東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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GはレコンギスタのG

ウルトラマンG』感想・第4-5話

◆第4話「デガンジャの風(the storm hunter)」◆
 荒野で銃を乱射する密猟者・謎の石積み・そして迫り来る竜巻に呑み込まれる車と、それを撮影したビデオテープ……という実に如何にもな導入で、竜巻にひっくり返された車の上に、サブタイトルが出るのが格好いい。
 被害者の友人から問題のビデオテープを持ち込まれたユーマは調査に乗り出し、ジャックとロイドが現地へ向かう事に。
 「あいつはイカれてます。あの身なりで紳士きどりだ」
 ロイドのジャック評が、きつい(笑)
 現地で合流したロイドの友人は、竜巻の正体は、風の神の使い・デガンジャであると主張。
 「人を守る事を最優先に考えねば」
 「それほど単純じゃない。人間も大地の一部だ」
 人間文明と自然の衝突、この地球でどうやって生きていくのか、そこに地球外の悪意――ゴーデスの干渉を危惧するジャック。
 「ぼくらの敵は同じだと思う」
 は、ゴーデスという「敵」の位置づけを明確にして、良い台詞でした。
 「奴はモンスターだ」
 「自然界には、侵してはならない境界があるんだ」
 「何者か分かってるのか?!」
 「分かってないのは君のほうだ」
 ロイドと友人はデガンジャへの対処法で揉め、宇宙人やUFOの研究機関に所属している割には、古代の壁画が飾られた遺跡まとめてぶっ壊してしまえと言い出すロイド、凄く、雑。
 この後、隙あらば撃ちたがるチャーリーが余計なトラブルを巻き起こすのですが、市街地上空でカジュアルに戦闘機乗り回せる権限と、武装に対する自制心の欠如が不安なほどに噛み合っていなくて、ユーマの面々はどうしてそんなに、前のめりの戦闘集団なのか(笑)
 (この辺り、ちょっと派手なオレンジ色の制服とか着ていた方が、とりあえず撃ってみる、事に劇中での整合性が強くなるのはフィクションのマジックであり)
 部族の習わしに従ってロイド友人は病んだデガンジャを止めようとする儀式を始めるが、チャーリーの横槍によって失敗。毛むくじゃらの巨大な怪物として姿を見せたデガンジャに、物陰でこっそり変身したグレートが立ち向かい、いつの間にか、今のデガンジャは邪悪な魂の影響下にあるから物理で解決していいぞ、という事になっているのが凄く『G』ですが、前回よりは飛ばされたページ数が少ないので、(エピソード全体の構造が明確な事もあって)まだついていけます。
 グレートはデガンジャと激しく指ビームを撃ち合った末、途中ちょっと酸欠っぽくなるが、腹式呼吸バースト一気の三連打で勝利。これにより自然のバランスが戻って荒野に雨期が訪れ、ジャックたち3人はなんか意気投合して、めでたしめでたしで解決。
 「いつの間にかロイドの友人と合流する事になっている」「ロイドの友人はこの問題に詳しい」「詳しいのはそういう部族の末裔だからです!」などなど、とにかく、〔状況Bをスムーズに見せる為の前振りや説明〕が至るところで抜け落ち、〔BってことはAって事だったんですよ!〕が後から後から積み重なっていく『G(字幕版)』作劇ですが……そういうものである事を前提にすると、テーマ性と対立要素がハッキリしていて、今回は割と面白かったです。
 まあ、テーマはテーマとして、最終的にウルトラマンと殴り合いに持ち込まなくてはいけない部分に関しては、現地スタッフもちょっと戸惑ったのではこれ……? という感じが出ており、なし崩しで、ひゃっほーい、みたいなオチにしてお茶を濁しましたが。

◆第5話「悪夢からの使い(blast from the past)」◆
 前回は搦め手だったので、今回は最初から怪獣バトルだ、と市街地に赤いガスを撒き散らす四つ足の怪獣が出現し、ユーマは急行。退却を進言しながらこっそり変身しようとしたジャックは、ユーマとは別に怪獣に攻撃を浴びせる男の姿を目撃する……その男は、火星で散った筈のスタンレー!
 ここでサブタイトルが入るのが、今回も格好いい。
 地球に散らばったゴーデス細胞を集めていると推測される赤い怪獣は、スタンレーからの射撃により姿を消し、ひとまずユーマに連れて行かれるスタンレー。
 隊長は節操なくスタンレーをスカウトしようとし、ジャックはジーンに色目を使うスタンレーに不審を抱くが、胡散臭さに関しては五十歩百歩。
 「奴に与えられた人生か」
 「我々は、やがて永遠なる者の一部となる」
 握手をかわした2人は脳内で交信し、スタンレーの中にゴーデスの気配を感じるジャックだが、貴重な話し相手であるジーンにさえ「皆おまえみたいに根性太くないから人が変わったようになるのは当たり前」扱いを受け、“大人の組織”に「妙に訳知り」だが「隠し事が多い」奴が一人居たらそれは信用されないよね……という点を大前提として描いてくるのは今作の特徴といえますが、新たな《ウルトラ》をやるにあたって意識した点でもありそうでしょうか。
 赤い霧の怪獣がユーマ基地の至近に再出現し、陸戦でそれに立ち向かおうとするユーマ。
 「隊長、危ない!」
 「動くな。私の出番が来たようだ」
 勢いだけは格好いい隊長は拳銃一丁で怪獣の前へと進み出る。
 「基地が欲しいならまず私を倒せ」
 ……まあ、隊長は元より軍属の雰囲気はありますが、どうしてそんなに前のめり。
 ロイドとチャーリーもそれに続いて拳銃を構えるが、怪獣は幻のように姿を消してしまい……その間に本性を現したスタンレーは、基地の技師を射殺するとゴーデス探知機のデータを破壊。それを止めようとするジャックが銃をスタンレーに向けたところでメンバーが基地に帰還し、ハッキリ言って、どちらも怪しいので両方とも監禁だ!!
 ところがスタンレーは、赤い霧となってあっさりと独房を脱出。
 「ぼくも君も同じホモサピエンスだ。思い出せ」
 「いや、進化するのに忙しすぎる」
 ゴーデスの使者を名乗り、ゴーデスとの一体化による進化をうそぶくスタンレーの物言いは格好良く、牢屋越しの二人の対話はGとゴーデスの代理闘争としてなかなか面白いのですが……どうも今作、字幕の出し方が、下手。当初は、私があまり字幕作品に慣れていない為かと思ったのですが、第5話までを見た結論としては、技術的に少々問題がある気がします。
 例えばこのシーンでは、「ぼくも君も同じホモサピエンスだ」(格子越しのジャック正面)→「思い出せ」(独房内部から、ジャック後頭部と格子越しのスタンレー)とカットの切り替えに合わせて字幕が分けられているのですが、「思い出せ」の部分では、画面上で誰の口元も動いていない(格子でスタンレーの口元が見えない)為、誰の台詞だかさっぱりわからない事に。
 ここはわかりにくさが非常に明確なシーンですが、そんな調子で1話25分程度の中で各話数回は「誰の台詞だかわからない(わかりにくい)字幕」がある為に話の掴みづらい状況がしばしばあり、日本語版は吹き替え前提だったのかもしれませんが、正直、字幕のクオリティは低いと思わざるを得ません(ただ、30年前の作品なので、当時の一般的な洋画の字幕もこんなものだった可能性はゼロではないですが)。
 加えてこのシーンの場合は、どういうわけか独房の格子がジャックとスタンリーの鼻から下を丁度隠す画面構成になっており、字幕の問題を抜きにしても、舌戦としての絵が微妙に間抜けになって、演出も良くない。
 「君が進んでる道は我々を死に導く」
 「争うな。勝つのは彼だ」
 一方、スタンレーが怪獣を撃退した兵器がただのハリボテだった事をジーンが暴き、ジャックが正しかった事が明らかになるが、スタンレーはチャーリーが解析中だったGペンダントを奪うと更にジーンをさらい、ジープで基地を脱出。
 「ゴーデス様と永遠に生きる」
 人間を捨てたスタンレーは赤い怪獣と化し、ジャックはゴーデス溜まりの穴に落ちかける(落ちた?)ジーンそっちのけでグレートに変身。ユーマによる支援攻撃が描かれ、なんとか怪獣を撃破するグレートだが、ジーンはゴーデス細胞に感染してしまい、地中ではゴーデス細胞が集結していく急展開でつづく。