東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

会津で輝けライブマン

超獣戦隊ライブマン』感想・第25-26話

◆第25話「鶴ヶ城の8大頭脳獣!」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 福島県会津若松鶴ヶ城に幽霊が出る?! 夏だ観光タイアップだ! と噂を調べに来た勇介たちは弱虫を理由にいじめられている少年・コウジと知り合うが、調査に向かった鶴ヶ城で3人を待ち受けていたのは、甦った頭脳獣!
 「死んだ頭脳獣が甦るとは!」
 「ビアス様! いったいどういうことですか?!」
 「今日は地球はお盆だ。死者の魂が甦る日」
 ビアス様、なんでもかんでも、耽美に呟けばいいと思っていませんかビアス様……!(笑)
 「そうか……お盆か」
 だが心酔のあまり納得してしまったケンプは陶然と頷き、その様子をちょっと心配そうな目で見るマゼンダが今回のハイライト(笑)
 「我がボルトにおいては、頭脳獣の魂が甦る日だ」
 鶴ヶ城の地下では、レーヅノーが次々と霊魂から頭脳獣を復活させており、全てはライブマンを死地に誘き寄せるアシュラの罠であった!
 「数々の戦いを繰り広げてきた鶴ヶ城。貴様等との決戦の場にふさわしい。今日こそ貴様等を、倒す!」
 亡霊頭脳獣とアシュラ三人衆の連係攻撃に変身の余裕も与えられずに追い詰められる勇介たちだったが、肝試しに挑んでいたコウジ少年が地下の隠し部屋に入り込み、霊ヅノーの儀式を偶然妨害した事により、亡霊頭脳獣が消滅。一当たりして撤収後、少年に隠し部屋への案内を頼むも脅える少年に拒否を受け、さすがに今回は丈に回ってくる説得係。
 「男というものは、いつかは勇気を振り絞って頑張らなきゃいけない時があるんだよ。このままだと、君は一生弱虫と言われ続けるぞ。それでもいいのか?」
 丈の言葉に勇気づけられたかに見えた少年だが、口封じを計るアシュラの手により檜原湖を走るフェリーへと拉致されてしまう緊急事態で、あっちこっちに忙しい場所移動が、実に観光タイアップ回です。
 コウジ救出のためにモーターボートで突撃する勇介たちだが、亡霊頭脳獣の強襲を受けてめぐみと勇介が立て続けに湖に投げ落とされ、落下シーンはさすがにスタントによる吹き替えだと思うのですが……ですが……なにぶん、第1話の激走自転車と大爆発のシーンが本人撮影だった作品なので、予断を許しません。
 (※追記:ご本人でした! 参考→森恵さん公式ブログ〔光の中のめぐみ/「ライブマン第25話~会津・鶴ケ城」〕
 「みんな僕を助けるために……」
 勇介たちの戦いを見て勇気を出した少年は、頭脳獣の隙を突いて自ら湖にダイブすると、丈がそれをキャッチ。二人は鶴ヶ城への地下へとカチコミするが、ズラリと並んだ亡霊構成員にライオンが取り押さえられてしまう。その落としたハジキを手にした少年が、「男を見せろやぁぁぁ!」とアニキに背中を押されると震える手を引き金にかけ、響き渡る乾いた銃声が、二発、三発……
 「な、なにしてくれとるんじゃワレ……」
 スーツの脇腹を真っ赤に染めたレーヅノーが祭壇の爆発に巻き込まれて吹き飛ぶと亡霊頭脳獣軍団は消滅し、直後に霊魂パワーで自ら巨大化している事から、ゲスト少年に倒された怪人という、シリーズ歴代でも異例と思われる死に様を遂げる事に。
 アシュラいわく「幽霊になった」とされる巨大霊ヅノーは、霊体回避によりライブロボを翻弄するが、普通に足を掴まれてジャイアントスイングからスーパーライブクラッシュで成仏。頭脳獣を倒した男、として戦隊史にその名を刻み込んだ鉄砲玉もといコウジ少年は、平和を取り戻した鶴ヶ城で肝試しを達成して弱虫を克服し、次回も、会津若松からお送りします。

◆第26話「会津の巨大カブト虫!」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 前回知り合ったコウジ少年と共に会津を観光していた勇介たちは、不思議な光を目撃。そこでは電球モチーフ(キノコっぽくもある)と思われるヒカリヅノーが、磐梯山の火山エネルギーをギガスーパーエネルギーに変換し、マゼンダがビアス様からの宿題を達成していた。
 「ギガ計画は着々と進みつつある。……ふ、ふふふふははははは。我がボルトの偉大なる科学力に、愚かな人間共が震え上がる日も、もうすぐだ」
 同じ役者さんなので当たり前なのですが、「日も」の言い回しが凄く、現在の声優・中田譲治への繋がりを感じさせます。
 一方、磐梯山の裾野に広がる高原で、虫愛でる少女・ユカリを突然突き飛ばす、巨大なカブトムシ!(率直に気持ち悪い)
 悲鳴を聞きつけた勇介たちが駆け付けると既に巨大カブトムシの姿はなく、座り込んで目を塞いでいた少女はそのまま走り去ってしまい、コウジと勇介たちは顔を見合わせる事に。
 「とっても虫の好きな子だったのにな……急にどうしちゃったんだろう」
 ところが、東京から遊びに来ているユカリが宿泊中の裏磐梯高原ホテルに戻って気持ちを落ち着けていると、巨大カブトムシが窓から侵入!(率直に超怖い)
 窓に貼り付く巨大カブトムシだけでけっこう怖いのに、見た目まるっきりカブトムシが、窓を割って入り込んでくる時だけ動きが人間になるのが、ますます怖い。
 ユカリを追いかけてきた勇介たちはカブトムシを部屋から追い出そうとするが、下手な頭脳獣より強いぞカブトムシ!
 更に超巨大セミが出現し、昆虫魂が、暴走している!!
 これらはギガスーパーエネルギー生成時の光による突然変異であり、ヒカリヅノーのデザイン=キノコ雲の暗示であり、ギガスーパーエネルギー=原子力のメタファー、と考えるのは、さすがにうがち過ぎではありましょうか(「ボルトの科学」そのものが「倫理観を失い暴走する科学」であるわけですが)。
 この異常現象を嗅ぎつけた事でライブマンが間近に迫っているぞ、とマゼンダに教えに来てくれるケンプ、地球の天才たちの友情パワーが着々と上昇していますねビアス様!!
 (ストーリー上の登場理由はほとんど無く、今回のロケが慰労会も兼ねていてキャストが会津に揃っていたりしたのでしょうか……?)
 もうこんな土地には居られない、とホテルを飛び出すユカリだが、今度は巨大な蝶にまとわりつかれ、追いかけた勇介たちは、虫を愛するユカリにだからこそ、巨大な虫たちは近付いてきたのだと、事態を説明。コロンの分析により虫たちの突然変異の真相が明らかになり、地面に落ち動かなくなった蝶に5人は目を留める。
 「可哀想に……このちょうちょも、さっきのカブトムシたちも、みんな犠牲になったんだな」
 「ひでぇよ……無理矢理大きくされたから死んじまったんだ」
 バラード調アレンジのEDインストに乗せて巨大蝶の死骸から命の尊さへとアクロバットに繋ぎ、勇介と丈の台詞だけでなく、巨大蝶の死骸を痛ましそうに抱き上げるめぐみの姿が、説得力を引き上げて素晴らしい。
 「ユカリちゃん……見て、この美しい会津の自然を。今この美しい世界のどこかで、なにか恐ろしい事が進められているの」
 めぐみの台詞から情景カットへと極めてスムーズに繋がり、タイアップ回として地元への配慮もバッチリです!!
 「自然界に異変が起きたら、真っ先に、こういう小さな生き物たちが、影響を受けてしまうの。……この小さな虫たちは、その小さな命で、私たちに、異変を教えてくれようとしてたのよ」
 「……ごめんなさいね。私、まだ本当にあなたたちの事わかってなかったんだわ。でも、いったい誰がこんな酷い事を!」
 5分前まで巨大カブトムシ気持ち悪い話だったのに、現実にフィードバック可能な要素を巧みに織り交ぜながら、生けとし生きるものを尊重する今作全体のテーゼと結合しつつ、他者の命を踏みにじる歪んだエリート主義であるボルトの「悪」が克明に炙り出され……前回の今回なので、タイアップ回の緩いボール球だろうと見送っていたら、いつの間にかストライクゾーンど真ん中でミットに収まっている、曽田マジック、恐るべし。
 その時再び磐梯山で謎の光が発生し、遂にマゼンダのアジトを見つけだすライブマンだが、ヒカリヅノーの攻撃を受け、血まみれで高原に転がる大ピンチ。
 「見たか、ギガスーパーエネルギーの威力を!」
 「ギガスーパーエネルギー?!」
 「冥土の土産に聞かせてやろう。ギガ計画に必要なエネルギーを集めていたのだ!」
 「そんな事の為に、小さな生き物たちが、どんな目に遭ったと思ってるの!」
 「ふ……虫けらにもそんな影響を与えるとは、さすがはギガスーパーエネルギーというべきか」
 むしろ勝ち誇るマゼンダが、大変いい表情。
 「ふふふはははははは! あはははははははは!!」
 小さな命への反応を通して、命を踏みにじるボルトと、それを許さないライブマンとの対比が今作における善悪の相克として鮮やかに描かれ、今回ケンプは、ほぼこの高笑いの為だけに地球に来ました。
 怒りを燃やす勇介たちだが、ヒカリヅノーのギガ光線で絶体絶命のその時、巨大カブトムシが姿を見せ――迸れ、昆虫魂!!
 巨大カブトムシがカバーリングに入った事で、爆発の直撃を避けた勇介たちは変身に成功。初めて単独で使われた気がするライオンバズーカで戦闘員を吹き飛ばし、残ったヒカリヅノーにはトリプルバズーカからバイモーションバスターだ!
 かなりの強敵だったヒカリヅノーですが、巨大戦は今日もざっくり超獣剣で片が付き、度重なるボルトの暗躍から平穏を取り戻す会津若松
 「カブトムシは、光に集まる性質がある。だからあの光に寄っていったんだね」
 この局面で言う事それかコウジくん。
 「違うわ。あのカブトムシは、助けてくれたのよ。みんなを守ってくれたのよ!」
 「……そうか。そうだね」
 コウジとユカリに見送られながら、ライブマンは電車に乗って会津若松を去って行き、男2人のコウジくんへのエールが生暖かい(笑)
 ナレーション「ライブマンは、美しい自然に囲まれた、会津若松に別れを告げた。この大自然が、いつまでも美しく、いつまでも、日本のふるさとであるように、願って」
 次回――めぐみパパ登場(毎度の事ながら顔認識に自信が無いのですが、あの人か?!)。