東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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洗脳塾の系譜

超獣戦隊ライブマン』感想・第24話

◆第24話「遊んで百点が取れる?!」◆ (監督:東條昭平 脚本:藤井邦夫)
 「勉強は落ちこぼれでも、彫刻の天才は天才だよ」
 勉強は苦手だが、彫刻が大好きな少年・ジュンと出会った勇介は、もっと大きなものに彫刻したいという少年に、丸太を抱えてきてプレゼント。
 「そりゃあ、勉強も大切だ。でも、好きな事を一生懸命やる事も大切なんだ」
 夏休みも塾に忙しい少年を励まし、いい事は言っているのですが、勇介の、“エリートの中のおちこぼれ”だが、それ故に「知性と広い視野」を兼ね備えているという設定は、一歩間違えると「無責任な言動」になる危うさがあって、若干素直に飲み込みにくいところがあります。
 勉学一辺倒に警鐘を鳴らす作品的には、どちらも大事にして健全に育った理想型、としてのヒーローなのでしょうが。
 「俺もな、ジュンぐらいの時に、サッカーが好きになって、オーバーヘッドでゴールを決めようと、一生懸命練習したもんさ」
 「それで、オーバーヘッドでゴールを決めたの?」
 「……いや。まだだ。でも、いつか必ず決める。だから、今でもずっと練習してるんだ」
 そんな勇介が、何でも出来てしまうのではなく、出来なかった、でも、その意志は今でも持ち続けている、と示してきたのはとても良かった部分で、そんな勇介だからこそ、様々な物を捨ててもボルトとの戦いに身を投じられる、というのも説得力を増しました。
 物語のテーマが現実に密接している事もあるのかと思いますが、こういった部分を「狂気」「使命」だけで処理せずに、理由を肉付けしていくのは今作がかなり巧く行っている部分で、80年代~90年代への過渡期の作劇を感じます――そしてこれを、「論理立てた狂気」として描いたのが、後の『鳥人戦隊ジェットマン』。
 「そのうち格好いいとこみせてやるからな!」
 「勇介さん、僕やってみるよ。勉強もトーテムポールも、頑張ってみるよ」
 だが、ジュンの周辺には人間家畜化計画を進めるマゼンダの魔手が忍び寄っており、「楽して頭が良くなりたい」と願った少年少女達が、次々とブタヅノー(背中にもブタ鼻の意匠が入っているのが面白い)の光線を浴びてしまう。ブタ光線により一時的に脳が活性化した子供達は塾で好成績を収めるが、それはやがて怠け者のブタ人間となってしまう悪魔の取引であり、餌場に顔を突っ込むブタ子供達のイメージ映像が刺激的。
 物語としては、「楽して点を取ろうとすると怠け者のブタになる」構成になっていますが、今作のテーマを考えた時は「子供達を夏休みさえ塾に押し込める事が(比喩的な)ブタへの道ではないか」が真の意図とは思われ、風刺も強烈。
 何もせずに成績の急上昇した級友たちから落ちこぼれの大合唱を浴びショックを受けるジュンから、謎の女先生の話を聞いた勇介たちは、学校に忍び込んでマゼンダと遭遇。
 ライブマン! お前達も勉強が出来るようになりたいのか?」
 は、ボルトサイドの嫌らしさが詰まっていて、大変いい台詞でした(笑)
 ライブマンと一当たりしてマゼンダとブタヅノーは姿を消し、その計画通りに、怠け者のブタ人間と化していく子供達。
 「これがマゼンダの狙いか……!」
 ジュンを心配した勇介は、彫刻の途中で浜辺に放置されたトーテムポールを目にして急いで学校に向かうと、ブタ光線を浴びる目前だったジュンを救出。
 「怠け者のブタでも、落ちこぼれのバカって言われるよりはいいよ!」
 「馬鹿!」
 思わずジュンの頬をはたいた勇介は、どんな人間だって一生懸命頑張れば必ずいつか報われると諭すのですが、ここで勇介の経歴(色々あったけど科学アカデミアに入るまでになった)に接続するわけでなく、少年の勉強以外の才能(彫刻)を取り上げるわけでもなく、なんとなく、努力=善、で押し通して(それそのものは間違っていないわけですが)、今作ならではの説得力を付加できなかったのは、物足りなかった部分。
 自分には向かないから、と最初から勉強を投げ出すとアシュラ(毒島嵐)みたいになってしまう、という反面教師が既に提示されているので、巧いこと勉強の肯定も織り交ぜないといけない難しさはあったのでしょうが、どう進んでいくにしろ努力は必要である、という肝心の部分にスムーズに焦点を合わせていけなかった感。
 「俺は許さん! 絶対に許さん!」
 敢えて丈とめぐみの助勢を止めた勇介は、単身生身で突撃すると、ブタ火球をオーバーヘッドキックする所をジュンに見せて、改めてライブマン
 ……オーバーヘット云々よりも、生身の足でブタ火球を蹴り飛ばして無事な点がさすがに気になりますが、やはり勇介たちは、星博士によって眠っている間に密かに身体改造済みなのでは……。
 「勇介、丈、めぐみ……君たちの覚悟はわかった。だが、ボルトと戦うには生身の体では無理だ。そこで、この星が、君たちを立派な戦士にしてやろう。ふふふはははは!」
 そして、第3クールラストでコロンさんの口から明かされる、衝撃の真実。
 「今までずっと秘密にしてきたけど、3人とも、私と同じ鋼鉄の体なの」
 「「「?!」」」
 そんな平成ライダー的な未来にドキドキしつつ、ライブマンはトリプルバズーカからバイモーションバスターのコンボでブタを撃破し、どうしてバズーカ系で被せてしまったのか……。
 巨大戦では火球攻撃に苦しむライブロボだが、ジャンピングパンチで殴り飛ばし(シールド……)スーパーライブクラッシュ。
 被害に遭った子供達は無事に元に戻るとジュンへの暴言を謝罪し、東映特撮名物:勝手にお墓、ならぬ、勝手にトーテムポールを皆で砂浜に立てて、つづく。