東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

彼らのサークルライフに亀裂が走るのか

仮面ライダードライブ』感想・第11-12話

◆第11話「暗黒の聖夜を防ぐのはだれか」◆ (監督:金田治 脚本:三条陸
 改めて、この状態からベルトさんだけ脱出するのは無理があるのでは……という決死の玉砕戦法でハートと心中しようとするドライブだが、チェイサーが乱入。
 「デッドゾーンに入ったら、俺が止める。おまえとの……約束だ」
 前回のやり取りは、ハートのオーバーヒート体質の制止役として、という事で、諸刃の剣の強さが強キャラとしてのハートの愛嬌になり、二人が目にしたのは、砕け散ったベルトとドライブのボディ……?
 街には、ボルトがモデルとした小説家の作品通り、都市大停電――“暗黒のイヴ”が迫り、辛くも一命を取り留めた進ノ介(3話ぶり3回目)は、秘密基地で目を覚ます。
 「……おまえ今笑ったろ?」
 「笑って何が悪いんですか」
 涙をこぼす霧子に敢えていつも通りに接する進ノ介は格好良く、霧子さんの返しもGood。
 一方、ベルトさんはディスプレイに、ぷんすかマークを浮かべていた。
 「二度とあんな事をするな! 君の代わりなど他に居ない!」
 「……すまねぇ」
 「だが、君のお陰で思い出したよ進ノ介。なぜ私がトライドロンを開発したのか。プロトドライブを喪い、私自身も戦士を守れる強さを持ちたい、と願ったからだ」
 「そうか。こいつはあんた自身の強い体、ってわけだ」
 「君が地獄に落ちるというなら、私も次は付き合おう。この、トライドロンで」
 ここのやり取りも格好良く、玉砕戦法の決断を劇的にするには、9-10話で著しく不足していた進ノ介×ベルト成分が補われたのは大変良かったですが、恐らく自身の罪悪感からの「地獄に落ちる」に、ナチュラルに進ノ介を巻き込んでいるのが、大変、ベルトさんです。
 馬鹿は死ななきゃ治らないが、マッドサイエンティストは死んでも治らない!
 爆死寸前から進ノ介とベルトを救ったのは新たな3台のシフトカーであり、霧子から誕生日プレゼントとしてクリスマスディナーの誘いを受けた進ノ介は、“暗黒のイヴ”を阻止するべく、特状課の仲間たちと共に走り出す。
 「考えるのはやめたぜ。俺に出来るのは、夜まで走り続ける事だけだ!」
 その頃、大きなダメージを負ったハートとチェイスは、色とりどりの布が敷かれた水族館の中という、長石多可男×田崎竜太みたいな空間で傷を癒やしており、そこをブレンが訪れる。
 「まったく、無茶で強引で乱暴な人だ。自業自得ですよ」
 「……おまえ、俺が好きなんだろ、ブレン」
 「後は私に任せて下さい」
 「……俺も行く」
 「……あなたの傷もハートといい勝負です。寝ていなさい」
 「いや……何故かじっとしていられない」
 俺のライダー死神センサーが告げている……クリスマスディナー断固阻止すべし! と。
 進ノ介は元犯罪心理学者と面会し、映像の入れ方からは劇場版との接続要素と思われますが、その口からボルトの目的地を知った進ノ介と霧子の前には、チェイサーとブレンが立ちはだかる。ドライブが行く手を阻まれている内に、ボルトは電力吸収装置をセットしてしまい……亡霊ボルト人間体の衣装が仮面ライダースカルめいているのは、まさしく亡霊だから? というお遊び&オマージュでありましょうか。
 「これで未完の大犯罪が、完結する」
 駐車場の自動車を取り込む事で巨大な蜘蛛のモンスターへと変身したボルトの攻撃で霧子が危機に陥る中、大停電が起きると多くの人々が死亡する、というドライブの言葉に激しく動揺したチェイサーは武器を下ろし、ドライブはその間にボルトの元へ。
 「人の……命……」
 「……何をしてるか貴様ーーー!!」
 呆然と佇むチェイサーはブレンからお仕置きビームを受け……ちなみにブレンはずっとシフトカーに苦戦していました!!
 巨大蜘蛛に襲われる霧子の窮地を救ったのはドライブ……ではなく、暗闇の中に現れた謎のシルエット、で新たなライダーの登場が匂わされた後に改めてドライブが駆け付け(微妙に格好つかない……(笑))トライドロンTで巨大蜘蛛を粉砕。
 その間に霧子が射撃で電力吸収装置の破壊に成功し、残った亡霊ボルトはトライドロンとドライブのコンビ攻撃でデリートし、皆の活躍で綺麗に決着。
 「すまん……ブレン……俺は……何故」
 自らの行動に困惑するチェイスは、膝をつくと、ナンバー000の姿へと戻り、それを目にするベルトさん。
 「あれは……魔進チェイサーとは……まさか」
 先にベルトさんを殺害したのがナンバー001・002・003と提示した上で、チェイスはそのどれでも無かった、のは鮮やかな誤誘導でチェイスの変身や言行の特異性も巧く収束。
 「チェイスは……そろそろ危険です」
 「まあ、気にするな。俺はあいつを信じてる」
 「ですが!」
 何かを危惧するブレンを軽くあしらうハートの前で、ボルトの遺した謎パーツの電力により、甦る新たなロイミュード……。
 「おはようございます、ハート様
 「おはよう、メディック。心から、嬉しいよ」
 ハートが暴れるだけ暴れて盛大に自爆したままだと少々間抜けだったので、暗黒のイヴは阻止されるもボルトの置き土産で新幹部が……はバランスが取れ、人間関係の掘り下げと山場のアクションの流れも盛り上がり、9-10話は不満のある出来でしたが、今回は面白かったです。
 話の密度が濃かった事で、くどいギャグや必要以上のアクションシーンに尺を割く事なく、テンポ良くまとまっていたのも良かったなと(結局、見せ場としてのアクションシーンも、多すぎれば全体の構成を平板にして面白みを失ってしまうわけで)。
 進ノ介が霧子に誘われたクリスマスディナーは、特状課の忘年会も兼ねていまして、でオチが付き、それを外から見つめるシフトカー大集合の画も良かったです。
 「これが俺のナンバー……初めて見る」
 素体チェイスは胸のナンバーを見つめ、果たしてその正体は? 新章開幕の、次回につづく。

◆第12話「白い仮面ライダーはどこから来たのか」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸
 だいぶギャグっぽい捜査会議(うーん……石田監督の悪ノリ全開……)で、どんよりを持ち出すも笑い物にされた追田刑事は特状課で大騒ぎし、進ノ介と共に再捜査をするが、かんばしい成果なし。
 そこに現れた、パーカー姿のやたら陽気かつ人間離れした身体能力の謎のカメラマンから、どちらが先に真犯人を見つけられるのか、のレース(勝負)を一方的に持ちかけられた進ノ介は、追田と共に怪しい人物を追いかけるが、その逮捕を妨害するようにガンマンミュードが出現する。
 追田は建物から転落して死の危機に瀕し(5話ぶり3回目)、進ノ介はドライブに変身し、重加速現象下なので落下が遅い為、追田が少しずつ落ちていく中でドライブがガンマンと銃撃戦を繰り広げる、というアイデアそのものは面白いといえば面白いのですが、明確に妨害されたわけでもないのに、追田救出を最優先しないドライブは完全にアウト。
 挙げ句、追田刑事は“自力で着地”し、基本的に曖昧な「そういう物理法則の世界(現象)」としても、ちょっと飲み込みにくいやりすぎ感。
 そして本当に「顔が緑」だった。
 謎のスーパーカメラマンが捜査を引っ掻き回す中、重加速の中でも行動可能なピコピコ2号を身につけて容疑者を追い詰める追田だが、容疑者は重加速現象を引き起こせるアイテムを与えられただけのただの人間で、それを背後から操っていたガンマンミュードが再び出現。
 脳細胞がトップギアな回想CGを、あろう事か柄杓で叩き落とされた進ノ介はドライブに変身するが、体術にも優れるガンマンに苦戦する。
 「日本の仮面ライダーも、大したことねぇな」
 「日本の?!」
 そこに何者かの呼び出しを受けた霧子(本日休暇)がやってくるとドラムロールが鳴り響き、物凄く高いところに姿を見せたスーパーカメラマンが明らかに違法改造で捕まりそうなバイクにまたがると、シフトカーの力でど派手なステージを作り出し、犯人当てレースの勝利を高らかに宣言。そして……
 「変身!」
 シフトカーに似たバイク――シグナルバイクをベルトにはめた青年は、ヘルメットをかぶってマフラーをなびかせた新たな仮面ライダーへと、姿を変える。
 「追跡。撲滅。いずれもー……マッッハー!」
 「「はい?」」
 仮面ライダーーーー・マッハー!」
 進ノ介と霧子が唖然とする中、カクテルライトと火花の散るステージで陽気に名乗り、なんだか、やりすぎた通販番組のような男だった。
 撃ちまくり走り回り飛び回る新たな仮面ライダーは、ベルトのシグナルバイクを交換する事で弾丸の軌道を変えるとガンマンを的確に追い詰めていき……ドライブのベルトが中の人の関係で比較的大人しい反動なのか、大変やかましいベルト。
 赤と青の炎を纏うフルスロットルのエフェクトは格好良く、空中ダッシュからの回転キックでガンマン大爆発。
 「どうだい? いい絵だろう?」
 ところが、消滅する筈のナンバーは黒衣の女――メディックに回収されてしまい、メディックはバレエのステップを踏みながら、瞬間退場。……キャラ付けとしてのバレエのステップは、メディックの喋りがあまりにたどたどしいので、画面に動きをつけなくては、と思ったのでしょうか……いや、他の進化体ロイミュードに比べると人間的な情緒が未発達という意図的な演技なのかもですが。
 マッハは、おつかーれ(変身解除)すると進ノ介を無視して霧子にハグし、その正体は、アメリカから帰国した霧子の実の弟、詩島剛(名前や職業は、仮面ライダー2号/一文字隼人オマージュ?)と判明。
 一方、アジトに戻ったメディックはその能力でガンマンを再生すると共に、負傷の癒えないハートを気遣う。
 「ガンマンの手助けは、ブレンとチェイスにでも任せればいいかと」
 「ハート以外は呼び捨て、か」
 「いいじゃないですか。ハートへの忠誠心が篤いのは。良いことです」
 意外と気にするチェイス、ハンカチを噛むブレン、男所帯のロイミュードに咲いた一輪の妖花は、男の友情に気を遣ってあげられるのか?! ガンマン弟が現れたところで、つづく。
 花火を打ち上げる新ライダー登場回だったのですが、冒頭からの悪ふざけが引っかかってしまい、いまいち素直に楽しめず。
 この先こういうノリで進むならそれはそれですが、「特状課以外の警察関係」と「重加速現象下における事故や負傷の可能性」の二点については、前者は「特状課の奇抜さと今作における警察全体の在り方」、後者は「進ノ介の人生の岐路と重大なトラウマ」という物語のコア部分に関わる要素なので、おふざけを入れるべきでなかったのではと思い、石田監督の作風が完全に悪い方に出た印象。
 プロデューサーからそういうオーダーがあったのかもしれませんが、作品世界のトータルバランスを調節するよりも、好きなボールを投げて歪める方向に進んでしまったのは残念で、後々まで響く作品世界の亀裂にならないかどうかも、少々不安です。……逆に後編で、おお、計算されたコメディだった! と唸れれば、嬉しいですが。