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独白するスタインベルト

仮面ライダードライブ』感想・第10話

◆第10話「ベルトの過去に何があったのか」◆ (監督:金田治 脚本:三条陸
 何故か霧子さんから公開される、進ノ介の誕生日。
 そして、誰一人としてツッコまない特状課の日常。
 不自然な停電に続き、倒した筈のボルトの人間体が目撃され、その足跡を追う進ノ介と霧子は、一冊の小説に辿り着く。
 「本は静かに読むのが、人間のルールではないのか」
 1冊の本を二人で並んで読んでいるとかどういう事だよ?!とお邪魔虫に現れたチェイスは、仮面ライダーと戦う事にこだわり、進ノ介と激突。
 「俺さ、変な話、あんたのその真っ向から来る感じ、嫌いになれないんだよね~」
 「俺はつまらん軽口ばかり叩くお前が、嫌いだ」
 自分探し中の魔進チェイサーに対し、タイプテクニック(ジバンやジャンパーソン的なロボヒーロー動き)の精密射撃で打ち勝つドライブだが、そこに現れる真っ赤なコートのいかつい男。
 「楽しそうだな、チェイス。俺も混ぜてくれ」
 「……奴は……奴は……ぁ、ぁぁぁ」
 ベルトさんがいつにない動揺を見せ、ハートとドライブが初顔合わせ。
 「今更ボルトの後を追うなよ、仮面ライダー。あいつはもう居ない。いい奴だったのに」
 「いい奴なもんか! 悪党だ! だから俺が倒した」
 「……人間にとっては悪党でも、俺には友達だったんだ」
 人類にとっての怪人でも種族なりの仲間意識がある、というのはシリーズの本歌取りであると共に、後続作品を見ても大森Pの好きな要素のようですが、やるとややこしくなるとわかっている所に裸で踏み込んだ上で地雷を踏んで回るイメージが大森Pにはあるので、果たしてどうなりますか。
 ハートに脅えるベルトさんは、トライドロンを召喚してドライブと霧子を強制撤収させ、後には赤と紫が残る。
 「よほど俺が怖いようだ。まあお陰で、デッドゾーンは越えずに済んだか」
 「ハート」
 「……約束は覚えてるよな。もしもの時は頼んだぞ、チェイス
 と、思わせぶりなやり取りが連発し、ピットではようやくベルトさんが、自らの正体を進ノ介に明かしていた。
 クリム・スタインベルト。私がまだ、人間だった頃の名前さ」
 なお、りんなと霧子はその事を知っており……どうなんですかね、この職場?
 進ノ介をドライブに誘ったベルトさんは、ロイミュードとは、生前の親友だったバンノ博士が作り出した増殖強化型アンドロイドであると説明。開発が暗礁に乗り上げた際、バンノに懇願されたクリムは、自身が研究中だった超駆動機関を提供したが、15年前にロイミュード001・002・003が反乱を起こし、バンノとクリムは殺害されてしまう。
 その際、事前に用意していたベルトに意識を移す事でベルトさんが誕生し……この発想の経緯が一切説明されないのですが、この人はいったい何に備えて、こんな事もあろうかとベルトに人格を転移する準備をしていたのでしょうか(笑)
 信用できる語り手なのかどうか、今ひとつ不信感が拭いきれないままトライドロンは倒壊したスタインベルト邸に辿り着き、グローバルフリーズの日、ベルトさんが完成させたプロトドライブがロイミュード根絶の為に立ち上がった事が語られる。
 だが、そのプロトドライブは進化したハートに倒され……これまで伏せられていたカードが一気にオープンにされるのですが、その理由が「メタ的に年末の一区切りだから」と「ハートを見てベルトさんの心が弱ったから」で、どうにもこうにも劇的にならず、これなら別に伏せていなくても良かったのではというか、進ノ介はもうちょっと怒ってもいいぐらいなのでは。
 一応、これまでの積み重ねでベルトから進ノ介への信頼度が上がった末という面はあるにしても、それを受け止める進ノ介の度量が大きいというよりも、明かされた秘密(隠されていた事そのもの)に対する主人公のリアクションが雑になった感。
 ここまで伏せていた情報を公開するなら、もう少し進ノ介とベルトさんの関係性の掘り下げから劇的な展開を組み立ててほしかったのですが、「年末なのでそろそろ……」といった形になってしまったのは残念です。
 「仮面ライダーは、二度死ぬ」
 スタインベルト邸跡地に姿を見せたハートを前に進ノ介はドライブに変身し、ハート様の進化体は角がハート型。
 ハートの圧倒的パワーに苦しむドライブだが、コンクリート弾の連射でハートを固める事に成功し、よし、ここでドリルだ、デュアルクラッシャー! と思ったらハンドル剣を振り回すも破壊に失敗し、進ノ介にはボウケンスピリッツが足りない。
 「俺たちも日々成長する。人間を支配する為に人間を学び、進化するのだ!」
 赤熱するハートはトライドロン轢きを受け止めて投げ飛ばす凄まじさを見せ、
 「まさにハート! 心臓部の力だ!」
 と恐怖が一周回って感動のコメントを入れるベルトさん(笑)
 ドライブのあらゆる攻撃をものともしないハートによって首の骨が折れる音が響く寸前、タイプテクニックしたドライブはハートの心臓部へと腕を突き刺し、相討ち覚悟のオーバーヒート。
 その状況で「ベルトさんだけでも逃げてくれれば次のドライブが生める筈!」みたいな事を言い出すのですが……進ノ介は基本的に“狂気”寄りの主人公にしても、代替可能なヒーローとして後代の犠牲になろうとするのは階段吹っ飛ばしすぎですし(直接的に市民を守るシチュエーションならまだ納得できたのですが)、ベルトさんの脱出方法が不明ですし(まあなんか、たまに気合で飛行していますが……)、ベルトさんが外れた途端に変身が解除されて相討ち不可能になるのでは、など疑問が山積み。
 〔年末なので前中後編で大がかりなエピソード・折角だからハート様と直接対決・ベルトさんの秘密公開〕を巧く一つのエピソードに落とし込めていない感じがあり、これなら前回、軽いジャブみたいなエピソードで入るよりも、ベルトさんと進ノ介の関係にフィーチャーして、今回クライマックスの自爆覚悟に説得力を持たせるだけの組み立てを重視してほしかったところです。