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地球戦隊の光は強い

地球戦隊ファイブマン』感想・第21-22話

◆第21話「跳び箱3人組」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 「きょうだいせんせい」が、都市伝説みたいになってる……!
 3人組の小学生(通称:コニシキ・ノッポ・メガネ)から「跳び箱を教えて下さい」と悩み相談を受け、流しの体育教師・健が連続回転でズバッと参上していた頃、バルガイヤー上空には、ちょっと威圧感控え目なメドー様が浮かんでいた。
 「ファイブマンは二台目のロボットを手に入れ、更にパワーアップしてしまった。ガロア艦長、今後一体どう戦うのだ」
 今回に関しては半分ぐらい陛下の責任なのでお仕置き光線は無く、物足りなさを押し隠しながらも、ガロア艦長はメンバーの個別攻略を狙い策は既に動いていると宣言。
 「跳び箱ってのは、思い切りなんだよ。勇気なんだ」
 一方、校庭では健の跳び箱指導が続いていたが成果はかんばしくなく、3人組が跳び箱を前に気弱すぎると感じる健。
 (この子たちは精神から鍛え直さないといけないなぁ……)
 星川兄妹が言うと、凄く、不穏です(笑)
 ……よし! フ○ッシュ星の過酷な環境で三日ぐらいサバイバル訓練をしてみよう!と健が笑顔で言い出す数秒前、地を這うワカメが健に絡みつき、姿を現す銀河闘士アメーバルギン。
 これを跳び箱超スピンキックを炸裂させて倒した健は、3人組を連れて湖畔で夏休み跳び箱合宿を開始するが、そこに再びワカメが出現し、アメーバルギンが復活する。
 「俺は銀河の原始生命体。どんなに切られても生き返る」
 凄いのか凄くないのか微妙な自己紹介に続いて襲い来る不死身のアメーバに対し、普通の人間でも「やれば出来る」事を子供たちに伝えたい健は変身を躊躇い、それはまあいいのですが、兄妹4人はモニター越しにのんびり心境を解説していていいのか(笑)
 そして、普通の人間に出来る事として、アメーバルギンを軽トラで轢こうとする健。
 そう、跳び箱に必要なのは、躊躇無くアクセルを踏む思い切りと勇気!
 だが、軽トラの一撃は銀河忍法アメーバ空蝉の術で回避されてしまい、運転席に乗り込んできたアメーバとの取っ組み合いの末、トラックは勢いをつけて崖から転落。健は辛うじて運転席からの脱出に成功し、アメーバルギンは地面に激突したトラックと共に炎の藻屑と消える……。
 「すげぇなぁ……健先生って」
 「先生の言う通りだ。人間やればできるというのは」
 ……うん、普通の人間は、この状況では生き残れないので感心しちゃダメだけどな!
 健は駆け付けた学たち4人に助け起こされるが、キャンプに戻ろうと5人が立ち去った後で復活したアメーバは、またも健を襲撃。学たちの助けを断った健は生身の戦いにこだわり続け、ここでピンと来たのですが、どうやら今回、『光戦隊マスクマン』第20話「罠!沈む巨大ロボ」(監督:長石多可男 脚本:曽田博久)のプロット――ピンクマスク/モモコが開く拳法教室の教え子が邪道な力に溺れ、その目を覚まさせる為に生身で戦い続ける――を再利用したのかと思われます。


 青空拳法教室を開くモモコは、気合いの叫びとともに、少なくとも10個は積み重なったレンガを、コンクリートブロックを、次々と粉砕していき……拳法、教室……?
 「みんなだって出来るわよ。人間に不可能は無いわ。努力すれば誰だって出来るの」
 「ほんとに? ほんとに努力すればできるの?!」
 「己を信じ、決してへこたれず、最後までやり抜けばね」
 いい事言っている風ですが、光戦隊における「努力」とは、幼少期からの血で血を洗う修行の日々・オーラボール千本ノック・絨毯爆撃浴、などなどを示すので、みんな逃げて!
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 「モモコ! なぜ変身しないの?!」
 「……子供達との約束を守る為よ! 己を信じ……生身で戦い……決してへこたれず……最後までやり抜く。そう子供達にも教えた…………許さん!!」

 このエピソードは、新ロボ登場編の前振りとしての充実したアクションに、『マスクマン』特有の闇の深さと激しい死闘が噛み合ってなかなか面白く、


 「勝利の為の最適解」=「変身」なのですが、それよりも「子供達を正道に戻す事」が優先事項であると描かれ、その為には「変身」を否定してみせる、というのがかなり大胆な作劇。

 という「変身しない為の理由付け」にも相応の説得力を持たせて組み立てが良かったのですが、今回は「教師(的存在)として子供達と真っ直ぐに向き合う」コアを維持したまま「跳び箱という身近な問題の解決」にダウンサイジングした変換は上手かった一方、どうしても説得力が弱くなってしまったのは感じます。
 アメーバルギンの再生現場を目撃していた3人組は、怪物の弱点を健に伝えようとするがドルドラ一向に阻まれ、その悲鳴を聞きつけた赤桃黒黄が救援に。
 3人組が勇気を持って戦闘員の包囲を突破する姿で跳び箱要素を回収し、子供達から不死身の秘密が胸部の核にあると知った健は、なんだかドルゲ怪人みたいな笑い声をあげるアメーバの胸に渾身のパンチを叩き込み……本当に、生身&素手で倒した(笑)
 のもどこか『マスクマン』ぽいですが、作戦失敗を悟ったドルドラによりゴルリン17号が召喚され(誰でも巨大化ギミックが召喚できる一方、今回のようにやや強引にでも誰かを現場に送り込まないといけないのが、システム上の問題点といえましょうか)、第18話のブタ回が16号だったので、第19話でスターファイブを運んでいったものはカウントされていないか同一個体である模様。
 対してファイブマンはスターキャリアを召喚し、スペースシャトルの打ち上げをイメージしたと思われる、マグマベースからの発進シーンは、かなりの迫力。
 キャリアは「変形! スターラウンド!」の掛け声でロボ形態となり、完成・スターファイブ
 胸の模様がカセットテープに見えるスターファイブ、こんなトランスフォーマーが居たような……と思って調べたら、そちら(サウンドウェーブ)はテープレコーダー要素がもっと明確かつ巨大でしたが、さして『トランスフォーマー』見ていたわけではないのに記憶に残っている程度には、子供心に衝撃的なデザインでした(胸部からカセットテープが飛び出したと思ったら動物メカに変形するとか、今考えても熱い)。
 今のところカセット要素は特にないスターファイブ、今回が実質的なデビュー戦となりましたが、アクションがファイブロボとあまり変わり映えせず、うーん……取り出した二丁拳銃もターボロボなどと被り気味ですし、右手の銃で拘束してから左手の銃を撃ち込むと拍子抜けするほどあっさりアメーバが吹っ飛び、ビックリする程パッとしない初陣。
 『フラッシュマン』以降、それなりに1号ロボと差別化されていた2号ロボですが、兄弟ロボの設定上、見かけが似たり寄ったりなのも手伝って個性が見えず、早急な改善が欲しいところです。
 「本当に人間て、やれば出来るんですね」
 「これからはなんでも勇気を出して、やるぞぉ!」
 3人組はそれぞれ跳び箱を攻略して、人間として新たなステージへ入り……うん、まあ、死線をくぐり抜けた上で、ゴッドハンドを目の当たりにしてしまったので、これはもう、“目覚め”ても、仕方ないですね……せめて彼らが将来、人の道を踏み外さない事を祈りたいと思います。
 ナレーション「やれば出来る。子供達は、人生の跳び箱を。ファイブマンは、戦いの跳び箱を、飛び越えていくだろう」
 最後は伝家の宝刀ナレーションさんが綺麗にまとめ、プロットは過去作の焼き直し、題材はオーソドックスながら、出来上がりから随所に狂気が滲み出るのが、曽田脚本らしいエピソードでした(笑)
 次回――そ、ソーラパワー?!

◆第22話「光る美青年」◆ (監督:長石多可男 脚本:渡辺麻実)
 「花の蜜はあたしのエネルギー、木々の緑はあたしのパワー」
 植物からエネルギーを吸い取る為、星を不毛の世界に変えていくゾーンとは縄張り争いをしている、ちょっと気持ち悪い顔のハチ型女性怪人クイーンキラーがファイブマンを襲撃し、桃とサーベル対決。
 だが桃は敗北して川落ちし、焦る残り4人もレイピアにまとめて切り裂かれ、次々と川落ち。
 バルガイヤーに乗り込んだ放浪剣士クイーンキラーが、ファイブマンに勝ったからにはこの星は貰うと宣言していた頃、Vチェンジャー(首飾りタイプの変身アイテム兼通信機)を失った数美は結城光合成研究所に拾われ、ソーラパワーの研究により(意識的に「ソーラー」ではなく「ソーラ」と言っているように聞き取れるのですが、私の聞き取りなので、もしかしたらそんな事はないかも)、地球を緑で一杯にしたいと夢見る青年科学者・結城光司(演:海津亮介)と出会っていた。
 自らの夢を滔々と語った結城は、そういえば君怪我してたでしょ、とタイトミニの数美姉さんを問答無用のお姫様抱っこでベッドに運ぼうとし、それは、悪意も下心も無くても、平手打ちされて仕方ありません(笑)
 これが藤井脚本だったら、結城は宇宙人で悲恋物の香りが出会った瞬間から濃厚に漂ってくるところですが、研究バカの結城と、そんな結城を微笑ましく思う数美の姿を示してほのぼの風味で進み、数美が研究所を離れようとしたタイミングで、ソーラ結晶が完成。
 (お父さんと、同じだわ)
 東映特撮名物:忘れた頃の環境破壊ネタが盛り込まれますが、星川兄妹の目指すところでもあるのでテーマ的にはスムーズに接続され、植物に向ける結城の横顔に、数美は父を思い出す。
 だが、植物を活性化させる力を持ったソーラ結晶に目を付けたクイーンキラーが、律儀に扉を開けて研究所へ侵入。
 「自然を食いつぶすような奴に、渡してたまるか!」
 数美は結城を逃がす為にハチ女へと生身で突撃し、
 「どうしても死にたいらしいな」
 「たとえ死んでも、地球の自然は守ってみせるわ!」
 ロマンスの芽生えから一転、徒手空拳で生身突撃になるのが大変ファイブマンですが、数美を探し、戦闘の音を聞きつけた学たちの前には、弱体化した相手の前で自信満々になる事には定評のある銀河剣士ビリオンが立ちはだかる。
 戦闘員を蹴散らしながら学はレミを先行させようとし、吹き替え無しでさらっとジャンプ二段蹴りからの着地すかさず飛び回し蹴りとか決めてるんですがドレミの戦士。
 ザザに食い止められてしまうレミだが、3代前の主人公には負けていられないと、学兄貴がお姫様キャッチを決めて4人は変身。クイーンの猛攻に追い詰めらていた数美と合流すると5人揃うファイブマンだが、強敵クイーンの剣技の前に変身解除まで追い詰められ、更に、生身弾着。
 血まみれで地面に倒れ、ファイブマンが壊滅寸前に陥ったその時、飛び出した結城の手にあったソーラ結晶が眩い太陽光を浴びると5人の傷を癒やし、ファイブマン復活。HP・MPが全快した5人は、主題歌から久々のブラザーコンビネーションを決め、桃のサーベルがクイーンの胸を貫く!
 「フフフ、戦いの好きなおまえに、せめてもの手向けだ! ゴルリン18号!」
 弱った相手には強気に出る事で定評のあるビリオンが、台詞に合わせて手にした野花を投げ捨てる非の打ち所のない残念アクションからゴルリンを召喚し、強制融合により、巨大クイーンが誕生。
 今回はファイブロボのターンとなり、桃がセンターで鉄拳を浴びせると早々に超次元ソードから連続の斬撃を浴びせ、「正義の剣を、受けてみなさい!」で成敗。
 結城は、砂漠化の進む土地へ行ってソーラ結晶の生成に再挑戦する、と研究所を引き払って姿を消し、ロマンス要素の切断の為にゲストキャラが島流しにあう恒例のパターンですが、残された鉢植えを抱える数美の肩を叩き、
 「また会えるさ、必ず」
 と、1ミリも茶化さない学兄貴の姿に感涙。
 格好いいぜ兄貴……!
 予告のノリと海津亮介さんのゲスト出演で、パロディめいたエピソードになるのかと警戒していたらそんな事はなく、数美姉さんのロマンスエピソードなのも要素として良かったですが(これがオマージュとはいえますが)、幾ら3代前のレッド役がゲスト出演とはいえ、サブタイトルは盛りすぎだったと思います!