『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第12話
◆第12カイ!「ノロノロマイマイ、カタい貝!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:香村純子)
「今日はこれくらいにしておいてやる!」
ナレーション視点のセッちゃんから、「不満溜め込んでる人」フォルダにまとめて放り込まれるステイシー、OPの台詞チョイスが ひど 素晴らしすぎて、もう君は、公式にそっちに行くのか。
界賊一座は、嫌いではないもののあれこれ引っかかる要素が多く、どうしても行動の是非を確認しながら見てしまうところがあるのですが、ステイシーは、何もかも素直に面白がれて素晴らしい(笑)
そして、ゼンカイ側の不満溜め込んでいる人達であるジュランとマジーヌは、買い出し帰りに遭遇した子供たちから、金色の格好いいのはゼンカイジャーの仲間なんでしょ?! とキラキラした眼差しを向けられ、ますますふて腐れていた。
橋の欄干に寄りかかり、界賊容認派に傾きつつある3人の主張を思い出すジュラン。
「弟たち助ける為に戦ってるって……なんか気持ちわかるから! 俺たちは俺たちで頑張ればいいじゃん!」
むやみやたらに前向きだった。
「界賊でもなんでも人間ちゅわんなんだよね~。少なくともジュランより、可愛い」
自分の性癖に素直だった。
「カイゾクトピア……世界海賊! 使っている技術! 好奇心のエンジンがブルンブルンしっぱなしです! はぁ!」
真理に至る為ならつまらぬ世俗の倫理観などドブに捨てても構わなかった。
「ダンスも ぶっちゃけ 俺の方が イケてるっつーのによ~~」
「あ、そこ気にしてたんだ……」
ストレス解消に路上でよほほいし始めるジュランだが、そこにカタツムリワルドが姿を見せると、東映Youtubeにて『仮面ライダードライブ』配信開始記念に重加速現象を発生させ、どんよりしたジュランらは、物凄くゆっくりとしか動けなくなってしまう。
どんよりの中でも自在に動けるカタツムリから一方的な攻撃を受けて大ピンチのその時、響き渡る本家よほほいほいほい。だが、前回で味を占めたスカイダイブで登場した金は、ものの見事にスローな空間に突入してしまい、カタツムリミサイルの直撃を受けて変身解除に追い込まれる、初の窮地。
カタツムリは余裕のまま去って行き、フリントに突入を止められた介人たちは、カラフルに戻って作戦会議。
「あんた達が噂の弟さんかい。大変だね」
略奪犯に対してヤツデが親身になって心配する事で改めてわだかまりは解消され、不在の3人の分のホットケーキも用意するヤツデさんが相変わらずの懐の深さと共に親心を見せ、フリント達の姿に何か思うところがあったのかな、と“見守る者”としての存在感が、好キャスティング。
混成メンバー随一の頭脳派であるフリントが、カタツムリの能力は“場”に作用しているに違いない、と分析していた頃、踊りのおにいさんは、スローなブギでよほほいしていた。
「あいつらの助けがなきゃ生き残れないようじゃ、ゴールドツイカー一家を率いる長として、失格でしょ!」
「そういうもんかな……?」
「妹たちはそういうの、寂しいんじゃねぇか?」
フィールドを広げていくカタツムリは、バラシタラにどやされて3人の始末に向かうが、ゾックスは無駄に踊っていたのではなく虚空にマーキングトラップを仕掛けており(見返すと確かに、効果音が鳴っている)、カタツムリミサイルをカウンターで迎撃。
そこへ介人たちが駆け付けると、ターボレンジャーギアの力を打ち込む事でスローな世界でも通常の動きが可能になり……
「……あれ? そんな技、あったっけチュン……?」
無かったと思います!!
物語の根本を揺るがしかねないツッコミが身内から入りましたが、開き直ったギャグなのか、何か恐ろしい仕込みなのか悩ましい……(笑)
(※ちなみに高速戦隊ターボレンジャーは、マシンが車モチーフな事以外にこれといって「高速」要素はなく(そもそも80年代戦隊はそういう傾向ですが)、妖精パワーと青春パワーと時々オーラパワーで戦います)
妹弟に向けてニッコリ笑ったゾックスはくるっと回るとカタツムリに凄み、初の6人同時変身から、成り行きで揃い踏み……は、「俺をカウントするな」と拒否され、まあ、この流れでやられても困ったので、良かったです(笑)
前回がドタバタバトルに終始した事を踏まえてか、今回は正攻法の主題歌バトル。戦闘員をけしかけている間に再び放たれたカタツムリパワーは白と金がターボレンジャーの力を発動して無効化し、青はどうやって……と思って確認したらブルーターボが二人出現しており……第43話の要素でしょうか(一時的に正規メンバー以外がブルーターボに変身するエピソードがある)。
だいぶ細かいネタを持ってきた金がツーカイにホーミングして戦闘員を片付けるとカタツムリはゼンカイジャーが大全壊し……ゼンカイジャーがまともにワルド怪人を正面から撃破したの……第6話以来……?
〔7話(ワルド未登場)・8話(ステイシーが射殺)・9話(シンケンにドキューン)・10話(超力にドキューン)・11話(横から爆殺)〕
巨大カタツムリに立ち向かうゼンカイオー赤黄だが、カタツムリの殻の固さに、剣もといジュランの尻尾が折れる大惨事。更にトジテンドでは、イジルデがステイシー用の新兵器をいよいよ完成させ、その名を――バトルシーザーロボ!
記念すべき戦隊ロボ第1号からでしょうが、名前といいデザインといい、一切隠す気のないバトルフィーバーぶりで、これに鉄山将軍を憑依させたら、おしまいですね、アース-45(バトルフィーバー隊を率いる鉄山将軍は、バトルフィーバー隊の頭脳にして、ヒーローチームの合体技より強い必殺剣を用いる劇中最強の存在)。
ここまで来たらイジルデさんには是非、長官ギアを実用化していただきたいです。
「手柄をあげるのはあいつじゃない。僕だ」
ガオーンクローも粉々に砕き、普通にゼンカイオーを追い詰める巨大カタツムリだが、そこに大変ダメな感じの台詞と共に、BSロボが乱入。
まだ本格登場して6話足らずなのに、すっかり歴代ダメなライバル悪役の煮こごりみたいになってきたというか、既にワルダー登場後のハカイダー(『01』)みたいな輝きを放っているステイシー、いいぞ! 面白いぞ!
「「姉貴ー! アレを試してくれ!」」
「アレか!」
「アレ?」
一方、醜い手柄争いを傍観する界賊一座では、双子がテンションを上げていた。
「俺たち、もっと、兄貴と一緒に暴れたくて」
「姉貴に頼んで改造してもらったんだ」
いいのか。
「面白くなってると思うよー」
いいのか。
「へぇー、楽しみじゃん」
いいのか?!
戦隊ギアに倣って、赤の33番を裏返して発動すると、巨大カッタナーを飲み込んだワニ宇宙船が人型に変形し、胸に炎のマークを宿し、左手が巨大な剣となったツーカイオーカッタナーが誕生。
なんにでも感嘆するダイマ体質の白が歓声をあげ、カタツムリと痛快王刀、BSロボと全開王赤黄がマッチアップ。カタツムリは人工降雨によりフィールド効果で自らを強化すると剣を取って接近戦を挑み、流れ出す挿入歌の勢いと、雨中の激突の見映えにより、双方なんだか格好良く見えて恐ろしい。
カタツムリ爆弾を捌き切った真剣痛快王は、左手の刀に烈火大斬するとカタツムリをクロコダイルドッキューンし……超力痛快王の時はピラミッドで轢き潰してくれるのだろうかと、いやが上にも期待が高まります。
「今日はこれくらいにしておいてやる!」
あれ? 2対1? と袋だたきの危機を感じ取ったシーザーは、芸術点10.0の捨て台詞を残して瞬間退場し、完全に狙い澄まして、新兵器の初お披露目を界賊ロボに上書きされたステイシーの、果てしなき戦いの道はつづく……!
前回の引きで期待させた割には、BSロボがろくな戦闘シーンもなく背景に追いやられたのは残念でしたが、模倣元であるバトルフィーバーロボの特徴的な部分(刀・盾・鍬形)を受け継ぎつつ今風に落とし込んだ上で、“黒くて角が付けられる”悪役ロボの利点を活かしたシンプルに格好いいデザインで、今後のフィーバーを期待したいです。
「おいあーんちゃん。聞いたろ? 妹たちの気持ち。だからおまえももうちょっとー」
戦い終わり、ゾックスの肩を叩いたジュランは轟轟戦隊ボウケンジャーギアの力で《俺は既にいい事を言》……おうとしたが失敗した!(びしっ)
「一緒には戦ってんだろ。ただ、最後にケツ持つのは俺しか居ない。そういう事」
「いや、そういう事ってさー……」
界賊には界賊の積み重ねと流儀があるわけで、妹弟たちの気持ちを蔑ろにしているんじゃね? とゾックスを諭そうとするのは、多分にジュランの余計なお世話といった部分もあるのですが、今回単位だとジュラン、他人に文句を付けるだけ付けて活躍ゼロのあまりにも悲惨な扱いなので、今後に向けた仕込みと期待したいところです。
次回――なんだか地獄のような絵面。