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煌めきのレコンギスタ

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・簡易総括2(長い)

 メイン回と共に振り返る主要キャラクター編。
 の前に一つ訂正事項として、前回の簡易評価リストについて、
 〔第4話 △〕 → 〔第4話 △ 姫〕
 と修正します。よくよく確認したら完全に姫回だったので……これで姫のメイン回は〔6(2)〕となり(※()内は単独メイン回)、
 〔赤:9(4) 黄:6(3) 緑:5(2) 青:6(1) 桃:6(3) 姫:6(2) 銀:9(2)〕
 数字的には完全に、キラメイメンバーと同格という事に。
 以下、筆の趣くまま思いつきで。
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◆“ひらめきモンスター”熱田充瑠
〔メイン回:2-3-8(単独)-14-20(単独)-28-36(単独)-40(単独)-41〕

 ストーリー上の重要イベントなどを無視して、とても大雑把に48を6で割ると8なので、通常、8話以内にメイン回が来ればそれほど不足感が出ないのかな……と思われますが、そういう視点で見るとバランスは悪くない一方、前半スポット不足のイメージが付きまとったのはまず、第14話の銭湯回の出来がいまいちだった、というのはあるでしょうか(メインの比率も銀寄りですし)。
 また、4人のスター+1人の自称凡人、といった構図で始まった事から、充瑠と個々のメンバーの絡みは多い構造なのですが、その中で幼少期やスタイルへのこだわりなど“各自の事情”が明らかになっていく一方で、“充瑠の事情”はほとんど見えてこない為に、いまいちつかみ所のない主人公という印象が強まったように思われます。
 ここにオラディンとの同調や強烈なひらめキングが輪を掛けるわけですが……実際のところ、充瑠に関して不穏な初期構想が存在したのかどうかは、少々気になるところ(笑) 最終的に「予言」や「伝説」といった要素がカットされて「偶然」に落着した事を考えると、当初はもっと「運命」を核にするつもりだったのかな……という推測はできますが。
 個人としてのつかみ所のなさ(&不穏な気配)はともかく、チームの中の充瑠-キラメイジャーというチーム、のまとまりが早かったのは今作の特徴といえ、戦隊40年強の蓄積をぎゅっと凝縮した上で、2-3話にして充瑠という存在を中心において「キラメイジャーとはどういうチームか」をおおよそ確立してみせたのは実に早業。
 為朝の充瑠に対する意識も第5話で描かれて以降は安定し、第8話まででチーム内のヒエラルキーも確定。
 とにかくチームの完成が早かった上で、2-3話で掲げられたテーゼが最後まで作品を貫いた点は、『キラメイジャー』という作品の大きな底上げになったかと思います。
 そしてこれは、“スタイル重視”の作風を加速させていくわけですが、あまりにもスタイルの確立が早かったが故に、充瑠に関して何かひっくり返しがあってチーム全体に揺さぶりがあるのではないかと思わせた(視聴者が誤認した?)が、そこをひっくり返さないでスタイルを堅持し続けたのが、今作の選択であった、といえるでしょうか。
 19-20話で学生生活の実在が証明された後は、第22話のvs沼女、第26話のゴーアロー制作、と構造的にはメイン回と言いがたいながらも相応の見せ場を貰っており、基本的に新装備と紐付けられる事もあって、動かしやすい主人公であったのかな、と。
 その上で、ひらめキングという出鱈目スキルを所有するも、最年少かつ他人を立てるタイプなので、ワンマン化しなかったのは個人的に大変見やすかったポイント。とにかく、短所を無視してリーダー(赤)一人が“チームの理想像”扱いされる作劇が苦手なので、それが回避されたのは助かりました。
 離島漫才の次は、おもちゃ回が準メインといえる扱いで、最終章を控えた年末ギリギリに作品屈指の傑作ラップ回が間に合い、「ファイヤとの関係は第1話で完成していた(から改めて掘り下げる必要がなかった!)」と提示してきたのは力技ながら納得の行く内容で、二人の自分の本心を音楽(ラップ)に乗せて口にする、というのが今作が積み重ねてきたものと合致したのは本当にお見事でした。
 そこから最終章、クランチュラとの交流を中心に“閃き無罪”に流れ欠けたのはやや危なっかしかったですが、序盤から貫かれる“物事の本質を見抜く目”に納められ、まあ、それはそれとしてクリスタリアの国民感情からするとやはりクランチュラの扱いはどうなのか……落ち着いた頃に姫様と宝路から暗殺部隊が派遣されても文句は言いにくいですが、下手にクランチュラを排除してヨドンヘイムにタカ派政権が誕生しても厄介なので政権運営が安定している内はその首預けておくが畳の上で死ねるとは思うなよ……と深く静かに怨恨が蓄積されていそうな気はしないでもなく、恐らく、莫大な賠償金が支払われております(キラメイ像の建設資金に消えました!)。
 充瑠個人に関しては、最終回の姫様の、
 「充瑠さん……あなたは不思議な方でした。おどおどしているけれど、弱虫ではなくて」
 があまりに的確すぎて、特に書く事がないかな、と(笑)
 熱田充瑠/キラメイレッドとはどんな主人公であったのか、を示すのに、これ以上なく簡にして要を得ていて、TVの前でちょっと敗北感さえありました(笑)
 直後に最後までオラディン王を引き合いに出すファイヤが、前話とラップ回で上げた株を自ら叩き落としに来て、ほんとファイヤって感じでしたが!
 充瑠に関する不満をあげると、やはりオラディン王との関係性になるわけですが、世界を越えた同じ感性の持ち主、はまあ良いとしても、最後の最後までオラディン王の後追いになってしまったのは残念であり、この辺りは、デカマスターだったりブレイジェルだったり仮面ライダースカルだったり、“偉大なる先達”に対する塚田Pのこだわりが出た部分ではありましょうか。
 その部分は最終的に“継承があってこその創造”という形に納められはするのですが、先達の偉業は踏まえた上で、「おまえはおまえの閃きを見つけろ!」でも良かったような気はするわけで。
 あと、最終回で「素敵な偶然」にまとめられたり45バーンの世界と交信した事で、作り手というよりも霊媒体質/シャーマンに寄った気はしますが(まあ、閃きと霊感には近似の面もありはしますが)、考えてみるとクランチュラさんは明らかに呪術師モチーフなので、やはり『キラメイ』世界には、天啓を与えて命を弄ぶ(以下略)
 ……Vシネマのラスボス候補についてはともかく、気の弱いところはあるが根っこのメンタルが太いので、過度に卑屈にならずに決めるとことはビシッと決めてくれるのが一貫していて、バランスの取れた主人公でありました。
 「俺は、地球の平和も、みんなの未来も、どっちも守りたいんだ!」

◆“冷静と情熱の間”射水為朝
〔メイン回:5(単独)-11(単独)-17-25(単独)-34-39〕

 ポジションとビジュアル的に、当初は“残念クール”か、“ちょっと突っ慳貪な突っかかり系”かと思われた為朝ですが、第2話で早くも、あれこいつ凄く真面目な奴なのでは……? と思わせると、序盤のメイン回二つで、真面目でいい奴像を確立。
 以後その路線が堅守されると、シビアな戦力判断も時にきつい物言いも、仲間とチームの為に最適解を求めるがゆえであり、端々で見せるさりげない気遣いに、繰り返し悶絶させられる事になりました(笑)
 手堅い戦術と大胆すぎる閃き、共に仲間の事を思うからこそ、お互いに持っていないものを認め合う充瑠との関係も綺麗に収まり、リーダーとサブリーダーのコンビ関係としてはかなり上手く嵌まった印象。
 そして何より、作品通して、為朝の“真面目さ”を茶化さなかったのは、大変良かったです。
 為朝については感想本文で事あるごとに騒いでいたので改めて書く事はあまり無いのですが……一つ意外だったのは、年明けのシャドン回で1回プラスかと思ったら、数字的にはトントンだった事。まあ、バンド回でボーカルを持っていくとか、小夜デート回で本人よりテンション高いとか(主な被害者は小夜……)、事あるごとに目立つ出番を稼いでいたというのがありますが、総じて目立つ存在でありました。
 主人公との絡み、追加戦士との絡み、を除くと、意外とコンビ回の少ない今作ですが、小夜の存在感を強める為には、黄×桃回をやって、正面からねじ伏せる必要があったのかもしれません……。まあ基本的に為くんは小夜ねぇ好きなので、二人のメイン回は純粋に見てみたかったところはあります(笑)
 個人的に2021年屈指のヒットキャラで思い入れが深いですが、真面目で気遣いが出来て反省もするが陰に入りすぎない参謀ポジション、というのは、作風ともがっちり合って、シリーズでも出色のキャラになりました。
 「どんなに傷ついても、仲間を救いたいという気持ちが、俺たちを強くするのさ!!」

◆“元気・陽気・突撃”速見瀬奈
〔メイン回:2-9(単独)-16-27(単独)-37〕

 精神年齢が近いという事もあってか、一番最初に充瑠と絡んでキラメイジャーのチームスタイルを確立するのに一役買った突撃娘。
 一家に一台置いておけば、あまり計算しないでも役に立ってくれるタイプであり、チームのアクセントとして華やかな明るさを提供してくれた一方、役者さんの容姿もあってナチュラルに十代にしか見えなかったのは良かったのか悪かったのか(笑)
 小夜が“大人っぽい”担当だったのでその差別化もあったのでしょうが、では“可愛い”担当だったかというとそこは姫様とクランチュラさんからの突き上げが厳しかった為、気がつくと“反射神経”担当……ではなくて、姫様がそれなりに思い悩むポジションだったので、“明るい”担当に落ち着く事に。
 そんなわけで、メイン回の配分は1回少ないもののチームのアクセントとしては存在感を発揮しれくれたのですが(これが活きたのがマシュマロ回)、キラメイメンバーが基本的に、場の空気をコントロールする意識の持ち主の集まりだったので、天然系ムードメーカーの必須性が弱かったのは惜しまれる部分でした。
 終盤にマッハの台詞で補強されるような、瀬奈の明るさがみんなを救う! みたいなメイン回が一つあれば違ったかなとも思いますが、基本的にキラメイメンバー、一流アスリート級のメンタル持ちなので、回復早くて(笑)
 メイン回の配分でいうと、16~27、27~37の間が少し空いているのですが、この間に何をしていたかというと、姫様オンステージ(第23話)、姫様オブカラテ(第35話)なので、ヒロイン力もろとも露骨に姫様に食われた形。
 マスコットポジションとしては充瑠と競り合う形となり、不憫というか不幸というか、入りたいところに強敵が多いチームでしたね……。
 メイン回では無いのですが、個人的に一番好きなのは、
 「ペチャット参上!」
 「ペチャット妨害!」
 「「ここから先へは、行かせないペチョー!」」
 は、ノリノリで付き合ってくれるのは瀬奈だけ感があって良かったです(笑)
 単独メインで過去も描かれた第9話は傑作回だったのですが、ゲストヒロインと邪面師のインパクトの方が強くて……どっちを向いても、敵が強い!
 そんなわけで今作の女性メンバーは、充瑠・マブシーナ・クランチュラ、と刺客が多かった……と思うところでありますが、最終回、満面の笑みでの顔出し変身は大変らしくて良かったですし、第2話と最終話のバトルを“走る”で繋げてくれたのは、会心の一撃でありました。
 「あたしらしく思いっ切り突っ走らせてもらうから!」

◆“ 芸人 俳優魂”押切時雨
〔メイン回:3-10-15-21(単独)-28-34〕

 アニキは第3話が傑作回だったのに加えて、“押切時雨とはこういう男である”というのをパーフェクトに示せたので、極端にいえば以後、その貯金だけでも食べていけたという、シリーズでも屈指の先行逃げ切りタイプでしょうか(笑)
 その後のメイン回も基本的に、意外な一面を見せるというよりも、第3話で示したベースに、崩しも含めて厚塗りしていく形となり、そういった積み重ね方は、役者さんが今作以前に特撮ヒーロー作品(『牙狼-魔戒ノ花-』)にレギュラー出演していた分の経験値が活きた面があったのかもしれません。
 実は、単独メイン回と言えるのが釣りぐらいで、しかも回の中心がマブシーナの呪いとリバースストーンにあるのでキャラ回としては微妙だったのですが、万力・だるまさんが転んだ・ハコブー漫才・イケてる二人、とそれ以外のメイン回が名作揃いで、エピソードにはかなり恵まれた印象。
 崩しの過剰傾向がやや好みから外れるところはありましたが、終わってからトータルで考えると、黙っていればハイスペックイケメンな為朝と二人、時々ハイテンションで奇声をあげるぐらいで丁度良かったのかもしれません(笑)
 で、為朝は戦術、時雨は剣アクション、で見せ場を作りやすいのがおいしく、日常では多少抜けたところを見せても挽回しやすいのがキャラ強度に繋がり、同時にそれがアクションをより映えさせるのは、構造が上手くはまる事に。
 あと個人的には、今作における相棒関係で一番上手く行ったのは時雨×ジェッタだと思っているのですが、チヤホヤされる事で煌めきを増す戦士たちの中においても、最も賛美者の必要な――そしてその賛美にふさわしいスターであろうとする――タイプが時雨なので、純粋にアニキを尊敬している、そしてアニキのようになりたいと思っているジェッタが常に側に居るという事が、時雨を成立させる背骨として非常に良かったなと。
 「ジェッタ! ヘリコ! まだ飛べるか?!」
 「それは飛べって意味だよねアニキ……!」
 は、作中でもトップクラスに好きなやり取り。
 そんなわけで基本的に、
 「なんせムチャクチャに…………よ……ムチャクチャ惚れちまった女が……あそこで俺を見てるんだ…………カッコ…………つけねえと……なあ」(マンガ『俺たちのフィールド』(村枝賢一)より)
 な人であるアニキが、最後にダブル「格好いいです!」で讃えられたのは、一年間のタメが効いた、見事な見せ場でありました。
 「ヒーローは、黙って耐える。このタメが、その後の見せ場を引き立てる」

◆“キラメイジャーの女帝”大治小夜
〔メイン回:6(単独)-10-12-24(単独)-32(単独)-37〕

 で、今回の不憫枠というか……予想外に伸びなかった小夜ですが、メイン回の数字上は他キャラと遜色ないものの、第12話は初登場のシルバーが中心、第24話はラストのおいしいところをボーカルの為朝に持っていかれ、第32話はキャラ回としても悪くなかったものの、大決戦前後編の前編という構造上どうしてもスッキリしきれず、第37話もヨドン皇帝にかっさらわれ……時雨とは逆に、エピソードに恵まれなかった感があります。
 また、メイン回でスポットを当てた要素がその後に引き継がれにくい傾向もあり、第6話の「絶体絶命の時ほど、燃えて輝く」はヒーローの基本スキルで目立たず、第10話の王子様ムーヴは実質一発ネタ、第12話の宝路との絡みはさっくり消滅、とキャラの連続性が上手く構築しきれなかった印象(なので、バンドとか、結婚問題とか、中盤のキャラ回の要素が割と唐突)。
 もういっそ、第10話を拾った上でつかさ先輩路線を更に進めて、出会う女性を片っ端から口説くキャラにでもなれば個性が出たかもしれませんが……結局、投げ・締め技使い&高ヒエラルキーが残った結果、優秀かつ隊内ヒエラルキーが高すぎてかえって動かしにくいポジション(小夜が率先して動くと、皆がそれに従った上で事態が解決してしまう――しないと物語的に不自然になってしまう――)に、どっぷりとはまってしまう事に。
 そんな女帝政権を揺るがす期待を背負った宝路とのラブコメ要素は瞬殺されてしまい(やはり、助けた報酬にキスを要求がまずかったのか……)、かえすがえすもこれは痛かったな、と。ラブコメそのものは明確に引っ張らずとも、身内がツッコミを入れにくい女帝一強体制に崩しを入れられる可能性はあったのですが……気がつくと、むしろ軍門に降っていました。
 強キャラ動かしにくくなる問題の解消法として過去作では、赤と個別の関係性を強めさせる、という手法が何度か用いられていますがこれは選ばれず、残る活路を見出すとすれば、メンバーでは最も距離感の近かったマブシーナとの関係性でしたが、そちらは必然的に宝路に譲る事となり、どうも年間通して、キャラクターとしての金脈を掘り当てられなかった、といった感。
 後これは時雨にも言える事ですが、年上コンビ回だった第10話が、「ト音記号のおじさん」は抜けて面白かったものの、コンビ回としてはこれといって化学反応が生まれず、その後の加速剤になり得なかったのも、残念だったところです。
 むしろ第3話の
 「遅れてすまん!」
 「また戦国時代から来てくれた」
 とかの方ががちょっとしたやり取りからいいダシが取れていて、こういうのがもう少し欲しかったなと……。
 ラスト2話でこれといって印象的な台詞が無いなど、物足りない印象が強くてネガティブな話が主体になってしまいましたが……終盤に変な弱みを作らずに、強キャラを貫いた点は、良かったと思います。ヘリコと気が合うちょっと変なセンス、というのが恐らく愛嬌として用意されていたのかとは思うのですが、その辺りはコロナ禍で活かしにくくなった部分だったのかもしれません。
 アクションえげつない系ピンクの系譜としては、極めて撃つスタイルは、格好良かったです。
 「いい子は、余計な事言わないの」

◆“昭和から来たワンダーディガー”クリスタリア宝路
〔メイン回:12(単)-13-14-15-16-17-18-35-38(単)〕

 最初からキラメイシルバーでありつつも、異分子系追加戦士として登場当初にきっちり全メンバーと絡んだ為、メイン回は主人公の充瑠と並ぶ最多9回ですが、「宝路の言行の謎」がそのまま「物語の謎」という構造でもあったので、もうひとつパーソナルな部分の掘り下げが弱かった印象(シスコン要素を除くと、マシュマロ回ぐらいでしょうか)。
 これはそもそも宝路が、クリスタリア製改造人間第1号という昭和ヒーロー性を背負っている為でもあるのですが、意図的な部分も含めて、定職に就いていない&クリスタリア時代の描写も終始ふわっとしているのが、“個人の私生活(やりたい事)を犠牲にしてはヒーローとして輝けない”という今作のチーム像からはどうしても浮いてしまい、掘り下げたい部分のピントが全体のそれと合わなくなってしまった感はあります。
 その為、「マブシーナ(クリスタリア)を救う為のお宝探し」(個)と「地球を守る為のヒーロー活動」(公)は別物だと置くのですが、ドリルも使えば変身して戦いもするお宝探しを、ヨドン軍の戦いとは別の私生活です、と意味づけるのは苦しかったなと。
 加えて宝路には、公人(王子)の立場を捨てて妹を救う為に一度は国を出たが、解呪を機に「皆様のヒーローが、わたくしのヒーロー」となる経緯を第22話時点で辿っているので、キラメイジャーのチームとしてのテーゼからは外れ気味になってしまった上、諸事情による別行動の多さから、キャラの馴染み方の割には一体感が弱めの追加戦士、となった印象。
 フェニックス化から外れているのを含めて、ある程度は意識的(メガシルバーとかゴセイナイトの系譜狙いだったのか?)と思われますが、どこか、実年齢ダブルスコアの現実も感じてはしまったり(笑)
 パーソナルな部分の掘り下げ、という点では、登場当初の絡み方を見るに、もっとガルザとの関係性を重視していく想定だったのではと思われるのですが(そうするとクリスタリア時代も自然と描けますし)、オラディンの復活もあってかガルザの執着が宝路から離れ気味になってしまった事もあってスポットが外れてしまい、第38話はそれもあってやや取って付けたような感じに。
 その一方で、宝路の存在は今作の裏主人公であるマブシーナの掘り下げに大きく寄与しており、今作における宝路の真の貢献は、マブシーナとの関係性、といえるかもしれません。
 “昭和の男”要素を含め、キャラが薄いわけでも悪いわけでもないけれど、もう一つポテンシャルを発揮しきれなかったイメージはありますが、呼べば飛んでくる魔法のドリルは、好きな装備品でした。
 「よく戻ってきた! ワンダーグレートだ!」

◆“クリスタリア流空手正統後継者”マブシーナ
〔メイン回:(0)-4(単独)-15-18-23(単独)-35-39〕

 そして、本作の裏主人公にして真ヒロインたる姫様のメイン回は、物語の背景説明〔(0)-4〕、宝路登場から解呪と新たに踏み出す第一歩〔15-18-23〕、終盤のまとめへ〔35-39〕と3ブロックに別れており、解呪により一度スポットが外れた後、第35話はカナエマストーンの前振りになってはいるもギャグ回、第39話はこれまでの積み重ねを踏まえている割に着地がズレる、と前半から期待した高さには届かないかな……と思ったところからラスト2話で奇跡のジャンプを決めてくれて、つまりラスト2話は実質的に姫様回といっても良いでしょう!
 力なき亡国のプリンセスが再起して仲間を得、かつて救えなかったものを救う強さを徐々に身につけていく……そんな丁寧な成長の描写があった“マブシーナの物語”が、最終的に今作の芯を貫く事になりましたが、一時フェードアウト気味だった事を考えると、内部では“充瑠の物語”との綱引きがあったりはしたのかもしれません。
 そう見ると、メイン監督回の第35話で、ギャグテイストとはいえ叶えまストーンにも触れるエピソードがマブシーナメインだったのは、姫様にとっての再助走であったのかなと。続く第39話では、キラメイ側の発言が微妙に首をひねるものの、キラメイストーンにとっての“導く者”としての存在が明示されてラストへの補助線にはなっていますし、ラスト2話でミラクルジャンプを決める前提で振り返ると、姫様復権のターンといえましょうか。
 では、身を潜めていた第24話~第34話の間に何をやっていたかといえば、グレイトフルフェニックスが誕生(オラディンが復活)したりしていたわけですが、ここで実質的に姫様を無視したのが、ストーリー上の難ではあり、ここでもオラディン問題が火を噴きます(笑)
 とにかくオラディン周りは、充瑠にしろガルザにしろ宝路にしろマブシーナにしろ曖昧な対応に終始し(故に、唯一、関係性をきちっと描いた博多南回が光る怪我の功名はありましたが)、今作の“ストーリー”部分を濁らせてしまったのは、重ねて惜しまれるところ。
 そして“充瑠の物語”と“マブシーナの物語”、という二つの軸を考えると、40話台のカロリーくん、クランチュラとの交流は“作り手”充瑠の物語であり、そこに“導き手”マブシーナの物語を連動させきれずに若干の分断が生まれてしまった面はあるかもしれません(故に、簡単に解決できる問題ではないというのもありますが、マブシーナとクランチュラは絡まない)。
 そこが綺麗に繋がれば(その間にガルザとオラディンが上手く入れば)、『キラメイジャー』そのものが、もう一つ二つ跳ねたのではないか、というのは、年間通して出来が良く楽しい作品だっただけに、今作の総括としてはどうしても考えてしまうところです。
 とはいえ、アクティブな面もきっちり取り戻し、エピソード0から段取りを積み重ねていったマブシーナの――女王誕生の――物語としての着地は十分に納得のいくものとなり(ここに至る確かなマイルストーンを刻み込んだ第15話の存在が改めて出色)、その要素に注目していた身としては、ラスト2話、ひいては物語全体の満足度を大きく引き上げてくれました。
 またその中で、キラメイジャーとは如何なるヒーローなのか? を、マブシーナにとってのキラキラ輝く人生の手本であり目標――そしてそれに応えてキラキラと輝き続ける者たち――と置く事で、今作における劇中とメタなヒーロー論を繋げてみせたのは、綺麗な集約点。
 キラメイジャーは、一人一人が“強い”ヒーローだったのですが、ではその強さは何によって生まれるのかといえば、環境に慢心しない己自身のみならず、磨き合える仲間や声援を送ってくれる人々あっての事であり、ヨドン皇帝に本当に必要だった人格は(ヨドンナに多少その傾向はありましたが)「手放しで褒めちぎってくれる人格」と「それはそれとして容赦なくツッコんでくる人格」だったのかもしれません(笑)
 様々な意味でキラメイジャーとは、誰が見てくれているから強くあれるヒーローだったのかな、と。
 それは、ヒーローとは誰かが見ている時に強くあれるもの、という逆も含むのですが、その誰かの象徴的代弁者(故に伝説の語り部の側面も持つ)がマブシーナであった、ともいえるのかと思います。
 不足を感じるピースはあるも、そこに辿り着けたのは、『キラメイジャー』としての美しい着地になったなと。
 「皆様のヒーローが、わたくしのヒーローなんです」
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 ……最終的にだいぶ姫様語りになりましたが、導入の事情のみで終わらせずに、ヒロインとしての姫様の物語をきちっと描き切ってくれたのは、個人的に今作の評価ポイントの一つ。
 あと、非地球人ヒロイン・割とアクティブ・戦いの観測者の面を持つ、と並べると、実はコロンさん(『超獣戦隊ライブマン』)の系譜だったのでは?! と気付いてしまい、私の姫様贔屓の理由の何割かは、コロンさんの影響ではないかと思われます(笑)
 結構ストーリー面にも触れられたので、ひとまず現時点での『キラメイジャー』総括は、こんな感じで。
 長々とお付き合い、ありがとうございました!