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『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第32話

◆エピソード32「小夜に首ったけ」◆ (監督:田口清隆 脚本:荒川稔久
 Twitterで小耳に挟んではいたのですが、近年の《ウルトラ》シリーズを代表する演出家といっていい田口監督が、《スーパー戦隊》初参戦(東映ヒーローサイドから例えると、田崎監督か中澤監督が《ウルトラ》のメガホンを取るようなものでしょうか)。大仕掛けの前後編が任される思い切った起用で、田口監督には是非、この縁で円谷プロに荒川さんを紹介していただきたく(笑)
 ある日の夜――キラメイメンバーは小夜のディナーデートの情報に大盛り上がりし、史上最高にシリアスな反応を見せる姫様@ラブコメソムリエ。……て、タメくんこれ、「悪い虫だったら博多南ルートで秘密裏に抹殺もとい国外退去処分にする」つもりで、事前に徹底的に情報収集してるな……博多南さんは博多南さんで、「地球の平和の為だもん。しょうがないよね」と笑顔でゴーサインを出しそう。
 そんなカラットの身体検査ではシロだったのか、医大時代の同級生にして遺伝学分野の俊英である日下優人は無事に小夜とのディナーにこぎつけるも、“話したいこと”を口ごもって割とへたれている間に、ヨドン反応が出現。
 「小夜ねぇは今日、人生で一番大事な夜かもしれないからなぁ!」
 「「「しゃぁーーーーーー!!」」」
 キラメイジャーはひとまず小夜抜きのメンバーで出撃し、射水為朝、気がつくと、恋愛ネタで瀬奈よりも盛り上がる男。
 ……まあこの、他人の慶事に激しく盛り上がるのは、キラメイジャーらしいといえば実にらしいですが(笑)
 そして、年下トリオに比べると、え? 俺(たち)よりイケメンとかありえなくね? と、年上の二人がちょっと挙動不審なのが、おいしい。
 街にはナゾカケ邪面が出現し、謎掛けに答えられなかった人々をケツバットしては闇エナジーを溜めていき、謎をかけられたキラメイジャーは、謎掛けに正解するまでは暴力で解決できないゲームのルールに縛られ、まんまと邪面師の術中にはまってしまう。
 キラメイジャーの戦闘力を奪った邪面師はすかさず撤収し、その影では、ガルザ史上最大の作戦が進行中。二週間の不在期間中に何をしていたかと思えば、“真面目に修行をしていた”のは、らしいというかなんというか(笑)
 ……翌朝。物理で排除カードを切れなくなったキラメイジャーが謎掛けに苦悩しているところに、研究の急なアクシデントでディナーが途中で流れてしまった小夜が出勤。
 「好きとかじゃなくて……パンダかわいーー的な?」
 日下に対して愛玩動物を愛でる視点の女帝を、なんとか色恋沙汰に発展させて盛り上がりたい年下トリオが煽り立て、パンダ扱いさえされない俺たちの立場っていったい……と沈痛な面持ちになる時雨&宝路が笑わせてきますが、映像的にはちょっと光らせすぎな様な。戦術スクリーンテーブルの輝きが、ライブステージのフットライトばりの輝きで下からキャラクターの顔を照らしているのですが、普段からこんなでしったけ……。
 個人的にあまり、田口監督の女性キャラの撮り方は信頼していないのですが(視聴サンプル数が少ないので、偏見の自覚はありますが)、なんか、とにかく女優ライト浴びせまくって誤魔化す、みたいになっている気も。
 「絶対来るって、一癖あるエモい告白!」
 「一癖あるエモい告白? それなら……アリかも」
 なんだかんだ満更でも無い様子の女帝のスマホに問題の日下から着信が入り、精神ダメージを受けまくる時雨&宝路の小芝居は、総員喜びのハイテンションになる事を巧く避けた映像のコントラストとしても、通して面白いのですが。
 日下からの「すぐ会いたい」という連絡にマブシーナは興奮のあまり床に倒れ、年下トリオは「リモートでアドバイスするから連絡してくれよ!」と一斉にブレスを突き出し……君らのアドバイスは、いったいなんの役に立つのか。そして、明確な恋愛感情に基づくというよりは、人類としての自信を打ち砕かれて画面向かって左サイドでゾンビ状態の青い人と銀色の人の姿がホント酷い(笑)
 もしエモい告白をされて、お付き合いが順調に進んで結婚する事になったらキラメイジャー脱退? の疑問に対して小夜は謎掛けの答のヒントを残して日下の元へと向かい、“情報を集め的確に分析する”為朝・“細かい要素に気がつきそれを繋げる”時雨・“地頭が良く柔軟な発想で謎解きなどに強い”小夜、とキラメイジャー頭脳班の描き分けは今作の一貫した長所(事前にマッハの台詞がそこを補強しているのも巧い)。
 一方、ガルザは南の島のハコブーの元を訪れると、修行の末に身につけた澱みの呼吸(書き手はとうとうアニメ『鬼滅の刃』を見始めたようです)一の型で、ハコブーを拘束。
 「先生の教えは忘れていませんよ。戦いにおいては、敵のあらゆる可能性を潰すべし」
 前半、話の都合でジョーキーの操縦を一方的に奪われ続けたガルザが逆に、ハコブーを操ってみせるのは修行の成果がわかりやすい意趣返しとなり、ガルザはハコブーに乗り込んで聖地アタマルドへと飛ぶ!
 その頃、小夜は日下に招かれて、研究所の地下へ。視聴者視線で日下が何やら疑わしげになってきたところで、恋のアドバイスを求めようとしてブレスを起動するも通信不能、で不穏な空気を増すのは、実に鮮やかな流れでした。
 日下が小夜に見せたかったのは、とある植物の遺伝子操作プログラム。小夜はその問題解決の為のアドバイスを求められ……ここでバイオモンスター展開になるのは、《ウルトラ》を書きたい荒川さんと、《ウルトラ》畑で活躍中の田口監督が、拳をがっちりと握り合ったところだったのでしょうか(笑)
 小夜は、実証前の最新の論文を元に本職顔負けの知識でデータを書き換え、勢いでそのままEnter押すのはどうかと思うわけですが、結果として、悪魔の巨大種子誕生のスイッチを押してしまう事に。
 地上では、イエローが小夜の言葉をヒントに「小が(生姜)ない」と謎掛けを正解して暴力タイムに突入するが、そこから再び、脱退問題が紛糾。
 「それって、「しょうがない」からキラメイジャーを諦めるって事?!」
 「「え?!」」
 「違うよね! 「しょうがない」けど、キラメイジャーは頑張る、だよね?!」
 「え?! うーん……俺は、一緒に、頑張りたいけど……」
 このやり取りを激しいアクションの中でやるのは、今作らしいドタバタ感で面白かったです(笑)
 ……そういえば、塚田Pの過去作品に見られる“母性の表現”へのこだわりが今作にはあまり見られないのですが(マバユイネはほぼゲスト扱いですし、全体的にどちらかといえば父性重視の作風であり)、メンバーの交際問題から話題が「結婚」まで発展するのは、塚田Pのオーダーだったりするのかしないのか。
 そして地下では、謎の種子が培養槽を突き破って爆発的な成長を見せていた。
 「大丈夫。もう止められないよ。これで、地球は終わりだ」
 「え?!」
 巨大な種子を見上げた日下は完全に《ウルトラ》ノリで呟き、世界観違うんですけど、と女帝が抗議の声をあげかけた時、そこに姿を見せたのはヨドンナ。
 日下はヨドンナの脅迫を受け、ヨドミウムを撒き散らして大地を腐敗させる事で地球をヨドンフォーミングするヨドンアイビーを、地球の環境で爆発的に増殖させる為の遺伝子組み換えを強要されており、上着を脱いでピチピチタンクトップ姿となり筋トレをしながら焦点を失った瞳で人類不要論を唱え出さなくて本当に安心しました(間違った《ウルトラ》観)。
 「作戦に協力した僕たちは、特権階級として生き残れる約束なんだ!」
 「なに言ってるの日下くん?!」
 「はははは……あははははははっ!! たぶん笑うとこでしょ? 今の」
 はい、合ってます。
 「おい人間。おまえ馬鹿か。生き残れるわけないじゃん」
 「なんだって……」
 「用が済んだら消えてもらう。常識でしょ?」
 日下に迫るヨドンナの攻撃を防ぐ為、小夜はキラメイチェンジ。
 「どうして?! どうしてこいつの言う事を聞いたの?!」
 「言いなりにならなきゃ生き残るなんて不可能なんだ! しょうがないじゃないか!」
 背後の日下に意識を向けつつ、桃は力尽くでヨドンナをしばき倒し……初登場以降、弱体化の目立つヨドンナの打撃耐性の低さは気になるところですが、本当にアンドロイドで、頭部への衝撃に弱かったりするのでしょうか。
 「私は! ……もし貴方と気があって結婚したとしたら、外科医とキラメイジャーで大変で、平穏な結婚生活にはならないだろうなと思った! ……でも……好きで選んだならしょうがない。楽しくなるように頑張ろうって思ってたよ」
 「小夜ちゃん……」
 謎掛けのギャグ怪人から“諦めの”「しょうがない」と“諦めない”「しょうがない」の対比にテクニカルに持ち込み、私と貴方が巡り会ったのは二人だけの世界の為じゃない、みんながキラキラ輝く為なんだ! と前回に続いて今作を貫くテーゼを補強。
 小夜はブレスを外すと、戦闘員を足止めする為にその場に残り、外部へ脱出しての連絡役を日下へと託す。
 「……小夜ちゃんは諦めてない。僕も、諦めちゃ駄目だ。……うわぁぁぁぁぁ!!」
 怯みながらもペチャットの包囲をくぐり抜ける日下が男を見せ、小夜サイドの緊張感が高かっただけに、邪面師への謎掛け返しは空気が変わりすぎてテンポが悪くなりましたが、ナゾカケ邪面は煌め気注入からチェックメイトでワンダーどかーん。
 快勝にポーズを決める5人に日下からの連絡が入り、事情を説明。
 「それマジか……あんたなんて事してくれたんだよ!」
 日下に掴みかかって充瑠と時雨に止められるタメくん、今週もおいしい。
 だが、アイビーへの対応と小夜救出の策を練る前に、邪面獣が3体同時出現! そして、ハコブーを操ったガルザは、聖地に入り込みオラディンの前へと辿り着く。
 「ガルザ?! 貴様なぜここへ」
 「最高の時間を貴様と分かち合いたくなってな」
 オラディンの所在に当たりを付け、ハコブーを利用して聖地に乗り込むのはガルザならではの目の付け所となり、待望の兄弟再会。
 「この俺の最大の作戦が今、幕を開けるのだ!」
 言動のハカ○ダー化の急速に進むガルザは果たして、思惑通りにキラメイジャーの切り札を封じる事が出来るのか? 発芽を控えるヨドンアイビー、囚われの小夜、邪面獣一挙出現、とかつてない大ピンチで、つづく。
 ……なんだかんだ、ヨドン軍3人が力を一つに合わせているのが、落ち着いて考えると笑えます(笑)
 当代随一の怪獣エンタメの撮り手である田口監督を招いた事もあってか、次回、大規模な巨大戦となりそうですが、構成としては、いわゆるクリスマス回(カレンダーにおけるクリスマス前後のロボット大活躍回)を一ヶ月前倒しで行うような形になっており、「クリスマス回」の本義が「玩具を買ってくれた人達への感謝も込めて目一杯の活躍を見せる回」である事を考えると、本当に「クリスマスを前に玩具を売り込む回」をやる事になっているのは、話に聞く売り上げ不振の影響をひしひしと感じます。
 次回――キラメイジンゼーーーーーーット!!(多分ならない)