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天使の輪の下で

超獣戦隊ライブマン』感想・第47-48話

◆第47話「千点頭脳!マゼンダ!!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 「最後のカプセルに入るのは、果たしてドクター・ケンプか、それとも、ドクター・マゼンダか……」
 ビアス様は狂気の宿る双眸で空のカプセルを覗き込み、ネームプレートの空欄が引き続き効いています(両監督の演出の連動も素晴らしい)。
 「私の世界征服作戦を助けてくれるのは……果たしてどちらかな」
 ガッシュの磨くナイフが何やら強調され……1000点を目指し、とっておきの作戦を開始したマゼンダは、自らの脳波により霊体の頭脳獣を暴れさせ、激しく吹き飛ぶ街と、それを普通に受け入れるライブマン(笑)
 学友の魂はキョンシーになるし、頭脳獣の魂だってお盆には甦るのです!
 霊体頭脳獣は合体するとアクムヅノーと化し、霊体と実体の間を自在に行き来するその能力に苦戦するライブロボ。捉えようのない悪夢ヅノー、その正体はなんと、マゼンダの夢を実体化する装置の産物!
 「まさにこれは悪夢なのだ! 悪夢なのだ……ふふはははは」
 「……凄い、なんと凄い……」
 「マゼンダ、960点!」
 ケンプさえ思わず感嘆の声をもらし、二人揃ってリアクションによる盛り上げ方が凄い(笑)
 悪夢ヅノーに手も足も出ずに倒れるライブロボだが、そこにボクサーが助けに駆け付け、操っているのはもちろん、我らがコロンさんだ!!
 既にライブライオンの操縦実績はありますが、最終局面において、コロンさんの救援スキルもエスカレートしているのが素晴らしい(笑)
 改めてスーパーライブディメンションが発動し、煽りのカットで横に並んでポーズを決める二大ロボなど、特撮班も力の入った映像で終盤戦を盛り上げます。
 問答無用のスーパービッグバーストが炸裂するが、直撃した悪夢ヅノーは再び4つの霊体に分裂して、その攻撃を無効化。
 「マゼンダ970点!」
 そしてまたも悪夢ヅノーへと合体すると、悪夢光線の直撃を受けたスーパーライブロボが遂に地響きをあげて倒れ伏し、箱物系無敵ロボを敗北させる事で史上最強の敵として圧倒的説得力が生まれるのが、嬉しい作劇。
 「マゼンダ990点!」
 「うぁ?! ……あ……マゼンダが1000点になってしまう!」
 ドクター・ケンプ、ひたすらリアクションが素敵な男(笑)
 ビアスガッシュと共にマゼンダの実験室へ向かうと鋭いナイフを手に微笑を浮かべてその時を待つが……ロボから投げ出された勇介たちに悪夢ヅノーが迫ったその時、マゼンダを止めようと姿を見せたのは、なんと尾村豪。
 「千点頭脳になったら、ビアスに脳を取られるんだ!」
 「……なに?」
 「ビアスは、人間の脳を集めているんだ!」
 豪は、何十年も前から、若き天才達が何人も行方不明になっている事を調べ上げており、大教授ビアスの真の目的を、マゼンダへと告げる。
 「マゼンダ! 次は君の番なんだ!」
 「嘘だ……嘘だぁぁぁぁ!!」
 絶叫したマゼンダはドリームマシンを解除し、慌てて焚き付けたビアス様の言葉により、自ら地球へ向かうとライブマンを襲撃。
 「貴様等を倒せば、千点頭脳になれるのだ!」
 「目を覚ましてくれ、目を……」
 「邪魔を、するな! この落ちこぼれめが!」
 豪はそんなマゼンダを止めようと必死に食らい付き、前回、嵐の死を目の前で見た豪が、これまでの贖罪としてかつての学友であり共に悪魔に魂を売ったマゼンダらを救おうとするのは納得の流れ(ここで「自分の為」の祈りを越えて、「誰かの為」の行動になっているのが、ポイント)。
 できれば、アシュラが近付いた「千点頭脳の真実」が嵐の口から豪に伝えられて……という流れがあればより精度が増しましたが、尺の都合や説明が煩雑になるのを避ける為に省略された感があり、ニュアンスとしては明らかに、嵐からパスを受けた豪が命がけで真実を伝える、という流れが背後にあると思われます。
 若干の動揺を見せつつもマゼンダは豪の言葉に耳を貸さずに払いのけ、次々と勇介たちを襲う、バズーカ! ダブルエルボーガン! ニーミサイル! 更に背中ミサイル! ……ジャン○ーソン・フォー・ジャスティス!
 『ライブマン』名物、容赦のない爆発により、もはや笑っちゃうしかない勢いで立て続けに吹き飛ぶライブマン&コロンさん(笑)
 「ドクター・マゼンダ……1000点!」
 そして“その時”に至り、マゼンダの頭部を覆う光の輪。
 「ははははは、あははははは……見よ! これが最高の頭脳。この瞬間を、どれほど待ち焦がれていた事か」
 「ビアス様もな」
 ビアスの命を受けたガッシュが地球へと降り立つとマゼンダにナイフを突きつけ、豪の言葉が真実だったと悟るマゼンダ。
 「喜べ。千点頭脳を捧げる時が来たのだ」
 顔を歪めるマゼンダだが、豪がガッシュに飛びついてマゼンダを逃がし、その背に向けられた銃の前に立ちはだかった豪は、至近距離からガッシュの銃弾を受ける!
 「マゼンダ……真人間に戻ってくれ……。こんな俺の、せめてものメッセージだ」
 命がけでマゼンダを救おうとした豪は倒れ伏し、第3話回想を中心とした熱演に始まり、人間の姿ではピンポイントの出演ながら、坂井徹さんが非常に物語全体を要所で締めてくれる好演でした。
 「ガッシュビアス! 悪魔の所業ライブマンが許さんぞ!」
 倒れた豪を捨て置いたガッシュは再び銃を構えると、満身創痍で立ちはだかったライブマンをあっさりと退け、トドメを刺す事もなくその上をまたぎ越えると与えられた命令を果たす為に黙々とマゼンダを追い、ガッシュビアスの為の処刑執行人であった事・マゼンダが追われる立場になる逆転が起きた事により、エピソード単体としては出来のよくなかった第15話「必殺!死神ガッシュ」(監督:東條昭平 脚本:井上敏樹)が、ガッシュの本質を示す伏線として消化されるのが、物凄い上手さ。
 この回単独ではなく、そういえばガッシュは……となる事で追跡者としての存在感が増しますし、パワーアップ回で勇介を追い詰めていたマゼンダが狩られる側になる事でその恐怖と切迫感が肌身でわかりやすくなり、過去エピソードの要素の取り込み方が、実に鮮やか。
 マゼンダを守ろうと剣を振るうレッドファルコンもガッシュに打ち倒され、追いつ追われつの逃走劇はいつの間にやらアカデミア島へと辿り着き、とうとう十字の墓碑の並ぶ崖上で、絶体絶命の窮地に立つマゼンダ。
 「やるものか……この脳は誰にも、渡すものか!」
 だが追い詰められたマゼンダが、胴体に隠していたスイッチを押すと、なんとその姿は、完全なる機械に!
 「マゼンダめ! 脳までメカにしおって!」
 「ふふふふふははは! 私はいつでも、完全なメカになれるようにしておいたのだ! 私はもはや完全なメカ。ビアス! もう私の脳は取れないぞ!」
 天に向かって高らかに吠えるマゼンダだが、ビアス様怒りのお仕置きビームが炸裂し、それを見たガッシュは無言で撤収。千点頭脳に到達したマゼンダは、自らを完全にマシンとする事でビアスの支配から脱する代わりに、裁きの炎に身を焼かれる事になってしまう。
 「マゼンダ……」
 ……思い切り死亡演出だったのに、生きていたぞ、豪。
 「豪……おまえが、羨ましい……人間に戻れて。……だが私は……自分の才能を伸ばす為だけに、自ら、メカになってしまった。人より、優れているところを、見せたい、為だけに。……海……空……こんなに綺麗なものだったとは、知らなかった」
 自分だけの技術を追い求めた末に自らをマシン化してしまったマゼンダだが、皮肉にもその事で競争社会とビアスの呪縛から逃れて自分以外の世界を見つめられるようになり、最後の最後にようやく、己の過ちを認め「何の為に生きるのか」を考え直す戸口に立つ。
 「愚かな事だ……。もう二度と、元へは戻れない。もう、二度と……」
 だが、既にその肉体に時間は残されておらず、悲痛な眼差しを向ける豪とめぐみ達に、“人の心”をもって別れを告げるマゼンダ。
 「さよ、な、ら……」
 背後によろめくマゼンダは、崖から身を投げるようにして転落すると因縁の地で爆死を遂げ、悲しみにくれる勇介たちの姿に立ち並ぶ墓碑の十字が重なり、絶叫とともに膝を付いた豪は首から提げたロザリオを握りしめる。
 「……神様、マゼンダをお許しにはならなかったのですね」
 敵幹部が明確に「元地球人かつ知己」という事で、「罪と許し」が一つのテーマになっている今作ですが、マゼンダは死の寸前に人間の心を取り戻したものの、もはや救われるには遅すぎた、と罪の精算が畳みかけられ、凄絶。
 無数の墓碑がその罪を象徴して突きつける中で、他者の為に我が身をなげうてた豪と、死の寸前までそれに気づけなかったマゼンダの対比が描かれるのも痛烈。
 贖罪としての豪の行動に焦点が当たった事で、ルイと丈のエピソードが再浮上する余地が無かったのは少々残念でしたが、嵐からのパスを受けた豪の決死の行動は納得度が高く、全体のテーマとしては、そちらを優先するのも納得。……にしても、至近距離から思い切り撃たれていたのですが、本当にこのまま無事なのか、豪。気力で延命していただけで、後で死んだ事になっていたりしそうで怖い。
 「……最後は、自らの過ちを認めてくれたのね」
 「……それが、あいつのせめてもの救いだ」
 「ケンプ、あいつは一体どうしてるんだ?!」
 マゼンダに上を行かれた事と、千点頭脳の真実、二重のショックで頽れ震えていたケンプだが、ビアスに向けて顔を上げると狂ったように笑い出し、いいぞケンプ! 君はそうでなくてはな!
 ビアスを守ろうと銃を構えたガッシュにさえ無防備に背を向けて高笑いを続けるケンプは果たして何を思うのか?! で、つづく。
 次回――なんか予告で全部喋ってしまっている気がするのですが、物語はいよいよ最終局面!

◆第48話「誕生!!少年王ビアス!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 退場回なので、ケンプにも爆発の中を駆け抜けてもらいます!
 ボルト戦闘機に追われ、助けを求めながら逃げ惑うケンプの姿がキャッチされ、ボルトを逃げ出してきたに違いない、と救助に向かう事を提案するめぐみ。
 「なに言ってるんですか! あいつはビアスの一番の信奉者。一番の悪党じゃないですか!」
 「……今頃になって、助けてくれっていっても、遅いぜ」
 鉄也と純一はそれに反対してしっかりと温度差が描かれた上で、
 「どんな悪い奴でも、命は重い。見殺しには出来ないんだ」
 それでも、救いに行くのがライブマン(強い力を持ったヒーローの責任)なんだ、と勇介が告げ、優れた頭脳や科学を自分の為にのみ使うボルト勢と、それを他者の為に使うライブマン(それが出来る精神性を持ってこそヒーロー)とが徹底的に対比されます。
 そして、卓二と麻里ならきっと……と最初に言われている以上、亡き兄と姉を愛するが故に、その精神を受け継ごうとする鉄也と純一は、復讐よりも“ライブマンである”事を優先せざるを得ないのが、割とえげつない構造。
 この在り方は、ライブマンのスタート時点から、先輩3人が自分たちに意図的に課した枷でもあるので、ヒーロー自身が、“ヒーローの大義”の必要性を客観的に求めて組み立てているのは、ライブマン/『ライブマン』の、大きな特徴といえます。その上でそれを、端々のエピソードで補強して信念の成長と共に説得力を高めてきたのが今作の上手いところ。
 5人はケンプ救出に向かい、ボルト戦闘機を相手にファルコンマシンで空戦を挟むのが、見せ場の配置として手堅い。
 崖で蔦に捕まるケンプは、駆け付けた丈たちに必死で助けを求めるが、周囲では爆撃が炸裂し、ほぼ茶番劇だとわかっていても緊迫の映像で、絵作りにしても構成力にしても、長石・東條の両監督をキープし続けられたのは、本当に大きいと改めて。
 4人はなんとかケンプを救い出し、別働隊として戦闘機を相手にしていた勇介が合流するや否や、地面に額をこすりつけんばかりに頭を下げるケンプ、君ってやつは……最高だな!!
 「ありがとう! ありがとう! こんな俺を助けてくれて……なんと言っていいのか! 今更許してくれとは言わない。でも、俺も苦しかったんだ……わかってくれ! 本当の、本当の俺を、俺という男の、本当の姿を……!」
 感謝はしているが謝っているようであまり謝ってはおらず、この後“本当の俺”もちゃんと見せてくるので、あまり嘘はついていないのが絶妙な台詞(笑)
  一応、こいつ本当に信用していいのかな……と顔を見合わせる一同だが、プライドの高いケンプとは思えない平身低頭っぷりに勇介は靴の先を舐める事を要求。
 「ケンプ。俺の名を言ってみろ」
 ……じゃなかった、ケンプの肩に手を置こうと身をかがめた瞬間、ケンプの体内から伸びたケーブルが5人の体に突き刺さり、下げた頭をすぐに上げたケンプは5人を見下ろして高笑い。
 「馬鹿め。まんまと騙されたな。はははっ」
 「正気かおまえ……脳を、取られちまうんだぞ!」
 「マゼンダの、哀しい最期を忘れたの?!」
 「黙れ! マゼンダはビアス様の真の弟子ではなかったのだ。真の弟子ならば心から愛し、尊敬する御方の為には全てを投げ出せる筈。脳を捧げるという事はな、ビアス様の中に生きるという事なのだ。この世で最高の天才、世界を支配する最高の御方の中に」
 千点頭脳の真実を知ったケンプは、ビアスを裏切るのではなく、自分を越えた天才として崇拝するビアスに脳を捧げる事を選び、既に死んだマゼンダを上回る為には、千点頭脳に到達した上で、マゼンダのなしえなかったビアスとの同一化にすがるしかないのが、その哀れなプライドの行き着く先として、残酷な説得力。
 ここに来て少し面白いのは、「自分の為」にその頭脳を使い続けてきたケンプが、「ビアスの為」に我が身を捧げようとしている事ですが、思えばケンプにとっては、自分より優れた頭脳を持つ人間――大教授ビアスの存在を認めてしまったその時から、「自分の為」と「ビアスの為」を同一視する事でしか、優良種と自負する己のプライドを保てなくなっていたのかもしれません。
 また、「誰の為に・何の為に」を見失った科学技術の発展への危惧をテーマの一つに置いている今作においては“「誰の為に・何の為に」かを歪める存在こそが悪”であるといえ、“現場ではしゃいでいる人間を高みから都合良く操る存在こそが「真の悪」”という描写は今作において一貫したものになっています(なおこれは、アニメ界の巨匠・富野由悠季監督が繰り返し描く「悪」と共通する要素を持っているのですが、曽田さんらとは世代的な繋がりがあるのかもと思うところ)。
 耽美的な悪のカリスマだったビアスの正体が、若者の時間を食らって行き続ける醜悪な老怪であった、というのもテーマと見事に合致。
 だがそんなビアスに盲目的な敬愛を向け続けるケンプは、ケーブルからエネルギー波を送り込み、卑劣な不意打ちにより倒れる5人。
 「ドクター・ケンプ、遂にここに、宿敵ライブマンを倒したぞ!」
 「おお……ドクター・ケンプ、1000点!」
 ケンプの頭部を光の輪が包むと、ガッシュを乗せた宇宙船が地表に着陸し、ロケットエンジンの生む輝きを恍惚とした表情で浴びるケンプ。
 「おお、ビアス様のお迎えが来たぞ」
 モチーフやシチュエーションの繰り返しを効果的に取り込んでいる今作ですが、これが第1話を思わせる見せ方になっているのが、極めて劇的。
 地面に倒れた勇介たちは、宇宙船に歩み寄るケンプと、カプセルを手に降りてくるガッシュを見ている事しか出来ず……かつての友をまたも止める事が出来ない無力感の強調も、運命の終局における悲劇性を盛り上げます。
 「偉大なるビアス様……ドクターケンプ、今この身を捧げましょう」
 カプセルがケンプの頭部に被せられ、あがる絶叫。
 「ケンプ、お願い……やめて!」
 それでもなお、ケンプの為に悲しめるめぐみは力を振り絞って立ち上がり、仲間たちも後に続くが、時既に遅く、ケンプの脳はガッシュの手にしたカプセルの中へと吸い上げられ、満ち足りた笑顔を浮かべたケンプは、自ら恐獣ヅノーへと変貌。
 「ケンプ……そこまで人間を捨て去ったとは」
 「我が心は、我が脳と共に、ビアス様の中に生きるが、我が肉体は不要」
 あれだけ登場を盛り上げた恐獣ケンプとの決着が付かずじまい? と思いきや、最後の頭脳獣という形で5人の前に立ちはだかり、足止めを受けている間にガッシュがゆっくりとタラップを昇っていくのが、第1話のリフレインとして実に印象的な映像。
 離陸の寸前、かろうじて勇介だけが宇宙船の中へと飛び込む(過去を乗り越える)が、ケンプの脳はいち早く、ガッシュの手でビアスの元へと運ばれてしまう。
 「おお……遂に揃ったか! 最後の、千点頭脳! ……おぉ……なんと若く、なんと新鮮で、なんと美しい頭脳だ」
 勇介が広大なヅノーベース内を彷徨っている内に、ネームプレートに「Dr.KEMP」と記された、12個目の脳が、ブレインマシンにセット。
 「ドクター・ケンプよ、手伝っておくれ……私の世界征服作戦を!」
 自らの目的の為に他者を手駒として使い続けてきたビアスですが、ここでは念願を叶えた弟子に対して情愛を感じさせる台詞回しになっているのが、他者が自分の為に尽くすのが当然だと思っている傲慢な残酷さが滲み出て嫌らしさ抜群。
 「この世を治めるのは、真の天才……大教授ビアス
 ビアスはマシンの中心へと座り、遂に、12個の脳を揃えたシステムが起動。
 「今こそ地球を支配してみせる! ギガブレインウェーブ、スタート」
 ヅノーベースから地球に向けてギガブレインウェーブが放射されると、それを浴びた人々は一瞬でビアスの信者と化してその場に跪き、グラントータス破壊作戦の使用時からうっすら思っていましたが、宇宙空間の建造物から地球に向けて精神波を送る事で全人類を洗脳する、ってエンジェル・ハイロウ(『機動戦士Vガンダム』)っぽい(笑)
 ビアスとは、「誰の為に・何の為に」を歪め、個人の心を殺す存在であり、市街地や農村、漁港など、様々な場所でかなりの人数を使い、ギガブレインウェーブの効果を表現。
 宗教的なシンボルを要所で散りばめてきた今作ですが、ここでビアスに“神”のイメージが付加され、映像による説得力の強化も、最後まで手抜きがありません。
 ギガブレインウェーブの影響は、恐獣ヅノーに敗れためぐみ達4人にさえ及び、天上のビアスに向けて平伏を繰り返すヒーロー、という衝撃的な絵面。その姿に下卑た笑い声をあげる恐獣ヅノーだが、そこへ飛んできたのはライブロボ!
 「人間を操る事が出来ても、ロボットの私は操れなくてよ!」
 コロンさーーーーーーん!!
 前回のボクサーに続き、遂に単独でライブロボさえ操縦してしまい、情け容赦のないダイレクトアタックに定評のあるコロンさんの放つライブロボビームが、頭脳獣に直撃!(笑)
 …………えっと……死んだ……?
 実質的には、脳を捧げた時点でリタイアしているとはいえますが、第1話以来のヒーローの宿敵を葬り去る、まさかの大金星をあげたコロンさんは地上の4人に呼びかけるも、その声はギガブレインウェーブに阻まれ届かない。
 「……私はこの世の神。全知全能の神に逆らうとは……身の程知らずの、ロボットめ。恐獣ヅノー、神に逆らいしものを、倒せ」
 ビアス様はギガブレインウェーブを送り込んで恐獣ヅノーを巨大化し、ビアスが道具として利用し続けてきたロボットが、ビアスの支配の外から反撃の一手を打ってくるのは、皮肉な展開。一方で、ビアスにとって最も忠実な配下である事が明確になったガッシュこそロボット(多分)であるわけですが、ガッシュにもう一段階の掘り下げがあるのかも、期待したいところ。
 洗脳されたヒーロー達を守る為にサポートキャラが巨大ロボを操縦して戦う、という戦隊史上希と思われる凄いシチュエーションになるが、さすがのコロンさんも巨大頭脳獣との戦闘はこなせず、猛烈な攻撃を受けた末にコックピットから投げ出されてしまう。
 「コロンを、破壊せよ」
 地上の仲間に助けを求めるコロンだが、ビアスに操られる4人は邪悪な笑みを浮かべて逆にコロンを攻撃。ようやくヅノーベースの集会所に辿り着いた勇介はモニターでその光景を目撃し、勇介のヒロインは、やはりコロンさん。
 焦る勇介の前に、ようやく警備兵とそれを引き連れたガッシュが姿を見せて勇介は変身し、悪の組織の目的達成・地球とヒーロー最大の危機・仲間に想いを託されたリーダーの敵基地突貫、がサスペンス性を維持しながらテンポ良く同時進行し、勇介の主人公性を押し上げる狙いもあったのでしょうが、ここに来ての分割展開が非常に効果を発揮しています。
 「ビアスはどこだ!」
 地上では4人に担ぎ上げられたコロンさんが崖から落とされそうになる絶体絶命の危機で、加速するコロンさんのヒロイン力がヅノーベースに届くと、赤を阻むガッシュの攻撃が勢い余って壁のスイッチを破壊してしまい、開かれる学長室への扉。
 そして中に入り込んだ赤は、遂に大教授と対峙する。
 「誰だ?!」
 「――レッドファルコン」
 「……おのれ!」
 指輪ビームをかわした赤は、懐に飛び込むとファルコンセイバーででビアスの腹を貫き、コロンさん転落死寸前にギガブレインウェーブ停止。事情を説明する前に恐獣ヅノーの攻撃を受け、4+1はライブロボへ。
 ヅノーベースでは、とうとう口からビームを吐き出したビアスが赤をもぎ離すが、その体は再び急激に老化。
 「ビアス……そんなに老人だったとは。いったい貴様は幾つなんだ?! 本当は何者だ?!」
 視聴者も大変気になる事を問う赤の背後から主観視点のカメラが近付くと、ガッシュが赤に斬り掛かるのが格好いい演出で、その斬撃をかわした赤はライブラスターでブレインマシンを破壊。
 「あぁ……脳が……脳が……!」
 地上では頭脳獣とライブロボの戦いが始まると、コロンさんがしれっとセンターに座っており(赤いから?)、ボクサー召喚。とうとうスーパーライブディメンションに参加してしまい、熱い、熱いぜコロンさん!
 カウンターのパンチからスーパービッグバーストが炸裂して恐獣ヅノーは消し飛び、最終回1話前で、最強ロボの必殺攻撃に参加するサポートキャラ、という大変いいものを見せていただきました。
 「ふふははははは……私の科学が、こんなものだと思ったら、大間違いだ。全人類が滅びようとも……この私は、決して滅びん!」
 ブレインマシンを破壊され、老いさらばえた姿を曝しながらもビアスは傲岸な態度を崩さず、その手を脳カプセルへと伸ばす。
 「愛しいケンプよ……我に、若さを与えたまえ……」
 最も若く新鮮なケンプの脳からエネルギーを吸収したビアスは、なんと、衣装と化粧と後ろ髪そのままで少年の姿に!
 「……おまえは?!」
 「少年王ビアス!!」
 「少年王ビアス?」
 「僕は必ず世界を支配してみせる!」
 少年王はカプセル脳ビームで赤を吹き飛ばし、引き続き忠実に従い続けるガッシュがその間に背後で傾いた壁の写真を直しているのが、超素敵。
 若返りすぎたビアス様が子供になってしまうまさかの展開で、果たして地球の運命は?! 次回――最終回!!
 いやぁ……凄かった!
 何が凄いって、予告とサブタイトルで、(コロンさん関係を除いて)ほぼ全ての展開が明かされているのに、それが全く気にならない面白さが素晴らしいの一言。
 ケンプの最期からコロンさん大活躍、ヅノーベースの決戦まで、見所たっぷりでした。
 また最終盤の幹部退場ラッシュの中でビアスが全ての弟子を切り捨てていく事により、ビアスの命令のみを淡々とこなしていくガッシュの、従僕としての存在感――ビアスとの独自の関係性――が急速に上がってキャラクターとしての深みが生まれているのが面白く、無機質ながら端々でビアスへの忠誠を強く感じさせる芝居が、お見事(スーツアクターは、後にブラックコンドルリュウレンジャーを演じる大藤直樹さんとの事)。
 最終回、大変、楽しみです。