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東映ウルトラ祭

ウルトラマン80』感想・第26-27話

◆第26話「タイムトンネルの影武者たち」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:平野靖司)
 戦闘機でパトロール中、空中にぽっかり空いた異空間ゲートに呑み込まれて不時着した矢的が出会ったのは、真剣を構えた鎧武者?! 咄嗟に竹槍で戦った矢的は真剣白刃取りを披露し、パトロールに同行していた城野が「姫」と勘違いされた事で鎧武者は刀を収めるが、そこに突然の宇宙人?の攻撃! 
 お城は何やら変な一団に占拠されており……東映特撮では、これ(笑)
 鎧武者から事情を聞くと、矢的と城野が紛れ込んでしまったのは、「ヨミの国」。
 その地は今、異次元の侵略者アクゾーンによって征服されており、円盤はともかくとして、ホッケーみたいな装備の戦闘員とか、トカゲのようなマスクを被った首領が高笑いしながら高い所に現れるとか……東映特撮では、これ(笑)
 矢的と城野は、もしかしたら既に死んでいるのかもしれないけど、とりあえずヨミの国を救おう、と決意を固め、城野姫の元に結集した残党一行は倒した異次元人の装備を着込むと、隠し通路を使って城内へと潜入。
 牢屋に囚われていた本物姫は、祈りにより救世主を異世界召喚したのだと主張し、私たちが勇者のわけがない、と笑い飛ばす城野の横で、(あ、これ、巻き込み案件かも……)という顔になるウルトラ族は面白かったです(笑)
 変則的な状況設定でレギュラーメンバーを矢的と城野に絞って軽妙な展開でキャラクターの魅力を引き出し、マドンナ先生の消滅後、順調に勢力を拡大する城野隊員のヒロイン推し回としてはそれほど悪くなかったのですが……本物姫を連れて本丸に乗り込む段になって、急激にテンポが悪化。
 セットの都合でカメラを置ける場所が限られていたのか、なまじ一人二役にしてしまった為にカット割りが限られてしまったのか、トカゲ将軍と腹心の博士が、ゲートを開いて地球に怪獣を送り込んでやると恫喝してくると、敵に思い切り背中を向けて窓の外を見ていたり、姫が装置に突撃をしかけるのを棒立ちで眺めたり、そのショックで装置が故障して異次元人がてんやわんやしているのに完全に背を向けていたりと、間抜けを通り越して酷すぎる絵と展開が連発。
 結局、怪獣はヨミの国に出現してしまい、何故か外へ飛び出していったトカゲ将軍を追った矢的は、前回に続いてダイビング変身。城野は色々そっちのけで装置と取っ組み合っている博士に銃を突きつけてヨミの国の人々を解放させ、80は、だいぶ大雑把な感じのトカゲ怪獣と戦闘開始。
 嵐のような連続蹴りを決めるも炎を放たれ……つまり、お城バックの怪獣バトルをやりたかったのでしょうか。
 毎度ながら派手な特撮で、調子に乗っていた80は炎に巻かれてカラータイマー点滅の大ピンチに陥るが、本日も打点の高い飛び蹴りから猛然と反撃に入ると連続投げを決め、サークルビームで怪獣を撃破(爆発するわけでもなく、ふっと消滅して、ちょっと謎の表現)。一目散に逃げ出そうとしていたトカゲ将軍の乗った円盤を撃墜すると、城野を拾って時空ゲートをくぐりぬけて元の世界に戻り……墜落した戦闘機の傍らで倒れていた矢的と城野は、UGMの同僚によって無事に発見される。
 果たして全ては、墜落のショックが見せた束の間の幻影だったのか……?
 ナレーション「我々が住んでいるこの宇宙は三次元と呼ばれる。しかし、次元を越えれば、我々の考えた事もない世界が、存在するに違いないのだ」
 ナレーションさんがSFっぽくまとめて、つづく。
 変化球で軽い一服としては前半は悪くなかったのですが、後半、出来の悪い喜劇のようになってしまったのが、残念な回でした。
 何故かEDのクレジットが下から上に流れる形になったので突然の最終回、さらばウルトラマン80かと思ってドキドキしましたが、次回、まだまだ戦いは続く!

◆第27話「白い悪魔の恐怖」◆ (監督:外山徹 脚本:南川竜)
 見所は、またも敵性宇宙人にさらっと正体のバレるウルトラマン80。
 ……地球に来る前、中古ショップで買った型落ち品のスペース変装セットを使っていて、「いやー、今時あれで騙されるの地球人ぐらいでしょ? というか、多分あのヤバいスキル持ちの隊長に、バレてんじゃないかな……」みたいに噂になっているのではないか80。
 頑張れ80!
 白い泡状のものが、触れた人々を服だけ残して溶かしてしまう猟奇色強めの事件が続発。宇宙生物学者の青山博士は、現場に残された成分はアルゴ星人のものであると分析するが、平和的なアルゴ星人が地球人を襲うわけはなく、事件は他の宇宙人の仕業に違いない、と強弁。
 アルゴ星人って他の生物の知性を吸収して進化を目論む悪性宇宙人だったような……と不審を抱いた矢的は青山博士の研究所に乗り込むが、青山博士に憑依していたアルゴ星人によって、まんまと囚われの身になってしまう!
 様々な生物の知性を吸収し、半ば肉体を失った悪の宇宙人が、泡状の宇宙服に身を潜めながら夜な夜な地球人を襲っている……という状況設定は悪くなかったと思うのですが、二人一組のパトロール中に無駄な単独行動を取って自らのピンチを演出する城野隊員・写真のフラッシュを浴びたぐらいで正体の露見するアルゴ青山・わざわざ「アルゴ星人は悪い宇宙人じゃないんだよ!」と強調するアルゴ青山・一目会ったその瞬間に正体がバレるので一切の駆け引きが成立しない80・そんな80とお話中に何故か青山博士の憑依を解くアルゴ星人・宇宙の知識を求めてアルゴ星人を自ら憑依させたようなニュアンスが仄めかされるも特にそこから掘り下げのない青山博士・突然の新入隊員と一言も触れられずに消息を絶つハラダ&タジマなどなど、間断なく破れ目が配置されて一本のエピソードとして緊張感を保ちきれない、毎度ながらの『80』クオリティ。
 矢的を捕らえたアルゴ星人は地球征服の為にその正体を現し、白い泡が高層ビルを丸ごと覆い尽くし、それを吹き飛ばして巨大アルゴ星人が姿を見せるのは、迫力の映像。
 ……出てきた正体は、ダイエットに成功したピグモンみたいでしたが。
 矢的は、一か八かのウルトラ気力でアルゴ星人の作り出したバリアを打ち破ると80に変身し、イトウが特攻で殉職寸前、勢いを付けたウルトラドロップキック! 背中バルカンや溶解液など、アルゴ星人の多彩な攻撃に苦しめられるが、写真のフラッシュに狼狽えていた事を思い出すとウルトラ太陽拳を放ち、珍しく、敵の弱点を的確に突くと必殺光線で逆転勝利を収めるのであった。
 途中、子供を含めた一家全員が被害に遭う凄惨な描写などもあったのですが、アルゴ星人に襲われた人々は溶かされたのではなく知性エネルギーを奪われただけで、命に別状はないがしかし意識はまだ取り戻さない事が語られる……なんだか首をひねる中途半端なオチで、つづく。
 新人隊員のフジモリとイケダは、テロップまで出たので今回限りのゲストでは無さそうですが、誰も存在に触れないハラダとタジマは学園に続いて異次元ゲートの彼方に消され、このまま何事も無かったかのように入れ替わりとなってしまうのか(まあこの時代なら、まま有り得ますが)……或いは、矢的と城野が帰還したのは、ハラダとタジマが存在しない次元だったのか……次元を越えれば、我々の考えた事もない世界が、存在するに違いないのだ。
 あ、EDクレジット表示は、元に戻りました。