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兄者ルートが解放されました

忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第31-32話

◆巻之三十一「流星と三匹の狼」◆ (監督:大井利夫 脚本:宮下隼一)
 「一鍬……おまえと一緒に戦うのも、これが最後だろう」
 「やっぱり嫌だ……もうそんな事は聞きたくない!」
 「一鍬! いつか言ったな。俺たちがゴウライジャーであり続けるには覚悟が必要だと。その覚悟で、俺は俺の宿命を受け入れ、ゴウライジャーとしてハリケンジャーを闇から支え続けてきた」
 ……支え……続けて……ましたっけ……?(笑)
 事実関係はともかく、兄者の思考として、ジャカンジャに荷担した贖罪も含め、あくまで裏方としてハリケンジャーを支え、光を浴びようなどと考えてはいけない、という意識はわかるのですが、どうもそれが、宇宙サソリ後に持ち出した僅かな命を受け入れ最後まで戦いに捧げる「宿命」と混線を起こしているというか、物語が意図的に混線させているように見えるのは、引っかかる部分。
 「それを一鍬、これからはおまえが継ぐのだ」
 「……兄者!」
 「弟よ。それがおまえの宿命なのだ」
 思いあまった兄者、とうとう、宿命の押し売りを始める。
 ……兄弟揃って自覚ないようなのですが、兄者が完全に、外道父をトレースしてしまっているのが、辛い。
 街にはサタラクラが操る悪魔の宇宙忍狼ファングール×3が出現し、影を食われた人間が知性を失った獣と化してしまう経緯を、影によるゴア表現(捕食と人体損壊)で示すのは面白い演出でした。
 獣と化した人々が次々と姿を消して無人となった街がニュースで取り上げられるが、そのニュースを読むアナウンサーも影を食われて獣と化し、そのTVを見ている人さえもはや居ない……というのも、印象的な見せ方。
 「死ぬな! 死ぬなよ一甲!!」
 狼の行動をフォローする為に暗黒七本槍が出撃し、マンマルバに追われる一甲の命が風前の灯火である事を一鍬から聞き出した鷹介は、一鍬を殴り飛ばして一甲の後を追う。
 「なにが宿命だ! 人の命を弄びやがって! こいつは……一甲は、死なせない。俺が絶対に死なせない!」
 兄者を敬愛するあまりに宿命に殉じたがる兄者を止められない一鍬を殴り飛ばし、一甲を助ける為に真っ直ぐに駆けていく姿は鷹介の良いところが出て、非常に『ハリケン』らしい主人公像と展開なのですが、かれこれ30話台だというのに、ゴウライジャーと絡むのが鷹介に偏るのは、どうにも物足りない部分です。
 ハリケンレッドは一甲に伝授されたカブト雷撃破でマンマルバを退け、目潰しから始まる秘剣が有効活用されるのを、忍者物だからと素直に受け止めてしまっていいものなのか(笑)
 しかし、宇宙サソリの孵化により、一甲、死亡……?!
 「自分の命は……自分で使えよ。闇になんかなるなよ……ばかやろーーー!! 俺たちは、一緒に生きて一緒に戦っていくんだろう?!」
 闇に生き、闇に死ぬ事を選んだ一甲に対し、鷹介の慟哭の叫びが響き、突如として地球に降り注ぐ流星雨で、つづく。

◆巻之三十二「死神と最終奥義」◆ (監督:大井利夫 脚本:宮下隼一)
 流星雨は邪悪なる意志からのメッセージであり、かつて霞一鬼がひらめキングしたものと同様のものである、と御前様からの解説電話が入り、ジャカンジャにも上司の存在が匂わされる中、流星雨の示す予言の内容を解析しようとするシュリケンジャー。一方、狼の猛威に一甲の脱落が続き、地球を守る忍者たちは、かつてない危機に陥っていた……。
 ●流星雨の解読
 ●宇宙忍狼ファングール撃退
 ●一甲の救命活動
 複数の苦境イベントを同時進行して『ハリケン』史上最大の危機感を出す事そのものは成功しているのですが、「我々は市民を守らなくてはと青黄を焚き付けた緑が、流星雨解読の為に真っ先に(黙って)離脱する」「狼に完敗した4人が危篤状態の一甲の病室でしばらく落ち込んでいる」「一甲を助ける事を優先してマンマルバの元に向かう鷹介」など、各イベントの優先順位が不明瞭になってしまい、「仲間の命」と「人々の命」のどちらを取るか、などの難しい選択に生まれる「葛藤」から互いの「役割分担」に繋げて物語を整理する事には失敗。
 緑の途中離脱は次回への引きの要素もありそうですが、結果として「流星雨」>「一甲」>「一般市民」の優先順位になってしまい、各々が何を選んで何を後回しにするのか、「正解がない」からこそ、もう少しはっきりとその「選択」を明示してほしかったかな、と。
 鷹介が命がけで手に入れた宇宙サソリの毒を抗体として一甲は蘇り、半裸の一甲が鷹介を抱きしめる(語弊なし)と鷹介もなんとなく蘇生。
 捨て身の囮作戦でファングール×3を葬り去る青黄蒼だったが人々の野獣化は拡大していき、更に三つ首の巨大狼ファンゲロスが誕生。アレ誕生が近付く中、光も闇もなく、今度こそ真の意味で共に戦う仲間となったハリケンジャーとゴウライジャーはファンゲロスへと立ち向かっていき、前回からの流れを受けて、鷹介が今度こそ一甲を一鬼の呪縛から解放するのは良かったのですが、やはりそこで七海と吼太が不在なのは、物足りないところ。
 「みんな、決戦だ!」
 でつづく。