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友よコスモスに消ゆ

超獣戦隊ライブマン』感想・第37-38話

◆第37話「16歳ケンプ恐獣変身!」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 久方ぶりの点数発表となり、最近、醜態をさらしてばかりのケンプ、350点で最下位に転落。
 「嘘だ……なぜ、なぜこの俺が!」
 「愚か者め! 常に自分が一番と自惚れ、慢心していたからだ。私から見れば、取るに足らぬ才能にあぐらをかき、命を削るほどの努力をしなかったからだ」
 「お、お待ち下さい、ビアス様! かくなる上は、恐獣変身計画を、実行に移してご覧に入れます」
 叱責を受けたケンプは、懸案だった美獣強化計画を実行すると宣言し、背中を向けたビアス様が、見捨てられる恐怖から大きな賭けに出たケンプの叫びを耳にして、見えないところで口元をニヤリと歪めるのが、前回からの流れと繋がって超凶悪。
 かくして、内と外から追い詰められたケンプは計画を開始し、魚の様子がおかしい事に気付いて手分けして海中を調査中、めぐみは、海底で巨大な二枚貝の中に体を丸め、苦悶する全裸のケンプを発見する!!
 驚くめぐみが見つめる中、ケンプの姿は巨大な胎児、そして再び青年の姿へと変貌し、美にこだわってきたケンプだけに、つまりこれはビーナス誕生なのでしょうか(笑)
 とにかく、巨大な二枚貝の中で丸まっている全裸ケンプの絵面が強烈なパンチで、それはめぐみさんも硬直しますが、そこに護衛役のサメヅノーが現れ、水中での格闘戦の結果、振り払われためぐみは貝の中のケンプと激突。激しい閃光と爆発が巻き起こり、なんとか海面に浮上しためぐみが目にしたのは、朗らかな笑顔を浮かべ、16歳まで精神状態の退行してしまったケンプ、ならぬ、月形剣史であった!
 「君は誰? 僕は月形剣史」
 海面を泳ぐケンプを見るや、めぐみが「16歳」と判断するのがちょっと無理がありますが、役者さんを変えたら何も面白くないので「このケンプは16歳に見えます!」というフィクション的な宣言と思われ、また、もう少し詳細な成り行きがあったがカットされて説明を圧縮したりもあったのかもしれません。
 実験を途中で強制中断された事で、全裸16歳となってしまった剣史は爽やかな笑みをめぐみとかわし、直後に生まれたままの姿をめぐみに披露する一騒動(森恵さん公式ブログによると、長石監督が繰り返し説得して全裸の広瀬さんを秋の海に放り込んでいたとの事)。めぐみは事の成り行きを皆に説明し、剣史の更生に一縷の望みを賭ける。
 「私今なら、彼が真人間に戻れると思うの」
 学ランに身を包んだ剣史はおもむろに逆立ちを行っており、筋肉は天才へのパスポートです!
 「おい、まだそんなこと言ってんのかよ」
 「駄目だよ、あんな奴」
 「俺たちの仇なんだぜ」
 「あそこに居るのはケンプじゃないのよ。ケンプになる前、まだ、16歳の剣史なの」
 おそらくは、ある種の転生によって恐獣へと変身しようとしていたケンプが、それを中断された事により殺人という罪を犯す前の16歳に“生まれ変わる”のは呑み込みやすい展開であり、尾村の一件も含めて、「環境」が時に人を歪めるならば、罪の本質はどこにあるのか? というのは、ライブマンの裏側のテーマであるようにも思えます。
 そして尾村豪の末路を胸に抱えるライブマンとして、例え因縁深い仇敵とはいえ、やり直しのチャンスがあるならばそれに賭けてみたいとめぐみが考えるのも、納得の流れ。
 「なんとしても、剣史を普通の若者に戻したい。だから私も、16歳のおんなじ気持ちに戻って、精一杯、剣史にぶつかってみたいの」
 何やら突拍子もない事を言い出しためぐみさんは、自称:女子高生となってセーラー服を身につけると学ラン姿の剣史とコスモス畑で戯れ……なんだろうこの、めぐみさんの可愛さで何もかも突破しようという展開。
 後の、ウメコ可愛いよウメコ(『特捜戦隊デカレンジャー』)や、姫可愛いよ姫(『海賊戦隊ゴーカイジャー』)と同種の匂いを感じますが、めぐみさんはめぐみさんで、大抵なんでも可愛いので凄い(なお、当時19歳との事)。
 剣史は精神年齢16歳ながら、花畑でとうとうとコスモスの来歴について語りだし、典型的なモテない男だな……!
 「ねえ! そんな事より、綺麗だと思わないの?」
 「勉強にはそんな感情、必要ないよ」
 無造作にコスモスを摘み取った剣史は、きょとんとした表情で花を投げ捨て、アカデミア入学前から既に、花を愛でる心を持たず、ただ遺伝子の素材と捉える頭脳だけが秀でたいびつさが印象づけられ、森さん広瀬さんの芝居と、長石監督の演出が冴え渡ります。
 「ケンプ、俺を忘れたのか?」
 そんな2人の前にアシュラとサメが現れ、駆け付けたライブマン男衆の放つダブルライブラスターを片手で弾くアシュラ、さすが、いつの間にか450点の男。
 サメヅノーに追われためぐみと剣史は2人揃って崖から転落。海岸で目を覚ました剣史は、負傷しながらも必死に呼びかけていためぐみの手を乱暴に払うと自分の頭脳だけを心配し……
 「君は世界の歴史に貢献した事になるんだぜ。未来の世界的頭脳を救ったんだからね」
 あっけらかんと笑顔で言ってのける不遜な剣史の姿に、半ば呆然とするめぐみさんの切ない表情が大変美しく、海を背景にしたその切り取りが実に長石監督。
 「しかも命がけで。よっぽど僕の事が好きだったんだね。愛の告白をするなら今だぜ」
 剣史はめぐみの怪我にも表情にも一切無関心で、にこやかに語りかけ、よくもまあこんな台詞を思いつくものです(笑)
 「僕を救ってくれた君だ。勉強の邪魔にならないぐらいなら、付き合ってやってもいいぜ」
 筋金入りの傲慢さを純粋かつ素朴に見せつける剣史に炸裂する、めぐみさん渾身の平手打ち!
 「いったぁ……何するんだよ?」
 「どうして? どうして素直にありがとうって、言えないの?」
 めぐみは真摯に訴えかけ、「ケンプになる前、まだ、16歳」の時点で既に真人間とは言いがたかった剣史を見捨てるのではなく、その手を取ろうとし続ける優しさが痛切。……そしてまたこれは、かつて尾村豪を救えなかった事への、強い後悔に支えられてもいるのかもしれません。
 「あなたって、人にありがとうって言えないぐらい、偉い人なの? 勉強できるって事が、そんなに立派な事なの? ……知らなかった。あなたがそこまで駄目な人だったとは。ありがとう……その一言、そのたった一言も、言えない人だったなんて」
 人より賢い事の証明を第一として、人間として大切なものを失ってしまった剣史をめぐみが正そうとする姿で“命の尊さ”と両輪を成す『ライブマン』のテーマ――“教育の歪み”――が一直線に描かれ、その姿に心を打たれる剣史。
 (僕をぶった女の子なんて、君が初めてだ。涙まで流して意見してくれたのも)
 優秀な自分が何よりも正しい、という価値観に染まりきっていた剣史だが、別の価値観を正面からぶつけられてその心境に大きな変化が生じ、初めてめぐみの流血に目を止めるとハンカチでぬぐい、それを後方からニヤニヤと見つめる男衆。
 「痛くないかい?」
 「……ありがとう」
 煌めく海を背景に青春が爆発ファイヤーするその時、傷の手当てをしようとセーラー服の袖をまくりあげた剣史の目に入ったのは、めぐみの巻いていた腕時計のデジタル表示――3:50。
 ……うわぁぁぁぁぁぁぁ(床をのたうち回る)。
 そう、来るのか……!!
 (350……うっ……350……350! ……350?)
 その瞬間、カッと目を見開いた剣史は脳裏をフラッシュバックする「350」という数字に顔を歪め、めぐみの真心に触れ、他者への“優しさ”を示したその時に、運命の悪戯から屈辱の記憶を刺激された事で、勉強が出来る事にこそ至高の価値を見出す悪魔の心を取り戻してしまうのが実に劇的に描かれ、三桁の数字一つのシンプルな布石を最大限効果的に用いる、凄まじい切れ味。
 曽田先生のトップフォームに改めて戦慄しますが、それを汲み取った長石監督の演出も、会心
 「――350点! はっ、ビアス様……!」
 「どうしたの?!」
 「誰が真の天才か、見せてやるのだ!!」
 強烈なトラウマに直面して自己を取り戻したドクターケンプは、めぐみを突き飛ばすと束の間の交流を象徴する学生服を脱ぎ捨てながら海へと全裸ダイブ!!
 「けんじーーー!!」
 ライブマンの前にはアシュラ軍団が立ちはだかり、再びケンプが潜り込んだ二枚貝に向けてサメヅノーがエネルギーを送り込むと、『ヴィーナスの誕生』(ボッティチェリ)よろしく、巨大な貝は海面へと浮上。七色に光る貝の口が開き、世にも美しい新兵器、美女・人魚姫登場!! その美しさに人々を催眠術にかけ、たちまち……じゃなかった、すみません、やり直します。
 『ヴィーナスの誕生』(ボッティチェリ)よろしく、巨大な貝は海面へと浮上。七色に光る貝の口が開き、姿を見せたのは、全体的にトゲトゲとした漆黒の肉体に青い髪を逆立て、とある相撲好きの悪魔に心酔したような見た目に変貌したケンプ。
 「見たか、これぞ――恐獣ケンプ」
 美を捨てた魔人と化した恐獣ケンプは、触手攻撃とデーモンフレアを操ってライブマンを圧倒し、スフィンクスを想像させる人面獣身の姿から、悪魔を彷彿とさせる禍々しい異形に転じ、胸部に付いた魔獣の顔が独自に口を開閉して動くのが、凝った造形。
 弱ったライブマンに襲いかかったサメは、お呼びでない、とさっくり迎撃されてバイモーションバスター。造形は割と格好いいサメは、巨大化すると入れ歯攻撃で攻撃でライブロボを苦しめるが、ボクサー召喚からのスーパーライブロボディメンションで塵となり、戦慄のデビューを飾った恐獣ケンプは姿を消すのであった。
 「どうして……」
 青春のケンプ真人間化計画は失敗に終わり、海を見つめて佇むめぐみと、それを遠巻きにする男達。
 「……ごめんね。私……剣史救えなかった」
 振り向いためぐみは、力ない笑みを浮かべながら消え入るように呟き、めぐみさんの好演がとにかく光ります。
 「……めぐみ、誰のせいでもないさ」
 「でも、本当の16歳のときのあいつに、会いたかったよな」
 そうすれば果たして、道を踏み外す前に止めるぐらいの、友になれたのだろうか……?
 ナレーション「だが、もう誰も、16歳の青春に戻って、やり直すことはできない。恐獣ケンプとは、戦いの道しか、残されていないのだ」
 その答は誰にも出せぬまま、コスモスの繁る道を学生服姿の剣史が歩み去って行く映像がとても長石多可男で、学生服姿の幻像がかき消え、果てしなく青い海を見つめる勇介たち、でつづく。
 ……キレにキレる妖刀・曽田脚本! 海だ花だ長石監督の映像美! ひときわ美しく凜々しいめぐみさん! 全裸・学生・デスメタルと多彩な表情を見せるケンプの熱演! そして満を持しての恐獣誕生!
 と、様々な要素が見事に噛み合って、予告から期待通りの傑作回。
 前半、めぐみさんが「これで私も16歳」を主張し始めた時は若干の不安がよぎりましたが、終わってみると、周囲の人間を見下す傲慢な選民思想に染まりきった挙げ句、競争意識を煽り立て、精神的な重圧をかけ続ける事で成果を引き出そうとするビアスに心酔してしまったケンプにとって必要だったのは、「年長の導き手」ではなく「そこからケンプを引きずり下ろして、同じ目線で正面からぶつかり合ってくれる友」だったのだな、といたく納得。
 ……そうすると、勇介は結局、月形の友にはなれていなかった、という事になってしまうのが全体の流れからは若干のズレになっていますが、アカデミア入学時点では時既に遅しであり、藤井先生による補強そのものはあって良かったものの少なからぬ無理は生じていたので、月形剣史という男の在り方については、納得度が上がりました。
 またそこに、かつての「尾村豪」の物語を重要なフレーズとして取り込みつつも、「家族」と「友」、別々の問題を取り上げているのも、変奏の仕方が巧み。そして、今作として視野に入れていたのは当時の社会問題だった「受験戦争」のようですが、本性を見せ始めるビアス様、駆り立てられていくケンプ達、先にリタイアした尾村、それぞれの姿が、今日いわゆる「ブラック企業」の問題を彷彿とさせるものになっており、普遍性をもった寓話性の切り出し方の巧みさに、曽田先生の凄みを改めて見ます。
 物語としては、ケンプの強化と共に、改めて決定的な訣別が劇的に描かれ、ここまでのところ基本的に、重要回で外れ無しなのは、強い。
 特に、ドラマ性を力強く支えためぐみさんの美人度の高さが際立ちましたが、ロケハンを含めてそれを引き出す長石監督の手腕が冴え渡り、全編これ長石多可男、という映像で、ファンとしては大満足でした。
 次回、更に、マゼンダも強化!

◆第38話「動く破壊兵器マゼンダ」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 (いったい何者なんだ……)
 叩け付けるような雨の中、夜の街を逃げ惑う勇介がサスペンスフルに描かれ、その前に姿を現したのは、右手の指は全てが大口径マグナム! 左手から飛び出すのは大地を揺るがすバズーカ! 両の肘に仕込まれたエルボーガン! 左膝から突き出たミサイル! 風を切るJPカード! ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!!
 ……じゃなかった、更なる肉体改造により、これまでを遙かに超える火力と破壊力を身につけた、強化マゼンダ。
 「今来たら……みんなやられてしまう!」
 レッドファルコンになるもマゼンダの圧倒的な火力に防戦一方の勇介は、ニーミサイルを受けて変身が解けると、恐怖も露わに脱兎の如く逃走。
 「恨み重なる天宮勇介、今日こそ我が改造パワーで、仕留めてやります」
 肉体の90%を機械化し、全身これ武器となったマゼンダは、“人間の部分”が更に減少したという事か、つとめて無表情に勇介を追撃。
 「機械化は、永遠の命をうるだけでなく、無限のパワーをうる道でもあるのです。ご覧下さい。ドクターマゼンダの全身は、武器と化したのです」
 「マゼンダこそ、生ける破壊兵器。――マシンマゼンダ」
 更に、猟犬ウルフヅノーが現れて勇介を追い詰め、追撃戦を狩りに見立てたのは、頭脳獣をスムーズに出せて良いアイデアでした。前回のサメヅノー(実験のボディーガード)もですが、巨大戦担当の怪人を自然に出す為の工夫が、前作『マスクマン』に比べて大幅に改善されているのは、今作の長所の一つ。
 ケンプとの事は誤解だったけど、あんなチキン野郎は信用できないぜ! 頭のリーゼントは飾りかよ! と、情けなく逃げ惑う勇介への不信ゲージが再び急上昇する鉄也と純一だが、執拗に恐怖を訴える勇介は、何故か二人を閉じ込めると絶叫をあげながら如何にもわざとらしく逃走し、脅えて逃げ回っている設定の割には、ところどころでキレのあるアクションを披露(笑)
 そして、高笑いしながらロープをするすると登って、それを追い詰めるマゼンダ(笑)
 土砂運搬用の大型トラックに転がり込んだ勇介だが、マゼンダとウルフの追撃を受け、いよいよ絶体絶命。勝利を確信して引き金を引くマゼンダだが……まさかの弾切れ。
 「確かにおまえの改造は凄かった。俺はそのパワーで、俺の仲間まで殺されるのを恐れた。そこで臆病者を装って、おまえを俺に引きつけ、弾が切れるのを待った」
 鉄也と純一を閉じ込めた際に、「YA12」と記したメモをポケットにねじ込んでいた事から、勇介の恐怖による錯乱は演技である事が視聴者には示されていた上で、しかし勇介は確かに「恐れていた」(そこは嘘ではなかった)からこそ回りくどい作戦を採っていたのだ、というのは巧い変化球。
 「おのれ……!」
 「弾が切れたら貴様など敵では無い!」
 格好良く飛び蹴りを決める勇介だが、マゼンダはウルフヅノーに予備弾倉を携帯させており、再び大ピンチ(笑)
 しかしその時、勇介のメッセージを受け取り、勇介が進めていた実験の成果を身につけた仲間達が駆け付けて一斉に生身で勇介をガードすると、マゼンダの集中砲火を弾き返す!
 4人は勇介が開発した新型の防弾チョッキを身につけており、映像面で防弾チョッキの説得力が弱いのはご愛敬といったところですが、恐らく、星博士が設計図を遺したコロナイト合金か何かで作られているのかと思います。
 「さすがライブマンのリーダーだぜ」
 勇介の真意を知った鉄也と純一は、手の平をクルクルと返し、今度こそバースの再来や!
 「マゼンダ……自分の科学に溺れすぎだぜ。それから最後にもう一つ覚えておけ。お前達がどんなにパワーアップしても、ライブマンのチームワークには勝てないという事をな!」
 主題歌バトルに突入し、壁張り付きアクションを駆使するウルフに苦戦するが、久方ぶりのトリプルバズーカ(突然の初登場・トドメを刺せるわけではない・5人だと当然使いにくい、と実に不遇……)から、バイモーションバスターでフィニッシュ。
 巨大戦ではこれまた久々の気がするライブロボビームから超獣剣が一閃され、ようやく新必殺剣の名前が聞き取れましたが、「ストロングクラッシュターン」……?
 「とうとうマゼンダまで、パワーアップしてしまった」
 「どこまでやれば気が済むんだろう」
 「……行き着くとこまでさ」
 倫理観なき科学技術への警鐘も感じさせる丈の呟きが、沁みるトーンでした。
 「行き着くとこまで……恐ろしい連中ですね」
 純一がそれに頷き、そのままつづく、かと思いきや、突如、画面に大写しになる、ミサイル(笑)
 不穏な気配を感じ取り咄嗟に回避行動を取った5人に向けて放たれたのは、クラウチングで構えたマゼンダが、無表情で背中から放ったミサイル!
 この、人間捨ててる感が素晴らしい……!
 「私の武装改造はまだまだ続く。マシンマゼンダ――いつか必ず貴様たちを、吹っ飛ばしてやる」
 更なる強化改造を予告するマゼンダに対し、ライブマンは、生まれ持った肉体とくじけぬ精神とチームワークで戦い抜くのだ! とナレーションさんが盛り立てて、今度こそつづく。
 1エピソードとしては、ぼちぼち、といった程度の出来でしたが、仲間のために体を張る勇介の奮闘を見せて5人の戦士のリーダーとして再構築、合わせて5人となったライブマンのチームワークを改めて押し出す一方、所属する“個人”を破滅に駆り立てていくボルトの競争社会の有様をマゼンダの強化改造によって象徴させ、抑えていると抑えていないでは大違いのポイントを手堅く抑えてくれたエピソードでした。
 そしてそこからの、ラストのミサイルが、大変強烈(笑)
 案の定、宇宙兄弟が空気になっている問題などはあるものの、ここまで、アベレージ良好、節目節目も盛り上がり、快走を続ける『ライブマン』。当時の制作体制の厄介さはありますが、いよいよ迎えた最終クールをこの勢いで走り抜けてくれる事を期待したいです。