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轟く三味線炎の忍者

忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第35-36話

◆巻之三十五「キラリと三味線」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:宮下隼一)
 初めてのアバンタイトルで、マンモス操作の為に三味線の使い方を学ぶ事になるハリライジャー。
 「ノーノー、カブトライジャー。そんなの動かした内に入らないぜー。切腹!」
 と聞こえて驚きましたが(映像もここでちょうど剣を抜く)、
 「せっかく、疾風丸にも迅雷丸にも対応できるシステムだというのに」
 でした(笑)
 そんなわけで、忍三味線の柄には疾風丸と迅雷丸も接続できるよ! と三味線の売り込みが図られるが、街にサーガイン自ら乗り込むムササビ忍者が出現。ビクトリーガジェットでさえ傷1つ付けられないムササビ忍者に対し、三味線の音波攻撃を指示するシュリケンジャーだが、不甲斐ないその演奏に思わず罵声を浴びせ、手も足も出ないまま煙玉で撤収する羽目に。
 改めて、三味線による超音波攻撃を指導しようとする緑だが、「忍者失格」まで口にするその態度に生徒達から不満が爆発。
 「なんだよリーダー気取りで。そんなん誰も認めないぜ! よく考えたら何も知らないもんなシュリケンジャーの事。正体も、どこから来てどこへ帰るのかも。そんな奴に仕切られたくないぜ!」
 「「うん」」
 え、今、ここで、その話題出るの?(笑)
 大変不自然なタイミングで鷹介が癇癪を起こし、本来はマンモス登場編でやっておきたかったけどやれなかった、視聴者がシュリケンジャーに思っている事の代弁と不協和音、を強引にねじ込んできましたが、玩具ギミックの関係で5人が三味線修行を始めるのもだいぶ強引なので、構成の苦労が窺えます。
 「ただ結果を求めるだけではな。プロセスは大事だ」
 「あいつらの気持ち、よくわかるぜ」
 ハリケン3人組はレッスンを拒否して離脱し、霞兄弟にまで、人間関係を説かれた(笑)
 …………まあ、考えてみるとシュリケンジャー、一方的な物言い・やたら飾った口調・頑なに素顔を見せようとしない・自分の都合に一般市民(他人)を巻き込む事に頓着しない・追い詰められると性格が豹変する……って、忍者の眩惑なのではなく、純粋にコミュニケーション能力に問題のある人だったのか。
 緑と決裂した鷹介たちだが、ムササビ忍者への対抗策は、これといって、無し。なんとかしなければ、と考えているところに交通ルールにうるさそうな炎の三味線野郎(演:岸祐二)が通りすがり、シュリケンジャーに学ぶのは腹立たしいけど、TVで有名なカリスマ三味線奏者になら習いたいと現金な事を言い出して、交渉成立。後から霞兄弟も加わって、打ち寄せる荒波をバックに5人は一心不乱に三味線をかき鳴らし、大変、オーラパワーに目覚めそうです。
 「ホットな魂を、クールに合わせる!」
 (『特捜戦隊デカレンジャー』の、「燃えるハートでクールに戦う」の元ネタ?!)
 忘我の領域に到達した5人は再び出現したムササビ忍者に三味線で挑み……嫌な予感はしていたのですが、三味線を習ったのは5人・忍三味線の数は1つ、なので、一人ずつ剣を装填しては三味線武装で「○○ソニック」を浴びせていく、凄くテンポの悪い事に。
 最後は三味線野郎がシュリケンジャーに変身してフィニッシュし……こいつ、今回も普通に気絶させた上に、記憶消したな。
 反省を見せたシュリケンジャーとはなんとなく和解し、巨大ムササビを究極奥義ボールゴロゴロで成敗バイする地球ニンジャーだが、ジャカンジャでは再び成体となったマンマルバが繭の中より復活するのであった……。

◆巻之三十六「リングと復讐」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
 「バイクなんて卑怯だぞ!」
 「戦いに卑怯はない!」
 卑怯者=デリート許可、な某先輩忍者一家には聞かせられない発言です。
 ゴウライジャーとの実戦訓練に19連敗中のハリケンジャー、前回、カイトに乗って置き去りにした事実を棚に上げ、バイクにズルいズルいを連呼していた赤青が盗み乗りしようとして大失敗。
 一方ジャカンジャでは、先代マンマルバの遺伝子情報を引き継ぎ、記憶や人格を同じくしながらも能力の強化された新生マンマルバが活動を開始し、子供たちに剣道を教えて若奥様たちから大人気の霞兄弟へとジェラシーファイヤーを燃やす。
 「影の存在だった奴らが、人との触れ合いに目覚め、人間らしいぬくもりを得た。それをズタズタにして、奴らの心をかき乱し、苦悩の内に地獄へ送ろうということだ」
 「じゃあ次は? ワクワク」
 剣道教室の関係者ばかりではなく、霞兄弟が親切で助けた老婆や少女に至るまでが次々とマンマルバの標的とされる大変いやらしい展開で、あっさり完敗したハリケンジャーも含めて、生命力を吸い取る死のリングをはめられてしまう。
 ゴウライジャーとマンマルバのバイク対決……はいささか唐突ですが、ゴウライバイクは格好良かったので再登場は嬉しいですし、昆虫型怪人がバイクに乗ってヒーローの向こうを張るのは、『仮面ライダークウガ』からの流れもあったでしょうか(監督・脚本は、同作に加わったコンビでもあり)。
 「こんなところで……」
 「倒れて、られない」」
 「俺たちハリケンジャーだもんな!」
 今回は冒頭からいいところ無し(ただし、前向きな修行シーンが繰り返されて貶められてはいない)だった鷹介たちだが、意識を取り戻すと病院を飛び出していく姿は、実にらしい格好良さ。しかし既に、ゴウライジャーも新生マンマルバに手も足も出ないままその命は風前の灯火と化していた。
 「余計な感情を知って、弱くなったなゴウライジャー。人間らしいぬくもりや触れ合いなど、戦うものには不要なのラ」
 だがトドメの寸前、降り注ぐ流星雨――闇のメッセージ――から“アレ”に関する予言がもたらされ、その膨大な情報量を受け止めきれなかったマンマルバの体が、突如として巨大怪獣に変貌。
 ぎょろりとした両目と剥き出しの歯が特徴的でグロい巨大マンマルバに立ち向かう天空神だが、勿論、瞬殺。
 ゴウライジャーは敢えなく巨大マンマルバに吸い込まれてしまい、それを目にしたハリケンジャーは、果たして兄弟を助ける事ができるのか?!
 世間に馴染んできた霞兄弟を狙う卑劣な罠と、それに怒りを燃やす霞兄弟の変化が印象的に描かれた上で、まだまだ若輩を強調されたハリケンジャーが二人を救う為に立ち上がる展開は盛り上がっているのですが、長らく忘れられていたバイクアクションを次回も押し出すのは困惑が先に立ち、今作はどうも、デコボコした構成が悪い意味で気になります。