東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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暴魔暴落(早い)

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第5-6話

◆第5話「脱出だ!サムライの町」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 郷土博物館に封印されていたミノカサボーマを姫暴魔が復活させ、ランダムガチャ方式は早くも終了。ボーマ怪人の傘を被せられた人間は、ミノカサ変化・昔帰しの術により大江戸時代劇の世界の住人になってしまい、ここまでで、1話分の元が取れる面白さでした(笑)
 高速戦隊の5人で体力作りのランニング中、仲間を置いて先行した大地(得意分野との言及があり、陸上部?)は逃げ惑う少年を発見。少年を追って真剣を振り回すチョンマゲの三人組に襲われる羽目になり、早くも物凄いカオスから、チョンマゲヅノーが生まれそうな勢い。
 見かけたパトカーに助けを求めるが、中から顔を出したのは岡っ引き。問答無用の十手攻撃に続き、前回に続いて戦闘員がダンゴ攻撃を使い、姫暴魔も出てきてピンチに陥る大地はパトカーを奪って逃げ出し、多分、無免許。
 ……前回乗っていたバイクは年齢的に揃って免許を持っていてもおかしくはないですが、全員未成年戦隊だと、この辺りはちょっと際どくなるところで(法的にどうこうというより、スキル的な説得力で)、車輌系ギミックにこだわる時代ではなくなっていたとはいえ、後の『メガレンジャー』はこの辺りも意識してのスライダーだったのかな、と改めて。
 「こんな時、仲間が居てくれれば……」
 足に怪我した少年を抱え、ノコギリを振り回す医者や捕り物方に追われる大地は独りよがりの行動を悔やみ、昼食中の仲間が、大地と連絡を取れない事を訝しみ始める一方、姫暴魔は大帝に今回の作戦をプレゼン中。
 2万年の恨みを抱えているのに、たかだか300年ぐらい巻き戻して人間社会は大混乱ですぞ! と喜んでいる姿に根本的な疑念はわき起こりますが、文明の利器を扱えずに広がる混乱の描き方を見るに、本当は猿人レベルも考えたけれど映像的な面白さからチョンマゲパニックにした、みたいな判断はありそうでしょうか。
 「憎い人間どもに恨みを晴らすにふさわしい、面白い作戦じゃのう」
 そして、大帝様は、早くも面白ポイントを取り入れていた。
 太宰博士が妖精グラスを装備しないとシーロンを認識できない小ネタを挟み、大地が落としたブレスをシーロンが拾った事で判明する危機。チョンマゲ集団に追われながらも少年を見捨てない姿でヒーロー性をプラスし、大地は三度笠コスプレの仲間達と合流。反撃に出るとプラズマシュートでVサインし、高速剣で成敗!
 「みんなと走るのもいいもんだなと思ってさ!」
 少年の怪我も順調に回復し、独りよがりだった自分を反省した大地の変化もスムーズに収まり、カオスな事態とオーソドックスな交流・成長要素のバランス良く収まった一本でした。
 ……ところで、赤・黒・青・水色・水色、のジャージは、光戦隊からの横流し

◆第6話「ヌルルッ!暴魔ゾンビ」◆ (監督:新井清 脚本:曽田博久)
 やっと! 監督が! 増えました!
 ……そして、放尿。
 …………そこまで外せないシーンであったのでしょう、か。
 川の汚染によって引退した元漁師の老人が、死ぬ前にもう一度だけでも漁がしたい……と川に桟橋を自作したのがきっかけで、ペロペロボーマが復活。ボーマは汚れた川の水を吸収すると、その汚濁を凝縮して体内から暴魔ゾンビを作り出す。
 「見よ、この汚れた川を、海を、空を!」
 環境破壊テーマがストレートに盛り込まれ、人間が生み出した汚染源が暴魔の戦力となる一方、その過程において水質が改善した川には魚が戻り、人類は地球のガン細胞なんだよ我夢ぅ!
 ……げほごほ、この先も時折、感想中に藤宮(『ウルトラマンガイア』)が乱入してくるかもしれませんが、生暖かい目でスルーして下さい。
 やはり、90年代の終わりに、時代の一つの象徴として環境テロリストを宿敵に位置づけたのは、『ガイア』の慧眼であったと思うところです。
 「もっともっと暴魔ゾンビを生み出せ。人間共を自ら作り出した汚濁の淵へ沈めてしまえ」
 前回は面白ポイントに流されてしまった大帝ですが今回は台詞回しが格好良く、次々と生み出される暴魔ゾンビは、粘液質のヌルヌルとした質感が大変嫌な感じのクリーチャーデザイン。「ゾンビ」となっていますが、腕が伸びる辺りも含め、「河童」のイメージも入っていそう。
 ゾンビの吐き出す毒ガスに苦戦するターボレンジャーは、川が綺麗になっている事からペロペロボーマの潜伏場所に気付き、祖父が漁を再開できるのを喜ぶあまりに怪人の目撃を黙っていた姉弟の嘘が炙り出されるのが、少々えげつない構成。
 「お爺ちゃん、漁に出られるわ。お爺ちゃんの夢がかなうのね!」
 そして、ゲスト少女の演技がなんだか、橋田壽賀子ドラマというか、昭和のホームドラマっぽい(イメージです)のが異彩を放つのですが、いそいそと漁に出ようとした祖父が乗り込んだ船にこそボーマが潜んでおり、人質に取られるお爺ちゃん。
 「こいつがどうなってもいいのか!」
 わざわざ最前線に出てきて安い台詞で老人の身柄を抑える暴魔博士レーダの株価が滅茶苦茶下がったのですが、そんな調子で大丈夫なのか暴魔百族。
 通常装備が通用しないゾンビに苦しむターボレンジャーだが、真っ白なオープンカーで太宰博士が駆け付け、新開発の個人武器をパス。
 「太宰博士がパワーアップした威力を見せてやるぜ!」
 5人はそれぞれ、GTソード・Tハンマー・Jガン・Bボウガン・Wステッキ、と各々のターボマシンに対応した武器を構え、完全に人質そっちのけ(笑)
 暴力の誘惑に呑み込まれてしまうターボレンジャーだが、姉弟と最初に出会って一応メイン扱いだった桃の活躍で人質を救出されて、ホッとしました(笑) その煽りで、Wステッキブーメランを食らってのけぞる暴魔博士レーダの株価がストップ安になりましたが、本当に大丈夫なのか暴魔百族。
 助けた老人を待機していた博士の車に乗せた話運びは秀逸で、弱らせた怪人とゾンビはプラズマシュートでまとめて爆殺。巨大戦でもゾンビが繰り出されるが、ターボクラッシュの高速横移動を活かして、暴魔とゾンビを連続成敗するのは、格好いいフィニッシュでした。
 「この川を綺麗にするのは、私たちとヒロシくん、そしてミサちゃんの努めなのよ」
 「頑張ろうよ。いつの日か、必ず綺麗にしてみせるんだ」
 人類の環境破壊を天敵が浄化する事を喜んでしまうえげつない構図から、祖父の漁を優先して口をつぐみ続ける姉弟への説得が、祖父が怪人に襲われたのでそれどころではない! で投げ飛ばされてしまったのは残念でしたが、穏当なところにまとめて、夕焼け青春ダッシュで、つづく。