東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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シャワーシーンが多すぎる

仮面ライダーアギト』感想・第35-36話

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第35話「黒衣」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
 「そうか……アギトとは限りなく進化する力……それをあの方は恐れているのか」
 目覚めろ、日々の農作業が鍛えた筋肉!(全くの余談ですが、『ウルトラマンコスモス』主演の杉浦太陽さんは、もう何年も『NHK趣味の菜園』で畑を耕していていて、2001年ヒーロー農業繋がりを感じます)でカマキリアンノウンを一撃で消し炭にしたアギトは、両側に曲刀が付いた格好いい武器をベルトから取り出すと炎の斬撃を浴びせ、水のエルもばっさり撃破。
 「あーーぎーーとーーーーー!!」
 水のエルであった青い球体が体内に飛び込んできた謎の青年は空気を震わせる絶叫を上げ、それに気を取られたG3刑事、アギトからの事情聴取に、失敗。
 翔一は涼の部屋を訪れるが不在だった為にメモを残していき、激しく叩くが中からの反応はなく、ドアノブを回してみたら開いていた……というサスペンスなシチュエーションながら、その後ごくごくふつーにすれ違いで涼が部屋に戻ってくるので、葦原さん、普通に、鍵かけ忘れてただけか(笑)
 翔一の書き置きを読んでいたところに真魚ちゃんが訪れ……葦原さん、もしかして、部屋に鍵をかける習慣が無いのか。
 「自分の手で、俺は自分の運命を切り拓いていこうと思っている」
 お世話になりました的な翔一のメモを真魚に見せた涼は、変身後の後遺症が無くなった事に触れ、もろもろ前向きになって急に格好良くなってきたのですが、一度ちゃんと死んだからでしょうか。
 序盤の台詞とOP映像で示唆されている「事故」が、涼にとっての「死と再生の通過儀礼」=「覚醒の契機」だったと思われるのですが、それが不完全だったのでギルスになった、と考えると腑には落ちます。
 美杉家に戻った翔一は大掃除を敢行し(台詞にもあるように、これもまた新生であり)、氷川くんはアンノウンに「おまえは不器用だからな」と突きつけられた件をG3ユニットと情報共有。G3ユニット側でも、アンノウンの目的についての推測が固まっていく中、久方ぶりに北條さんとエンカウント。
 「いやぁ、こんな時に職場を離れて談笑を出来る余裕は、皮肉でなく羨ましい限りです」
 面白い発見をしたと語る北條は、あかつき号事件の詳細を改めて氷川から聞き取り、バイクで走る涼は、カラスアンノウン5号(白髪)が女性を襲撃する場面を目撃。女性を助け起こしているところにサングラスの男が現れて慣れた様子で脈を取ると、運び込んだ病院で手術ジャックを敢行し、鮮やかに難手術を成功させた男は何者なのか……?!
 とりあえず、サングラスかけたままフルフェイスのヘルメットを被ると大変格好悪いぞ……!
 「でもホント会ってみたいなぁ……俺たちの他に同じような人が居るなら。どんな人なのかなぁ」
 涼と「変身」繋がりで友誼を得た翔一くんは、まだ見ぬ他のアギト候補者に想いを馳せて「アギトの会」を妄想し、真島の元を訪れた涼は、あかつき号の出来事について改めて問いかける。
 「あかつき号には俺がどうやって生きるべきか、そのヒントが隠されているような気がするんだ」
 物語の大きな節目となった前回を経て、「なぜアギトなのか?」から「アギトとしてどう生きていくのか」に話の構造(登場人物の考え方)が転換。代行者的ヒーローであったアギトが、“ヒーロー”から切り離されて“そういう存在”として日々の営みの中に接続される事で、改めて「“ヒーロー”とは何か?」が問われていく事に。
 「……でも言えないんだよ。言っちゃいけない事になってるんだ。……木野さんがいいって言えば別だけど」
 「また木野か……」
 「だいたい葦原さん、もう凄い力持ってるんだからさ……なんも悩む必要ないんじゃないの?」
 「力を持てばいいというもんじゃない。目的が無ければ意味がない」
 それもあってか、ここで葦原と真島の間で非常にオーソドックスなやり取りが、ある種の原点回帰として交わされ、人を越えた“力”に憧れる青年として、真島の存在がピタッとはまってくる事に。
 「どうする? もしおまえが力を持ったら、何をするつもりだ」
 「そりゃあ、今まで俺を馬鹿にしてきた奴らを見返してさ」
 「それで、それからどうする?」
 「それから……なんでも好きな事を」
 「たとえば?」
 「……そりゃあ……」
 ティーンエイジャーらしい無軌道さはあるものの、なんとなく根はいい奴の雰囲気がある真島が言い淀んで考え込むと涼は柔らかく微笑み、一人で陰に入る傾向の強かった涼が、亜紀、翔一、そして真島と関わる事で他者との繋がりを再構築していき、特に弟分的存在として真島の存在が上手く機能してくるのは、お見事。
 「きっと木野さんが教えてくれるよ! あの人に聞けばなんだって」
 悩んだ末に盲目的に慕う木野の家を再び訪れる真島だが、今日もヒロイン属性を発揮してグロい魚系のアンノウンに襲われ、ついていきていた涼がギルスに変身。
 ……なんだか面倒見まで良くなってきた葦原さん、元来は体育会系の人なので、後輩が出来るとゲージが上がるタイプなのかもしれません(一方的命の恩人とはいえ、そういえば真魚ちゃんにもえらく優しい)。
 ところが魚類アンノウンの力は殴り合いでギルスを上回り、二人揃って地面に倒れたその時、窮地に現れたのは、あの手術ジャックの男。
 「き、木野さん!」
 「――変身」
 構えを取った男の腰にベルトが生じると、男の姿は新たなるアギトへと変貌し……超・格好いい!
 何度か書いていますが、アナザアギトとオルタナティブ・ゼロは、個人的に《平成ライダー》において双璧を為すレベルで好きなライダー。
 緑色で生物寄り、ギルスとアギトの中間ぐらいというか、言ってしまえば初代ライダーオマージュ感のあるデザインの木野アギトの足下に緑色の紋章が浮かび上がり……前回ラストから今回冒頭で活躍させたとはいえ、主役そっちのけ(大掃除中)のままな大胆な構成で、つづく。

◆第36話「強くなれる理由がある」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
 「木野さん! 凄いよ木野さん! とうとうアギトになったんだね!」
 「……まさか、あんたが木野だったとはな」
 処刑キックであっさりアンノウンを葬り去り、変身解除した木野がニヤッと笑ったところで、アレンジの違う主題歌(「24.7version」との事)で新規映像のOP。
 亜紀さん登場の頃より名前は出ていた謎の人物「木野さん」がいよいよ本格登場し、関係者との連絡が途絶していたのは、アギトへの変化に肉体が適応するまであれこれ大変だったから、と説明。
 「私を必要としている人々が居る。私は、その人達の為に戦いたい。それはドクターとしても……アギトとしても同じ事です」
 あかつき号事件に関しては重ねて「言ってはいけない約束になっている」と詳細はぼかされるも、涼と真島は木野の高潔な姿勢に感化され、あかつき号関係者におけるリーダー的存在であったカリスマぶりを補強。
 驚異のダブル手術を成功させた闇のスーパードクターKは、凍傷で失った右腕に死んだ弟・雅人の右腕を移植した事が明らかにされ、その記憶は、吹雪の山中で息絶えていく弟の姿を繰り返し呼び起こす……。
 「やってみるよ。俺は片っ端から奴らをぶっ潰す。俺の手で、人を助けるのも悪くない」
 「人を助ける……人を助けるだと」
 カラス5号はギルスに倒され、何やら暗い情念を漂わせる木野は、翔一の顔を見て驚愕を浮かべると、わざとらしく翔一と接触
 「違うよ翔一くん……あの人、優しい人なんかじゃない。あの人……嫌い」
 たまたまそこに居合わせた真魚は木野の記憶を読み取って珍しく嫌悪感を露わにし、北條からのヒントでアンノウン事件とあかつき号事件を関連づけて考え始めた氷川は、その木野のマンションを張り込んでいた。
 「アギトのような存在が増えたら、我々にとっても脅威になる。違いますか?」
 第33-34話で幾つもの謎に答が与えられ(個々の人物の回答との距離は別として)、翔一くんが一つの壁を越えた後、これまで伏せられていた「木野薫」が登場すると共に新たな中心点となって従来の人物たちと繋がっていくのは実に面白く、謎Aの回答Aが人物Bに与えられても、人物Cはそれを知らないので決定的に有効にならない、といった情報コントロールによる劇の錯綜は、さすが井上敏樹の十八番。
 弟・雅人を失った悪夢にうなされ続ける木野は、真島の体に異変が起こり始めたのを知ると、突如として真島を攻撃。
 「アギトはこの世で俺だけでいい。おまえの力では、雅人を助ける事はできない!」
  なんとか逃げ出した真島は涼に助けを求め、圧倒的ヒロイン体質の前に、真魚ちゃんが今、危ない。
 「おまえも邪魔者の一人だ。俺以外のアギトは存在する必要は無い」
 「あんた……なにを言ってんだ?」
 「俺はもっともっと強くならなければならない。雅人を救う為に。おまえを倒し、最強のアギトとなる」
 歪んだ情念を爆発させ、いい感じに狂気を出してきた木野がバイクに乗りながら変身すると、マフラーをなびかせて涼&真島を追跡し、新フォーム誕生直後に主役ライダーが2話続けてクライマックスから除外されるという、良くも悪くも驚愕の構成で、つづく。
 まあ、新ライダーは活躍していますし、この辺りは前半に割を食っていた涼/ギルスのターンといえばターンなのですが、現行《平成ライダー》的なセオリーが全く無い時期だな、と改めて。