東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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愛を知らない哀しい暴魔

 体調微妙につき駆け足気味で。レスは日を改めてとさせていただきます。

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第7-8話

◆第7話「恋人を食べる暴魔獣!」◆ (監督:新井清 脚本:藤井邦夫)
 「桜の香りに酔っているのかアギトボーマ。人間共が愚かに信じているくだらぬ愛を食べ、その姿を現すが良い」
 「人間共の愛する心のエネルギーこそ俺の力。言われるまでもない」
 侍ボーマ・ジンバが、自らの分身ともいえるアギトボーマを大復活させ、夜の公園でいちゃつくカップルを襲撃!
 抑えめの声音にやや気取った台詞回しで、ひとまず今作の二枚目悪役ポジションに任命された感のあるジンバは実は元人間。戦士として愛する姫の為に戦い続けるも利用し尽くされた挙げ句に「おまえなんか本気で相手にするわけないじゃん」と手ひどくフられ、死後にその怨念が暴魔と化した大変哀しい過去の持ち主であり、今年も二番手で登板した藤井先生が、さすがに高校生カップルを衰弱死させられなかった流れ弾が、暴魔幹部に直撃!
 そしてアギトボーマは、あらゆるカップルを許さない! と愛し合う人間に恨みを向けるジンバにより、非モテの怨念を養分に育てられた暴魔獣(という名称が今回から登場)であり、力たちの同級生カップルがその被害に遭ってしまう。
 体内で消化中のカップルたちを人質にされて手も足も出ないターボレンジャーだが、シーロン情報により、桜の香りがアギトボーマの弱点と判明。故意にアギトボーマに呑み込まれ、体内で桜の花びらをばらまく捨て身の作戦により人々を吐き出させる事に成功し、プラズマシュートでVサイン。
 個人としての因縁が特に生じていないので、ライバル関係に発展するかは微妙ですが、二刀流の赤とジンバの激突は、なかなか格好いい殺陣でした。
 ジンバも巨大化妖術を使ってアギトボーマは巨大化し、ジャンプからの回転パンチ、そして高速剣で成敗!
 「おのれターボレンジャー! おまえ達のくだらぬ愛、この世から必ず抹殺してやる!」
 ジンバは世界にジェラシーファイヤーを燃やし、暴魔(の一部)が生前の恨みから現世に祟りをなす一種の怨霊なのだとすると、主題歌の処刑宣告「遙かな眠りの旅を捧げよう」も、文字通りに、「鎮魂による安らかな眠り」を意味していると捉えられるのかもしれません。

◆第8話「空飛ぶジャーミンの家」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 スポットが当たった途端、クラスのムードメーカーでかなりのおちゃらけキャラとなったブルーターボ・浜洋平は、名前から想像された通りの水属性で、水泳部に所属と判明(劇中の言動から得意種目は背泳ぎの模様)。
 入部希望の転校生を案内するが、その引っ越してきた家は地元では有名な曰く付きの“呪われた家”であり、早速、一家団欒の真っ最中に応接間に大量の水が侵入! 夢のマイホームが一転、悪夢のホラーハウスと化し、とんだ不良物件に当たった一家は、引っ越し即引っ越しを余儀なくされる事に。
 ……これは、だいぶ悪質な業者に、カモにされたの、では。
 実はその家の地下には暴魔獣ヤシキボーマが封印されており、蛇面を披露したジャーミンが封印の要となっていた釘を抜き取って大復活。13年前、同じくこの“呪われた家”により幼少期の友人との別離を余儀なくされた洋平は、家の中に飛び込んだところ、転校生と一緒に地下水脈の中へと落ちてしまう……。 
 人間大ではそそくさと逃げ出す屋敷ボーマだったが、早々と巨大化するとジャーミンを乗せて空中を飛び回り、暴風雨を巻き起こして荒れ狂う水害により家々を押し流し、家こそ人の幸せの象徴! それを破壊するのだ! と、かなりの大被害。
 通常戦闘で倒される事なく、即座に巨大化してから本領発揮、という変則パターンで暴れ回る屋敷ボーマに対し、ターボレンジャーはマシンを繰り出して空と陸から挟撃するが、神出鬼没のボーマに攻撃を当てる事が出来ない。
 一方、転校生と共に地下水脈に落下していた洋平は、部活で鍛えたバサロの力で脱出に成功し、ジャーミンに投げつけられた釘を手にして博士の下へ。博士とシーロンにより、それがラキア印の封印パワーを持っている事が判明し、今のターボレンジャーでは正面から勝てない強敵を相手に、遙か古代のマジックアイテムで逆転するのは、高校生戦隊×2万年の因縁、を巧く繋げて秀逸。
 勿論、あまり繰り返すと都合が良くなりすぎて興ざめになりますが、ヒーロー成り立ての若者達が古代の戦いの成果に支えられる構図を序盤に一つ用いる事で、今作の特徴を示すものになりました。
 「は?! いつの間に、こんな釘を!」
 あなたが、投げました(笑)
 ターボジープから放たれた釘ミサイルが屋敷ボーマに直撃し、墜落シーンはかなりの迫力と大爆発。5台揃ったターボマシンは合体シフトでスタートアップし、突然の屋敷バルカンにダメージを受けるも、高速剣で十文字斬り。
 転校生一家は呪いの解けた家に無事に戻り、力たちと爽やかに合唱するが、洋平は、失われた13年前の友情に、ちょっとセンチメンタル。
 ナレーション「洋平は、あの時の、幼いリサも、この、空の下のどこかで、幸せに暮らしている事を、祈った」
 長石監督らしい情緒たっぷりの映像で13年前の別離が描かれたのが効いて、普段はおちゃらけているが友情や他者の幸せの為に真剣になれる洋平のギャップの見せ方が巧くはまって好感に繋がり、いいキャラ回でした。
 また、カップルに憎悪を燃やすジンバに続き、「私の知らない家庭のぬくもり……許すものか」とジャーミンは家庭に憎悪を燃やし、暴魔幹部を妄執と怨念で肉付けしてきたのは、さすがの手堅さ。