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ヒロイン決死行

ウルトラマン80』感想・第16話

◆第16話「謎の宇宙物体スノーアート」◆ (監督:広瀬襄 脚本:平野靖司)
 宇宙で発見された雪の結晶のような構造物スノーアート――宇宙展で公開されて話題沸騰のスノーアートから、謎の電波が発信されている事に気付いたUGMはその調査に向かい、無骨なチーフさえ、その美しさに心を奪われる。が……
 「あれを見ているとね、魂を吸い込まれそうな、怪しげなところがあるんだよなぁ」
 「やっぱり、美しいものに毒なんてなかったでしょ」
 「うーん……しかしなぁ……魔法というか、魔力っていうか……なんか変なんだなぁ」
 不穏な気配を感じたUGMは、宇宙展の責任者が詳細な調査を拒む事から、閉館後の会場に身を潜めて、調査を敢行。ところが、赤外線を放射した途端にスノーアートが砕け散り、損害賠償だ!と矢的の顔が引きつるよりも早く、中から漏れ出したガスのようなものに触れた城野が、奇怪な宇宙生命体に憑依されてしまう。
 その頃、UGMでは謎の電波の解読に成功し、地球人類がスノーアートと名付けたものは、他の生命体に憑依して強力な念動や催眠波を操る宇宙の悪魔デビロンを閉じ込めた檻であった事が判明。果たして、UGMは城野隊員を救う事が出来るのか……悩めるキャップのアップが素敵。
 街にはデビロンが出現すると、念力で次々と車を破壊し、悪のテレパシーにより市民に暴動を起こさせ……大事は大事なのですが、普段、歩くだけで街を破壊していく生物と戦っているので、微妙に規模が小さく見えて困ります(笑)
 UGMは現場に向かい、やむをえない状況とはいえ、洗脳により襲いかかってきた一般市民を、思い切り顔面を殴り飛ばして無力化するハラダ
 タジマもタジマで、鳩尾に膝蹴りを2発叩き込んでいるし、君ら、もうちょっと……マスコミに写真撮影された時に言い訳が効きそうな技は習得していないのか。
 射殺命令を受けた防衛隊も続けて到着し、城野を救おうと体を張ってそれを止めるUGMだがこれといって策はなく、ここまでの筋は割と面白かったのですが、UGMが無為無策でいたずらに混乱を広げ、矢的とチーフは棒立ちのカットが連発し、非常にテンポが悪くなってしまったのが残念。
 UGMの制止むなしく遂に発砲されるが、怒りのデビロンはいきなり巨大化。退避中にさりげなく単独行動を取った矢的は80に変身し、結局、悩んでいるだけでUGMが城野救出の為に何も出来ないのは非常に物足りないところですが、これは後代の作品を見ているから強く感じる面もありそうでしょうか。
 ただ、再び洗脳された隊員たちが凄い化粧で戦闘機に乗り込んで80を攻撃するのは、面白い要素。
 集中砲火を浴びる80だが、デビロンがエアーポケット状態(デビロンを封印した宇宙人からのメッセージで伝えられた弱点なのですが、要するに超能力を行使し続ける為に息継ぎが必要な模様)に入った事で窮地を脱し、いちいち洗脳が解けるのがデビロンにしてみるとかなり厄介な弱点で、基本的にデビロン、堂々と正面から出てくるのではなく、搦め手から攻めてこそ真価を発揮するタイプなのでは。
 覚悟を決めた80はチョークスリーパーでデビロンを呼吸困難に陥らせる事で城野から分離させると、自らに憑依させてデビロンとの精神判定に勝利。宇宙空間で分離すると、背後から光線を放って勝利を収めるのであった。
 ナレーション「こうして事件は解決した。しかし、いつまたデビロンのような生物が、宇宙から運ばれてくるかもしれない。いや、もうすでに君の周りの人間に、宇宙生物が取り憑いているのかもしれない。諸君、気をつけて」
 ほぼ全ての事象がナレーションで説明されるエピソードでしたが、本部でのほのぼシーンの後、最後に軽く語りかけで終わるのは、古典ウルトラマンを意識した狙いでしょうか。
 後半の展開があれこれ雑なのが残念だったものの、複数のキャラのやり取りでそれぞれに愛嬌を与えていく手並みが平野脚本は鮮やかで、今日的な視点から見やすいのは長所。
 次回――南海の二大怪獣で前後編。