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戦う事が愛ならば

地球戦隊ファイブマン』感想・第2話

◆第2話「父の仇! 母の仇」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 「久しぶりですね、ガロア艦長」
 銀帝軍を見下ろす高所を取ったファイブマンは、敢えて慇懃に語りかけたレッドが光線銃を構える仕草を見せつけ……憎悪が深い。
 「ガロア、その顔に傷をつけた子供、まさか忘れちゃいないでしょうね」
 「なんだと? ……まさか、あの時の小僧が!」
 ここで傷をなぞるガロアの目元のアップが挟まるのが実に長石監督で、合わせてふんだんに前回の映像を差し込む事で、胸に抱える過去への思いを強調していく演出。
 「そうだ! あの時の5人の子供は、地球へ帰っていたんだ!」
 「父さんと母さんの顔も知らず!」
 「ぬくもりも知らず!」
 「でも、兄妹5人、助け合って生きてきた」
 「そして、待っていたんだこの日を!」
 銘々が宣戦布告を叩きつけ――
 「おまえたちがいつの日か、必ず地球を攻撃してくる事を予想し、俺たち兄妹5人、地球を守る為の戦士となる事を誓った。
 それが地球戦隊! ファイブマンなのだ!」
 地球戦隊ファイブマンとは何かを力強く告げ、これまで見てきた戦隊シリーズの中でも、かなり震える滅茶苦茶格好いい名乗り。
 「俺たちは忘れはしない。あの日の事を。みんなの夢を踏みにじったおまえ達を、絶対に許さん!」
 「笑わせるな! 銀河無敵999個の星を滅ぼしてきた、ガロア艦長に勝てると思っているのか!」
 飛び降りる5人にサブタイトルがかかり、20年の間にたっぷりと熟成された復讐という名の美酒にまみれ、史上屈指の殺意の高さから、集団戦に突入。
 開幕戦という事で吊りも交えた大変気合の入ったバトルにBGMも盛り上がり、飛び回る赤の連続攻撃を受けて、割とダメージを受けるガロア(笑)
 黄が銀河の牙ザザと互角の格闘戦を演じ、青が亀怪人を殴り飛ばす中、銀河剣士ビリオンが黒と桃を切り裂いて高い戦闘力を見せるが、艦長は赤に押し込まれており、大丈夫なの銀河無敵999個の星を滅ぼしてきた(自称)ガロア艦長!?
 「ガロア、今度は顔の傷だけじゃすまんぞ!」
 「小癪なぁ……!」
 徹底して挑発していくスタイルが少し古めのヒーロー像を思わせる赤に対して、艦長は範囲攻撃を放つと、幹部を引き連れて、逃・げ・た(笑)
 なおこの際、銀河剣士が艦長の横でやたらジタバタしているのですが、艦長の範囲攻撃の威力を表現する為のリアクションを大げさにやりすぎたのでしょーか(単純に、演者さんが爆発慣れしていなかった可能性もありますが)。
 「ファイブマンとやら、生かしておくと必ずや災いを残す。なんとしても、この星もろとも抹殺せよ」
 再び虚空に浮かび上がったメドーがファイブマン抹殺を命じる一方、崩壊したニュータウン小学校の子供たちは近隣の学校にバラバラに転校する事になり、寂しがる子供たちを元気づける星川兄妹。教室跡の床には鉢植えに咲いたあの白い花が転がっており、頭上を飛び交うゾーン戦闘機の巻き起こす風に無情にも吹き飛ばされる事で、銀帝軍ゾーンとは何か、も徹底的に強調されます。
 アーサーから連絡を受けてゾーンの前線基地を偵察する兄妹だが、復讐の念に燃える健(次男)は遮二無二突入を図ろうとし、それを諫める学とアーサー。
 「頭を冷やせ。そんな無鉄砲な行動をして、父さんや母さんが喜ぶと思うか」
 「そうだよ。君達の一番の使命は仇討ちじゃない。もっと大切な事がある事を、教えてきた筈だぞ」
 「アーサー、もう君の説教は聞き飽きた。俺たちは人間なんだ。ロボットじゃない。学兄貴、俺はあいつらを許すわけにはいかない!」
 兄妹を突き動かす強烈な復讐心がしっかりと保持された上で、個人の怨恨か、もっと大きな正義か――価値観の衝突が素早く盛り込まれ、前回Aパートにおいて、ロボットのアーサーも幼い学も、あの日の出来事を胸に刻み込んで深い悲しみを抱えている上で、敢えてそれを押さえ込んでいるのがわかるからこそ、弟妹との対立が極めてドラマチック。
 「とうとう行っちゃったよ……僕は、母親代わりになって、一生懸命育ててきたつもりなのに……やはり、ロボットの僕は、本当のお父さんお母さんには、なれないのかな……」
 健を筆頭に下4人は基地へと駆け出してしまい、ロボットゆえの悲嘆を掘り下げてくれたのは嬉しかったですが、もう少し人間関係の基礎が明示されてからでも良かったのではとは思い、ここは少々、忙しく詰め込んでしまった印象。
 以前から知っていた主題歌はかなり好きだったのですが、映像付きで聞いたEDが、ファイブマンの歌である以上にアーサーの歌だと思うと大変沁みるので、真のチームアップの犠牲として8話ぐらいで退場しないといいなぁアーサー……そんな事になったら、EDの映像がメガトン級の重さに。
 健たち4人は警備兵のマスクを奪うと、「俺は言語学の天才。伊達に国語の先生はしてませんよ」を自称する文矢(三男)の謎宇宙言語を駆使して基地内部への潜入に成功し、潜入作戦のサスペンスを描くのは、ここしばらくの作品には少なかったアプローチ。
 基地内部には様々な被り物をした異星人兵士が配備されており、如何にも『スター・ウォーズ』以後なエキゾチック宇宙観といった感じですが、東映特撮では80年代前半~中盤に《メタルヒーロー》シリーズで小林義明監督が積極的に行っていた見せ方の取り込みといえるでしょうか。
 数美(長女)とレミ(次女)を捕虜と称してガロアの居場所を探ろうとする4人だが、待ち受けていたギンテイジャーに囲まれ……と思ったら、助けを求める姉妹の「文矢!」の叫びに揃って驚いているので、別に罠を張っていたわけでもなんでもなく、ただ無駄に高い所から笑いながら現れたり、幹部総出で捕虜の確認に来たのでしょうか。
 暇なのか、君たち。
 ドラム缶の中に隠れていた健も見つかって万事休すの状況で、ガロア艦長も高いところから笑いながら現れ、被ってる、部下と被ってるよ艦長……!
 「おまえ達の泣き叫ぶ顔を見てから殺してやりたくてな。待ち構えていたのだ」
 全て計画通りです、偶然ではありません、と主張する艦長ですが、そもそもこの時点では、名前や顔を聞いても星川兄妹=ファイブマンとわかる筈がないので、構成の詰めが甘くなってしまったのは残念ですが、艦長は、1000個の星を滅ぼした暁に取れる筈だった念願のバカンスの予定が大幅に狂いそうで、ちょっと錯乱しています。
 俺は地球を滅ぼし、『ドラクエ3』休暇に入るのだ! と艦長の号令一下、4人に銃殺の危機が迫ったその時、「オヤジと姐さんの仇じゃーーー!」サブマシンガンを肩からかけた学兄貴が、怒りの広島死闘編。
 アーサーも飛び込んできて兄妹を救出し、腰だめに銃を構えた学の姿に改めて少年の面影を見るガロア
 「おまえがあの時の……」
 「星川学!」
 ガロアの呟きに名乗り返すのが格好良くはまり、先の「それが地球戦隊! ファイブマンなのだ!」に続き、見せ場の約束事としての名乗りに物語内部での意味を持たせようとする工夫が非常にはまったパイロット版で、こういう仕掛けは大好物です。
 学はブレスレットから取り外せるVの字型のキーを掲げてファイブマンへと変身。
 「ファーイブレッド!」
 「健! ファイブブルー!」
 「文矢! ファイブブラック!」
 「数美! ファイブピンク!」
 「レミ! ファイブイエロー!」
 兄妹たちも続いて名乗って変身し、銀帝軍ゾーン全体に、「これが貴様らを地獄へ落とす顔と名だ」と叩きつける姿勢が、早くもファイブマンの基本スタンスを感じます(笑)
 「地球戦隊!」
 「「「「「ファイブマン!!」」」」
 「おのれー! 銀河無敵、不敗の神話を誇る銀帝軍ゾーンの恐ろしさを思い知らせてやる!」
 艦長は亀怪人を召喚し、まとめて吹き飛ばされる5人だが、すたっと着地(強い)。先代ターボレンジャーのTマークを胸に白く抜いたスーツデザインはスマートでかなり好きだったのですが、ファイブマンの3段Vマークも、かなり格好いい。
 「兄妹戦士! 必殺! ブラザーアタック!」
 5人はフォーメーションを組むと、それぞれの個人武器を用いた連続攻撃を放ち、最後はVソードでフィニッシュ!
 「銀帝軍の力はこんなものではないぞ」
 だが、全身が真っ白なスポンジめいた巨大なのっぺらぼうメカ・ゴルリンが出現すると、爆発した亀怪人に光線を照射する事で巨大亀怪人へと変貌し、今作の巨大化は、コピージャイアント型式。
 ナレーション「ゴルリンは、細胞活性エネルギーを、放射吸収することによって、自らの体を核にして、銀河闘士を、巨大銀河闘士に、再生復活する事ができるのだ」
 「見たか! 銀帝軍ゾーンの、銀河科学の恐ろしさを! はははははは!」
 カニ博士が博士らしいところを見せて、前回冒頭で描かれた「科学による死の星の再生」と、「死を振りまく為に使われる銀河科学」が対比され、前作では距離を置いていた「科学とそれを使う者」という、「青春」と並んで曽田戦隊の中核にあるテーマが再浮上。
 マグマベースから、スカイアルファー(戦闘機)・キャリアベーター(大型車)・ランドガンマー(小型車)が発進すると、巨大銀河闘士へと砲撃を浴びせてから空中で人型へと変形合体し、コックピット移動は潔くワープ(笑)
 「完成! ファイブロボ!」
 「あのような科学を持っていようとは!」
 「相当銭がかかっとるでぇ。ファイブマン、これまで戦ってきた相手とは違いまっせ」
 経理担当の銀河商人ドンゴロスの声優は、『マスクマン』のアナグマスが印象的だった神山卓三さんで、今回も非常にいい味。
 巨大亀のウルトラ団子アタックを受け止め投げ飛ばしたファイブロボは、飛び蹴りをお見舞いすると、超次元ソードを召喚。
 「銀河に一つのこの星を!」
 「「「「「守りたまえ!!」」」」」」
 格好いい決め台詞から、地球を背中に浮かべて放つ必殺剣で巨大亀を撃破し、これもちょっとした新機軸。
 緒戦で思わぬ敗北を喫した銀帝軍ゾーンは、戦艦バルガイヤーを北極に着陸させ、細長い戦艦が地面に縦に突き刺さる事で要塞基地となるのが、格好いいデザイン。亀怪人も迫力のある造形でしたし、前作に引き続いて、デザイン・造形面には期待ができそうです。
 ナレーション「この美しい星を滅ぼそうとする者。守ろうとする者。地球の運命を賭けて、野望と夢が激突する。戦えファイブマン。兄妹の熱き絆で、地球を、銀河を守るのだ!」
 暮れなずむ海に両親の面影を見る、星川兄妹とアーサーの姿で、つづく。
 復讐心にかられて無謀な突撃を行った結果、死地に陥った4人の反省や、健からアーサーへの謝罪が描かれなかった(救出時に「アーサーありがとう」「いいってことさ」という、やり取りはあり)のは気になりましたが、第2話もなかなか面白かったです。
 両親の復讐か、もっと大切な事か……今回で片付けた事にせず、キャラ回が一巡した辺りでヒーローチームとしてのジャンプアップが描かれてくれるとかなり好みなので、ちょっと期待したいところ。
 今作に関しては、「シリーズ初の兄妹戦隊」という事しか知らなかったのですが、驚いたのは、“両親から力と使命を託される”わけではなく、強烈な復讐心を動機付けにした構造。
 その点で、前作『ターボレンジャー』と比べると少し古いタイプのヒーロー像に戻っている部分があるのですが、ナレーションの言い回しなども含め、曽田さんの書きやすいノリに寄せたところはあるのかもしれません。
 それもあってか、新味に溢れるヒーロー像へのチャレンジというよりは、シリーズ過去作を彷彿とさせる要素が散見されるのですが、その一方で、源流(歌舞伎や時代劇)の文化文脈を離れ、形骸化した「約束事」だけが継承されていた要素に改めて意味を与えようとする、《スーパー戦隊》フォーマットの再構築への試みの一歩が踏み出されており、特に「それが地球戦隊! ファイブマンなのだ!」には“80年代戦隊”と“90年代戦隊”を繋ぐ中継地点としての輝きを感じました。
 戦隊シリーズ史において、一つの時代の区切りといえる今作が、どのような物語を紡いでいくのか、楽しみに見ていきたいと思います。