東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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「君たちはそれぞれ、踊りの名手だ」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第9話

◆第9カイ!「世界海賊、愉快ツーカイ!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
 「色々あってステイシーザーを倒せそうだったその時、変な人が現れて勝利をかっさらっていったチューン!」
 ステイシーを「倒せそう」だったかにはプロパガンダ疑惑があるものの、これ以上なく簡潔にまとまった前回の出来事から、大興奮で謎の金色を取り囲む介人(新しい友達!)・ブルーン(知的好奇心!)・ガオーン(人間ちゅわーん!)。
 「おいおいおい、ちょい待てよおまえらー。ふつーもうちょい警戒しなーい?」
 良・識。
 「つかそいつ、ギア持ってんだぞ」
 軌道修正を図るジュランだが、介人たちはますます大騒ぎ。「賑やかなのは嫌いじゃないが……腹が減った」と金が口にして、OPを挟んで舞台がカラフルに変わると、駄菓子グルメを貪り食う男・女、更に手の平サイズの小型ロボ2体。
 「子分?」
 「誰が子分だーーー!」
 「妹のフリントだ」
 「妹?」
 「「俺たち、双子の弟」」
 「カッタナー&」「リッキー」
 4人揃って、痛快ゴールドツイカー一家、というよりも、劇団ゴールドツイカー一座。
 隙あらば歌って踊るミュージカルな一味はかなり強烈なキャラ付けで、本人歌唱か吹き替えかはわかりませんが、前回今回で「よほほいよほほいよほほいほい」がすっかり耳に馴染んでくるのはお見事。
 そして、ヤツデに続く生身の女性キャラとなった妹・フリントがスケ番キャラだったのは予想外でしたが、東映特撮の伝統的成分といえば成分でしょうか(笑)
 ツーカイザーの外見に関しては、
 「ああそれね。あたしがデザインぱくった」
 とゴーカイジャーを参考にした事が堂々宣言され、カイゾクトピア出身の一座は、世界から世界へと渡り歩く世界海賊、略して「界賊」を名乗る。
 全世界でただ一つ、のキーワードに大興奮する介人だが、腹を満たした一座は、介人たちに銃を向けると紐でふんじばって店中の商品を奪っていき、食い逃げ&強盗。
 「この後、どうすんの?」
 「ま、しばらくこの世界に居るしかないな」
 欲しいもんはこの手で奪い取る、と海賊行為を働いたゴールド一味は訳ありげに視線をかわすが、そこへヤツデによって解放された介人が追いついてくると、勝負を要求。代金支払いと、この世界を荒らさない約束を賭けた決闘を承諾したゾックスはワイヤーに捕まって船へと帰還し、ストレートに『ゴーカイジャー』スタイル。
 「どうなっておるんだイジルデ! あの時の貴様の失態のせいじゃないのか? んー?!」
 一方、トジテンドでは怒りの壁王様の床ドンが炸裂し、ステイシーも、跳ねた。
 「……あの時?」
 ツーカイザーに関してやらかし疑惑の浮上したイジルデは首をひねるステイシーをともなって対策に乗り出し、状況が錯綜・緊迫する中、夜の街に向けて、やたらいい声で柏餅電波が放たれていた……。
 「柏餅を食べた者は、柏餅中毒となり、柏餅欲しさになんでもするようになる。それが、カシワモチトジルギアのパワーであります」
 OPの、本編台詞チョイスが、「柏餅……」「柏餅」「柏餅ー」で爆笑していたのですが、手を変え品を変え色々と放ってきます。
 そして翌日、介人とゾックスの決闘が開始され、チェンジゼンカイそしてツーカイ。激しい戦闘のさなか、かつてトジテンドが海賊トピアに攻め込んだ折、逆に王宮に乗り込んだ兄妹が強奪した設計図などを元にツーカイザーが生み出された事が明らかになり、時系列としてはゼンカイザーの兄弟機みたいな位置づけでしょうか。
 特許権の問題がどんどんこじれていき、デンジパンチで銃弾を弾き返す白に対し、華麗なスウェーバックを披露する金(ボクシングスタイルはゴーオンゴールド成分か)。白熱する両者の戦いだが、突如として、柏餅が食べたくてたまらなくなる応援団のガオーン&マジーヌ。そして、宇宙船から観戦中のフリント。
 三者はそれぞれ柏餅を求めて闇雲に走り出し、バラシタラの作戦通り、街は柏餅パニックに。
 セッちゃんから連絡を受けて決闘を中断しようとした白を容赦なく背後から撃つ金だったが、騒動にフリントが巻き込まれたと知ると攻撃を中断。柏餅中毒患者らは、モンゴル騎兵のごとく街中を駆け巡っては柏餅を平らげていき、一足先に現場に向かった赤青は、ガオーンが転売屋に全財産を差し出すのを辛くも阻止(笑)
 だが、それはまだ柏餅作戦の序章でしかなかった。
 「おーい、みんなー。ゼンカイジャー倒したら、柏餅あげるカシワモチ」
 なんて非道な作戦なんだ(笑)
 「「ええっ?!」」
 「そーんな口車に乗っかるみんな…だったーーー!!」
 今回、バトル的な見せ場は無い一方で、ジュランのツッコミやリアクションが通して大変面白く、キャストのノリや言い回しがかなりはまってきた感じ。
 赤青は全力全開の群衆(黄桃含む)に追われてダッシュ逃走する羽目に陥り、ほくそ笑む柏餅だがその耳に響き渡る、よほほいよほほいよほほいほ~い。
 「俺の大事な 妹はめたの どこのどいつだ~」
 ここまで、食い逃げ・強盗・そして背後から射撃、と悪党丸出しだったツーカイザーが、拳を固く握り締める描写で家族への愛情は本物である事を示して好感度のフックを作り、オーソドックスではありますが、手堅い。
 怒りの金の提案により、柏餅ワルドを先に倒した方が勝者、とルールが変更されて白と金は猛然と柏餅ワルドに襲いかかり、互いの足を引っ張り合う経験値争い……はバトルとしてはあまり気持ちが良くないのですが、戦闘中、青い19バーンのギアを取り出して操舵輪にセットした金は、新しいダンスから、超力にレボリューション。
 「「熱血・超力! オーレン・フォームだー!」」
 エジプト風の青い装束を追加した金は、『超力戦隊オーレンジャー』主題歌イントロのアレンジが入ったメロディと共に「オーレ!」のポーズを取り、えええええ?!
 オーレン?!
 ここでオーレンなの?!
 本当にオーレンなの?!
 …………わたくし、『オーレンジャー』(というかオーレッド)大好きで思い入れは強いのですが、いざ『オーレン』がフィーチャーされると、何かの罠ではないかと思わず前後左右を警戒してしまいます(笑)
 額の数字も19に代わった超力ツーカイザーは、柏餅に飛び蹴りから連続パンチを叩き込み、更に強烈な右ストレート。
 「「熱い拳の、スーパーパワー!!」」
 ちょっと聞き取りにくい二重音声は、どうやらリッキー(弟青)との融合を示しているようで、成る程デザインはオーレンジャーロボからか、と納得。今回も情報量過多のツーカイザーは柏餅に猛ラッシュを浴びせると打ち下ろしのチョップを放ち、「「ほあたぁ!」」。
 ……超力、というか、実質、星野吾郎フォームですが、オーレンとはすなわち隊長であり隊長とはすなわちオーレンなのでバラノイアなんか怖くないのであり、続けて赤い33バーンを取り出した金は、またも新たなダンスから、弟赤のカッタナー(こちらはシンケンオーか)と融合して、シンケンにレボリューション。
 「「クールに侍、シンケンフォーム」」
 真っ赤な裃を羽織ってソードを展開するとシンケンレッドの代名詞的アクションである背中ガードも決め、こちらはつまり、殿フォーム。
 隊長フォームにしろ殿フォームにしろ、デザインとカラーリングは正直あまり格好良くないのですが(上っ張りの追加のみなのは、苦肉の策も感じなくもなく)、ダンス・変身・ダンス・変身、と勢いでグイグイと押し通してきて、情報量に続いて運動量も過多。
 それにしても、ステイシー、ツーカイザー、と新キャラ二人が立て続けに『バトルフィーバーJ』押しですが、考えてみると、冷たく固い機械の体のキカイノイド4人=ジャッカー電撃隊と捉えれば、ゴレンジャー+ビッグワンなゼンカイザー含めて初期3作の要素が揃った事になるのでしょうか。
 ……という事は、ゾックス周りが一段落して夏休み前ぐらいに、ドクター・ダイオとドクター・ミッチーがアース-45に帰還して、復讐と狂気と青春が入り乱れる可能性がひしひしと高まり、戦隊パワーを信じるんだ!
 与太はさておき、侍ツーカイザー(くしくも、強い赤繋がりではあり)は流麗な剣技で柏餅を追い詰めるが、白を牽制している間に体勢を立て直した柏餅による、まさかの真剣白刃取りからの秘技・柏手フォームを受け、吹き飛ばされてしまう。
 だが、突風に負けじと食らい付いた白が結果として大事な柏の葉を引っぺがした事で、ただのモチと化したワルドは柏手フォームを発動できなくなり、改めて侍金がツーカイ大斬刀でシンケンにドキューン(変身者はキザ系ながら、装備アイテムのやかましさは、歴代でも屈指の印象)。
 これにて邪悪な柏餅ハンガー計画は阻止されるが、もはや自発的にギアを踏んだ巨大兵士により、巨大柏餅ワルドが出現。
 「よーし、今日は、やる気満々だ!」
 「おまえマジこっからすげー頑張らないと俺許さないよ?!」
 いいとこなしだったガオーンが雪辱に燃えるも、立ち向かうゼンカイオー赤黄はあんこ攻撃でピンチに陥るが、強制分離でそれを切り抜けると一刀両断し……金のロボが登場して勝利をかっさらわれなくてホント良かったなガオーン。
 しかし介人はゾックスとの勝負に敗れ、カラフルを襲う経営危機!
 「ごめんヤっちゃん。俺、外で稼いで返すから!」
 責任を感じる介人、いっかくーせんきーん!と叫びながらヤバい仕事に手を出しそうで不安が募りますが、迫り来る三食おかずはタクワンと野草だけの窮地を前に、カラフルを訪れたのは、問題のゾックス・ゴールドツイカー。
 「柏餅は、あの時死んだ。俺が倒したのはただのモチワルドだ」
 戦闘中の態度などから予想通りの展開ではありましたが、やたら格好良く呟くので、破壊力の高い台詞に。
 「そこシビアなんだ」
 敗北を認めたゾックスは、介人との約束に従い、アース-45で海賊行為をしない事を宣言すると、釣りはいらねぇぜと札束を渡して去って行くが、それは日本円ではなかった……で、つづく。
 パイロット版担当の中澤監督に戻り追加戦士の本格登場回なのに、トジテンドが大変とんちきな作戦を展開する確信犯で、とにかく前回に続いて、情報量と運動量が過剰(笑)
 これから本格的な夏に向けて、踊りが省略されるのか、ゾックスが短パンTシャツ姿になるのか。
 キャラとしてはまだなんともですが、歌声は耳に残って良い感じなので、今後の掘り下げを楽しみにしたいです。
 全開に対する痛快であり、ゴーに対するツーであり、二つのフォームのツーでもある、と名前の含意も情報量の多いツーカイザー、近接系と射撃系に分けて、例えば「熱血・特捜・デカレンフォーム」(海賊に警察のパワーはさておき)なら前後左右を警戒せずに済んだのですが、近接武器系と近接格闘系という事で、歴代の拳法系戦隊を試しに当てはめると……
 「「熱血・光! マスク・フォームだー!」」
 「「熱血・五星! ダイレン・フォームだー!」」
 「「熱血・獣拳! ゲキレン・フォームだー!」」
 となり、ノリ的には「ゴッドハンド!」なマスクマンが一番近そうですが、マスク・フォームは、苦しかったか……。00年代作品であるゲキレンだと、獣拳が『ゲキレン』世界そのものになってしまいますし、白倉P作品だからこそダイレンジャーは敢えて外したのはありそうでしょうか。
 キャラコンセプトを考えると、格闘ありきではなく金戦士繋がりの一貫なのかもですが、今まで黒だと認識していたキングレンジャー、装甲は金色なので、金扱い……? とすればゴールド関連から選んだのが一番納得がいくところで(後確か、『オーレン』は玩具の売り上げは良かったと聞いた覚えがあるので、それも加味されたのでしょうか)、後は素直に喜ぼうと思います(笑)
 実際、「超力」という言葉は、今も昔もキャッチーだと思っているので、スポットが当たるのは嬉しい。
 熱血・クールに関しては、元の戦隊がどうこうというより、戦隊メンバーのキャラ付けとしてよく言われる単語を持ち込んだ感じですが……つまり、この後、「「残念・特捜――デカレンフォームでPerfect。uh~」」が出てくる?!
 そういえば、ホージーさんにも妹が居たな……と思いつつ、次回、早くもツーカイ一座の背景に迫りそうですが、既にOPを侵食しまくっているので、1クールの内に6人チームをひとまとめしてきそうでありましょうか。
 物凄い勢いで存在感を食われてしまったけど、頑張れ、魔界のタコ焼き王子。