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馬に蹴られて死ぬのは誰か

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第50話

◆第50話「恐るべき大封印」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)
 「割れる! 割れる! 大封印が割れていくぜってんだー!」
 大地から巨大な炎が噴き上がり、遂に解ける大封印?! ……だが、そこから現れたのは暴魔108星、ならぬ、ドラゴン頭に錠前ボディの暴魔獣がただ一体。
 「ここは大封印ではない!」
 結構盛り上げていたのに、力強く断言されたぞ(笑)
 「俺は暴魔獣・フーインボーマ!」
 「なに?! 封印破りの名人として知られている、あのフーインボーマ!」
 ……刑務所に捕まっていた脱獄の名人、みたいな。
 大帝様は力たちに暴魔城からダイレクトアタックを仕掛けると封印ボーマらを回収し、ヤミマルとキリカを生け贄に大封印を解き放つように命令。
 一方、人の心の優しさを取り戻したキリカは負傷した力たちを気遣うが、その甘酸っぱい雰囲気は断じて許さぬ! と刃傷沙汰に及ぼうとするヤミマル。
 「離せ! 俺は……俺は……! ターボレンジャーを倒す! ネオラゴーンを倒す! 人と暴魔、二つの世界の王となるのだ!」
 「そうすれば……その心から、憎しみを捨ててくれるの?!」
 「……黙れ……裏切り者!」
 自分を虐げてきた世界への復讐に囚われ続けるヤミマルは顔を歪め、涙をこぼすキリカを殴り飛ばすと高速戦隊に襲いかかろうとするが、二人まとめて封印ボーマに捕まってしまい、粗雑に扱い続けてきたドラグラスに鷲掴みで運搬される因果応報。
 残された力たちも封印ボーマの鎖封印を受け、動きを封じられる大ピンチ。
 「ターボレンジャー、長い付き合いだったなぁ。これでお別れかと思うと……嬉しくて、涙が出てくるぜってんだ」


「しかし、相手が悪い」
「ズルテンだけはどうしても信用できない!」

 ターボレンジャーを吹き飛ばしたズルテンらは生け贄の儀式を始め、十字架にかけた上で火あぶり、というのが大変『ターボレンジャー』。
 「ヤミマル……なぜ私たちが生け贄にされたかわかる?!」
 「この期に及んで、なにが言いたいんだ」
 「これだけは知っておいてほしい……流れ暴魔は、この世で一番美しい存在だからなのよ!」
 「まだ自惚れる余裕があるのか!」
 「違う! それは心の事よ! 私たち、人と暴魔の垣根を越えて愛し合った人達の心を受け継いでる。それこそが、この世で一番尊く、一番美しいものなの!」
 流れ暴魔とは、二つの世界の境界を越えた存在であるからこそ、その身に尊い聖性を帯びている(ある意味では、だからこそ二つの世界のどちらにも属せないし、どちらからも犠牲になる)と告げるキリカだが、その尊く美しい心を憎悪に反転させる事をヤミマルはやめない。
 「たわけ! 俺たちを支えていたのは憎しみの心! それがあったからこそ、2万年を生き抜き、不死身のパワーを勝ち取ったのではないか! 何度もこんな目に遭ってきたのだ……負けるものか!」
 「あなたって人は……」
 徐々にその生命力を奪われていく二人だが、爆発に耐えた力たちが雁字搦め状態のまま儀式の場へと辿り着き、たとえ手足を封じられても、守るべき者の為に地面を這ってでも駆け付けるヒーロー像が鮮烈なものとなりました。
 「キリカ達を……キリカ達を死なせるわけにはいかないんだ!」
 力は縛られたままの飛び蹴りで儀式の封印球を破壊し、そのダメージにより、鎖封印の術が解除。
 「たとえこの身を封印されたとしても、正義に燃える心までは封印できないんだ! ――行くぞ!」
 「「「「おお!」」」」
 「「「「「ターボレンジャー!!」」」」
 「高速戦隊!」
 「「「「「ターボレンジャー!!」」」」」
 勝利のビクトリーポーズを決める一方で、フル名乗りからの揃い踏みは少ないターボレンジャーですが、迫るクライマックスという事でここはビシッと決めて、主題歌に乗せての猛攻。久方ぶりの組み体操GTクラッシュからVターボバズーカで、封印ボーマに遙かな眠りの旅をビクトリー!
 ……この戦闘に加わっていたウーラー隊長は、どさくさで死んだ事にされたのか、次回しっかりと殺されるのか……。
 巨大封印ボーマに対してラガーファイターを召喚するターボレンジャーだが、勝負にこだわるヤミマルがレッドを足止めし、黒がセンターでターボラガーはセットアップ。
 同時戦闘の趣向はなかなか迫力があり、赤とヤミマルは諸共に崖下へ。赤を欠くターボラガーは封印ボーマに追い詰められ、全てが暴魔百族の利になるかと思われたその時、暴魔城を飛び立ったドラグラスがヤミマルを援護すると、そのまま暴魔忍法火の鳥を発動して、自爆特攻で封印ボーマを撃破(笑)
 「ドラグラスがー! ドラグラスがーーー!!」
 その最期にヤミマルは絶叫し…………ネオラゴーンに鞍替えから、土壇場でヤミマルの救援に入ったのも唐突なら、そのままターボラガーを助けて自爆した成り行きは強引極まりないのですが、もともと流れ暴魔の守護神として鬼面ボーマの影響下にあったとすれば、なんらかのセキュリティシステムが内蔵されていたのでしょうか……。
 悲痛なヤミマルの叫びといい、ドラグラスの始末と、それにまつわる各人の動きは、だいぶ無理矢理に。
 「……ドラグラスさえも助けようとしたその命、なぜ大切にしないんだ!」
 ずっとヤミマルの援護に回る、或いはキリカを助けようとして結果的に封印ボーマを倒す、ならまだわかるのですが、通りすがりに爆撃したら突然の特攻だったので、赤の説得も頷きにくい事に。
 「ほざくな! 最後の勝負だ!」
 謎の転校生・流星光として登場してより30数話、幾度も拳をぶつけてきた両者の激突は、僅かな差で赤が勝利を収め、口の端から赤い鮮血を垂らすヤミマル。
 「なぜ……なぜトドメを刺さなかった……!」
 「キリカを悲しませたくない! キリカも、俺も、おまえを信じているんだ! この世で一番大切なものは何か、必ずわかってくれると」
 (……ありがとう、レッド)
 「はははは……ははははは……ははははははは! 馬鹿な奴……後悔するぞ、必ず後悔するぞ! はははははははは……はははははは! はははははははは、はははは……ヤミマル! 闇隠れ!」
 執念未だ途切れず、狂ったように笑い続けたヤミマルは、唐突に派手な技で瞬間退場。
 「ヤミマル! なんてことを! ヤミマル! 闇隠れまで使うなんて……」
 キリカがえらく深刻なリアクションなのですが、それはいったい(笑)
 そして、封印ボーマが死の間際に己の生命力を生涯最後の脱獄トリックに用いた事で、恐るべき真実が明らかになる。
 「大封印が、ターボビルダーの下にあったとは」
 えええええ(笑)
 灯台下暗し! まさしく驚天動地! 暴魔大帝ネオラゴーンが世界に向けて放つ破滅へのカウントダウンに立ち向かう青春のオデッセイ!!
 太宰博士とシーロンも含めた高速戦隊ターボレンジャー総体が、名実ともに地球を守る最後の砦となるのは想像を超えた展開で、ヤミマルキリカのコンビ結成後は、やや目立たなくなっていた太宰博士の引きの強さに愕然です(笑)
 ナレーション「遂に、大封印が破れ始めた。しかもそれは、ターボビルダーの下にあった! 果たしてターボレンジャーは、地球を守れるのか。そして、自らの命を削る、ヤミマル闇隠れの術に全てを懸ける、ヤミマルの運命は。――最後の、戦いの時が、迫る」
 ナレーションさんから闇隠れの術の重大さにも説明が入り、三つ巴の戦いの行く末はどこに辿り着くのか――次回、最終回!