東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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残暑の読書メモ

ジェリーフィッシュは凍らない』(市川憂人)、読了


 真空気嚢、の発明により誕生し、航空機の歴史を変えた小型飛行船<ジュリーフィッシュ>。その発明者ファイファー教授を中心とした開発グループによる新型機の航行試験中、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。更に、自動航行システムの故障により暴走した機体は、雪山に不時着。外部とも連絡が取れず、脱出不能の状況下で、次々と犠牲者が……。
 面白かった!
 閉鎖状況における連続殺人の謎解きを軸にしつつ、事件の背景に複数の要素を散りばめる事と構成の妙により、物語を“外”に広げてサスペンスを高め、その上でミステリとしての芯は真っ直ぐに貫き通すのが鮮やかでした。
 犯人の見せ方も巧かったですし、探偵役の機能を、万能な一人ではなく、突破&閃きタイプと、博識タイプの二人に分けたのも良いアイデア。あと、事件に関わる空軍将校がいい味を出していてお気に入り。
 そして何より結末が素晴らしく、オチがいいのはやはり良い、と唸らされる一作でした。
 同じ探偵役によるシリーズ作品が出ているようなので、続けて読みたい。