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ウルトラマン80』感想・第35話

◆第35話「99年目の竜神祭」◆ (監督:合月勇 脚本:若槻文三
 「三つ首竜の青男。日本じゃあ……二番目の頭突き使い」
 「二番目だと? じゃあ、日本一は誰だ」
 「ひゅう~♪ ちっちっちちちち、(矢的猛、自分を指さす)はっはっはは」
 イケダ隊員の叔父が神主を務めるやまなみ神社には、人里を脅かした三つ首竜の伝説と、それを倒した時に胴体から見つかったとされる竜玉が伝わっており、矢的とイケダは、99年に一度行われる竜神祭の見物に訪れる事に。
 部下に連休を取らせるべく「休暇」ではなく「研修」扱いなのが、キャップの泣ける気遣いです。
 盛り上がる竜神祭には大道芸人たちも参加していたが、どこかの世界では犯罪組織の用心棒をやっていそうな見た目をした、火を噴く赤づくめの男と、怪力自慢の青づくめの男が、天外孤独の身の上で神社に拾われて育てられていた少年・ミツオと何やら不審な視線を交わしあい……なんとこの3人は、遙か昔に首を切られてこの地から逃げ出した、三つの竜の首それぞれの化身だったのである!
 力の源である竜玉を奪い取る機会を伺い神社に潜り込んでいたミツオは、いつしか人間の世界に愛着を持つようになっていたが、赤と青は嫌がるミツオを脅しつけ、それを目撃してしまったばかりに成り行きで焼き殺される村人Aが割と酷い扱い。ミツオは咄嗟に残された幼児を火炎放射から救い、不審な失踪事件という事で、チーフとフジモリも密かに祭の警備に参加する事に。
 だがいよいよ、御神体である竜玉が御開帳される日、それを磨く役目を任されたミツオは竜玉を奪って逃走し、アカ・アオ・シロ・ギョク――CLIMAXフォーム! により、3人は巨大な三つ首竜の怪獣・ファイヤードラコへと変貌を遂げる!
 悩めるミツオ少年を目撃した矢的が、もつれ合っている内に二人で崖から転落、そこを青男に襲われて頭突きの一撃で気絶、そのまま放置される……といったやり取りがあったのですが、怪獣出現したと思ったら、既にUGMの制服を着込んだ矢的が合流している色々と台無しの展開で、実に『80』。
 矢的は青首竜の頭突きを景気良く受け続け、矢的が凄いのか、怪獣の実力に問題があるのか……人間体の特徴を怪獣体でも用いる(本来の順序は逆ですが)アイデア自体は悪くなかったのですが、怪獣が変身前の矢的にダイレクトアタックを繰り返す事そのものは、描写上の問題点の方が増えてしまう事に。
 ナレーション「矢的の力は、もう尽きようとしていた」
 から、地面に落としたカプセルを拾って変身。吹き付ける強風(操演の糸を見えにくくする工夫?)により土埃が巻き上がる中での取っ組み合いは大迫力で、3色の首を持ったドラゴン怪獣(下半身は二本脚で歩行)は見栄えのするデザインでした。
 頭突きと火炎放射に苦しむ80だったが、ミツオの本性である白首竜が赤首竜に噛みついた隙を突き、ウルトラ打点の高い飛び蹴りを二連発。額からのビーム、そして必殺光線二連発で赤と青の首を吹き飛ばすと、最終的には人間に与することを選んだミツオを、竜体の中から取り出すのであった。
 ミツオは竜玉を残して姿を消し、きっと今度は人間として幸せに生きていけるだろう、とその背を見送る矢的……で、つづく。
 ミツオ少年の責任を問うほどの事ではないのですが、こういうエピソードはどうしても、「幼い子供を遺して景気づけに焼き殺されてしまった村人A」「実の子供のように育てていた孤児に手ひどい裏切りと謎の失踪をされた神主夫婦」の方が気になってしまい、ミツオ少年が幸せになりそうだからいいよね! と素直に大団円の空気を出されるのは、反応に困るのでありました。
 また演出上は、ラストで神主夫婦の寂しげな表情を捉えていてビターエンド風なのですが、人外の二人はにこやかハッピーエンドにまとめようとしていて、脚本と演出にところどころ齟齬が見える辺り、監督は初登板なものの『80』通常営業。
 次回――予告ナレーションさんが妙にフレンドリーな語りかけ口調になったのですが、あらすじ喋りすぎ問題への祈りが制作サイドに届いたのか。