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タイプ兄貴分

仮面ライダードライブ』感想・第13話

◆第13話「私の弟にはなぜブレーキがないのか」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸
 アメリカに居るベルトさんの恩師ハスラーじゃなかったハーレー博士の声を大月ウルフさんが演じ、通信のやり取りで「はっ!」を入れてくれる大サービス(笑)
 マッハは開発中だったドライブの次世代システムであり、知らない間に弟が仮面ライダーの適格者扱いされていた事に激怒した霧子はベルトさんを物理で揺さぶるが、当の剛はどこ吹く風。
 「これからは、進兄さん、て呼ぶ事にしよう」
 無駄に高い身体能力を見せつけながら、進ノ介と霧子の距離感をからかい、途端に意識して、素直になれない幼なじみ以上カップル未満の中学生みたいな反応を見せる二人は……べったべただった。
 「確かに俺は、トラブルメイカーかもしれないけど、姉ちゃんの事は、心から愛してる。……世界でたった二人だけの姉弟だもんな」
 「剛……」
 「だから、信じてほしい。俺が、俺のやり方で戦う事を」
 霧子と剛は二人の両親のものと思われる墓碑に手を合わせ、剛の霧子への想いをストレートに描く事で、そんなに悪い奴では無さそうだ、と思わせると共に、霧子が蓄積してきた好感度を、剛の好感度の土台に用いるのは、鮮やかな手並み。
 「……いいか戸田川! 相手がどんなに酷い人間でも、殺そうとしちまったらお前も同類だ。自分を堕とすような真似、二度とするなよ」
 取り調べ室では追田刑事が格好いいところを見せ、紋切り型の刑事ドラマの文脈挿入なのですが、特状課の中では割と好きなキャラ。
 アメリカから来たガンマンミュード兄弟は、前回、戸田川が使った重加速バンドを一般人に売りさばいており、それを用いたどんより強盗団が銀行を襲撃……しようとする前に、一足先に立ちはだかるマッハ。
 自ら重加速現象を発生させて強盗団を取り押さえ、バンドを回収したマッハに対して掴みかかったドライブが殴り合いに突入するのはちょっと強引で、「市民の不安を誘うどんよりを自発的に使うべきではない」と理由をつけてはいるものの、定型文としてひと揉めさせておこう、みたいな感じに。
 進ノ介、熱血漢の部分はあるにしても、顔見知りにいきなり肉弾戦を仕掛けるのはらしからぬ印象ですし……元捜査一課の所属にしては人間観がピュアとか、残念クール気取りの割に霧子への対応が中学生男子とか、進ノ介のキャラクターそのものが未だにふわっとしている所はあり。
 ふわっと、といえば今作、1クール経過している割には世界観そのものもふわっとしているのですが、『ビルド』『ゼロワン』といった後の大森P作品が、立ち上がりに“こことは違う近未来社会”を打ち出したかと思いきや、あちこちの穴が塞がるどころかドンドン広がって大洪水になっていた事を考えると、このぐらいふわっとしていた方が、むしろ引っかかりが少ない面はあるのかもしれません(前回前半のように、そのふわっとした部分がそのまま火種になる場合もありますが)。
 「俺たち二人とも、敵の力を使って悪を滅ぼす、怪物同士じゃないか」
 「え?」
 剛の口から豪速球で改造人間テーゼが投げ込まれ、「仮面ライダー」という素材をどう調理するかに対する積極的な姿勢は、どう転がっていくのか楽しみな部分です(スタッフ的にも『W』への意識はありそうですが)。
 お説教の為に特状課へ連れて行かれた剛だが、マッハの自撮り写真で課長らの興味を引くと、組織に所属していないフリーの立場を売り込む巧妙な立ち回りを見せ、着々と、憎みきれない弟分ポジションを確保。
 そして進ノ介はじわじわと、やんちゃ坊主を見守るオトナの男ロールへの外堀を埋められつつあった。
 ……明らかに霧子との関係など事前に情報を調べた上で、進ノ介攻略方法を準備していたと思われる剛、恐ろしい子
 その剛は客を装って重加速バンドを売りさばくロイミュードのアジトへと突入し、剛の思惑をトレースした進ノ介の援護を受けると、マッハに変身。
 「俺、超短期決戦タイプなんでね」
 はキャラ特性と合わせて格好いい台詞で2体のロイミュードと渡り合い、ベルトのバイクを交換すると肩のタイヤのマークが変わり、特殊弾を発射。
 トドメは砲弾の雨を降らしてガンマン兄弟を粉砕し、マッハはドライブよりも戦闘力が高い代わりに開発途上で剛が持ち出してきてしまった為に体の負担が大きい、と強みと弱みのハッキリしたピーキーな性能設定に。
 ヘルメットを上げての廃熱は(私が好きなこともあって)『ウインスペクター』のファイヤーを思い出してはいたのですが、常人には5分以上耐えられないとか装着して3分経つと木っ葉微塵に吹き飛ぶとか、あれこれ思い出すリスキーな変身ヒーローぶりは意図的な昭和ヒーロー的要素でありましょうか(ファイヤーは昭和ではないですけれども)。
 「おお、もう勝ってしまったのか。さすがはネクストシステムだな」
 ベルトさんが感心の声を出す中、たった1クールで型落ち品になってしまったドライブはチェイサーと一進一退の攻防を続けていたが、メディックが出てきて一緒に瞬間退場。
 「もっともっと……急がなきゃ」
 路上にひっくり返った剛はそのまま高鼾をかきだしてしまうが、戦士としての訓練もドライバーの完全な完成も中途で日本へやってきてしまった剛の姿に、進ノ介はただの暴走野郎ではない何かを感じ取るのであった……。
 ぴろりろーん!
 進ノ介は、クラス:《やんちゃ坊主を見守るオトナの男(な俺格好良くね?)》に目覚めた! 
 「これからは、目を離さねぇ。俺は、おまえのブレーキだ」
 「……俺に追いつけるかな、しんに・い・さ・ん♪」
 残念回路が行きすぎた結果、相棒の弟にほぼ告白を始めてしまった進ノ介に、え?! そういう事なの?! と霧子さんが目を丸くして、つ・づ・く。