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君にも見えるウルトラのT

ウルトラマンG』感想・第10話

◆第10話「異星人狂想曲(エイリアンラプソディ)(tourists from the stars)」◆
 見所は、ピチピチ縞々タンクトップで、ジーンと動物園デートをキめるジャック・シンドー。
 並の変Tを小指一本で弾き飛ばす純粋な映像の暴力といった趣きで……私服、それが私服なの?!
 ジーンはジーンで、毒々しい花柄のワンピースが視覚的に凶悪なのですが、なにぶん30年前のオーストラリアが舞台なので、このぐらい騒ぐほどのものでもないのか、判断に困ります。
 そんなジーンは、隕石の調査中に横槍を入れてきた情報部員(第2話に登場した人物?)の顔面にストレートを叩き込み、好戦的な軍人どもには任せられないのです!
 ハンディ掃除機みたいな見た目のエイリアン探知機(だいたい、『80』と一緒のノリ)に反応さえあれば、個人宅への不法侵入も人類の平穏の為なのです!
 探知機がジャックに激しく反応、と小ネタを挟み、ジャックは室内に潜んでいた宇宙人とこっそり会話をして危険性の無い事を確認するが、地球人に擬態していた宇宙人妻・ベロニカにチャーリーが岡惚れした事から、一騒動。
 「あの女は怪しい」
 「そこがいい」
 恋人に別れ話を切り出された直後でベロニカにご執心のチャーリーは身内から一斉に責め立てられ、とうとう停職処分に。
 つい先程まで一緒になって批判していたのに、隊長が勢い余ると(おいおいなんつーことしてくれてんだ)と抗議の視線を向けるジーンだが隊長は強引に取り繕い、基本的に、血の気の多い職場です!
 「1つの種が他の種を支配してるなんて。全ての生物が死に絶えてしまうわ」
 「見てきたように話すね」
 変身能力を持つ異星人夫婦を中心にしたコミカルなやり取りの中に、異星の客の視点を通した地球人への風刺的な要素が織り交ぜられ、キャラクターの個性を活かした切り口は面白かったです。
 だがベロニカの確保に動く情報部が銃を手に異星人カップルを包囲し、それを止めようとするユーマ。……毎度毎度の事ですが、ベロニカ夫妻を一方的に敵性宇宙人とみなす情報部とは違うんだ、というスタンスを主張しつつ、足取りの情報を得るやいなや戦闘機を発進させるのがユーマスピリットで、人類の縦割り行政に皮肉を向けると、焦点が明後日にスライドしていきます。
 「君は何者だ?」
 「旅を続ける限り何にでもなるわ」
 「じゃ、今は?」
 「友達よ」
 は、良いやり取りだったのですが。
 野蛮な地球人の暴挙に我慢ならなくなった宇宙人夫・リュグローが巨大生物として姿を現し、本部の9分割ディスプレイは、いつ見ても大変、見づらそう……。
 ジャックはグレートに変身して、君もピチピチタンクトップを着れば地球人の素晴らしさがわかる筈だ! と交渉を試みるも失敗。リュグロースラッガーであわや首ちょんぱの危機に陥るが、正しい行いをする事で愛を示せ、と再度の《説得》にクリティカル成功し、怒りを鎮めたリュグローは地球人の男性に擬態すると、グレートが巻き起こした砂埃の中を、妻と共に去って行くのであった……。
 「奴も、いい趣味をしてるよ」
 映像からはいまいちわかりにくいですが、キャラクターの反応からするとどうやら、チャーリーをモデルに擬態したという事の模様。
 お騒がせ宇宙人との文化衝突から、郷に入っては郷に従えといった着地となり、今作にしては珍しい、キャラクターの個性を押し出した軽妙な一篇でした。本格的には戦闘しないながら、巨大リュグローは面白いデザインで印象的。
 それにしても、「木っ葉微塵にすればいい」というわけではありませんが、限られた話数の約半分ほどが、怪獣(ポジション)を倒さない話、なのは今作の興味深いところであり、今見るとこういうシリーズとしてこれはこれでアリかとも思えますが、90年当時には、もう少しバッサリスッキリ弾け飛ぶ話を求められなかったのだろうか、とは気になるところです。
 これはこれでアリかとも、とはいってもやはり、総合的にカタルシス不足気味なのは正直なところですし……逆にそこに意図的なチャレンジがあったとすると、今見ると伝わりにくくなっている面もあるかもですが。
 そして、結果的に強調される、ゴーデスだけはたとえタンクトップを着ても許さない姿勢。