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「恋って魔法みたいなものでしょ」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第3話

◆第3カイ!「マジでぬぬぬな魔法使い!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:香村純子)
 今作の料理の戦士は、黄色。
 私調べ(※〔料理の戦士達/ものかきの倉庫〕……割と気に入っている記事だったり)の、『ギンガマン』以降の歴代戦隊の料理担当者では、スパーダ(『キュウレンジャー』)以来の黄色ですが、餌付け、という言葉がちらつき(以下略)。
 今日も今日とてゼンカイジャーのメンバーを探す介人たちだが、店を出た途端に凍り付いた地面に足を取られ、氷ワルドの作り出した氷結フィールドにより敵も味方も大混乱。
 滑って転んで吹き飛んでいった介人たちが出会った桃色のキカイノイド・マジーヌはジュランと旧知の仲で、内気で人見知り、アース-45世界に順応できずにいたマジーヌを、うちで面倒見てやる、とヤツデが暖かく迎え入れると、
 「そんで、一緒にゼンカイジャーやろうよ!」
 介人が当然のようにエリア88行きの契約書にサインを求め、ここでほのぼのBGMが途切れるのが本当にタチ悪いですね!!(今回一番笑った箇所)
 さすがに赤いおじさん(この戦隊の良心)が止めに入ると、マジーヌの趣味は占い、に介人は食いつき、一同はマジーヌの水晶玉占いに従って、氷ワルドを探して東奔西走。
 凍結した世界を書き割り的に使ったシーンが続くのはかなり思い切った演出になりましたが、屋外ロケを減らしたい事情などもあったのでしょうか。
 スカイツリーに向かうと第1話の警備員に制止されるのは良いネタで、同僚がキカイノイドなのも、引き続きさりげなくも気持ちいい世界観の見せ方です。
 その後も当たらない占いに導かれ、サウナ行ったりオバケ屋敷行ったりのドタバタの末、いい加減に飽きてきたガオーンがきつい言葉を投げつけると……ぷっちーんと切れたマジーヌは猛然と反論。
 「知らない癖に雑に否定すんなぁっ!」
 キカイノイドには当たりの強いガオーンと、内気で自信が無いタイプのマジーヌは相性が悪そうでしたが、最初にマジーヌがガツンとやる事で、あまり刺激しすぎない方がいい、とガオーンが学ぶ形に(笑)
 「占いって……当たんなきゃ駄目なの?」
 「……おい、占いの存在意義を揺るがすな」
 「だって……外れても笑えるじゃん。次どうしよっかなーって迷っても、占い見て、とりあえずこうしようって動いたら、なんか起こるじゃん」
 (そうだ、自分が占い始めたのって……)
 マジーヌは幼少期、ジュランと子供たちが遊ぶ輪に入るか入らないかを花占いで決めた出来事を思い出し、キカイフラワーの小道具がいい味。
 (自分の背中を、押したかったからだ)
 そして、昼間っから近所の子供たちと陽気に遊ぶ赤いおじさんは、どんどん、かつて伝説の傭兵だったルートが固まっていきます(笑)
 誘拐事件とかを、シルエットで解決するタイプ。
 「俺はマジーヌの占い、好きだな」
 介人は笑顔を浮かべ、冒頭の占いが当たった結果としてマジーヌに出会えたのではなく、思い切り外れたけど踏み出した結果として何かが起こったのだから、そのきっかけでいいんだよ、とポジティブ消化。
 そこにセッちゃんから、ウミネコ埠頭を中心に広がった凍結フィールドが海まで凍らせていると連絡が入り、現場へ向かった一同は、タンク隊長&氷ワルドと遭遇する。
 「介人さんの仲間になってみたい……でも、怖い……」
 物陰から様子を窺うマジーヌは、水晶玉の中に光を見るとソリで参戦し、占いを通じて、過去と未来の“踏み出す勇気”を繋げる綺麗な構成。
 「とにかく、コオリギアの力で、貴様らを滅ぼしてやるということでアル!」
 「そそそそ、そんなことさせない! せっかく開けそうな新しい世界、潰されてたまるか!」
 そしてマジーヌが踏み出し、守りたい場所を「新しい世界」と表現する事で、人と人の出会い(ミクロ)-世界と世界の出会い(マクロ)が照らし合わされ、今作の構造とピッタリと重なり合うのが、鮮やかに決まりました。
 3話連続殺しのイニシエーションはやらずに、暴発騒動を挟んで、4人は変身。リズムに合わせ、左サイドの二人→右サイドの二人、と順番に回転するのが格好よく、29バーンで
 「魔法パワー! ゼンカイマジーヌ!」
 が加わり
 「4人合わせて!」
 「「「「機界戦隊・ゼンカイジャー!!」」」」(※縦並び)
 氷上を歩ける仕様の戦闘員に苦戦するゼンカイジャーが、凍り付いた海の上に投げ出されたところでセッちゃんからトッキュウジャーギアを使えとアドバイスが入り、名乗りの縦並びを伏線に38バーンで連結攻撃。更に魔法パワーでスパイクを作り出し、滑り知らずとなると主題歌インストバトルでの反撃から、矢印を突き刺してチェックメイト
 今回も巨大氷ワルドが誕生すると、赤黄が巨大化変形、から容赦なく強制合体(笑) 続けてマジーヌがドラゴンとなると赤桃合体でゼンカイオードラゴンが飛び回り、前回のキノコの世界に続き、氷の世界を背景にスピーディーな変形合体をテンポ良く見せながら、CGをふんだんに用いた奥行きのあるフィールドでの戦闘には、新しいタイプの巨大戦を、という意気込みが窺えます。
 巨大氷ワルドの撃破により、コオリトピアが解放され……次回――待てばメガネがやってくる?
 ドラゴンはフォルムが格好いいですし、ウケるといいなぁ……。
 前作終盤、『星獣戦隊ギンガマン』以来の《スーパー戦隊》参加となったベテラン田崎監督が、以前より「一番難しい」と語っている3-4話を任されたのは付き合いの長い白倉Pからの深い愛を感じますが、非人間キャラの見せ方や、世界の融合度合いなど、描写の基準をどこに置くかが難しい作品世界という事もあってか、パイロット版とバッティングしないように全体的に抑えた作りになった印象。ここから次をどう持ってくるのか、楽しみです。