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ドは鈍器のド

地球戦隊ファイブマン』感想・第13-14話

◆第13話「ドレミファイト」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 真っ黄色のカンフー道着に身を包み、テンション高く跳ね回りながら合奏の指導をするレミ……そういえば、格闘家ではなく、音楽の先生でした。
 一方、銀帝軍ではメドー様がバルガイヤーまるごとお仕置きビームを放ち、北極の空に浮かんで巨大戦艦を見下ろすスケール感が素敵。
 「お待ち下さい! 部下の不始末は全てこの私の責任! 罰ならばこの私が受けましょう!」
 更なるお仕置きビームを放とうとするメドー様だが、両手を広げて前に進み出るガロア艦長。
 「さあ罰をこの艦長に!」
 ………………M?
 「さあ、はやぁく!!」
 むしろ、罰してほしい。
 ……地球侵攻が遅々として進まないのはこいつの秘めた性癖が原因なのでは、と若干引き気味になった陛下は罰を取りやめ、艦長の態度に侠気を感じたドンゴロスは、自ら作戦を任せてほしいと進言。
 「なんだと?」
 ちょっと嫌そうな顔をする艦長だが、ドンゴロスは身も心も凍らせる冷気を吐き出すトドルギンと共に出撃し、初夏だというのに強烈な寒波に襲われた地球では、物質のみならず、人の感情までが凍り付いてしまう!
 「人間共は、ぬくもりを忘れ歓びを忘れ愛を忘れ、氷のように冷え切った、ただの生きる屍と化す!」
 パトロール中に会敵した学と文矢は変身するが、氷の世界を示すモノトーンのフィルターで、戦士の色もハッキリしない大胆な演出。二人がトドブレスを受けて苦戦する一方、相変わらずレミはハイテンションで踊り狂っており、凍り付きかける赤黒と、レミの纏う黄色の差異が鮮烈になって成る程、と思う内に赤黒の方をカラーが侵食。
 青桃も救援に駆け付けて戦闘は水入りとなり、響いてくる明るい歌声に気付く4人。ところが音楽室をザザが襲撃し、それを追ったレミと生身アクションを挟んで(安定して格下になってきたザザ……)、兄妹が合流。
 入院した親友に代わり音楽部の指導をしていたレミと4人はひとまず音楽室に戻り……すっごく器用に教卓の影に隠れている女子2名(笑)
 ザザの工作により楽器という楽器が無惨に破壊され、トドルギンが活動を再開。世界が氷点下に包まれていく中、学は、この冷たい闇の中に暖かい光を当てた音楽の力に気付く。
 「みんな、音の出るものは、なんだって楽器なんじゃないのかい?」
 こういった言い回しが、学兄貴は大変格好いい。
 陽動と足止めの為にトドルギンに挑むも冷気を浴びて全滅寸前に陥る赤青桃黒だが、レミと子供たちが草笛やタライなど、即興の楽器でメロディを奏で始め、響き出す「ドレミの歌」。
 「な、なんやあの音楽は?! この街ではもう音楽はならん筈やのになぁ……!」
 レミが「凍り付いた花の葉を手にして草笛にする」=「不毛の世界で新たに芽吹く命の象徴」であり、星川一家の最大目標とエピソードにおけるキーアクションがマクロとミクロで重ねられているのが、実にお見事(草笛から音が出るまで少し時間がかかる、のもそれを鮮やかに補強しています)。
 レミを先頭に子供たちの合奏団が街を練り歩き、シンプルで軽快なメロディと、レミの持つ陽性の空気がしっくりと噛み合い、子供達の手作りの(自然に隣接した)合奏の楽しさがヒーローと世界を救う――音楽が活路となる展開は、リアクションの描きやすさや演出効果などからアニメ向きの題材だと思っていたのですが、生命-自然-死に閉ざされた冬の世界に雪解けをもたらす光、を繋げる事で十分な説得力を与え、実に名シーン。
 またここで、如何にも戦隊な真っ黄色のカンフー道着というレミの衣装が、(通常は赤が擬せられますが)“太陽の光”を思わせるのも、非常に綺麗にはまりました。
 凍り付いていた赤青桃黒が立ち上がり、ドンゴロスが激しく動揺すると、草笛を奏でるレミが木の陰から姿を見せるのがやたらに格好良く、兄姉、完全復活。
 「おんどれ! 星川レミ!」
 「本当に音楽を愛する者は、身も心も、決して凍り付くことはない。そしてその演奏は、どんな冷え切った世界をも暖め、みんなを勇気づけるんだ!」
 「星川レミが、ドレミのレミだって事を教えてあげるわ!」
 「黙れ、黙れ! ドーはドンゴロスのドーだってんねん」
 響いてくる「ドレミの歌」に合わせて巧く切り返すドンゴロスだが……
 「レーはレミーのレー ミーはみんなのミー」
 「「「ファーはファイトのファー!」」」
 「ファ!」
 さあ、音楽の次は死合いの時間だ!
 飛び蹴りからの連続パンチでドンゴロスを昏倒させたレミは生身のままトドルギンと拳をぶつけ合うと、流れ出した挿入歌に合わせて連続の回し蹴りから空中で変身し、大変、いいキャラ回。
 ファイブイエローはメロディータクト、そしてリボン部分を引っ込めてのドレミ剣でトドに猛攻を浴びせ、怒・練・眠・破・壮・羅・死・怒!
 「アーサー、アースカノンだ!」
 「ラジャー!」
 コールを受けたアーサーは、胸のVマークが光り輝くとマグマベースから打ち出され……話の勢いと挿入歌のテンションに乗せて当たり前のように行われていますが、結構凄い扱いだ……!
 アースカノンの直撃を受けたトドルギンは盛大に吹き飛び、巨大化の都合で引き続き爆発しないのがややカタルシスに欠けますが、ゴルリン11号登場。ロボ挿入歌初使用で合体トリプルジョイントしたファイブロボは猛烈な冷気を浴びて戦闘不能の危機に陥るが、両腕にエネルギーを集めて飛び道具からのパンチを放ち、黄がセンターに入っての「正義の剣を、受けてみよ!」で、フィニッシュ。
 温もりを取り戻した世界で、兄妹も加わっての青空演奏会で、響け、歌え、いつも心に音楽を!
 集中すると周囲の事が目に入らなくなる短所があるが、目の前の誰かを助ける事に懸命になるレミの行動が巡り巡って打倒ゾーンに繋がる、という形で八百屋回からレミのキャラクター性が一貫した上で、「トドの冷気と音楽の力」に「ゾーンの侵攻と銀河の復興」を照応させ、音楽室襲撃(学校木っ葉微塵のリフレイン)を挟んで、瓦礫の中から立ち上がる少年少女が世界を甦らせる力になる構成が素晴らしく、脚本・演出ともに冴え渡る、秀逸回でした。

◆第14話「可愛いウソつき」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 他人の興味を引くためについついウソをついてしまう少女マコは、「ファイブマンの基地を知っている」と口にするも同級生には取り合われないが、それをコウモルギンに聞かれてしまう。適当な湖にコウモリ闘士を案内した少女は、たまたま釣りをしていた文矢に助けられるとマグマベースに運び込まれ、これ幸いと基地の内部をうろつき回るが……やっぱりあったぞ危なげなセキュリティ。
 レーザー照射3秒前、の雰囲気で、あと一歩踏み出していたら、基地内部に身元不明の黒焦げ死体が誕生していたかもしれません。
 (私、またウソをついてしまった……)
 自身の性格に悩んでいる一面も描写され、基地を抜け出そうとした少女はCメカを発進させてしまい、またも一騒動。
 少女に疑いの目を向ける健と、少女に優しく接する文矢が衝突する事になり、何かと損な役回りの多い健は、理想主義のきらいがある学、脇の甘い末っ子に対して、シビアな視点の持ち主、といった位置づけなのかもですが、学兄貴が締めるところは締めるタイプなので、いまひとつ差別化しきれていない感(加えて第2話の暴言&突撃が、どうも短慮なイメージを強めています)。
 「まあ、二人とも落ち着けよ。俺たちは戦士である前に、まず先生の筈だろう」
 「公私を、混同するな。俺たちは戦士だ。それが全てに優先するんだ」
 ……すみません、今何か、時空を超えてノイズが。
 「そうだよ。先生ならどんな子でも信じてやらなきゃな。信じる事から、心も通い合うんじゃないか」
 「自分のへまを棚に上げて、説教をする気か?!」
 「へま?」
 「こんな子をしょいこんできたのは誰だ? おまえこそ戦士としての自覚が足りないんじゃないか!」
 健が一番、復讐心に基づく敵視傾向が強い、と見るのがふさわしいのかもしれませんが、学兄貴が「戦士」よりも「先生」にアイデンティティの重きを置いているのは大変興味深いポイント。
 “青春”の象徴性を重視する80年代戦隊においては、職業・非職業を問わず、“一般人としての青春”を“戦士としての青春”が上書きするような構造が存在していたのですが、ここで星川兄妹はヒーロー性と社会性の共存を意識的に行っており、結果としてそれが、“青春”からの切断を発生させています。
 前作『ターボレンジャー』は、時空間として客観的な“青春”と接続する事で、“一般人としての青春”と“戦士としての青春”の同一化が行われていたのですが、良くも悪くも「学生である事」と「戦士である事」の相克が無視されてしまっていたのに対して、今作では「教師である事」と「戦士である事」を星川兄妹(個々の認識に差はあるでしょうが)が別々のものと捉えた上でどちらもやろうとしているのは、後継作品へのブリッジといえる部分でありましょうか。
 となると、第1話において、学校爆破により強制的に“社会の成員としての場”(青春の先)から切り離される事でヒーロー性を高められたのは、話の利便性と共に一つの必然であったのだな、と。
 揉める健と文矢が掴み合いの喧嘩に発展したのは男兄弟らしさが出て良かったところで、止めようとした少女の靴に発信器が取り付けられていた事が発覚。透視能力や高感度ソナーを持っているのに、発信器をまともに追跡できない上、少女の言動に振り回されるコウモリ闘士&ドルドラ&ザザの間が抜けすぎて緊迫感が全く出ないのは通して残念でしたが、少女がウソを謝罪・反省し、主題歌バトル。
 青黒がきっちりと兄弟コンビ攻撃を決め、アーサー射出からアースカノン!
 直撃を受けたコウモリは派手に吹っ飛ぶと腹から火花を上げ、ゴルリン12号が召喚されるが……
 「急げ! 早くしろ!」
 慌てるドルドラという今までにない一幕が入って……転んだ。
 「なんとぶざまな……!」
 「ふん、ゴルリンも、走れば岩につまづくか」
 そして、ゴルリンが現場に間に合わない内に、コウモリ爆死(笑)
 「おのれ!」
 「人生いろいろでございます」
 アースカノン販促キャンペーン中という事もあってか、巨大戦無し、という思い切った構成で、ファイブマンは勝利を収めるのであった。……まあ、コミカル要素を挟んだ為に、アースカノンで気持ち良く爆殺という形になりませんでしたが、これをきっかけに次回以降、ゴルリンも強化されたりするのかしないのか。
 エピソードとしての出来はいまいちでしたが、80-90年代戦隊を繋ぐ星川兄妹の立ち位置が垣間見えたのは興味深く、次回――艦長、本気?