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バタバタちぐはぐ

忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第37-38話

◆巻之三十七「三の槍と大脱出」◆ (監督:小中肇 脚本:荒川稔久
 巨大マンマルバに挑むハリケンジャーシュリケンジャーだが、天空扇風機に続いてマンモス攻撃も通用せず、旋風神は完敗。絶体絶命のその時、巨大マンマルバは休眠状態に入って活動を一時停止し、巨大マンマルバの、本能に従ってただそこに居るだけで人間社会に深刻な被害をもたらす描写は、戦隊ではあまり使わない手法が面白いアクセントに(《ウルトラ》シリーズと被るので、普段は意図的に避けているのでしょうが)。
 「マンマルバ……! 不憫な奴」
 流星雨の影響で細胞が突然変異したのだろうというムカデ様の見立てに嘆き節を洩らし、基本的に身内への面倒見がいいサーガイン(笑)
 岡本美登さんブーストもありますが、出来れば格好良く散ってほしいキャラではあります。
 マンマルバの休眠中に、シュリケンジャーとおぼろは究極のニューアイテム完成を目指し、鷹介たちは迅雷バイクによるマンマルバ内部への突入でゴウライジャーを助け出そうとし、これまで鷹介に偏っていた霞兄弟との絡みですが、鷹介の負傷により、七海と吼太が突入役を担当する事になるのは、良いバランスでした。
 ウェンディーヌとフラビージョの横槍もあって活動を再開する巨大マンマルバだが、ハリケンジャーは体内のゴウライジャー救出に成功し、ニューアイテムも完成。
 「エブリバディ、ニューアイテムで究極の三体合体、いっちゃうぜ!」
 シノビメダル15-16-17を3体のロボが同時起動する事により新カラクリ・トライコンドルが誕生し、銀河超越・三神合体により、豪雷旋風神をベースに胸部に巨大なシュリケンローターの付いた、天雷旋風神が推参!
 てっきりマンモスで打ち止めだと思っていたのでこの究極合体は驚きましたが、マンモスの数話後にニューアイテムで三体合体だ! とか言われても、盛り上がりにくいのは正直。
 最大の問題はやはり、シュリケンジャーの一体感の薄さですが、前回-今回も、社会と接続し始めたゴウライジャー、そんなゴウライジャーとハリケンジャーの絆LV上昇は描かれていますが、シュリケンジャーについて描かれているのは唐突におぼろさんと仲良くなりましたぐらいなので(しかも多分、おぼろさんはシュリケンジャーの技術にしか興味がない)、ドラマの流れと合体によるピークの位置がズレてしまっています。
 つい最近、おまえらのバチ捌きにはロックが足りてねぇ! とマンモスを巡って揉めたのは、なんだったのか。
 とにもかくにも、天雷旋風神は超忍者タツマキにより怪獣マンマルバを葬り去るが、ムカデ様はその爆死の直前、マンマルバの得た“アレ”の秘密を読み取る事に成功するのであった……。
 戦い終わり、精根尽き果てた鷹介・吼太・七海は泥のように眠りこけ、霞兄弟は膝枕を提供し、鷹介と吼太を担当する兄者の兄弟愛に全米が涙し、一鍬どっきどきで、つづく。

◆巻之三十八「魔剣とふうせん」◆ (監督:小中肇 脚本:吉田伸)
 「最近の兄者は疾風流の言いなりじゃないか。兄者!」
 一鍬、遂にグ・レ・た。
 まあ、一ヶ月ほど前まで、「疾風流の連中とは馴れ合わず、あくまで闇から奴らを支え、鍛え上げるのが俺の宿命……!」とか浸り切って説得に一切耳を貸さなかった兄者が、「ジャカンジャを倒す為なら豪雷神の魔改造も仕方ないよね……」と急に軟化したら、それはさすがに一鍬もグレます。
 そんなわけで、おぼろのこころない発言に傷つき、里で体育座りしていた一鍬は、隠し洞穴で鬼畜父が使っていた魔剣を発見。一鍬が剣を手に取ると壁の蝋燭に次々と火が灯り、鬼の石像が薄暗い洞窟の中に浮かび上がるのは、なかなか盛り上がる演出で、父の幻影をこの剣に見る一鍬は、己の血肉と言える迅雷流への思い入れから、魔剣を手に独りでその力を証明しようと躍起になってしまう……。
 霞一鬼が霞兄弟にかけた呪いを、簡単に乗り越えられるものではないともう一度拾った上で、幼少期の全てを否定するのではなく、父によって刻み込まれた迅雷流にプラスの意味を見出したいが、同時に父との過去を振り切りたい一鍬の抱えるアンビバレントに焦点を当てたのですが、少々以上に、1エピソードに収めるには複雑になりすぎた感。
 また、結果的な行動が、サソリの呪いにかかっていた時期の一甲そのままになってしまい、前々回に霞兄弟の明確な変化を描いていた事もあって、状況設定が単純に面白くなりませんでした。
 クライマックスバトルで、魔剣を半分に叩き折る事で起死回生の攻撃を放つのは父越えの見せ方として格好良かったのですが。
 天雷旋風神は、出力が大きすぎた上に調整不足でメダルが壊れてしまった事で連続使用が出来ず、今回はマンモスが復帰して「全ての流派の力を合わせるぞ!」となるのですが、なまじエピソードで疾風流と迅雷流に焦点を当てただけに、シュリケンジャーが名乗っている流派との因縁の欠落が悪目立ちしてしまい、どうにも設定の練り込み不足を感じます。
 「やってくる。いよいよ最後の槍が」
 サタラクラ期待の風船忍者は敢えなく地球に散るが、ムカデ様は不敵にほくそ笑むのであった……で、つづく。