白いところ。
「……理屈じゃないんだよ、メディック。友達を亡くすという事は……とても……とても悲しい事なんだ」
チェイスの退場をきっかけに、ハートの腹心としての立場を取り戻そうとブレンが眼鏡を光らせ、拾ったチェイスを廃病院に匿った霧子が救急シフトカーで治療を施す一方、街は連続予告爆破事件に揺れていた。
機動隊の爆弾処理班が登場する珍しい描写でエキストラも多めに投入して雰囲気を出し、演出・脚本ともに初参加でしたが、これまでとはやや違ったアプローチが面白みに。鈴村監督の演出は普段それほど好みではないのですが、今回はなかなか面白かったです。
……まあ、課長がギャグをやると課長ではなく片岡鶴太郎になってしまう(故に登場シーンの7割方は片岡鶴太郎である)、今作の凄く好きではない部分は他の監督と同様でしたが。
4度の現場でいずれも目撃された少年・茂木をしょっぴいた進ノ介は、タイミング良く送られてきた予告状が四箇所同時爆破だった事から、ロイミュードが、目にも止まらぬ超高速で爆発物を発射している事に気付くと、剛と共に発射ポイントへ先回り。
発射されたミサイルをドライブ:タイプフォーミュラで追いかけると、端から破壊していくトンデモアクションで、加速状態のドライブがミサイルを追いかけていく非常にマンガチックな演出が、一周回ってちょっと面白い感じに。
ミサイルを3つ破壊したところで腰に限界が来るドライブFだが、新開発のピットクルーカーにより復活すると、予告爆破を阻止に成功。一方、デッドヒートがタイヤバーストしたマッハは、爆弾ミュードの攻撃でドライバーにダメージを受けて変身解除に追い込まれ、駆け付けたドライブFが新装備による連続攻撃で爆弾ミュードを撃破するのであった。
前回のフォーミュラ砲に続き、給油・ジャッキ・実質ドリル、のフォーミュラ用サポート装備が追加され、高速のお披露目回……かと思いきや、爆弾ミュードのコアはブレンに回収され、警察を嘲るような態度を取り続ける茂木は釈放され、スッキリしない要素を残したまま、つづく。
……というかフォーミュラ砲、二回続けてコアを破壊できていない不良品なのでは(多分、突貫で作らされたから)。
◆第24話「なにがマッハを走らせるのか」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:香村純子)
「あなたは……私を助けてくれた人だから」
廃病院でチェイスが目を覚ます一方、ブレンは爆弾ミュードを復活させ、追加効果:毒を手に入れた爆弾ミュードに完敗するマッハ。
「俺だってもっと強くならなきゃいけないのに、強くなれる筈なのに!」
「その焦りが、君の成長を妨げているんだと思うがね」
「え?」
「ドライブシステムは装着者の心と密接な関係がある。進ノ介もパッションでタイプワイルドを、クールな心でタイプテクニックを、そして我々チームとの信頼で、タイプフォーミュラを使いこなしてきた」
描写皆無だったとまでは言いませんが……強化の理屈を後付けしてきた(笑)
なんというか、気持ちと文字情報の上ではそうだったけど上手く表現できていたとは言いがたいものを、そのまんま台詞にしたというか、それを物語の形に落とし込まないといけないと思うわけですが、大図鑑の説明文みたいに出してこられると(今回の脚本・演出には責は無いですが)、もう少しなんとかしてほしかったと思います。
「マッハもシステムは同じだ。君が装着者に選ばれたのは、理由がある。初心に戻れ。今、君に見えなくなっているものが見えたら、マッハはまだまだ成長できる」
詩島姉弟の過去の思い出が描かれ、姉からの信頼に気合を入れ直した剛は、三度、爆弾ミュードと激突。
「俺は……強くならなきゃなんて焦る必要はない……なぜなら……なぜなら俺は……既に強いからだ!!」
剛はLVが上がった!
剛は自己肯定力を手に入れた!!
「追跡! 撲滅! いずれもー、マッハー! 仮面ライダーーーー、マッハーー!!」
マッハはタイヤ大回転で体内の毒素を吹き飛ばし、ドライブFも参戦。
「あー! 進兄さんはゆっくりしててよ!」
「そう言うなって」
販促期間なんだよ!
ドライブはマッハをジャッキアップすると、フルスロットル大車輪とフォーミュラ砲の同時必殺攻撃で今度こそコアを破壊し、それを見ていたハート様は、デッドゾーンを乗り越えたマッハに嫉妬の炎をメラメラ燃やすのであった……。
ここ数話の剛の煩悶は、何もかもマッハだった筈が気がつくと戦力外通知一歩手前だった自身の力への不安から来る焦りであり、ベルトさんに諭され、霧子の励まして自分を取り戻し…………て、なんか進ノ介よりもむしろ、「チームとの信頼」を糧にした試練の突破が描かれているのはどういう事なのでしょうね?!
そこの積み上げが今作なりに出来ていたので、クライマックスのマッハの名乗りが劇的になるのは、香村さんらしさの出た部分でした。
なお前回今回とマッハがやたら弱かったのは、いきなりデッドヒートしているからではないかと思うのですが、ドライブFが誕生した途端にデッドヒートがマッハ専用のような扱いになり、マッハが何色だったのか忘れそうになる勢い(そしてますます、存在意義に疑問が募る事になるタイプ:デッドヒート)。
爆弾ミュードに狙われる恐怖体験から、生死の淵を乗り越えて課長と深い絆で結ばれた茂木少年は更生を誓い、スランプを乗り越えた剛が無闇かつ無駄に自信を取り戻す一方、病室からはチェイスが姿を消していた……霧子が飾っていた花を、持って(笑)
果たして、チェイスはどのルートに入ってしまうのか?! 次回――う、ううん……? 後の大森P作品だと、大抵ろくな事にならないパターンの予告ですが、さて。