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高速戦隊ターボレンジャー』感想・第3-4話

◆第3話「暴魔城!二万年の呪い」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 ターボレンジャーの誕生に呼応するかのように目を覚ました聖獣ラキアこそが、暴魔城封印の要であった!
 その封印を解こうとする暴魔幹部陣に向けてレッドターボは車からいきなり砲撃をぶちかまし青春の殺意が高い。
 暴魔博士(第1話のテロップでは「レーダ」だったのですが、3-4話のクレジットには「レーダー」と表記されており、どちらなのか。なお、感想書きとしては太宰博士と肩書きが被っているのが厄介なので、どちらかの転職を希望します)は再び戦闘機を召喚して爆撃を仕掛け、封印の象が破壊された事により、妖精の守り神・星獣ラキアが復活。
 聖獣のもふもふ感と妖精が背中にひっつく感じは劇場版『ネバーエンディング・ストーリー』から……? と思いましたが、日本公開が1985年なので、あまり関係はない、でしょうか。
 目覚めた聖獣だが、数多の妖精と同様に人類の自然破壊によりその力は弱体化しており、辛うじてバリアを張り巡らせると、空へ向けて青い光を放つ。
 「何をしようとしているんだろう?」
 ……地球汚染源・消滅?(笑)
 「暴魔城を封印しようとしているに違いない」
 青春とは、前向きな解釈だ!(眩しい)
 ターボレンジャーはラキアにトドメを刺そうとする暴魔幹部陣と激突するが、封印を解いて乱入したネジクレボーマによりエネルギーを吸われ、変身不能に。そうこうしている間に遂に封印が解かれ、甦る暴魔城。
 超巨大な不動明王像のような物体が宇宙に出現するのは大迫力で、置物系ボスの暴魔大帝ラゴーンも、悪鬼羅刹の群がる巨大な曼荼羅を背負った獣面の魔神といったデザインが、かなり気合の入った造形。
 「二万年にも渡る長き封印の恨み、今、晴らす時が来た。我が暴魔百族を次々と甦らせ、今度こそ地球を征服するのだ。人間どもを打ち倒せ。総攻撃を開始しろ!」
 どこかのアカデミア島がまた吹き飛ばされているような気もしつつ、暴魔戦闘機が次々と爆撃を仕掛け、前作がど派手だった事もあり、ちょっと戦力が少なめに見えます(笑)
 「若さでぶつかっていくのが、3年A組の、俺達5人じゃなかったのかい」
 変身エネルギーを失い絶望したかに思われた5人だが、リーダー格の炎力(ほのお・りき)の言葉に立ち上がると、暴魔の暴虐を止めるべく、再び走り出す。
 「わかってるじゃないか君達は。その若さなんだよ。――信じろ、その若さを。18歳。人生で一番美しい時。そのパワーは、最高の力を発揮するんだ」
 妖精おじさんはその背を見送って力強く頷き、完全に、アースフォースおじさん(※独自の研究です)、オーラパワーおじさん(※独自の研究です)と同じカテゴリ。
 作劇としても、そういった固有名詞の代わりに“若さ”を用いているのですが、どうにも説教がましいわざとらしさが出てしまうのと、力の由来としての説得力が弱いのは厳しい点。
 ヒーローが高校生戦士であるのに合わせて、等身大の誰もが持つ(持っていた)エネルギー、に寄せたのかとは思われますが、希望や親近感よりもナチュラルな狂気の方が目立ってしまっている感じ。
 「良かった……地球にもまだ、あんな若者たちが居てくれて」
 5人は、変身しても白いままの変化球(アイデア自体は面白かったのですが、どちらかというと、尺に余裕があって人間ドラマにリソースをより振り分けられる近年の終盤戦などの方が活きそうで時代が早すぎた感あり)から 信じる力は超能力で、青春のエネルギーを取り戻しターボレンジャー
 岩石のようなボディに横に乗せたムカデモチーフが長い両腕を示す、という大変秀逸なデザインだったネジクレボーマをコンビネーションアタックからプラズマシュートで葬り去ると、暴魔博士の笛の音により、魔力が注入されてボーマは巨大化。
 ターボレンジャーは、GT・トラック・ジープ・バギー・ワゴンの5大のターボマシンを召喚し、ターボマシンvs暴魔戦闘機がしばらく展開し、一応、空を飛んだりミサイルを撃ったりはしますが、なにぶんデザインが車そのままなので、車趣味が無い身としては、盛り上がりはいまいち(笑)
 前回登場した太宰邸にクラシックカーの玩具コレクションが見えたので妖精おじさんの趣味丸出しのようですが、もう少し、スーパーマシン感が欲しかったです!
 5台のマシンは合体シフト・ターボロボを発動し、両足が自動車そのまま(黒がボディ、桃が脛、赤が胸~頭となり、青と黄は靴に)のターボロボがスタンドアップ。二丁拳銃でボーマを痛め付けると、逆手持ちの高速剣で成敗!
 まずはデビュー戦を軽やかに飾ったターボロボですが、シリーズ従来作に比べて比較的スリムなデザインなのは、スーパー合体前提、でしょうか?(するのかは知りませんが前作からの流れ的に)。
 力を失ったラキアは地球を見守る星座となり、ジョーカーとして星空に存在をキープ。
 「これまではラキアが地球を守っていてくれた、これからは俺たちが、ラキアに変わって地球を守るんだ」
 「そしていつの日か、ラキアが地球へ戻ってこれるように、この星を、美しく穢れない星にするんだ」
 つまり、地球汚染源、消滅。
 果たして、人類は地球のガン細胞なのか? 5人の高校生たちの、青春を燃やす戦いが今、始まるのだった――!
 シリーズ11作目(当時基準)、色恋沙汰や復讐といった私情を挟まず、妖精の存在――地球の美しさ――に気付く心を持った若者達が、若い真っ直ぐさで迷わず体当たりでぶつかっていくぜ! と思い切りよくシンプルな立ち上がりになりましたが、『チェンジマン』以降に試みてきた作劇からの揺り戻しの影響が大きかったのか、劇中に散りばめた要素がいまいち噛み合わず、バタバタとした出来。
 とはいえ、前作『ライブマン』も要素を詰め込みすぎてかなり忙しない1-2話から第3話で跳ねたので、今作もここからの上昇に期待したいです。
 ……ところで、シーロンとコンタクトしようとする度に怪しい眼鏡を装着する事で、妖精おじさんのヤバい感じが当社比2倍になっているのですが、このまま押し通すのか、途中でなんか見えるようになった事にするのか……。

◆第4話「ゴロゴロ人間ダンゴ!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 「駄目だ! 人間ダンゴは撃てない!」
 道路に梵字めいた文様が浮かぶと地面を割ってダンゴボーマが出現し、前回に続いて、鎖を引きちぎりながら(弱った封印を自ら破りながら)の登場がボーマの特徴に。前回のボーマの能力はいきなり強すぎましたが、ボーマの復活は上層部からするとランダムガチャ、という事で納得。
 2万年前、暴魔大帝に美食を捧げる事を誓ったダンゴボーマは人間を丸めてダンゴに変え、球体の表面に押し潰したような人間の姿が浮き上がる人間ダンゴが、滑稽ながらグロテスク。
 「みんな、学校に行く前に、人間ダンゴを何とかするんだ」
 力たちは手分けしてダンゴを追い、言霊パワーで面白くなっていくパターン(笑)
 ところが、ターボレンジャー活動の影響か、所属する野球部ではスランプに陥り、成績も急降下した力は、3年A組の担任(?)で野球部顧問でもある山口先生から、強めの幻覚でも見ているのではないかと目をつけられており、車両基地で一悶着。太宰博士が割って入って力はダンゴの追跡を続けるが、山口先生の矛先は、不審な妖精おじさんに。
 「あなたですね、学校近くに住んでる変な博士って」
 やはり、そういう目で見られていた。
 「え? 変な博士?」
 勿論、自覚は無かった。
 「炎くん達を変な事に引きずり込もうとしてるのは、あなたなんでしょう?!」
 官憲の手を煩わせるまでもない、とジャッジメントを下して太宰博士を絞首刑にしようとする山口先生だが、そこにダンゴが転がってきて二人とも取り込まれ、映像的にその方が面白いという判断だったのでしょうが、転がるダンゴの中で人間の意識があるのが、地獄。
 力たちは洞窟の奥に隠された秘密基地からバギーとバイクに乗り込んでダンゴを追い、かっとび暴魔が変身したバギーに姫暴魔が乗り込んで追いかけるのは、なかなか面白い展開。
 更に戦闘員隊長とバギー対決を見せて特色を押し出し、人間ダンゴの串刺し寸前、間に合うターボレンジャー
 「俺が野球部のエースだって事を、忘れてもらっちゃ困るぜ!」
 赤は渾身の魔球ターボフォークで、ダンゴの陰に隠れた暴魔たちを次々と攻撃し、野球は地球人の生んだ総合格闘技
 打って出てきたボーマのダンゴ攻撃を凌いだターボレンジャーは連続攻撃を浴びせ、直立ピラミッドを組んで「ターボレンジャー!」と叫ぶ5人と、火花をあげて苦しむボーマが一つの画面に収められるのはなんか凄いカット(笑)
 プラズマシュートの藻屑となったダンゴボーマは、姫暴魔の口から魔力で巨大化し、巨大化要員は固定しない方向で行くのでしょうか……?
 ターボロボは、高速剣を伸縮して攻撃すると、バッテン斬りでトドメを刺す多彩な剣技を見せ、あわや秩父鉄道に轢き殺されそうになっていた博士&先生入りのダンゴは、なんとかそれを回避するのであった。
 元に戻った先生は、博士にしがみついていた事を指摘されると慌てて居住まいをただして力たちを追い立て、博士がだいぶ危険人物なので、もう少し常識寄りの保護者ポジションとしての山口先生と早々に絡んでくれたのは、双方のキャラを広げる面でも、面白い対比になってくれるのを期待したいポイント。
 ……まあ、先生のキャラ付けから過剰なドタバタになる危惧はありますし、先生は先生で、教育熱心のあまり初対面の男の首を絞める人なので、「常識」の二文字に暗雲が漂ってはおりますが(笑)
 初動を終えて、キャラ回一巡目&定型エピソードとなり、作品の勢いと滑稽なグロテスクさが上手く噛み合って、なかなか面白かったです。
 学生なら部活、と個性を一つ付けてくれたのも良かった点。スタッフも当然意識していると思いますが、実写チームヒーローにおいて「全員学生服」はかなり不利なスタートなので、スムーズに特徴を付けていってほしいです(この点、後の『メガレンジャー』は身長含めてぱっと見で区別がつきやすいキャスティングを考慮していたのかな、と改めて)。
 次回――いきなりカオス。