東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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おまえを止められるのはただ一人

超獣戦隊ライブマン』感想・第33-34話

◆第33話「がんばれ鉄ちゃんロボ」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 冒頭から、過疎の村での少年少女の別れが情緒たっぷりに描かれるのが、大変、長石多可男
 パトロール中、たまたまそこに行き合った鉄也は、村にたった一人の子供になってしまったという少年・カズオの話を聞く事に。
 「ロボットでもいい。友達が居てくれたらなぁ」
 「ロボット?」
 「うん。だって人間の友達はいつかどこかへ行ってしまう。ロボットならどこへも行かない。ずっと俺の友達で居てくれるじゃないか」
 この台詞と共に川に笹舟を流す演出が渋く、ゆく川の流れは絶えずして、しかも本の水にあらず、よどみに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しくとどまることは無いがロボットは永遠だ!! とコロンさんの事を思い浮かべた鉄也は、ロボットの友達を用意すると約束。
 あんたら一応天才なんだからこのぐらいちょちょいのちょいでしょ? と少年の描いた夢の設計図を手にタートルベースへ戻る鉄也だが、我らがコロンさんの完成まではあの星博士を持ってしても2年の歳月を費やした事が明らかになり、そんな高性能ロボットは簡単にはできません、と先輩トリオには制作を拒否されてしまう。
 ボルトと戦っている最中にこんなロボットを作ってる暇は無い、とすげなく断る勇介たちですが、日常的にコロンさんと接した上、ライブロボとかスーパーコンピューターとかを散々見せつけられてきたので、友達ロボットぐらい三日もあれば作れるに違いないと思い込んでいたとしても、今回に関しては鉄也は悪くないと思います(笑)
 「じゃあいいよ! 俺一人でも、作ってみせる!」
 時折ドライな勇介の言葉に短気な鉄也は宣言し、それからしばらく後――独りで寂しく山野を駆けるカズオ少年の前に現れたのは、鉄也の開発した友達ロボ……ならぬ、少年の設計図に合わせて作った外装をフルプレートの要領で全身に着込み、自らロボットを演じる鉄也。
 少年の夢がいっぱいなので、愛嬌があるというよりも、ガッシュ寄りのデザインの黒塗りのロボットの登場に、カズオは大喜び。
 「ところで君の名前は?」
 「え? まだ無いんだけど」
 「じゃあ鉄ちゃんロボがいい」
 二人は仲良く遊び始めるが、それを見つめる黒い影。鉄ちゃんロボの中身が鉄也だと気付いたマゼンダは、鉄ちゃんロボと瓜二つの姿をしたロボヅノーを作り出し、この時点で大変えげつない展開の予感。 
 地球へ向かったロボヅノーは鉄也を不意打ちして崖から突き落とし、鉄ちゃんロボとの入れ替わりに成功。少年と遊んでいるところに近付いてきた勇介たちを倉庫に誘い込むと外から爆破し、偽装能力が高くて大変優秀です。
 ロボヅノーは変身により辛うじて脱出した勇介達に襲いかかり、友達だと思っていたロボットが知り合いを閉じ込めた倉庫を吹き飛ばすや間髪入れずに攻撃を仕掛け、少年視点ではあまりにもノンストップトラウマ案件すぎますが、人類ハ絶滅スベキ種族ダ!
 「貴様、いったい何者だ!」
 「鉄ちゃんロボだと言ったじゃないか」
 この返しが大変いやらしく、視聴者と、少年と、鉄也の安否を気遣う勇介達と、場の全員のMPを効果的にガリガリと削ってきます。
 ロボヅノーとマゼンダの攻撃を受けたライブマンは揃って川落ちし、少年の心を踏みにじる事で視聴者にボルトの悪辣さを見せつけつつ、不意打ちによるダメージと精神的動揺の隙を突いてライブマンを見事に追い詰めていく、作戦内容も秀逸。
 少年をもぎ離したロボヅノーが逃げる勇介たちを追い詰めていく一方、少年から貰った友情の勲章のお陰で一命を取り留めていた鉄也は目を覚まし、少年と再会。
 「違うんだよ。あれは本当の鉄ちゃんロボじゃないんだよ」
 「え?! じゃ、本当の鉄ちゃんロボは?」
 「……ある」
 鉄也は力強く頷き、勇介たちが追い詰められたその時、崖の上に現れたのは、復活した鉄ちゃんロボ!!
 「君がくれた勲章が、僕の命を、救ってくれたんだ。偽者め、許さん!」
 少年の勲章を掲げた鉄ちゃんロボはロボヅノーへと戦いを挑み、少年の夢を壊さない為に敢えて鉄ちゃんロボのまま戦う姿で、純一とは違う形でヒーローとしての鉄也を描いてくるのが、実に隙の無い展開。
 「鉄ちゃんロボー!!」
 (……負けるものか。俺が鉄ちゃんロボなんだ。カズオくんの、鉄ちゃんロボなんだ!)
 本性を現したロボヅノーとの空中パンチの打ち合いが相討ちとなり、ヘルメットが外れて正体を曝してしまう鉄也だが、少年はそんな鉄也の真心を喜び、人と人の繋がりを悪用するボルトの邪悪を、ヒーローが気持ち良く上書きする構成も鮮やか。
 ライブマンは5人揃って変身し、バイソンロッドで痛め付けてから、バイモーションバスター。
 巨大戦ではライブボクサーが苦戦するとライブロボを召喚してスーパー合体し、特に劇的な演出はなく二度目の登場となったスーパーライブロボですが、ライブロボをベースにした純粋なボリューム感のアップにはシンプルな迫力があって格好良く、動物大光線で、大団円。
 ラストは鉄ちゃんロボを中心に皆で少年と遊ぶほのぼのエンドで、外れたヘルメットを前後逆にがちゃっと被せるめぐみさんが、雑……(笑)
 少年との交流エピソードをベースに「ヒーロー」の姿をきっちり描き、面白かったです。
 あと、今回からめぐみさんの衣装が初期バージョンに戻り、髪型も衣装も、やはりこちらの方がいい。
 次回――「アシュラが、タイムマシンの扱いを間違え」るな(笑)

◆第34話「未来と今を駆ける恋!」◆ (監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)
 1988年10月22日――その日が誕生日の丈は浮き浮きと街へ繰り出し、その15年後――2003年10月22日、15年前の思い出の赤い靴を大事そうに見つめる女、キタムラ・ミク。
 再び1988年、ビアス様のタイムマシンを使って未来から究極の最終兵器を持って帰ってくるぜ、と超適当な事を言い出したアシュラはタイムマシンを誤作動させて中途半端に未来へ飛び、通りすがりのバイクの女に年号を確認するお約束。
 「ちっ! たった15年しか未来へ来れなかったか!」
 「まさかあんた、15年前の1988年から来たんじゃ?!」
 「タイムマシンの野郎が滅茶苦茶に動きやがってな」
 「タイムマシン?!」
 滅茶苦茶ものわかりのいいバイクの女…………これは、もしかして、藤井先生の素っ頓狂なパターンでは(笑)
 女――キタムラ・ミクは、15年前の思い出の人、「リーゼントのお兄さん」に出会えるかも、とバイクでタイムトンネルに突入し、この事態を知ったビアス様は大激怒。肩アーマーからガルヅノーを召喚すると女の抹殺をケンプに命じ、常ならぬ冷静さを欠いたその姿にマゼンダは不審を抱く。
 (いつものビアス様らしくない……何故?)
 ……その場の勢いではなく、異常事態という扱いでホッとしました(笑)
 「未来の世界は、はたして我々ボルトのものになっているのか。……ビアス様は、15年後の事を、我々に知られるのを恐れているのでは」
 「マゼンダ、俺たちは余計な事を考えず、ビアス様を信じていればいいんだ」
 「ケンプ! 私は、ビアス様の――」
 幹部同士の関係性は良好とは言いがたいものの、大教授ビアスへの信奉から組織としては揺らぎの無かったボルトに不協和音の因子が生じる一方、ひとまずアシュラらの手を逃れた丈とミクはいちゃいちゃモードに突入しており、定期的にオーラパワーがぶり返します(笑)
 マゼンダがミクから未来の情報を聞き出そうと迫った事でミクが15年後から来た事が明らかとなり、1988年ミクの為にも、元の時代に帰るべきだと諭す勇介たち。
 「丈、私は……ここに居たい! 帰りたくない!」
 隙あらばロマンスが燃え上がる毎度ながらの藤井節なのですが、緊迫するボルト側の襲撃そっちのけで盛り上がる丈とミクにはどうもノリにくく、飛び越えた時間が近い事で、2003年ミクにどうしても1988年ミクが投影されてしまうのも拍車を掛けます。
 丈とミクは消滅の迫るタイムトンネルへと急ぐが、残り僅かのところで立ちはだかるガッシュが、ビアス様の切り札感もあって格好いい。
 アシュラやガルヅノーも加わって大乱戦の中、丈はなんとかミクを未来へと送り返し、ライオンバズーカの直撃を受けて凄い勢いで吹き飛んだガルヅノーにバイモーションバスター!
 巨大戦はライブロボを召喚して二段斬りでさくっと成敗し、デートシーンの方が優先されました!
 ミクは無事に2003年に帰還し、未来ミクが落としたブローチを、丈が少女ミクに渡す事で歴史は正しく繋がり……最後の最後でブローチの真実に気付いた未来ミクは、丈が15年前の「リーゼントのお兄さん」だと気付かないまま盛り上がっていた、衝撃の真相が明かされて、つづく。
 ……いやてっきり、気付いたけど口に出していないものだとばかり思っていたので、このオチに割と驚きました。どちらにせよ、面白いとは言いにくいエピソードでしたが、「リーゼントのお兄さん」が叙述トリック(丈だと思わせて、実は勇介だった)ではなくて良かったです(笑)