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『魔進戦隊キラメイジャー』感想・簡易評価&振り返り

 いつも思ってはいるものの形になるのが遅いのですが、鉄はなるべく熱い内に打て、という事で、簡易総括その1(と言ってみる……)です。〔話数 簡易評価(×→◎の5段階) キャラ回のメイン〕とエピソード内容などを示す備考(友情出演:左翔太郎)。

◆第1-12話
〔第1話 ○〕 ・キラメイジャー誕生
〔第2話 ◎ 緑×赤〕 ・「いや。あいつら極めて本気だ」
〔第3話 ◎ 青×赤〕 ・「変だよね」
〔第4話 △ 姫〕 ・「見よこの爪、この牙、チェーンソー!」
〔第5話 - 黄〕 ・為朝戦隊タメスキジャー誕……生?
〔第6話 - 桃〕 ・小夜5歳
〔第7話 ○〕 ・地獄のスパルタ
〔第8話 × 赤〕 ・キングエクスプレス誕生
〔第9話 ◎ 緑〕 ・「地獄百人一首、スタートだ」
〔第10話 ○ 青×桃〕 ・ト音記号のおじさん
〔第11話 ○ 黄〕 ・リセットボタン
〔第12話 ○ 銀×桃〕 ・キラメイシルバー登場
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 序盤はとにかく、2-3話で作品のスタイルと方向性を示せたのが良かったですが、その点でラグビー邪面は改めて、『キラメイジャー』そのもの、といっても過言ではない今作を代表する傑作怪人。また、これで肌に合わないと辛い……というのも含めて持っていた、塚田-荒川体制に対する若干の不安が吹き飛ばされて、安心して見られるようになったのも大きかったです。
 ……直後にジョーキー登場タイミングにどうにも無理があって少々やらかすのですが、この膿は第8話で盛大に噴出し、以後、“物語の段取りと、集約点としてのロボットが微妙にズレる”が作品の恒例となる事に。
 商業展開にともなう序盤の忙しい部分を捌ききれなかったパターンといえますし、ロボット関係はバンダイ側の企画との兼ね合いによる当たり外れがどうしてでも出ますが、このキングエクスプレス問題に端を発した〔強化から取り残されるキラメイジン〕〔1人/2人乗りロボットと劇作の相性の悪さ〕は今作のウィークポイントになってしまいました。
 5-6話はだいたい今作の水準といった印象で、物語と新ロボ(どうしてそこで1人乗り……)が噛み合わなかった第8話が「画伯」事件でトドメを刺してしまった後、個人的には録画失敗騒動のあった百人一首回が、ザ・『キラメイジャー』という傑作回で、二巡目の山口監督もがっちりはまり、今作の方向性を完全に決定づけた印象。
 第10話の後、中断を挟み、再開直後かつ煽りに煽った追加戦士は次回というタイミングでハードルの高くなっていた第11話は為朝回として満足度が高く、井上テテさんの為朝愛が光りました。

◆第13-24話
〔第13話 - 銀〕 ・超重機ドリジャン誕生
〔第14話 △ 銀×赤〕 ・キラメイシルバー正式加入
〔第15話 ◎ 銀×青×姫〕 ・「今のはおまえの仕業か! ダルマさんが転んだ邪面!」
〔第16話 - 銀×緑〕 ・「言うこと聞かない、マシュマロボディーーーーー!」
〔第17話 △ 銀×黄〕 ・ギガントドリラー誕生/デストラストーン入手
〔第18話 △ 銀×姫〕 ・宝路とマブシーナ、和解
〔第19話 ○〕 ・「芸術は、めっちゃビリビリだー!」
〔第20話 △ 赤〕 ・充瑠の学生生活は実在した
〔第21話 - 青〕 ・リバースストーン入手
〔第22話 ◎〕 ・マブシーナ解呪/キングエクスプレスザビューン誕生
〔第23話 ○ 姫〕 ・姫様歌う
〔第24話 - 桃〕 ・バンドしようぜ
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 9-10話を経て、「多少話に粗があっても邪面師が面白ければ面白い」が確率された時期(第16話は典型的)で、平均して楽しんでいた覚えはあるのですが、振り返って簡易評価を付けると、銀が姫様含めてチームに馴染むまでがやや低評価に。
 これはただでさえ新キャラ登場で物語に大きな変化が起きるタイミングに、コロナ禍でのロケ地選定やアフレコの問題など、これまでにない課題の解決を要求された影響もあるのかと思いますが、荒川さんと山口監督の不在も含めて、作品の舵取りにやや苦労していた時期といった印象。
 また、7-8話に続き、処理すべき要素の多い難しいエピソードを任されてはいるのですが、三条脚本(17-18話)が思いの外はまらなかったのは、残念でありました。
 その中で光を放ったのが、シリーズ3作目の参加となる金子さんで、特に第15話は「姫様の物語」のマイルストーンとして、出色の出来。
 そんな姫様と追加戦士の宝路、そして過去のオラディンを結ぶ線としてカナエマストーンと呪いの問題が浮上し(モンストーンが切り捨てられたように、最終的には綺麗に繋がりきらなかった感があるのが惜しまれますが)、実質的に夏の劇場版だった21-22話が大変豪華な映像で盛り上がり、今作の新ロボ登場回では唯一といっていい、満足できる内容でした(笑)
 柿原さん登場の第20話は、終わってみると非常に重要なエピソードなりましたが、演出面での不満が大きく、単話としては△。

◆第25-36話
〔第25話 ○ 黄〕 ・ヨドンナ登場
〔第26話 ○〕 ・エネルギーストーン入手/ゴーアロー誕生
〔第27話 △ 緑〕 ・ニキニキの向こう側へ
〔第28話 ◎ 赤×青〕 ・ハコブー登場
〔第29話 × 〕 ・グレイトフルフェニックス誕生
〔第30話 ○ 博多南〕 ・「遅咲きクリエイティブ・キラメイゴールド」?!
〔第31話 ◎〕 ・東京ミニチュア化作戦(未遂)
〔第32話 ○ 桃〕 ・ガルザ史上最大の作戦(前編)
〔第33話 ◎〕 ・ガルザ史上最大の作戦(後編)
〔第34話 ◎ 黄×青〕 ・「ビリヤード――これぞまさにハードボイルドな男に似合う、大人の競技だ」
〔第35話 - 銀×姫〕 ・姫様リミッター解除
〔第36話 ◎ 赤〕 ・「ひびくぜ邪悪なクランチュラップ!」
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 ヨドン軍に新幹部が登場し、面白侵略ライフに激震が走る後半戦――12話ずつの区切りとしてはここが一番高評価が並んでいますが、分割展開がセオリーとして定着し、演出面での違和感もほぼ無くなってきた頃、でありましょうか。
 その中で、きっちりやらかすグレイトフルフェニックス誕生回(笑) バンダイ側との摺り合わせがどうやって行われていくのか外野からは窺いしれませんが、相棒重視の物語に、どうして実質単騎の超人ロボが出る事になってしまったのか……商業展開を物語に消化できなかった点は、今作の非常に惜しまれるところ。
 一方で、メタ要素を交えつつ玩具を通して子供とヒーローの関係性をファンタジックに掘り下げた第31話、現役屈指の怪獣バトルエンタメの撮り手・田口監督を招いての32-33話、ラップ要素の取り込みが会心だった第36話、などは『キラメイ』としての挑戦と工夫が形になった名作回でありました。
 『ゲキレン』コラボ回は、話そのもののまとまりは悪くなかったのですが、演出で減点。
 後、特筆しておきたいのが、第23-30話まで続いた「キラメイ音楽祭」で、エピソードのメイン(級)から担当曲に繋げる構成と、背後で流れる名場面集の出来の良さで、非常に楽しませていただきました。

◆第37-最終話
〔第37話 × 緑×桃〕 ・「おまえ……形から入るタイプだろ? そういう奴はな、挫折したら細波海岸だ」
〔第38話 × 銀〕 ・イリュージョンストーン発見
〔第39話 △ 黄×姫〕 ・vsシャドン
〔第40話 △ 赤〕 ・カロリーくん
〔第41話 ○ 赤×クランチュラ〕 ・猫充瑠
〔第42話 -〕 ・最終決戦開幕
〔第43話 ×〕 ・ガルザ爆発
〔第44話 ○〕 ・「作ってやろうぜ。新しい歴史!」
〔最終話 ◎〕 ・人が輝く時、そこに奇跡が生まれる――
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 ラップ回で充瑠の掘り下げ不足も回収され、最終盤に向けて勢いをつけてほしいところで今ひとつの出来が続く事になり、女子コンビ・ガルザvs宝路・ガルザの真実、と積み重ねから期待させて肩すかし、になってしまったのは終盤の残念だったところ。
 第40話は感想本文でも書きましたが、切り口や見せ方は面白かった一方で着地点にスッキリしないものがどうしてもあって、やや厳しめの△。スケジュール調整などあったのでしょうが、このスパイスを入れるなら、仕上げ段階ではなく中盤に欲しかったなと。
 第41話で横手さんが鮮やかな助っ人ぶりを見せてくれた後、ガルザ-オラディン関係で致命的な減点が発生してしまいましたが、ラスト2話は残された要素を出来る限り綺麗にまとめてくれて、ザ・『キラメイジャー』として満足度が高かったです。

 暫定的なベスト5をあげると……第2話(ラグビー)、第3話(万力)、第9話(百人一首)、第15話(だるまさんが転んだ)、第36話(ラップ)。
 割と前半に片寄っていますが……ここから今作の簡潔な総評を一つ引き出すのなら、最終回の内容も含めて、「ストーリー」よりも「スタイル」――敢えてネガティブな言い方をすれば、「スタイル」の面白さを「ストーリー」の面白さが上回れなかった――作品、かなと。
 というわけで『キラメイジャー』のスタイルを確立し、その面白さを押し出した印象の強いエピソードが並ぶ事になりましたが、第36話はそんな『キラメイ』スタイルの一つの頂点になったと思います。
 後始末も含めて、題材の用い方としては、白眉。
 5本中2本クランチュラさんメインですが……「ストーリー」としては最終盤にガルザ(×オラディン)関連が跳ねて「スタイル」の面白さを越えて割って入れなかったのがつくづく惜しまれるところであり、しかし同時にそれは、「2021年の作品」である事――スタイル――を貫いた故なのかも、とも思えます。
 シリーズ過去作品へのオマージュを随所に覗かせると同時に現代的要素も積極的に取り込み、最終的に「継承と新たな創造」を掲げた今作ですが、“今風の悪役像”を描く事よりも“《スーパー戦隊》として、今、何ができるのか”を選んだ、そんな着地点であったのかな、と。

 演出担当本数は、
 〔渡辺勝也:11本 山口恭平:10本 竹本昇:8本 加藤弘之:6本 坂本浩一:4本 田口清隆:2本 田崎竜太:2本 葉山康一郎:2本〕
 で、年間通してコンスタントに参加した渡辺監督が最多。総勢8名の演出陣はかなり多い印象ですが、とりあえず手元に数字がまとまっていた18作品と比べてみた限りでは『仮面ライダー電王』と並ぶ最多人数でした。近年の作品のデータが入っていないので、後で正式に構成分析する際には調べたいと思います。
 脚本担当本数は、
 〔荒川稔久:20本 下亜友美:7本 井上テテ:6本 金子香緒里:5本 三条陸:4本 横手美智子:2本 徳永富彦:1本〕
 で、印象に比べると下さんが少なく、二桁書いているのが荒川さんだけでその荒川さんも全体の半分以下の本数、というのは戦隊ではなかなか珍しいでしょうか、過去には『マジレンジャー』〔前川淳:17本 横手美智子:16本 荒川稔久:11本 大和屋暁:5本〕のようなパターンもありますが二桁3名のトロイカ体制ですし、全49話中、會川昇が23本だった『ボウケンジャー』も、小林靖子が11本書いているので、この数年の育成路線を踏まえた上でもなお、異例の年であったのかもしれません。
 井上さんは詰めの甘いところも含めてやや合わないタイプなのですが(リセットボタン回は好きですが)、vsシャドン回における姫様の描写が微妙だったのを除くと良回連発だった金子さん、エピソード0から関わった末にラップ回を叩き出してきた下さんの二人には特に、今後も期待したいです。勿論、井上さんにも、おお、と唸らされたい。

 ついでに勢いで独断と偏見によるメイン回の配分は、
 〔赤:9(4) 黄:6(3) 緑:5(2) 青:6(1) 桃:6(3) 銀:9(2) 姫:6(2)〕
 ()内は単独メイン回で、カウントすると改めて、姫様回がきっちりと用意されている事がわかります。
 話数削減の影響もあってか特に中盤以降、イベント回と重ねて展開する事でメイン判定の難しい回が結構あるのですが、これを踏まえて、簡易総括その2ではメイン回の配分から各キャラについて考えてみたい予定。