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駆け足アギト

仮面ライダーアギト』感想・第15-16話

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第15話「勃発、女の戦い」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
 高熱で倒れた太一が癇癪を起こし、てんやわんやの真っ最中の美杉家を訪れる、そこはかとなく怪しげな女。
 出張中の美杉教授に依頼された家政婦を名乗る女――榊亜紀に母親の面影を見た太一は大人しく看病を受け……真魚ちゃんの視線が厳しい(笑)
 翔一は例の如く例のように亜紀に鼻の下を伸ばし……美女に弱い男性ヒーロー、というのは珍しくはないですが、ここまで露骨に脇が甘くなる主人公ともなると、なかなか珍しいでしょうか(主人公以外のレギュラーメンバーのキャラ付けとしては結構ありますが)。
 この辺りも翔一くんには“光の鈴村暁”(『超光戦士シャンゼリオン』)を感じるところですが、井上敏樹の作家的テーマとして“いい男”を書く為には、駄目な部分も書かなくてはならない、という陰影の付け方ではあるのかもしれません。
 警察では、機動隊と連携してアギト捕獲作戦の準備を進める北條が、上層部から却下された特殊ガス弾の使用を強行しようとし、謎のテープを独自に調べていた尾室は、音声が入っていた事を突き止め、それを増幅する。
 「こっちに来て……こっちに来て……」
 2クール目に入って、今度はホラーだ……!
 謎のテープに入っていた女性のものとおぼしき謎の音声、同じフレーズの繰り返しが普通に怖いのですが、G3チームはどうして平然と聞いてますかね……。
 一方、ダメな男共を籠絡し、着々と美杉家に入り込む亜紀は翔一と買い物に出かけ、高架線の影で上下を黒く潰し、連れだって歩く二人の姿をその間に収めてロングで見せるカットが、物凄く長石多可男
 浜辺に打ち上げられ、病室で目を覚ましてしばらくは人並みにショックを受けていた翔一くんだが……
 「どうやって立ち直ったんですか?」
 「はい。ある日目が覚めると、とても天気が良かったです」
 大変、翔一くんだった。
 前作『クウガ』には、「それでも日常は続いていく」というテーマがあったと思っているのですが、今作における翔一くんの現在肯定、今生きている自分をありのままに受け入れる態度――「世界はそこにあるし、私は生きている」(事への“気付き”)は、前作のそれを受ける意識があったのかな、と思う部分。
 俊速の辻斬り・ジャッカルアンノウンが出現して翔一くんはきゅぴーんし、鎌に対して久方ぶりの薙刀フォーム。何故かこの戦いを物陰から見つめて唇の端を持ち上げる亜紀は、アパートに戻ると何者かに連絡を取るが、その亜紀の家をなかなか出番の増えない涼が訪れて、つづく。

◆第16話「混沌、男の戦い」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
 「聞き覚えは無いですか。「あかつき号」という名前に」
 「……いいえ」
 手帳の名前を追い続ける涼は、亜紀の態度に不審を感じるとバイクで尾行を始め……基本的に、女の尻を追いかける男。
 ドラマ的に、涼と絡めるには女性ゲストの方がいいという判断があったのかとは思われますが、手帳の中から女性の名前だけ選んで探しているように見えて困ります葦原さん!!
 美杉家では太一と亜紀がすっかり仲良しで、この女は、敵だ……! とヒロインセンサーがレッドアラートを鳴らしまくりの真魚ちゃんは、引き続きご機嫌斜め。
 面白いか面白くないかはさておき、小娘は全部ダダ漏れだから扱いやすいわねぇ、と親切めかして部活の話題などを振りつつ、翔一と二人きりになった途端、「私が悪くて真魚さんを怒らせちゃったのかしら」とわざとらしく翔一くんに問いかける亜紀が、大っ変嫌な感じで、最終戦争に向けて軍備の拡張に余念がありません。
 一度は亜紀にまかれた涼は、翔一と涼が連れ立って歩いているのを目撃して困惑し、警察では不屈のメンタルで戦い続ける男・北條透が小沢と氷川に懲りずに厭味を飛ばし、無表情で「冗談ですよ冗談」と続けて誤魔化すスキルを最近修得しました。
 何かと北條を気に掛ける河野からラーメンを誘われるも断る北條さんですが、北條さんが「河野さん、私、ラーメンが食べたいです……」とか言い出したら、廃人一歩手前の危険サインなので、戦え北條透! 負けるな北條透!
 人間とは何か、について問答する病院の一室では、謎の青年が、冴えない営業マンの苦悩を沢木に体感させる謎の力を発動し、小川さんの一人芝居でたっぷりと時間を使うのですが……この辺りはまだ、不確定要素が多いので、不明瞭にならざるを得ないといった感じの見せ方で、ちょっとポカン。
 その中で、これも井上敏樹の作家的テーマといえる「俺を見てくれ」が営業マンの苦悩として持ち込まれるのは、今後の物語に影響してくるのか、書きやすい要素を持ってきただけなのかは、気になるところです。
 不機嫌真魚ちゃんは、氷川くんからテープに入っていた謎の音声について訪ねられるが心当たりはなく、父が隠し持っていたビデオテープの中身としては超ホラーなのですが、氷川くんにデリカシー機能はついていません!
 美杉家からの帰り道、本日も魚と交信している翔一くんを見かけて、思わずパトカーを降りて真似をしてみる氷川くん(笑)
 ところが、一緒に買い物をしていた亜紀が氷川くんを見ると表情を強張らせて慌てて逃げ出し、刑事の条件反射で思わず追いかける氷川……覆面パトカーを、さして広いとは思えない商店街の路上に放置して。
 「君! なぜ逃げるんです?! ……君は、どこかで……?」
 警察官に問い質された亜紀は、ストーカー候補生の葦原をけしかけ、口車に乗せられた葦原は、いきなりの顔面パンチ。
 これにてトリプル主人公の残り二人の顔面を殴った男になった涼ですが、思えばアギトとG3のファーストコンタクトも殺意溢れる肉体言語から始まったので、そういう世界観かもしれません。
 涼を足止めに使って逃走を続ける亜紀は、翔一くんと再開すると、胸の中にダイブ。
 「早く思い出して……! 私のこと」
 「え?」
 大変、いい感じに、こんがらがって参りました。
 翔一の恋人だったと主張する亜紀は、ヒロインセンサーがジャッジメントタイムを始めた真魚ちゃんによって強硬に美杉家を追い出された帰路、ジャッカルアンノウンの襲撃を受け、畑で考え込んでいた翔一くんのきゅぴーんに合わせて処刑ソングが流れ始める新機軸。
 だが、狭い空間でこそ本領を発揮するジャッカルの高速移動に翻弄されたアギトは自動車に埋まり、追い詰められた亜紀の窮地を救ったのは、葦原涼。
 ギルスに変身した涼はジャッカルに立ち向かい、逃げ去る亜紀、バイクを走らせるアギト……走行シーンが長いので、捕獲作戦がスタートするのかなーするのかなーと期待させておいて、スタートしないまま次回へ続いたのは肩すかしでしたが、ジャッカル怪人がアンノウンで初めて2話を越えて生き延び、次回に期待を持たせて、つづく。