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地球戦隊ファイブマン』感想・第12話

◆第12話「アーサー超変型」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)
 いきなりの巨大戦からスタートする変化球で、銀河闘士デンキウナギンの作り出した幻影に苦戦するファイブマン。巨大な幻影ウナギの放出した電気エネルギーによりファイブロボは倒れ、投げ出されたファイブマンにはビリオンの刃が迫る大ピンチで、この後の流れでは大きく扱われませんが、さらっとロボ敗北。
 すんでのところでビリオンの斬撃を受け止める赤だが、弱った敵には戦闘力が上昇する残念悪役体質なビリオンの猛攻を受け、引き続き窮地。
 追い詰められた5人はブラザーアタックを放つがデンキウナギン本体に全てのアタックを弾き返されてしまい、その間、ずっと背後に隠れて勝ち誇っているビリオン。
 ファイブマン壊滅の危機に駆け付けたアーサーは、身を挺して5人をかばうと自ら高圧回路のエネルギーを放出する自爆技でビリオンとデンキウナギを退かせるが、引き起こした大爆発の反動で行方不明になってしまう。
 大きく破損したアーサーは、スクラップ置き場に転がっていたところを、スクラップを集めて様々なメカを自作している少年・太郎に拾われ、改造修理によりぽんこつ次郎として覚醒すると、まさかの「ともだちんこ」。
 2021年現在に見るとだいぶ困惑しますが、マンガ『おぼっちゃまくん』の連載が、1986~1994年。アニメ版の放映が1989年~1992年で、人気絶頂期でありましょうか(なおアーサー役の松本利香は、貧保耐三役でアニメに出演との事)。
 記憶を失い何故か茶魔語を修得してしまったアーサーと太郎少年のほのぼの触れ合いタイムがしばらく展開するが、死体を確認してこないのはトーシロの仕事、と皇帝陛下のお叱りを受けたビリオンがデンキウナギとと共に姿を見せ、報復とばかりにアーサーを攻撃。
 更なる電気ショックを浴びたアーサーは空中を浮遊しながら駄洒落を連発し、話の行き先が五里霧中になってきたところで、学がアーサーを発見。
 「俺たちを助ける為、自分の体を投げ出したアーサー、こんな姿になってしまうなんて……」
 雑ないじめっ子や、アーサーの醜態に呆れて姿を消すビリオンなど、太郎パートは基本ギャグ寄りで展開していたのですが、学視点では、行方不明になっていた育ての親を探し当てたら完璧にボケていた超ヘビー級の展開で、一貫してシリアスなファイブマンパートと、愉快な太郎/アーサーパートのアンバランスが、面白いというよりは、とっちらかってしまった印象。
 ……作品としては、ファイブマンの思考が基本的に重くなりがちなので、アーサーの記憶を失わせる事により、太郎パートは思い切ってコミカルに振ったのではありましょうが。
 学はひとりぼっちの寂しさから弟が欲しかった太郎の事情を知るが、ファイブマンにトドメを刺そうと巨大ウナギが再び現れ、モニターでそれを確認した弟妹が合流。
 「次郎こわいよー」
 「助け天丼」
 「飛んで火に入る夏の虫」
 勢いでビリオンまで駄洒落を言ったらどうしようかと思ったのですが、崖っぷちでブレーキが発動したのを感じます。
 絶体絶命の窮地に陥る7人だがその時、巨大ウナギの激しい攻撃が、アーサーの記憶回路に眠っていた忌まわしい惑星シドンでの出来事をフラッシュバックさせ、すがりつく太郎少年の存在が決定打となって芋づる式に記憶が甦る、突然の美しい接続!
 ――「アーサー! 子供達を、子供達を頼みましたよー!」
 自分はなんの為にこの20年を過ごしてきたのか……
 「健、文矢、数美、レミ!」
 太郎少年をしっかりと抱えながら記憶を取り戻す姿がやたら劇的で、数分前まで数分前だったので、やや狼狽するレベル(笑)
 育ての親が正気に帰った事で星川兄妹も気力を取り戻し、ファイブマンに変身。
 「貴様等に何が出来る。ここが貴様等の地獄よ!」
 ウナギ本体に挑みかかるも激闘のダメージの蓄積した5人は追い詰められるが、度重なる電気ショックの影響と奇行の果てに、アーサーの内部に隠されていた設計図が開放。太郎少年の協力により新たなプログラムを打ち込まれたアーサー、飛翔!(駄洒落飛行は伏線だったの?!)
 そして、変形・アースカノン!
 アーサーG6は平べったいデザインの必殺バズーカへと変形し、サポートロボがそのまま必殺バズーカになるという、これは全く予想外の展開でありました(後、「アーサー」=「アース」も成る程)。
 ファイブマンは、育ての親が破壊兵器になった事実を、父さんが仕込んでいたに違いないと受け入れると、デンキウナギンに向けてファイア!
 直撃を受けたデンキウナギは大爆発……せずになんか次元の彼方に消滅し、何この思ったよりヤバい兵器。
 「やるじゃねぇか。そう来なくちゃな。おまえ達との戦い、ますます楽しみになったぜ!」
 砲口を向けられたビリオンは、100%チンピラの捨て台詞を残してそそくさと撤収し、1時間後には多分、(ヤバいヤバい何あれヤバい?!)と酒に逃げています。
 1クール目の締めに投入された必殺バズーカを、アーサーメインで描いて第1話と繋げる趣向は面白かったのですが、太郎少年を間に挟んだ結果、星川兄妹との距離が(クライマックスに戻ってくるまで)遠くなりすぎてしまい、必殺バズーカ誕生回は、素直に星川兄妹がもっと隣接したエピソードで見たかったかな、と。
 それでも、アーサーが記憶を取り戻すくだりの劇的さは曽田さんらしい鮮烈さでしたが、直後の設計図開放が雑になってしまい、太郎少年の要素を使い切る為とはいえ、パッとせず。……というか、アーサーの繰り返していた駄洒落は父さん秘蔵の駄洒落コレクションで、それを全て聞く事が、設計図の開放条件だったの?!
 アーサーはたまに太郎くんにレンタルされる事になって大団円でし、次回――ファはファイト(死合い)のファ!