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「ブレイブ・イン!」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第13話

◆第13カイ!「リサイクルすりゃもう一回!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
 キカイノイドにネコ科の血が騒ぐとも思いにくく、子供ちゅわんの振り回す猫じゃらしに興奮してみせたり、ぐわやられたーといった感じで土手を転がってみせたり、その状態で介人が助けに来てくれるのを待ってみたり……全部、芝居っぽいぞ、ガオーン。
 前回に続き、「ゼンカイジャー」と一般市民の交流がほのぼの描かれるが、そこに今回もワルド怪人が出現すると、頭部のポリバケツの中に吸い込んだ人々を戦闘員としてリサイクルしてしまう!
 「よく見ろ。この胸に輝くリサイクルマークを」
 ゴミ……ではなくリサイクルワルドはリサイクル戦闘員部隊を作り出し、何故かトジルギアをそれに与えるバラシタラ。ひとまず変身するも一般市民を殴り飛ばすわけにはいかない、と防戦一方を強いられる白黄だが、そこに飛んできたよほほいは勿論お構いなし。しかもR戦闘員がトジルギアを持っていると知るとお宝求めてざっくざく、と次々にしばき倒していった挙げ句、28バーンの力により、逮捕。
 カラフルに連行されたゾックス容疑者は、入手したギアを分析するが模造品であり……全ては、ギアを餌にゼンカイジャーとツーカイザーの仲違いを狙う、バラシタラの悪辣な罠だったのだ。
 「小生が昔、トジルギアシステム開発段階で作った、ダミーのギアを、勝手に使ったようだな」
 「それもリサイクルでアル」
 あ、うまく返した(笑)
 バラシタラの目論見をあっさり見破るゾックスだったが、罠とわかって争う必要はない……かと思いきや、当たりが混ざっている可能性がある以上、回収できるだけ回収すると宣言。
 「言ってるだろ。俺たちは、この世界の奴らがどうなろうと、構わないって」
 「僕はめちゃめちゃ構うんだよー!!」
 マンハントに向かったゾックスをガオーンが慌てて追いかけ、敵の敵だが味方ではない立ち位置を保持する事で、優先順位を貫けているのは、ゾックスの良いところ。
 一方で、コアとなる情念の強さを描けば描くほど、筋は通るが他の水とは馴染みにくくなるわけですが、その軋轢をかなり丹念に描いているので、ここからどう調理するのかは楽しみです。
 そんなわけで、ゴールドーツイカー一座の座長として、実質一般市民に向けて満面の笑みで銃を向けるゾックスだが、「僕がみんなを好きなんだ!」と身を挺して銃弾を防ぐガオーン。
 「やめとけって! おまえがどんなに好きでもな。今のそいつらには関係ねぇんだよ」
 「そんな事ない! だって……戻った時、絶対悲しい」
 一方的に体を張るガオーンの姿に、さすがのゾックスもひとまず銃を収めるが、そこに秘策を思いついた介人たちが駆け付けて、強い目的意識を持ったゾックスに対し、シンプルな同胞愛から一歩踏み込んだ行動原理を設定するのが鮮やか。
 例え無理矢理に操られているのだとしても、誰かに暴力を向ければ、きっと悲しい……介人は一貫して、決して頭脳派ではないが他人の立場に立てる想像力の持ち主として描かれ、それは「でも介人は、他の人のこと、どうでもよくないっチュン。だから今、ゾックス達のこと考えてるチュン」と場合によっては弱みになる場合もあるけれど、知力と想像力の線引きをしっかりとした上で後者の発露を善なる行動に繋げていくのは、非常に良く出来ています。
 また、“想像力がない”事を悪として描くのはしばしばありますが、“想像力がある”とは如何なる善であるのか、を強く押し出すのは珍しい気がして、面白いところ。
 たとえば『烈車戦隊トッキュウジャー』の場合は「イマジネーション」がキーワードでしたが、それそのものの善性を描くというよりは、自由な発想力の肯定、といった作りでしたし。逆に「“想像力の欠如”という悪」をテーマの一つとして描いた『激走戦隊カーレンジャー』への意識は、全体的になんとなく感じます。
 大荷物を手にした介人ら4人は、安全全開でギアを回収してやる、と何故かサンバでカーニバル(これが「イマジネーション」寄りの想像力といえましょうか)。
 「え?! ちょ、何しに来たの?!」
 それはガオーンもツッコみます。
 ハンディワイパー的なものを全身に身につけた介人たちは、くすぐり全開でR戦闘員たちの戦闘能力を奪うとギアを回収していき、冒頭の猫じゃらしを伏線に、キカイノイドもくすぐりに弱い! と強引に寄り切り。
 あまりの馬鹿っぽさに大笑いしたゾックスは、姿を見せたリサイクルワルドに矛先を向けようとするが、割って入ったガオーンが怒り全開。それに気付いた介人たちも合流すると、瞬間脱着からのダッシュ名乗りで、機界戦隊ゼンカイジャー!
 R戦闘員は魔法の巨大くすぐりから「確保ー!」で、序盤のツーカイザー逮捕から警察ネタを繋げ、要素を連動させて一体感を持たせる事でなんとなく説得力を発生させていく力技。
 「そんじゃ、改めて俺も!」
 このまま呆然として今週の出番を終えるかと思われたゾックスだが、そんな精神力じゃゴールドツイカー一家を率いる長として、失格でしょ! とチェンジツーカイ。
 この成り行きで、真面目な顔で装備を構え、満面の笑みで踊り狂っても物語が成立してしまうのはまさに二枚目のパワーで、いいキャストです(笑)
 白赤桃青がR戦闘員を確保している間に、いつもより沢山回っている黄と、シンケン金がリサイクルをダブルで追い詰め、そこからゴーオンジャーギアを金に使わせるのはかなり強引でしたが、二人一組の都合によりセレブなウイングスの力でジェットダガーアタック、からシンケンにドキューン。
 リサイクルワルドが木っ葉微塵に吹っ飛ぶとリサイクルされた人々は元に戻り、引き続き、アース-45人とキカイノイドが分け隔て無く喜びあっている姿を丁寧に入れるのが、今作の良いところ。
 ゼンカイジャーが皆に呼びかけてダミーギアを「回収」する成る程の落着となり、それはそれとして、こんなのんびりしている間に巨大化されたらさすがに間が抜けすぎでは……と思ったら、拾ったリサイクルギアに手を弾かれる描写を挟んで、巨大兵士クダイテストが出撃すると、充ち満ちるリサイクルパワー。
 そのパワーは周囲の空間を変質させるだけに留まらず、キノコ、コオリ、ボクシング、スシをリサイクルで巨大化復活させ、今ここに誕生する、リサイクル戦隊ダイワルジャー!
 「おまえら練習したろ!?」
 「こ、これはぁ!! ……資料によると、他の世界にも時々現れたという、悪者戦隊! チュン!」
 を、巨大戦でやるのが、今作の志向するところでありましょうか。
 ゼンカイジャーはリサイクル全開に全力全開2大ロボで立ち向かい、キノコとリングと凍土とゴミの山と回転寿司屋が入り交じった地獄のような世界で、巨大戦を過去映像のパッチワークで見せる、まさかのリサイクル(笑)
 映像の都合で、黄赤はだいぶ一方的に苦戦した末、脅威のリサイクルバズーカが炸裂し、ゼンカイジャー、手も足も出ずに、完敗。
 だがそこに上空から砲撃が突き刺さり、界賊合体で、右腕がガトリング砲の痛快王リッキーが完成。飛び道具の存在を無視して巨大ワルドを殴り倒していく超力痛快王は、忘れた頃のバルカンからピラミッドで潰し、左手の巨大ワニでバキュームし、そして連続の飛び蹴り。
 「つ、強いリサイクル……」
 「まあな」
 「おまえらの弱点、上から観察させてもらったんでね」
 と、あまりにもあまりな戦力差には理由付けがされ、アウトロー系の格好良さは、 ボウケンジャーゴーカイジャー→ルパンレンジャーの蓄積が見て取れます。
 残るはリサイクルワルドのみとなるが、そこに、ちょっとレトロな感じで飛んでくるBSロボ。
 「おまえはステイシーザー! 助けに来てくれたリサイクル~?」
 「いや。おまえに恨みはないが、倒しに来た」
 BSロボは足の謎パーツを投げつけるとダイリサイクルワルドを呆気なく爆殺し、おもむろに味方を撃ち殺す(2回目)ダメな悪役ムーヴの王道! いいぞ! ステイシー!!
 次は是非、新装備に自分の名前をつけるで、「これが、ボッコワウス大王からいただいた、ステイシーソード!」とかやってくれたら、上昇し続ける株価が大気圏を突破します!!
 果たして、身内を倒したステイシーザー(というかイジルデ)の思惑はいったい何か? 次回――そんなステイシーは影も形もなく、決闘再び。