『ウルトラマンコスモス』感想・第21-22話
◆第21話「テックブースター出動せよ(前編)」◆ (監督:根本実樹 脚本:梶研吾/林壮太郎 特技監督:佐川和夫)
今回からOP前に今回予告が入る事になり、映像にはテックブースター追加。
地球に近付く、恐竜パワー! 遊星ジュラン!に生命反応が観測され、調査に赴くSRC。
「仮に、知的生命体が生存していて、上手くコンタクトが取れれば、大きな収穫になるからな」
……なんか先日、異次元から来た知的生命体を、問答無用で射殺しようとしてませんでしたっけ。
調査船のパイロットを務めるのは、ムサシのかつての同期・ミツヤ(演じるのは、後に岸部露伴となる高橋一生さん)だったが、謎の石碑を発見したとチームアイズに報告中、「光が! 光が!」という言葉を残して通信が途絶してしまう。
直後、急激に軌道を変えたジュランが取ったのは、地球への衝突コース。
地球への到達予定時間は11分……じゃなかった、4日後と計算され、ミサイルによる爆破計画を立てる防衛軍だが、ミツヤを救い、可能ならジュランの軌道を変更する為に、キャップは完成したテックブースターを用いてジュランに向かう作戦を上申。
根拠として、ミツヤが伝えてきた古代の碑文を多少なりとも解読できたのかと思ったら、「気がする」なのが、大変チームアイズクオリティです!
かくしてアヤノをオペレーター要員に残してアイズは命を懸けた一大作戦に出撃し、前回との対比でいうと、目的が「怪獣保護」ではなく「人命救助」(&可能なら問題の解決)なので、“命を懸ける”事の説得力が上がっています。
また、一緒に行きたいと訴えるアヤノをキャップが諭した後、それぞれが声をかけるシーンでドイガキが「アヤノ隊員」と呼んだのは良く、前回のムサシへの対応といい、ここ最近、今作で一番好感度を稼いでいるのは、ドイガキですね……。
宇宙へ飛び立つテックブースターは合体メカ的で格好良かったのですが……
(これが……夢にまで見た宇宙か……)
なにぶん前回が、宇宙パイロットへの未練ゼロ! みたいな描写だった為にムサシ像がいまひとつ綺麗に繋がらず、高まるどうしてそうなった感。
……まあ、葛藤を掘り下げていたとしたらいたで、その次のエピソードで、宇宙来ちゃった、もあんまりなので……脚本家も連続している事を考えると意図的な前振りだったのでしょうが、構成としては、適度に間を空けた方がむしろ良かった印象です。
ワープ航法みたいなものを使ってジュランに到着したアイズは地表の探索を開始。墜落した調査船を発見するが、その前に巨大な怪獣が姿を現し、スフィンクスをベースに(上半身がしっかり女性形)、二足歩行×真っ赤×筋肉質×邪悪な鬼面、が強烈なインパクト。
今回も万能誘導弾が炸裂し、効果を考えたら、顔面に向けて連射するものではないような気がしてなりませんが、誘導弾、とは。
多彩な光線技を使う怪獣に攻撃されたテックブースターの危機にムサシはコスモスに変身するが、目くらましを受けて滅多打ちにされ、見た目のインパクトを裏切らない強力怪獣に苦戦する内に、ミサイル発射までのタイムリミットは32時間、でつづく。
◆第22話「テックブースター出動せよ(後編)」◆ (監督:根本実樹 脚本:梶研吾/林壮太郎 特技監督:佐川和夫)
コスモスの苦境を傍観していたブースターがようやく援護に動き、炸裂するワイヤーパンチ!
今週のビックリドッキリスーパーメカであるところのテックブースターのギミックがフォーカスされ、角が吹き飛ばされた怪獣が姿を消すと、コスモスも一時撤収。
随時、ミサイル発射時刻の迫る地球の様子を挟み、今回はタイムリミットサスペンスが成立しているのですが、ムサシの持っていた“宇宙への夢”の要素がほとんど消し飛んでいた第20話の後に宇宙要素がフォーカスされたり(林脚本→林脚本)、11分問題の後に再び地球衝突イベントが発生したり(梶脚本→梶脚本)、製作サイドで何が起こっていたのかは、ちょっと気になります(笑)
それはそれとして、以前のイフェメラ回では雑に憎まれ役にされていた防衛隊司令が、重い決断と責任を両肩に背負い、チームアイズの帰還を願う立場として描かれたのは、良かったところ……現地のメンバーは、それどころではないにしてもタイムリミットの事をすっかり忘れている様子で、救出ミッションを続行するか、撤収やむなしを選択するか、の葛藤がすっぽり抜け落ちているのは、実にチームアイズクオリティですが!(今回に関しては、スケール感の大きい宇宙冒険前後編なので、そこは一切“悩まない”のは、それはそれで良かった、とも思いますが)
先行して地上を調査するムサシは、なんだかヘルヘイムの森のようなところに辿り着き、洞穴の奥でフェムシンムとファーストコンタクト、じゃなかった、負傷していたミツヤを発見。カオスヘッダーの襲撃を受けつつも仲間たちと合流する一方、ミツヤが発見した碑文には、かつてジュランに存在した文明が経験した、光の巨人伝説が刻まれていた事が判明する。
古代にも、カオスヘッダーとコスモスの戦いがあった事が示唆されるも、それはさらっと流され、再び現れた怪獣に対して、ムサシはコスモスに変身。
ここからは前編に続いて広大なジュランの荒野を舞台にした派手なバトルとなり、スペース鶴拳・縮地の型によって掌底を叩き込むコスモスだが、今回も電撃ビームに苦戦。その電撃をブースターから放射されたエネルギーフィールドが防ぐと、コスモスはそれを利用してスペース鶴拳・バリアの型で反撃し、バリアを物理でぶん殴るのに用いる工夫は、佐川特技監督の好みでしょうか(以前にいただいたコメントによると、佐川さんはバリアであれこれするのが好きだそうで)。
癒やしの波動を放つコスモスにより、怪獣は美しい星の守護獣の姿を取り戻すが、より凶悪な姿になったカオスコピー怪獣が出現し、この辺り、それはそれとして前後編の締めだから派手に爆殺しないとスカッとしないよね! という都合が出てしまうのは、『コスモス』のなかなか悩ましいところです。
コロナコスモスは、尻尾を掴んでのド派手なジャイアントスイングから、急降下キックで角を粉砕。溜めを効かせたブチギレリーゼントバーストで木っ葉微塵にコピー怪獣を粉砕するが……ジュランの軌道は変わらず、チームアイズ木っ葉微塵の危機!
だがその時、ルナコスモスが守護獣に額から謎ビームを放つと守護獣と共に黄金の輝きを放ち、コスモスから給油を受けた守護獣が力を取り戻すとジュランの軌道が変更されて、大団円。
巨大メカだ! 宇宙だ! 前後編だ! といった大仕掛けが遊星荒野の死闘に上手く繋がり、広い画角を使って今回は思い切りやります、と力の入ったダイナミックな戦闘と、その背景にある時間と空間のスケール感は良かったです。
……それにしても、地球で仕事をサボりがちのカオスヘッダーさんは遊星で何してたんですか(別部署なのかもですけど)。
次回――見せろ、ウルトラ団子2001!