東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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狼、失言に気付く

牙狼GARO>』感想・第5-6話

◆第5話「月光」◆ (監督:梶研吾 脚本:梶研吾小林雄次
 ニューナンブよりも、劇毒よりも、コンクリートブロックによる打撃だ!
 レッド○ン先輩が教えてくれました。
 どんな生き物でも、脳を殴り続ければだいたい動かなくなるのだと。
 前回、家賃未払いでアパートを追い出されたカオルは、やはり友人にも嫌がられたようで、家主に無許可で早くも冴島邸にお引っ越し。
 「だってあなたが言ったんでしょ。俺の側に居ろって」
 …………言ってたーーー。
 過去の言動の責任を取り、不承不承カオルの居候を認めた鋼牙は、悔し紛れにそれ相応の仕事をしろとカオルに告げ、ハイ、殺人料理、出てくるの早かった!
 「……まずい」
 そしてリアクションも早かった!
 「母親の顔が見たい」
 トドメに、デリカシーが無かった!
 カオルが両親を早くに亡くしている事がモノローグで語られる中、ギルドからの指令を受けてホラー退治に向かう鋼牙だが、ホラーは既に人間に取り憑いており、鋼牙は憑依された女の残留思念を追う。
 その頃、恋人殺しの罪で指名手配中の薬剤師・それを追う旧知の刑事・薬剤師に人質にされた女子高生、がホラーによって工場の中に閉じ込められており、脱出の為に呉越同舟する……といった辺りは、あまり嗜まないので(単純に苦手なので)推測ですが、ホラー作品の文法でありましょうか。
 鋼牙の動きと並行して描かれる、冤罪を主張して追い詰められている薬剤師・やたら気取った仕草で自分に酔っている刑事・完全に巻き込まれた不幸の末にキレちらかす女子高生、のやり取りが全く肌に合わなかったのですが、恐怖映像とドタバタ喜劇めいたキャラの組み合わせ、というのもホラー作品の文法……?
 今回、「自殺の名所で現世に出現したホラーが自殺を考えていた(と思われる)女に憑依した」&「薬剤師の殺された恋人に、どうやら刑事が岡惚れしていた事から薬剤師が犯人と決めつけて追いかけている」と二つのバックストーリー(劇中では台詞で表現されるだけ)が存在し、鋼牙とカオルの今後を匂わせながら、「げに男女の問題は複雑」と指輪が語るのですが、それらのバックストーリーが劇中のリアリティラインを上げている(上げる事を要求している)にも関わらず、主に刑事がリアリティラインを下げまくっている為に、1エピソードにおけるリアリティのバランスが致命傷に近いレベルで噛み合わず。
 大雑把かつ極端に例えると、冒頭で爆弾テロによる死亡事件が発生しているのに、それを追うゲスト刑事(一般人)が至近距離で爆破に巻き込まれても顔が煤だらけになるだけで無事、みたいな事になっていて、薬剤師と女子高生はともかく、刑事のキャラ付けをはり過ぎたように思います。
 また、最終的に薬剤師彼女を殺したのは押し込み強盗と判明し、指名手配が解除された事がニュースの形で語られるのですが、恋人を強盗に殺された薬剤師に取ってみれば大きな悲劇の筈なのに、恐怖体験から揃って逃げ延びたし冤罪も晴れたから解決、みたいなふわっとした形で片付けられてしまい、悪夢からの生還直後という事ではあるかもしれませんが、物語の都合で間接的に死人を出した上でのオチとしては、個人的に大変いただけませんでした。
 満月の光を浴びて覚醒した毒蛾ホラーが3人を襲うが、すんでのところで飛び込んだ鋼牙は謎の御札で三人を眠らせ、戦闘開始。鎧装着後に表示される砂時計の数字が初めて戦闘中に減るものの特に言及やそれ以上の減少はなく、黄金騎士は指輪のアドバイスを受けてホラーの本体を貫く。
 「女を斬るの?」
 「どうしても女心ってやつが、わからない男でな」
 自・己・申・告(笑)からの、《おうぉー おおおおおー おおおーおー おーおーおーーー!》で、ホラー調伏!
 「あの人、いつもあんなに無愛想なの?」
 「どうかクールと、言ってあげてください」
 屋敷では、鋼牙の態度に不満たらたらのカオルに対し、両親を早くに亡くし、他人とあまり触れ合わずに生きてきた複雑な人なので察してあげて、と執事のフォローが入り、エピソードの出来はよろしくありませんでしたが、カオルが鋼牙のテリトリーに入っていく事で生じる面白さに関しては良かったです。
 次回――ライバル登場?!

◆第6話「美貌」◆ (監督:梶研吾 脚本:梶研吾林壮太郎
 冒頭から山中での激しい戦いが描かれ、追い詰めたホラーを仕留める寸前、謎の投げナイフの攻撃を受けて逃がしてしまう鋼牙。
 ホラーを追う鋼牙は、ホスト風の男を石で殴打し、ホステス風の女たちから財布を奪う謎の女性を目撃すると、状況を完全無視してライターで確認してみるが、反応無かったので興味無し(笑)
 ……と思ったら、鋼牙が立ち去った後に女はホラーに憑依され……これは、やらかし案件に入りますか?!
 「逃げ出してきたのですか?」
 「尻尾を巻いて」
 「情けない」
 ナイフを掴んだ手が割と痛かったらしい鋼牙は、屋敷に戻ってポーション飲んでライターで傷をあぶると回復し、その過程で、傷の手当てをしようとするも空回りするカオルと一悶着。
 「三匹の番犬のところへ行ってくる」
 ギルドに向かった鋼牙は回収してきたナイフをいきなり上司に向けて投げつけ、それは、魔界騎士専用のサブウェポン・破邪の剣。
 「仲間があなたを狙ったという事?」
 「友達居るの?」
 「おまえらのコレクションに加えるがいいさ」
 痛いところを突かれた鋼牙は身を翻し、上層部との決して和気藹々としていない関係性も積み重ねられていきますが、今回のやり取りだと、むしろ鋼牙は魔界騎士の本流から離れて番犬の為に働いている……? みたいな可能性もありそうでしょうか。
 一方、チンピラに車に連れ込まれそうになっていたカオルは、いかにも鋼牙と対を成す漆黒のロングコートの男に助けられ……間違いなく知っている顔だけど誰だっけ……?! と俳優さんの名前を検索したところ、ラッキークローバーの北崎さん(『仮面ライダー555』)でした。
 ……え? ちょっと待って、演じる藤田玲さん、北崎の時、15歳だったの?!
 と、衝撃のあまり次々と凄い勢いで吹き飛ばされていくモブのチンピラ達。
 「君らを見てたら思いだしちゃったよ。チワワ。いっつも小刻みに震えてさ」
 身長の高さもあり今作時点の17歳でも十分に驚きなのですが、笑顔は年相応ともいえる青年(劇中の年齢設定はわかりませんが)は、無邪気な表情とは裏腹の圧倒的な暴力でチンピラを叩きのめすと即座にカオルをナンパし、無愛想王子の次は強引なセクハラ男とか、カオルの周りは実に少女マンガ的(笑)
 青年はカオルに向けて「悲鳴の方が似合う」とか「今度は夜にデートしよう」とか不穏な言葉をかけて姿を消し、なんだか段々、変態を呼び寄せる体質になりつつあるのもヒロインの宿命なのか、どう見ても水商売の店にバイトの面接に向かったカオルは雑に一発採用され、色々と大丈夫なのか危惧していたらカウンターに入って割とさらっとバーテンこなしており、思わぬスキルを発揮。
 目指せ個展の開催費、家賃はきっと請求されない、と仕事に励むカオルだが、運の悪い事に、ホラーの食餌を目撃。
 後のケガレシア様こと及川奈央に姿を変え、色香に迷った男を食らう墓石ホラー(作風と言えば作風ですが、ちょっと今回、セクシャルな演出が露骨で、まだ色々と模索中ではありましょうが、前回-今回の限りでは梶監督とはあまり合わず)に追い詰められるカオルだが、指輪の探知能力により駆け付けた鋼牙が抜刀。
 再び墓石ホラーを追い詰める鋼牙だったがまたも破邪の短剣がその身を狙い、カオルを助けた黒コートの青年が姿を見せる。青年は逆手二刀流でホラーへと斬り掛かり、その正体は――魔界騎士。 
 「駄目よ。今日は見学だけでしょ」
 人間の姿を捨てた墓石ホラーに対して鋼牙が鎧を召喚すると、それに続こうとした青年はどこらともなく響く女の声(指輪の仲間と思われますが)に召喚を止められ、墓石ミサイルをかわした黄金騎士は、墓石ホラーを一刀両断するのであった。
 ……そして対峙する白と黒、二人の魔界騎士。
 「俺は涼邑零。またの名を――ゼロ」
 「……ゼロ?」
 「ピンと来ないかなぁ。黄金騎士って割と鈍いんだなぁ」
 否定しづらい!!
 カオルを抱き寄せて鋼牙を挑発し、平手打ちを食らった零は立ち去っていき、OP映像のぶつかり合うシルエットから予想されましたが、新たな魔界騎士が現れて、つづく。
 白黒のロングコートの対比は、これしかない、という衣装であり、零の登場がどんな波乱を起こしていくのか、楽しみです。