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偽書東日流外三郡誌」事件』(斉藤光政)が面白かった!

 正史には登場しない津軽の闇の古代・中世史を、敗者の視点から記した「門外不出」「口外無用」の古文書――1975年、市浦村の『村史資料編』として世に出た『東日流外三群誌』は、専門家からは黙殺されるような内容ながら、小なりとも公共機関から発行された安心感に加え、おりからの超古代史ブームに乗って知名度を上げ人気を博す事になる。
 ――それから約20年後、関連書籍の盗用疑惑を巡り、その真偽を公的な場で問われる事になる『外三群誌』。この裁判の取材がきっかけで、『外三群誌』を含む膨大な「和田家文書」にまつわる事件を追跡し続けた筆者が、裁判の始まりから決着とその後、“発見”され続けた「和田家文書」が東北各地にもたらした少なからぬトラブルの数々、『東日流外三群誌』を巡る事件の顛末を綴ったノンフィクション。


 「五流の偽書」という評価を受けながらも、『外三郡誌』が“人気”を得た最大の理由として、多くの専門家が指摘するのは、敗者の視点からとらえた闇の歴史――という『外三郡誌』が描く反体制的な歴史像だった。
 歴史的に蔑視され、抹殺された側から再構成された日本史だからこそ何かがあるはずだ、と既存の歴史書にあきたらない人たちは考え、『外三郡誌』に触手を伸ばした。正史の陰にこそ真実がある、と意図的に語る研究者やマスコミが積極的に、『外三郡誌』の宣伝役を務めたのも事実だった。
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 裁判という形で問題提起されたからこそ、それまで『外三郡誌』の偽書性に対して目をつぶり、口をつぐんできた人たちが声を上げ始めたのではないか。その結果、反社会的な側面を多く持つ、謎の文書の存在を広く知らしめることができたのではないか。そのことは、日本全国のどこにでもある『外三郡誌』的な社会問題に警鐘を鳴らすこにもなったのではないか。
 後に「内容はともかく量的には史上最大の偽書」と言われる事になる『外三郡誌』は、如何にして村の公史の中に“潜り込み”、“発見”を繰り返しながら世間に広がり、多くの人を巻き込んでいったのか……時流や地方の観光事業などと複雑に絡み合い、嘘また嘘が繰り返される中で、擁護派の筆頭として様々なお墨付きを与えたり“発見”に関わっている地元の名士や大学教授が登場したり、「和田家文書」にまつわる過去の捏造が飛び出したり、普段ノンフィクションは嗜まないのですが、非常にスペクタクルな展開で、大変面白かったです。
 刊行は2006年(出来事は90年代を中心に、内容によっては数十年を遡る)ですが、『外三郡誌』が持て囃され読者を得た背景に始まり、足下が炎上している間に更なる燃料を大々的に投下してくる擁護派の行動や、昨今のSNSにおけるデマの問題と酷似した構造が展開するなど、SNS全盛の現在だからこそ、“遠いようで近い話題”として肌感覚でわかる部分も多く、今読む事で生まれる面白さもあったり。
 題材としている事件そのものも面白いのに加え、中で『竹内文献』の話が出てくるなど人間の営為の中で繰り返されてきたであろう事象を扱っているので普遍性もあり、また、筆者が取材した様々な関係者のコメントも、考えさせられるものが多かったです。

 「しかしわざわざそれを否定するために研究することは、およそ時間の無駄でしかない。この手のものは黙殺するのが学会の常識であるし、自分たちの研究で一度もそれを史料として利用しないことが、学者としての立場の表明になっているのである」
 (小口雅史/法政大学教授)

 「人間の感情のなかで誇りと怨みは表裏一体のものです。誇りは人間にとって大切なものですが、あまりにもそれを意識しすぎると、冷静さや客観性を欠き、ほかを蔑視しやすくなります。そのような時に周りが自分を評価してくれないと、“なんで、自分の素晴らしいところを理解してくれないのだ”と怨念を抱くようになります。このような人は、やがて自分を理解してくれないものに対して、攻撃的な行動を取るようになるものです」
 「素朴な怒りが怨念という強い憎悪に変わる事を期待しているのです。怨念を持った人は、同志の言葉しか受け付けなくなるからです。このような人々が多くなれば、本も売れるし、講演でもかせげるという仕組みなのです」
 (千坂げん峰/聖和学園短期大学特任教授) げん=山+彦

 「『外三郡誌』のファンには、“勉強家”が多いという特徴があります。そのなかには、“『日本書紀』や『古事記』ではあいまいでなぞだらけの内容が、『外三郡誌』ではつじつまが合ってよくわかる。だから『外三郡誌』は正しいと思う”と言う人たちがいますが、ぞれは逆なんです。
 偽史研究家の長山靖生さんが言っているように、つじつまが合うのは、『外三郡誌』が現代的な解釈に合わせて資料を捏造しているからにほかならないんです」
 (原田実/偽史研究家)
(※肩書きは全て、本書の表記によります)
 個人的にちょっと面白かったのは、扱っている内容が内容な為に、実はこの本はフィクションであり、そんな事件はそもそも存在していなかったらどうしよう、といった思いに読んでいる途中でふと囚われた事で、「偽書を扱ったノンフィクション」と思って読んでいたものが実は虚構だったとしたら、まさに「偽史を史実と信じ込んでしまった人」体験だ! 的な感覚はなかなか眩惑的でありました。
 お薦めの一冊。

妖星ゴラス』を見た

 質量が地球の6000倍とされる黒色矮星「ゴラス」が発見され、このままでは地球と衝突してしまう! 果たして人類はこの危機を克服する事ができるのか……という、1962年の東宝特撮映画。
 地球に迫る巨大惑星を、巨大怪獣に見立てるという文法で進む、いわば史上空前の怪獣映画で、筋立ては知っていたのですが、改めて、スケール感の好きな一作、
 今見ると、縦軸はともかく、横糸になるエピソードはどうもピンと来ないのですが、この辺りは1962年であり。
 ……まあそれにしても、責任者が気軽に最前線に出過ぎなのはどうかと思いますが(笑)

ゼノブレイド』一時停止中

 今月入って湿気ダメージが解消されたら割と文筆と読書が捗る一方でゲーム熱が後退し、クライマックス前で中断中。……いつもの病気という気がしないでもなく。追加ストーリーもあるので、8月中を目処に終わらせたいぐらいの気持ちで。