東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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力強い勇気を分かち合おう

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第29-30話

◆第29話「急げ新型ロボ」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 冒頭から、土煙の中に立つ大妖精17の姿が描かれ、巨大要塞メカ、素敵。
 変形機構と細かいディテールをじっくりと見せていき、力の入れ方が窺えます。
 そして要塞は5人の前に扉を開き、中に入った力たちは、変わり果てた姿になったシーロン……じゃなかった、つなぎ姿の博士と再会。
 「君達、急ぐんだ! 詳しい事は後で話す。あれに乗り込むんだ!」
 妙にサスペンスな演出で描かれるのですが、無駄に高校生を驚かさないで、普通に出てきて下さい、博士(笑)
 「博士、あれは?!」
 「巨大戦闘機、ラガーファイターだ」
 大妖精の中に格納されていたスペースシャトル系の戦闘メカは、ターボロボと同時期に開発していたが、未完成の新兵器。5人を助手に博士がその完成を急ぐ一方、ジャーミンはターボロボの経験値をかっさらわれて怒りの大帝様に吊されており、ターボレンジャー撃破の為に命を懸けて出撃。
 「お前達も地獄へ送ってやる。今こそこの肉体の秘密を見せてやる」
 ひとりトラックに乗り込もうとしていた大地を襲ったジャーミンは、自らの命を用いて、肉体に封印していた暴魔獣を大復活。
 「我が分身にて最後の暴魔獣、クロコボーマ!」
 ジャーミンの姿に蛇身が重なるのでジャーミン自身が蛇の暴魔獣になるのかと思ったら……く、黒子……? と困惑していたら、背中に! 黒子が! 付いた!!
 ……なんでしょうかこの、背中に黒子が貼り付いているのを怪人だと主張する姿勢と映像は面白いけれど、なにも幹部退場編でそれを繰り出さなくても感。
 黒子ボーマはジャーミンが攻撃を受けると自動的にカバーリングしてカウンターを発動する能力を見せ、前に出る黒子、に哲学的問題が発生する中、やんやと喝采を送る賑やかしのズルテン。
 「大霊界へ行けターボレンジャー!」
 今作放映の1989年は映画『丹波哲郎大霊界』(松竹)が公開され、同期の『機動刑事ジバン』には第24話「ようこそ!!大霊界へ」という正気を超越したエピソードがあり、ちょっとしたブーム便乗ぽい台詞(アドリブでありましょうか)。
 苦戦するターボレンジャーだが、その間にターボトラックに乗り込んでいた大地がトラックを発進させてジャーミンの目を引きつけ、ラガーファイター完成までの時間を稼ごうと孤軍奮闘。まんまと餌にかかったジャーミンは戦闘機部隊を率いてトラックを攻撃し、黒子、どこ行った……。
 「さあ、俺の心臓はここだ!」
 今回、ジャーミンと仲間4人の動きがだいぶ雑なのが惜しまれるのですが(特に黒子ボーマは実質一発ネタ)、新ロボ登場の前振りで行動不能になった1号ロボをメカ単位で活躍させて見せ場を作るのは面白いアイデアで、地対空の特撮も迫力たっぷり。
 「ターボトラック、こんな事でへこたれるんじゃないぞ! なんだこれぐらい……頑張れ、頑張るんだ!」
 お互い傷だらけになりながら、囮になって爆走する大地とターボトラックも格好良く、メカに対しても発動する体育会系根性論!!
 奮闘するターボトラックであったがいよいよ走行不能になって大地もコックピットに倒れ、迫り来るジャーミン機の爆撃だが、ギリギリで駆け付けた太宰博士が対空砲を撃ち込んで打ち込んで撃墜し……え? 2話連続、博士が幹部を倒した?!(笑)
 「ありがとう。君のおかげで、ラガーファイターは完成した!」
 「……良かった」
 「君とターボトラックのお陰と言うべきだね。辛かったろう、ターボトラックを、こんな目に遭わせて」
 「……いいえ」
 「わかってるんだよ。君がどれだけ、このターボトラックを愛しているか」
 大地のトラックへの愛は完全に捏造ですが、「父親が長距離トラックの運転手で、そんな父のトラックが大好きでよく磨いていた大地少年の回想」とか突然出てくるのが『ターボレンジャー』の作風なので、きっとそんなような事情があったに違いありません。
 大地と博士は自動車愛で熱く見つめ合い、博士はそれを、山口先生に発動した方がいいのではないですかね……。
 トラックの修理は博士が請け負い、ラガーファイターの元へ向かおうとする大地の前には満身創痍のジャーミンが立ちはだかり、力たちと合流すると黒をセンターにターボレンジャー
 …………途中で大地が囮になろうとしている事に気付くも、博士の下に戻ってラガーファイターの完成を手伝うでもなく、ここまで完全に存在の消えていた4人は、いったい今まで何をしていたのか。
 シナリオの流れからすると、大地の覚悟を汲み取って博士の下に戻るのが自然なので、作業シーンを組み込みにくかったのか、ジャーミンとの決着に巧く繋がらなかったのか、トラックの方がそれなりに盛り上がっただけに、4人が浮いた駒の扱いになってしまったのは残念でした。
 「湧け! ……ウーラァ!」 
 頭飾りを失い、髪も乱れて傷だらけのジャーミンは鬼気迫る表情から蛇身へと変身。
 ハイテンポで格好いいブラスアレンジのOPインストでの決戦となり、トラックへの愛で加速する黒が、蛇ジャーミンと蛇黒子を同時に撃破してビクトリー! ジャーミンは最後の力で黒子ボーマを巨大化すると爆死し、序盤に触れられた「家族」への情念が全く拾われず、ジンバともども掘り下げきれないままの退場が惜しまれますが、最後の死闘は良い迫力でありました。
 ターボレンジャーは完成したラガーファイターへと乗り込み、大妖精ワンセブン(ラガーファイターの存在を強調する為でしょうが、誰一人としてこの要塞に触れないし、太宰博士もなんの説明もしない(笑))を発進基地に、飛び立つ蒼い戦闘機!!
 挿入歌に乗せての暴魔戦闘機との空中戦を挟み、変形シフト・ターボラガー
 大地に降り立った新型ロボ・ターボラガー(今見ると、後の『メガレンジャー』のギャラクシーメガは、この青銀の配色を継承していたのでしょうか)は、その名の通りにラグビーボールを地面に置くと暴魔獣に蹴り込んでキックオフ!
 ラグビーボールがどこから出てきたのかは大変謎ですが、「工学系の学部で学びつつラグビー部に籍を置き、宇宙開発研究所からスカウトを受けるほどの逸材であったが、外車でぶいぶい言わせながら女の子ではなく妖精を探していた学生時代」は太宰博士の過去として納得がいくので、きっとそんな感じ。
 メタ的には、初期戦隊要素のような気はしますが、この当時、建前上『秘密戦隊ゴレンジャー』は《戦隊》のカテゴリ外だったそうなので、ちょっと複雑ではあります。
 ターボラガーは黒子ボーマを肩キャノンで痛め付けると、ヤミマル直伝スピンキックで木っ葉微塵に吹き飛ばし、デザインやアクションに関しては、今のところターボロボの方が好み。
 ところが、ひとりトラックを修理していた太宰博士の下にヤミマルが現れて博士を拉致する衝撃の展開!!
 「ヤミマル……なかなかやるではないか。あれほどの優れ者、欲しいものじゃ……むぅ……欲しい……」
 主力が立て続けに離脱してリーグ制覇が遠のく大帝様は、即戦力としてヤミマルに目を付け、独立リーグからドラフト3位入団で暴魔百族優勝や! と、スカウト調査を始めて、つづく。
 次回予告でジャーミンの敗死を見せつつ、ヤミマルの暗躍を隠し球に持ってくる構成により、新型ロボ登場でめでたしめでたしとはならず(前回あれだけやったヤミマルがさっぱり姿を見せないのはむしろ不自然だったので、納得度の高い登場でした)、そして次回――更なる怒濤の展開!!
 シリーズ歴代4機目の2号ロボとなったターボラガーですが、『超新星フラッシュマン』以降の2号ロボ編としては、第18話→第21話→第29話→第29話、となり、前作同様、夏の観光回などの後の新展開合わせに登場する形に。
 前作『ライブマン』は前半戦の集大成的なエピソードの後、第22話でトリプルバズーカを唐突に投入したのに対し、今作は新たなるライバルキャラの登場から第16話で合体兵器Vターボバズーカを投入。前々作『マスクマン』は第27-29話でライバル登場から新必殺武器投入が描かれる今作とギミック登場順が逆の構成になっており、複数の事情が絡む要素でもありますが、シリーズとしての蓄積と変遷・工夫が窺えます。
 今作は更に、2号ロボと同時に巨大要塞メカが投入されており、もうワンギミックあるのか、楽しみなところ。
 ……それにしても『ライブマン』、話数的には2号ロボ登場はもっと後の印象だったのですが、物語の密度が本当に濃かったと改めて。
 ところで:シーロンが影も形も登場しなかったのですが、やはり、要塞の動力炉に…………。

◆第30話「レーダの最後」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 ヤミマルは拉致した太宰博士とターボラガーの交換を要求し、あ、シーロン、普通に生きていた。
 「いかーん! ターボラガーを渡してはならんぞ! そいつを渡したらおしまいだ!」
 「黙れ!」
 「……地球を、守る為なら……私の命など、どう……」
 巨大ジンバを木っ葉微塵に粉砕した戦績からすると、大妖精17さえあれば暴魔城をグラヴィトンできそうな気はしなくもないのですが、燃費に問題があるのでしょうか。
 取引を飲んだターボレンジャーは、赤が単独操縦するターボラガーを渡すと見せかけて、別働隊の4人が博士を救出……どころか、ヤミマルの背中に思い切り飛び蹴りをぶちこんだ(笑)
 「おのれ、謀ったな!」
 「おとなしくターボラガーを渡す俺たちと思ったのか!」
 格好良く啖呵を切っているけど、力強く卑劣!!
 ところが形勢逆転も束の間、巨大な刃が飛来すると大地に突き刺さり、暴魔百族の守り神超魔神ボーマが出現。
 「ヤミマル! ご苦労だったな! 前座はここまでだ! 晴れ舞台は、暴魔博士レーダと、暴魔百族の守り神、超魔神ボーマが相務めよう!」
 芝居がかった台詞と共に姿を見せたレーダは、とうっと崖から飛び降りつつマントを脱ぎ捨て、鍛え抜いた筋肉を解き放つ。
 「遂にレーダにも、後の無いことがわかったようだ。たとえ暴魔博士レーダといえども、生きて帰ってくることは許さぬ! これがおまえの最後の戦いだ!」
 こいつら全員、追い込まないと本気出さない……! と悟った大帝様にボーナス全額カットを宣告されたレーダは、2万年間鍛え続けてきた筋肉で黒青黄桃を圧倒し、ヤミマルは一時撤収。超魔神のジャイアントスイングによって赤もコックピットから投げ出され、地に伏すターボラガーに懸命に乗り込んだのは、手錠をかけられたままの太宰博士。
 「大地……君はターボトラックと囮になって、ターボラガーを完成させてくれた。今度は、私とターボラガーが君達の為に戦う番だ。任せてくれ……ターボラガーは決して負けん!」
 ラガーを立て直した博士は、地上に「TURBO ROBO」の信号弾を撃ち込んで5人へのメッセージを送り、一連の2号ロボ登場編を、「装備の強化」のみならず「高速戦隊の繋がりの形」として描いて博士にスポットを当ててくれたのは、嬉しい展開。
 博士の意志を汲んだ5人はターボロボの修理に急ぎ、中年のパワーで超魔神ボーマに立ち向かおうとする博士だが、レーダの作り出した巨大砂地獄にラガーが飲み込まれてしまい、2号ロボ、登場二回目にして大ピンチ。
 残ったターボレンジャーには超魔神が襲いかかるが、ここで火を噴くワンセブン!
 「みんな! ターボビルダーに急ぐんだ!」
 ようやく大妖精17の正式名称が判明し、要塞に辿り着いた5人はトラックの修理を開始。砲撃をものともしない超魔神に対して、操縦桿を操るシーロンは大妖精をビルドアップし、前作のコロンさんがぶっ飛びすぎだったのでインパクトは弱いものの、巨大要塞ロボを操って戦う可憐な小妖精の図にアクセル全開で辿り着き、妖精パワーを信じるんだ!!
 巨大ジンバの耐久力に疑問符が付く事になってはしまいましたが、大妖精を戦力として起動してくれたのは目配りが利いて、迫る超魔神、埋まるターボラガー、気を失う博士、危機また危機の中、なんとかトラックの修理が完成し、挿入歌に乗せてビルダーから出撃したターボマシンは、合体シフト(出撃シーンが玩具で再現可能だったとしたら、物凄く大きそうなビルダー)。


勇気にターボ! 怒りにターボ! チャージアップ! チャージアップ! ターボロボ!
若さにターボ! 未来にターボ! クラッシュ! クラッシュ! ターボクラッシュ!
明日にアクセル!

 好きな挿入歌という事もあって盛り上がる展開で、ラガーを助け出そうとするロボだがレーダの砂地獄と超魔神の攻撃を受け、4人に操縦を任せた赤は、地上へ降りてレーダに一騎打ちを挑む!
 レーダはマントによって生み出した異空間でウーラーや触手を呼び出し、更にジンバとジャーミンの怨霊も赤に襲いかかるサービスで、あっちでもこっちでも絶体絶命の高速戦隊だが、超魔神の攻撃で大地に倒れたターボロボと砂地獄に飲み込まれたターボラガーの手が偶然重なると、謎の妖精パワーがバロムクロス。
 その光にレーダが苦しんだ隙に幻術を生み出すマントを切り裂いた赤は、通常空間に戻ると主題歌に乗せて反撃開始。力強い勇気の剣に土手っ腹を貫かれるも最後の力を振り絞るレーダであったが、若さ全開GTクラッシュで一刀両断され、空中に浮かび上がると大爆発!
 ……爆発!
 もひとつ爆発!
 画面右側で爆発!
 画面左側で爆発!
 画面真っ正面で爆発!
 まさかの5段階爆発で、素晴らしかったです(笑)
 「おのれ……! 決してこのまま死ぬ俺ではないぞ……」
 レーダは木っ葉微塵に吹き飛ぶも怨念が浮かび上がって自ら復活フラグを立て……その光景を見つめる、いつの間にか学ランに着替えた流星光。……ここまで危機また危機の緊迫した状況が続いていたので、いきなり学ランモードの流星が出てきたのは、正直ちょっと変な感じに(笑)
 「みんな居なくなった……まさに夢の通りだ。……俺の時代だ。……いよいよ俺の時代が来るのだ! ははははははは!」
 2万年のレベル上げの果て、野望の階段に足を乗せたさすらい転校生が高笑いを上げる中、謎の発光現象を起こしたターボラガーが砂地獄から浮上すると、赤が戻ってきたターボロボと共に空中に舞い上がり、発動するスーパーシフト!
 片方に気絶した太宰博士を乗せたまま変形合体が行われてスーパーターボロボが完成し、腕+腕・下駄・胸部装甲・メットON、と純粋なボリューム増量により、か、肩の位置が……そして、強引すぎる下駄が……無理矢理感強めのスーパー合体。
 超魔神の1.5倍はあろうかという巨体を誇り、どう見てもほとんど動けそうにないスーパーターボロボは、三角形の「スーパーリア充ビーム」(絶対間違っていると思うのですが、そう聞こえる……正しくは、「スーパーミラージュビーム」との事)を放ち、超魔神を一撃で消し飛ばすデビュー戦を飾るのであった。
 「ぬぅぅ、おのれターボレンジャー! 勝ったと思うなよ! 暴魔百族の底知れぬ恐ろしさ、思い知るのはこれからだ」
 コメディリリーフのズルテンを除き、子飼いの幹部を軒並み失った大帝ラゴーンは猛り狂い、果てしなく説得力の薄い遠吠えが虚しく木霊する暴魔百族の明日はどっちだ!!
 「博士、やりましたよ、スーパーターボロボで」
 「なに?」
 「もう駄目かと思った時、ロボット同士の、奇跡が起きたんです」
 「本当にあれはなんだったのかしら?」
 「君達が私を助けようとした気持ち、私が君達を助けようとした気持ち、それがお互いのロボットに乗り移ったのさ」
 「合体するって事は、お互いに助け合うって事だったんですね」
 「……これからも、頑張ろうぜ!」
 そして地上では、スーパー合体はシステム上の想定にない奇跡だった事が明らかになり、妖精パワーを信じるんだ!!
 自家発電変身に始まり、ほぼほぼ勢いだけで突っ走りきったこの3話ですが、運命の女神との出会いから男坂を上り始めるヤミマルの暗躍! 立て続けに本気を出す暴魔幹部陣! 巨大要塞! 2号ロボ! 博士とシーロンの活躍! 奇跡のスーパー合体! と怒濤の幹部退場劇を踏み台にして3話に分けて繰り出されたターボレンジャーの新戦力ラッシュには、妙な満足感(笑)
 何かと使い勝手のいいズルテンを除いての暴魔幹部総取っ替えは驚きましたが、デザインやポジションはそれぞれ悪くなかった一方、ヤミマルの登場後は完全に頭数を持て余していた面はあったので、数を減らしてヤミマルに焦点を絞っていくのが巧く転がってほしいところ。
 さすがに、重鎮・石橋雅史を起用したレーダは復活フラグを残しましたし、布石としてはこちらも楽しみで……ラゴーン様にはもう、あまり期待しない方向で(笑)
 前作のスーパーライブロボが、二体のロボを合体させつつ最低限の移動と格闘は可能なフォルムを保っていたので、スーパーターボロボがグレートタイタン2世になっているのは少々残念ですが、次回――真ヒロイン飛翔?!