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「鍛えれば鍛えるほど、それは無限の力を発揮する」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第14話

◆第14カイ!「決闘!ゼンカイvsツーカイ!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
 「どのギアが欲しいんだ? 僕が探して必ず持ち出す」
 信用度、ゼロ!
 ……いや、「探さない」のではなく、「探すけどきっと見つけられない」という意味で(笑)
 「それより、俺をトジテンドに連れてってくれよ。欲しいものは自分の手で奪う。その方が面白い」
 「僕を信じてないって事だね」
 「そりゃそうでしょ」
 そりゃそうです!
 どう見ても全力全開で交渉事に向いていないステイシーは、リサイクルワルドを爆殺するとゾックスに取引を持ちかけ、ゼンカイザーを倒せばトジテンドパレスに連れて行くと約束。
 一座での相談の結果、ステイシーに騙されたら腹立たしいが、ゼンカイザーを倒す事そのものには特にデメリットはない、と頷いたゾックスはカラフルに乗り込むと介人に正面から決闘を持ちかけ、今ここに、ゼンカイザーvsツーカイザーの決闘再び!
 互いの仲間を応援団に、両者は戦隊ギアの力を借りながら激しくぶつかり合い、シンケンツーカイザーvs青春爆発ファイヤー、超力ツーカイザーとバトルフィーバー隊でダンス対決、などなど、派手なアクションと豊富なアクセントを盛り込む事で、茶番劇をアトラクションとして楽しませるアプローチ。
 何が茶番って、ステイシーの交渉のやり口から駄目さ全開だったわけですが、無理めの条件で相手に先払いの代償を要求するイジルデ(ステイシー)の策よりも、ゼロではない可能性を匂わせて相手の行動をコントロールするバラシタラの策の方が陰湿かつ頭脳的で、研究職と軍人の、脳の使い方の差でありましょうか。
 コグマスカイブルー先輩で巨大化した金に対して、光戦隊マスクマンの力でオーラパワーを発動しようとする白だが……何も、起こらず。
 ……あーそれ……基本的に、死にかけないと発動しないから……。
 筋トレの足りなかったゼンカイザー、秘めた力に目覚めないまま、巨大ツーカイザーの直撃弾で骨も残さず木っ葉微塵?
 「勝利ツーカイ!」
 「ご苦労だったね~」
 そこに出てきたステイシーは当然ゴールドツイカー一座を葬ろうとするが、実はオーラーパワーで空中浮揚に成功していた介人が戦闘員を上空から蹴散らし、慟哭するジュランたちも、白と金の決闘も、何もかも芝居だったと種明かし。
 「おまえら……最初から僕をはめる為に芝居を」
 「てか、そっちがあたしらをはめるつもりだったんだろ。1億年早かったな」
 ですね……。
 「どうして……疑わしくても、僕の申し出に賭ける方が、目的を果たせる確率は高かった筈だ」
 基本的にイジルデの指令でしょうからステイシーの責任部分は多くない気がするものの、すっかり僕の考えた周到な作戦のつもりになっているようですが、そもそも撒き餌もなければ約束手形もなく、圧倒的優勢なわけでもないのに一方的に約束の履行を求めるとか一から十まで間違っていてその確率はどうやって出したのか!
 「だっておまえより、介人の方が面白いんだよな」
 「あたし達、ゴールドツイカー一家のモットーは――」
 「面白そうな事には」
 「頭から突っ込めー!」
 それ以前の問題すぎる気がするので界賊一味のこの「選択」はあまり劇的なものにならず、介人たちにとっての敵(トジテンド)の敵(界賊)はすんなり味方というわけにはいかなかったものの、界賊一味にとっての敵(トジテンド)は敵でしかないというか、そこからもう少し揺さぶらないと交渉が成立しないんですよステイシー!
 「そんな……そんな事でっ」
 それはそれとして、一味の発言を素直に受け止め、心底ショックを受けているようなのが、君はホント、資質があるな!
 「俺を倒したいなら、直接俺に向かってこいよ! 相手してやる」
 「いいだろう。僕も本当は、おまえをこの手で倒したいんだ」
 他人の大切な気持ちを踏みにじろうとするステイシーに介人は怒りの宣戦布告を叩きつけ、これだ! これこそ僕の求めていた悪のライバル像だ! と内心小躍りするステイシーは気を取り直して暗黒チェンジ。
 対する介人たちとゾックスもチェンジ全開&痛快し、ジュラガオ・マジブル・介人、とゼンカイ勢が3回に分けて順々に回っている間、ゾックスがずっと踊り狂っているだけで面白くてズルい(笑)
 1クールの締めに6人並んでフル名乗りを決めるも、「ゼンカイジャー!」と「ツーカイザー!」は別々なので微妙にテンポが悪くて締まりきりませんでしたが、果たしてこの先、完全合併は有るのか無いのか。
 過去作品には最後まで合併無し、のチームもありましたが……仮に合併が検討された場合、チーム名で揉めた挙げ句にタイトル変更?!(『界賊戦隊ツーカイジャー』誕生?!)の一発ネタは今作だとやりそうな(笑)
 「俺を倒したいなら、直接俺に向かってこい」とか言っていた割に、ちゃっかり2対1で殴りかかってきた白と金のコンビネーション回し蹴りを受けたシーザーは、コピージャッカー電撃隊を召喚。ものの見事にコバックされた白だが、ブルーン経由でセッちゃんのアドバイスを受けた金がビッグワン先輩にレボリューションし、主役強奪。
 強権発動により指揮権を奪われたシーザーは自らコピージャッカーを倒す羽目に陥った上に復活全開した白の飛び蹴りを受け、戦闘員たちは赤黄桃青がフィニッシュバスターで大全壊。
 風前の灯火のシーザーだがそこにBSロボが飛んでくると、ゼンカイジャーを制して超力ツーカイオーが出撃し、3対1で袋だたきにする惨劇はさすがに避けました!!
 超力痛快王がBSロボの飛び道具を無効化すると、剣を抜いたBSロボに対し真剣痛快王へと変形し、決闘に始まり決闘に終わるという趣向。夕陽をバックに両者は激しく切り結ぶと、傲慢なシーザーを界賊の誇りが一刀両断し……び、BSロボ、BSロボ……BSロボぉぉぉ!!
 色々な点で割と好きだったのですが、もう、出番が、終わってしまいました(笑)
 ……もうこの際、次はステパルドンでも。
 「覚えていろ、ゼンカイジャー……ツーカイザー……」
 ステイシーは撤収し、カラフルではその夜、一座を招いての祝勝会。一致団結してトジテンドを倒しました! と一方的に感謝感激ムードを出すゼンカイ勢に対し、解釈が前しか向いていない、と戸惑いも浮かべるゾックスだが……食欲に敗北。
 「なーんか、ちょーっと違うけど……ま、いっか」
 実際のところ、ゾックスが介人を「おもしれーやつ」と認めたものの、ゼンカイとツーカイの間にはまだまだ埋まらない溝が横たわっているのですが、ゾックス側も若干なし崩し気味に同調を見せて、互いに協力できる余地を広げつつ根本的な諸問題は未解決のままの玉虫色の揃い踏み、といった印象。
 少なくとも介人と界賊兄妹との関係性に関しては「変化」の積み重ねに納得はできますし、界賊サイドのパーソナルな問題はじっくり時間をかけていく予定なのかもですが、こと〔ゼンカイジャーと界賊一味〕の関係を見た時に、介人以外の4人が実質おまけ扱いになってしまっているのは、気になるところ。
 立ち上がりに一人ずつ仲間を増やしていったように、まずはそこから、という方針かもしれませんが、“世界の為に戦う気のない”ゾックスをどう受け止めるかなどは、もう少しゼンカイメンバー個々の消化をきっちり描いて欲しかった部分です。
 ……まあ、矢印の方向が示す通り、そこはひたすら前を向くのがゼンカイジャーという思惑なのかもですが。
 「なーんか……どんどん世界広がってる気がするなー」
 介人は両親の写真を見つめ、介人の根っこにある行動原理を改めて取り上げてくれたのは、良かった点。
 「……おまえは他の世界行った事ないだろ」
 「でも、みんなが来てくれて、仲良くなれたし」
 「今回はたまたまだ」
 「またまた~。俺のこと面白いって思った癖に」
 「まあ……そこはな」
 一応、釘を刺して壁を再設定しようとするゾックスだが、「おもしれーやつ」はもう取り消せない!
 次回以降の距離感がどう描かれるのかは注目ですが、えー……次回――ただでさえステイシー登場後にメタ要素が増加傾向なのに、ここで投入される昭和レトロは、物語をどこへ運んでいくのか。