東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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夢を果たすまで 一歩もしりぞくな

ウルトラマン80』感想・第45話

◆第45話「バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」◆ (監督:野長瀬三摩地 脚本:石堂淑朗
 缶蹴りを楽しむ小学生目がけて突っ込んでくる暴走族……じゃなかった、無駄に分身モーションを披露しながら現れるバルタン星人。
 「ふはは、怒れ、怒れぇ! もっと怒れ、ふふははは、ふははは!」
 ブロック塀の上に立って子供たちを見つめるバルタン星人は下卑た高笑いをあげ……うん、石堂脚本だと思いましたよ!(笑)
 「殴れ! いがみ合え! 人間みな仇! 一日一悪! ……ゆ、UGMが……!」
 路上で取っ組み合いの喧嘩を始めた小学生に声援を送るバルタンは、UGMの車を見るとそそくさと逃げ出し……もしかして、ウルトラマン先輩に同胞が絶滅タイムを喰らってからずっと地球上を彷徨っていた生き残りとか、凄く、可哀想な奴なのかもしれません。
 「ふふははははは……これが喧嘩の元になるとは、お釈迦様でもご存知あるめぇ。うはは、うはははははは……」
 ……凄く、可哀想な奴なのかもしれません。
 「よろしい、儂はこの少年の心を利用して、再びこの地球で、大暴れしてやるぞ」
 カメラ少年宅のベランダで高笑いするバルタン星人は、少年の自尊心を満たす為の偽UFO写真を撮影させ、友人グループにそれを自慢した少年は、1枚きりの写真をあげつらわれて却って立場が悪くなる事に。
 引っ込みが付かなくなった少年がUFOの写真を捏造しようとし始めるのはなかなか風刺的で、石堂脚本はこういう方面で突然切れ味を垣間見せるのが恐ろしいところではあります(慣れるまで、だいぶ時間がかかりましたが……)。
 「ふははは、出番ですよか。ふははは、ふははははは」
 ひたすら笑い声の下卑たバルタンは、少年の母親に変装するとインチキ写真の制作に協力すると言い出し、少年を更なる誤った道へと誘導。ノリノリで円盤を放り投げると、念動力を使って地球人には不可能なトリック写真を完成させるが、宇宙人反応を追うUGMの車を見るや、すたこらさっさと逃走し、ここまで弱者の戦術を徹底されると、大方の自意識過剰な侵略宇宙人よりは好感が持てます(笑)
 少年の写真を現像したUGMでは、そこにトリックが無い事を確認すると、バルタン星人は超小型UFOを使って子供を味方に付けようとしている! と超解釈が飛び出し……段々と、
 「ホリ・フミオとかいう小僧が、100点を取っておりますが」(『仮面ライダーストロンガー』第6話「先生に化けたクラゲ奇械人!」)
 みたいな方向の面白さになってきました。
 「UFOは子供の夢。そこへバルタンはつけこもうとしている」
 の?!
 写真を少年に返却した矢的は、UFOは神仏みたいなもので「居ると思っている人には居るし、居ないと思っている人には居ないんだ」と信心と未確認飛行物体を超常現象扱いで一括りにして仲違いを丸く収めようとするが(なにぶん矢的先生なので、方便なのか本気なのか判断が付きにくいのが困ります)、反発するカメラ少年は絶対にUFOを呼ぶと宣言。
 「ふははははは! 子供と子供が喧嘩する! 男と女が喧嘩する! 家と家とが喧嘩する! そして、おしまいには、国と国が喧嘩する。ミサイル発射! シュリケン、しゅっしゅ! 日本は滅びる! 地球は滅びる!」
 錯乱の兆候を漂わせつつも子供同士の些細な諍いの中に“人間の業”の本質を見て大変遠大な計画を立てるバルタンはカメラ少年の心に呼びかけ、少年らの前にとうとうバルタンUFOが出現。……どうやら、少年らの争いで発生したマイナスエネルギーを媒介にして異次元空間からUFOを召喚したようなのですが、UFOの上から地面に降り立つと人間大で、それで、何を、するつもりなんだ。
 本編10分以上かけて小型UFOを一つ呼び出し、やおら少年たちに凄む姿が大変間抜けなのですが、そこに駆け付ける矢的猛。バルタンは子供達をゲル状に固めると袋に詰め、人質にして逃走を図るが、撃った(笑)
 前々から高出力の疑いがあったUGM光線銃ですが、その一撃でバルタンUFOは木っ葉微塵に弾け飛び、それで、何を、するつもりだったんだ。
 真っ逆さまに地上へ転落し、怒りのあまり巨大化(袋持ったまま)したバルタンは、満を持してかの有名な笑い声をあげるとハサミから光線を放ち、ビルを木っ葉微塵に破壊し、人質を取られて攻撃を封じられるUGM。
 「袋に子供が入ってる。撃つな!」
 ついさっき撃った人は80に変身し、連続側転からの素早い立ち回りを見せるもバルタンの人質戦法に怯むが……また撃った(笑)
 思わず光線技で対抗してしまうバルタンは、人質の存在を思い出して懸命にアピールするが……また撃たれた。
 人質の存在は10秒しか認識できない、生粋の戦闘民族であるウルトラマン80は、バルタンバルカンの直撃を受けて倒れるが、カラータイマーの鳴り響くその時、
 ナレーション「初代ウルトラマンから習った、バルタン星人への必殺技、ウルトラスラッシュを思い出したのだ」
 確か原典では、バルタン星人特攻のスペシウム光線を克服した二代目対策として、容赦なく真っ二つにしてみた、とかだったような記憶がありますが、とにもかくにも80はウルトラスラッシュを放ってバルタン星人を両断し、子供たちも無事に回収するのであった。
 生死の境を彷徨った子供たちはさすがに反省し、「フリスビーはもうたくさん」でオチ。
 ひたすら小悪党のバルタン星人、明後日の方向に危機感を募らせるUGM、人質を物凄く雑に扱う矢的先生、などなど激走の忙しいエピソードでしたが、個人的に途中から“70年代東映特撮みたいな面白さ”のツボに入ってしまい、つまりこれはアレです、悪の組織の駄目な作戦がある一線を越えた時にむしろ面白くなってしまう現象(笑)
 『ウルトラマン80』としてそれで良かったのかはさておき、次回は、レッドキング登場! とだいぶ露骨な路線変更になっておりますが、サブタイトルも第37話「怖れていたバルタン星人の動物園作戦」のセルフパロディになっており、どこへ行くのかウルトラマーン。