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AI、トモダチ?

仮面ライダーゼロワン』感想・第36-37話

◆第36話「ワタシがアークで仮面ライダー」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:筧昌也
 飛電製作所だから作れるヒューマギアがあるのではないか、と考えるアルトは、人気の占いの列に並んでいた不破の姿を目撃。気を回したアルトは占いヒューマギアを用意して不破を促し、捏造された記憶により死んだとばかり思っていた家族が存命である事を知り、会いに行くべきどうかを悩める不破さんの深刻な問題を、ギャグ調のヒューマギアと絡めて茶化すのが凄く感じ悪いのですが、不破さん周りはどうしてこうなのか(真っ当にやると重すぎると思ったのですが、それだけの設定を作った事に関しては取るべき責任というものがあるわけで)。
 一方、デイブレイクタウンではウニの姿でアークが復活。滅の体にドライバーとして取り憑くと、どういうわけか脅えリアクションの為にそこに出てくる唯阿さん。
 「バルキリー!」
 「なんだあれは……」
 「しっかりしろ! 今が僕たちの正義を実行する時だ!」
 突然、滅亡ギルドの本拠に顔を出す唯阿(もしかして、普通に「出勤」してるのか……?!)も、迅の発破の内容も、再開直後からさっぱり意味不明ですが、武装を瞬間精製するアークに手も足も出ないまま、なんかじたばたしたキックを受け、バルキリーさっそく轟沈。
 その頃、飛電製作所では、アルトの思いつきを博士ボットが形にしてインスタントに生み出された飛電製作所初のオリジナル人工知能――「側に居て話を聞いてくれるだけの、友達型AI」・アイちゃん(手の平サイズ)が誕生。
 「私は考えた。アルトくんの理念を形にすると、決してヒューマギア型にこだわる必要はない! と。これは大発見だ」
 え。
 ……人工知能搭載ロボットが人型にこだわる必要がないのは現実にわかりきった事で、そこで敢えて人型にこだわる事に絵空事の面白さがあったわけなのですが、とうとう絵空事を全否定してきました。
 それをやってしまったら、ここまで構築してきた虚構がほとんど灰燼に帰すと思うわけなのですが。
 ……まあ、声優ギア回を踏まえた発想として用途別の使い分けがあって良いとは思いますし(とはいえ、3クール目に主人公が辿り着く理念の形としては絶望的な代物ですが)、さすがに、ここから一ひねりあると思いたいですが、そのまま停止ボタンを押して、私の中で『仮面ライダーゼロワン』が最終回を迎える一歩手前でした。
 アイちゃんのアドバイスを受けた不破は実家を訪れて家族の姿を遠目に見つめ、酷いギャグにされるのではないかと身構えていたのですが、そうならなくてホッとしました。
 唯阿が病院に運び込まれたとの連絡を受けて駆け付けた不破とアルトは、唯阿が迅と密約を結んでおり、アークを破壊する為に敢えて一度アークを復活させて地上へと引きずり出し(湖底の衛星を破壊できない理由はよくわからないのですが……そもそも無線通信できる人工知能なわけで……ううん)、とにかく、器を与える(器に封じる、ならわかるのですが、この後の描写も見るに完全にフリー行動ですし……)事で破壊しようと考えていたが予想を遙かに超えた強さに惨敗した事を伝え、突然あちこちで始まる反省タイム。
 そして……ヒロイン化する滅。
 「滅は変われる筈なんだ。……俺は、ヒューマギアを守る」
 唯阿の忠告を振り切ってアルトは打倒アークを宣言し、悪意の支配からヒューマギアを解放する為に絶望的な戦いに挑むヒーローの決意表明としてはなかなか格好良かったのですが、事ここに至るまでの道のりがバラバラ死体すぎて素直に盛り上がらないのが実に残念。
 また、現実の犯罪者にも更生の余地は与えられるわけですが、アルトのヒューマギア観の場合、「悪事はしたけど変わっていける」のではなく、「悪事は全てアーク及び天津の悪意が悪いので滅に責任はない」ヒューマギア無罪論によっているので、結局、アルトが一番、ヒューマギアを「道具」扱いしているのが、その場その場の話の都合で主人公の通そうとする筋が右往左往しすぎで、大変ノリにくいところ。
 アークを倒したかと思われたワークゼロワンとジュウオウバルカンだが、アークが素体にしていたのは迅であり、バルカンを経由(たぶん伏線)したアークは再び滅へと憑依し、アーク(CV:速水奨)は格好いいのですが……速水奨の声で喋る滅は別に嬉しくない困った状況で、つづく。

◆第37話「ソレはダレにも止められない」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:筧昌也
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 (某テーマ曲)
 「私は天津垓。通称1000%。永遠の美貌に、株主はみんなイチコロです。ハッタリかまして、ギーガーからパンツまで、何でも作ってみせましょう」
 「「「「俺たち、滅亡迅雷Aチーム!!」」」」
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 滅アークの滅亡パンチを受けたワークゼロワンは変身解除に追い込まれるが、一時的にアークの支配を逃れた迅にかばわれて、一時逃走。
 アルトはあまりにも強大なアークの力に恐怖を感じ、割と第1話からヒーローとしてぶっ飛び気味だったアルトが、人間を遙かに超えた人工知能に対して人並みにマイナスな感情をいだく事でアークの脅威を示す狙いはわかるのですが、前回のヒーロー宣言が一瞬で海の藻屑と化してしまい、滅もヒロインになった甲斐がありません。
 一方、飛電インテリジェンスでは、天津の主導による、レイドライザーの発売日が近付いていた。
 「次はレイドライザーの発売日に、ZAIAスペックを、敢えて暴走させましょう」
 「「あ、あえて?」」
 副社長と腰巾着コンビが以前の地位を保っているのも謎ですが、なんでこの人、別に身内でも腹心でもない人に、違法行為をベラベラ喋るのでしょうか(笑)
 悪人とはそういうもの、という一種のメタギャグのつもりなのかもですが、なまじ大企業の体裁を取っているだけに、出来の悪いコントめいた空虚さだけが広がります。
 事ここに至って、天津を引きずり下ろす決意を固めた副社長はアルトに連絡を取り(まあ、何かあった場合に詰め腹を切らされるのは確実ですからね……)、お久しぶりのシェスタ登場。
 カードキーを読ませるとヒューマギアの素体がシェスタに早変わりし、さらっと使われた当初から劇中でも屈指のオーバーテクノロジーでしたが、それを見た副社長と専務が揃って驚いているのはどういう事なのか……。
 その頃、足下で造反の火の手が上がっているなど夢にも思わない天津は、亡ウルフの“挨拶”を受けて下着一枚を披露し(ここで、天津の表情を変に崩さなかったのは節度を保って良かった点)、最後の砦がZAIAブランドだった事には、秘めた愛社精神を感じました。
 唯阿さんはアイちゃんに励まされながら反省タイム続行中で、人間に似たゴリラだと思っていた事、嫌がらせでキーにロックをかけ続けていた事、天津の命令に従うままあれこれしていた事など、これまで散々迷惑をかけてきたと自認している不破に正式に謝罪する事を決意し(そこまで素直に謝れない人だったっけ……とか思いますが、もはや唯阿さんのパーソナルもぐっちゃぐちゃ)。
 その誤魔化しとしての「普通すぎてつまらん人生と言って悪かった」が、前回の「普通で良かった……つまらないほど普通で……安心した」という不破の述懐と対になり、色々と扱いの酷かった不破さんへのフォロー含めてこの辺りは良かったのですが、アイちゃんが凄い勢いで皆の潤滑油としてウェットな部分を引き出しており、ガジェットとしての機能性はともかく、物語的にはこれでいいのでしょうか。
 「当たるも八卦、当たらぬも八卦」とはいっても、前回の占い師ヒューマギアは何の役にも立たなかった扱いになっているどころか、間接的にそこからアイちゃんが生まれている事により、話の構造からすると、役立たずのヒューマギアを切り捨てて、本当に役に立つAIが生み出された事になってしまっているわけで……。
 滅亡ギルドからの宣戦布告に激怒した天津は、自らA.I.M.S.を率いると出入りを仕掛け、その間に社長室に忍び込んで天津のPCを探るシェスタと専務……主人公サイドが陽動を仕掛けるなど知恵と工夫で強大な悪役の足下をすくう、ような劇作になっていれば爽快感も出るのですが、アルトが能動的に何かするわけでない&天津が長いこと負けっ放しなので、「悪の組織の行動に便乗して違法な調査を行っている」部分が気になってしまい、とにかく天津のアップダウンの描き方の稚拙さが、全方位に足を引っ張ります。
 「私は飛電家の人達に教わってきたんだ。人工知能の未来を。ヒューマギアの可能性を。君ほどヒューマギアが好きな人を、他に見たことがないぞ」
 飛電製作所では、盛り上げBGMを背に副社長が失意のアルトを励ますのですが、レトリックとはいえOPナレーションで「人工知能搭載人型ロボット」=「ヒューマギア」と定義付けている以上、「人型ではない」=「ヒューマギアではない」アイちゃんが、アルトの理念の成果として大活躍している現況で、「君はヒューマギアが大好きだろう!」と副社長が言い出す支離滅裂な展開で、右半身と左半身が完全に別行動。
 「人類は、私の道具だ」
 そして、滅亡ライダーズに袋叩きにされるサウザーの姿がだいぶ時間を取って描かれるのですが、物理的には第22話以降、精神的にも第30話以降、1998年の千葉ロッテマリーンズばりの連敗街道を突き進むサウザー(天津)が叩きのめされても別に溜飲が下がるわけでなく、袋だたきにしている側は人類滅亡が目的で、落ちぶれたいじめっ子が悪の組織に集団でいじめ返されている映像とか延々と見せられても気分が悪いだけなのですが、どんな意図を持って何を見せたいシーンなのか、率直に首を捻ります。
 身も蓋もない話としては玩具展開の予定が無かったからなのでしょうが、サウザーが明らかに力負けするようになってからも、一切なんの強化手段も講じないまま自信満々で最前線に出てくるので、自信家を通り越して頭が悪いだけに見えてしまうのも大変辛く、天津の扱いに関しては、あらゆるタイミングを見誤った感。
 「私は1000%……負けていない」
 すっかり特技となった《食いしばり》(致命傷を受けてもHP1で生存)と《負け惜しみ》を発動した天津が立ち去った後に、副社長の激励を受けたワークゼロワンが駆け付けて(あれ? 負けちゃったの?)みたいな調子で背中を見送る大変間の抜けたシーンが挟まり、そこでヒーロー登場するわけでもないゼロワン含めて、何もかも酷い。
 恐怖を飲み込みアークと対峙するゼロワンだが、秘拳・滅亡ダイナマイトを受けて大爆発し、前回-今回と戦闘シーンのカメラワークはなかなか凝っていて面白かったです。アークは何故か変身の解けたアルトにトドメを刺さずに立ち去り、主人公が完封負けして地面に這いつくばっているの何度目だ、でつづく。
 物語のメリハリとしての主人公の敗北はあって良いと思うのですが、とにかく今作、完敗と完勝が極端すぎるので消化試合が多すぎますし、サウザーの悪しき前例がありすぎて悪の強敵描写にはあまり期待が持てず、アークのデザインそのものは割と好きなのですが、宝の持ち腐れ感。
 ……逆転の鍵は、迅がアークの戦闘データを送っていた何者か、という事になりそうでしょうか(唯阿は入院中なので……ゼア?)。
 それにしても、スタート当初はあんなに潜在ヒロイン力が高かったイズが、2クール目入った辺りからただのイエスマンと化し、主な仕事はお追従のギャグ係となり、今や居ても居なくても別に困らないキャラクターに成り果てるとは、夢にも思いませんでした。それもあってかアズ投入かと思ったら、前回-今回は影も形も登場せず、今作というかもはや近年屈指の残念なキャラになっていますが、果たしてここから、サヨナラ満塁ホームランはあるのか。
 あと、雷は風貌といい台詞回しといい印象的で好キャストだと思うのですが、最初の登場時は勢いで変身してさくっと倒され、復活後はアークの支配下にある場面が多く、せっかくの素材が雑な味付けに殺されている印象。適当に昴が再登場して、適当にほだされて、適当にカバーリング爆死とかしそうな気もしますが、前回-今回と亡と絡んでいるので(年下ポジションだから?)、それが巧く活きてほしいところです。
 終盤戦に入っていこうとする時期の新型コロナウィルス禍の直撃で、劇場版含めて制作状況の厳しさはあるでしょうが、中断前からの壊滅的状況が順調に継承・拡大されているのが、非常に言い訳の効かないところ。
 「人間とヒューマギアを共に支配するもの」アークという明確なラスボスが登場した事で構図的にはわかりやすくなりましたが、その一方で留まるところを知らないアルトの迷走にアイちゃんがガロン単位で石油を注ぎ込む事態は目を覆わんばかりで、今後の展開で辻褄を合わせようとすると、辿り着く結論は一つ。
 すなわち、真のラスボスは、仮面ライダーアークアイ。
 「人類は、私がダメにしてあげる♪」