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新たなるグレート

ウルトラマンG』感想・第7話

◆第7話「森の守護神(the forest guardian)」◆
 煽りの映像で、像とアルマジロを合わせたような巨大怪獣が出現するのは大迫力。
 今回は地元の警察からやたら高圧的に文句を言われるユーマは、怪獣に追われる内に土地の聖域となっている森に迷い込んでしまった少女を捜索に向かう事になり、人命優先(ユーマ)か怪獣退治優先(地元警察&軍部)かが対比されるのですが、後者の代表が何故か「警部」なので、どうもちぐはぐ。
 対立の構図としてはわかりやすいものの、市街地でびゅんびゅん戦闘機飛ばしているユーマが、地元警察に大きな顔で嘴を挟まれる描写にはどうにも納得がいかず、前回に続き、ユーマ描写における〔基地と戦力の規模・権限の範囲・隊員の素性と技能〕の不安定さ故に、他組織との縄張りと主導権争いの類いが、作品として狙っているほどドラマチックにならず。
 この手の構成は、ユーマ組織の劇中立ち位置がある程度しっかりしていてこそ面白くなるわけですが、私の認識だとむしろユーマこそ、怪獣を見たらとりあえず撃ってみる人たちなので……この辺り、ジャックの影響でユーマが徐々に変質しているという事なのかもですが、話数の関係もあって、そう解釈するにはだいぶすっ飛びすぎていますし。
 あと単純に、繰り返される隊長と警部の口論が感じ悪いだけで面白くならず(これはまた、吹き替えだと印象の変わる部分なのかも)。
 先行したロイド-キム班と合流したジャック-ジーン班は、少女を発見。金属を追う性質を持った怪獣から逃れる為に金属製品を捨て、謎の少年の案内で洞穴から脱出を試みるが……誰かさんが、胸から金属製のペンダントをぶら下げていた。
 外部では、軍による攻撃のタイムリミットが迫り、行方不明の少女の母親の前で、「怪獣ごと森を焼き払ってやる。ざまぁみろ!」みたいな調子の警部がただの人でなしですが、仮にこれが日本を舞台にした作品だった場合、凄くわかりやすい悪役顔のキャストだったりして納得度が上がる、みたいな可能性もあったのだろうか、とはちょっと考えてしまうif。
 ジャックは自ら囮役を引き受ける事で、ペンダントを捨てろと言われるのをどさくさ紛れに回避し、まだ衛星軌道で待機していたらしいグレートさんに変身。
 ……大丈夫かな、森、燃やさないかな、その人……。
 心配されたグレートは打撃による攻撃に終始するも、怪獣の往復ビンタを受けている内にタイマーが鳴り始める大ピンチ。
 「やられたわ」
 「彼を軽く見てはいかん」
 外野の声に、ショーはこれからだ、と立ち直ったグレートは怪獣を洞窟の中に押し込むと、土砂崩れを引き起こして封印……というと聞こえはいいけど、生・き・埋・め。
 そしておもむろに巨石を持ち上げ、わずかに外に出た怪獣の頭部に向けてレッド・ファイト!
 ……はせずに、丁寧に隙間を塞いで、完全に生き埋め。
 ナレーション「森の守護神は、地下のねぐらに戻された」
 の?!
 ナレーション「人間の残した爪痕が消えた時――守護神は再び現れ、森を楽しそうに歩き回るだろう」
 基本、「自然を大事に」路線のグレートなので、自然に属する怪獣は殺さない方針が貫かれるのですが、考えてみると今作、ポップカルチャーにおける環境テロリストテーマ花盛り?の時期(80年代後半~90年代前半)の作品であり、「オゾン層」などのキーワードに象徴されるように、振り返ればゴーデスもそういうったテーマ性を背負っていたのか、と納得。
 ……それはそれとして、「人間の残した爪痕が消えた時――守護神は再び現れ、森を楽しそうに歩き回るだろう」って、人類滅亡後の話なのでは感が物凄いのですが、道路開発→守護神の出現→怪獣なんて森ごと焼き払え! の憎まれ役を、地元警察の警部一人に背負わせるのは無理があり(なので、チャーリーが警部を戦闘機に乗せて曲乗りで振り回すのも、スカッとするというより、余計なシーンに見える)、ユーマ側はユーマ側で、別に自然との共存や未来への展望を語るわけでもないので、対立の構図が最後まで面白みに繋がらないのが、物足りない部分でありました。
 少女を助けた謎の少年に関しては、本当に謎のまま終わり、“森の精霊”的なファンタジックなものとして受け止めておけば良いのかもですが、少女の「あの子は?」という問いに、ユーマの大人一同が一斉に「そんな子は居なかった」と声を揃えるニュアンスがいまひとつ掴めず……実際に大人組で見えていた(言葉を交わした)のは、グレートでもあるジャックだけだった、という理解でいいのやら。