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それはフォージャスティスなのか

仮面ライダードライブ』感想・第17-18話

◆第17話「デッドヒートを制するのはだれか」◆ (監督:山口恭平 脚本:三条陸
 デッドヒートの作用で暴走するドライブはマッハが ベルトにしがみつくヒロインムーヴ STOPで殴りつけてなんとか緊急停車し、今作単位で見ればWライダーの仲良し度を活かした軽いドタバタ劇の一幕なのですが、大森P繋がりとしては後の『ビルド』や『ゼロワン』における惨事の予兆が見えて、思わず真顔。
 「……なにかいい事でもあったのか」
 「わかるか」
 紅白模様の波紋疾走-オーバードライブ-の直撃を受け、笑顔を浮かべて地面に大の字で転がっていたハートは、チェイスに拾われるとメディックの治療を受け、それを物陰から出歯亀するブレン。
 (あの手この手でハートに取り入ってぇー!! この私ほど、ハートの役に立てるものはいないのにぃーっ! きぃーーーっ!!)
 ハートを膝枕するメディックの姿に目を剥くブレンは本当にハンカチを噛み、う、ううん……石田→諸田→山口、と続くと、悪ノリが悪ノリを生んでブレーキが見失われていく感があり、適度に抑制の効いた演出家が入ってバランスを取って欲しいなとは思うところです。
 『ドライブ』全体としては、前作『鎧武』との差別化もあってか、Lightな――「明るい」という以上に「軽い」――空気を意図しているのでしょうが、一方で刑事ドラマとして犯罪行為などに関するシリアスさは失わせたくない結果、犯罪行為と関係ないシーンにおける誇張や過剰が目立ち、話の流れにおける場の雰囲気の凹凸が極端過ぎるのが、あまり好みではない演出ライン。
 雑に数値化して例えると、事件の真相が60ポイントぐらいの重さなので、10P分の軽いくすぐりを7回ほどまぶそうではなく、冒頭の日常シーンで100Pおふざけを入れておけば、合計で40ポイント分浮くよね! みたいな手法になっている印象といいましょうか。
 婚活ミュードの洗脳を受けたと思われるりんなが失踪し、その追跡を剛に任せた進ノ介たちは、婚活ミュードの“もう一つの人間体”である長髪の男の情報を追い、男がりんなの元恋人だった応用物理学者・笹本であったと突き止める。
 「……繋がった。脳細胞が…………トップギアだぜ」
 洗脳されていたわけではなく、大学卒業後に行方不明となった笹本を案じていたりんなだったが、発見した笹本は、自身の研究を完成させる為に、積極的にロイミュードに協力していた事が判明。
 「それは科学という名の誘惑に負けた、愚かなる行為だ」
 「あんたは化け物と変わらないよ、笹本さん」
 科学者の業を知るベルトさんの呟きから、“化け物”とは何か? という進ノ介の言葉に繋げたのは印象的になり、笹本を確保した進ノ介は、婚活ミュードと改めて激突。
 洗脳被害者をけしかけられて行動不能に陥るも、そこにサイドカーで駆け付けたテンション高い老人――ハーレー博士(演:大月ウルフ!)が調整完了したデッドヒートをマッハに渡し、上半身に赤い装甲を身に纏う形で、デッドヒートマッハが誕生。
 「さ、後は知らないぞぉ!」
 3対1をものともせずにロイミュードを蹴散らすデッドマッハだが、結局暴走すると最後はG霧子キックに吹っ飛ばされて緊急停車し、科学という名の誘惑に正義の免罪符を与えた愚かな行為が目の前で展開しておりますが、暴走リスクのあるフォームに関しては、そこにきっちりと物語を乗せてくれないと、使用する事そのものへの説得力が不足しがちなので、個人的には割と鬼門です。
 この場面では、本来の障害であった「一般人を傷つけないように切り抜ける」と「マッハのデッドヒート化」が全く関係しておらず、それを「ハーレー博士の登場」で切断する事によって眩惑しており、デッドマッハを出す為だけの展開になってしまったのは、残念。
 逮捕された笹本は、パトカーに連行される前になって、りんなに「君が居ないと駄目なんだ」と告げるPerfectなダメ男ムーヴを決めると、りんなにバッサリ訣別を言い渡され、つづく。

◆第18話「なぜ追田警部補はそいつを追ったのか」◆ (監督:石田秀範 脚本:長谷川圭一
 「復讐の時間だ。――我が名はジャッジ。悪人ども、正義の鉄槌を下す!」
 左右非対称のコウモリ顔で、アメコミ系自警団ヒーローを思わせる謎のロイミュード振り込め詐欺集団を襲撃し、同様の傷害事件が特状課の捜査の網に引っかかる。
 「でも、妙だよな……悪人ばかり襲うなんて」
 「つまり、正義のロイミュード?」
 「居るのかな? ホントに」
 vsロイミュードの最前線に居る進ノ介と霧子が、“人間の倫理観における悪”を襲っているから、イコール“正義”と捉えるのはあまりにも安易で、「人工生命体との生存闘争」という厄介なテーマを扱っている割には、端々で脇が甘すぎるのは、不安を覚えるところ。
 「居るわけないだろ。奴はゲームを楽しんでるだけさ。自己満足のヒーローゲーム」
 一方で、ロイミュードに対して憎悪に近い感情を向ける剛は復讐代行闇サイトの情報を提供するが、それに険しい反応を見せた追田は、「この事件は俺が解決する」と宣言すると、退職した先輩刑事・橘の元を訪れる。
 実は追田は、5年前にもあった復讐サイト連続傷害事件を橘と共に捜査していたが、捜査途中で自白を遺して一人の青年が自殺。だがそれは真犯人による偽装工作であったに違いないと、身代わりとして殺された青年の無念を晴らすためにも解決を誓う因縁の事件なのであった。
 「進ノ介、このヤマだけは、俺が絶対に解決する。もし出来なきゃ……刑事を辞める!」
 これが1時間の刑事ドラマだったら、ひとまずジャッジが同一犯なのか模倣犯なのかを固めていくところですが、正味20分でバトルもありのヒーローアクションでは丁寧に段取りをこなしている余裕がなく、過去と現在にまたがり複数の犯人候補が登場する事件を詰め込むのは、容量オーバーだった感あり。
 マッハはマッハで出番を作らないといけないので、剛サイドにも適宜カメラを向ける事でますます尺が圧迫されてテンポもあまり良くなく、今回限りでは剛サイドの要素が特に活きないのも消化不良。
 電撃ワイヤーと電撃竹刀を使いこなすジャッジの前にマッハが完全敗北し、対電撃ぴこぴこ3号を身につけて突撃した追田も、竹刀による純粋な打撃で気絶。
 「でも、こいつの正義は本物じゃない!」
 「ならば、貴様の正義は、本物と言えるのか?!」
 「ああ。少なくとも、そんな卑劣な奴は、俺は絶対に許さない!」
 苦戦するドライブはデッドヒートすると、パワーで正義を見せつけるが、そこにチェイサーの邪魔が入って、オーバーヒートゲージが急上昇。
 竹刀の太刀筋から真実に気付いた追田の追求を受け、ジャッジは橘元刑事の正体を明かすと姿を消し、両目を光らせたチェイサーは、マッハバイクのコントロールを奪うと殺人バギーを操縦してダブルライダーを銃撃する!
 「俺の……俺のバイク返しやがれーーー!!」
 「さらばだ、仮面ライダー!」
 剛、暁に死す?! で、つづく。
 前後編の前編としても内容を欲張りすぎてスッキリしない部分が多く、後編で鮮やかにまとまってくれると良いですが……。